社員インタビュー

キャリアは、「自分という機能」の
あるべき場所を探す旅

自分という機能を、社会を動かすカへ 自分という機能を、社会を動かす力へ
土本 晃世

グループ人事本部 CHRO PJT推進部
シニアエキスパート

土本 晃世

Akiyo Tsuchimoto

2023年7月中途入社。大手電機メーカーで海外マーケティングやSFA営業を経験後、人事コンサルティング企業で人材開発・組織開発・制度設計に従事。業務と並行してMOT(技術経営専門職学位課程)修了後、ベンチャー企業の事業責任者を経てパーソルホールディングスへ。現在は人的資本開示と投資家対話を軸に、人材戦略と全社変革を推進している。

プロフィール詳細

ロシア文学に傾倒し、口を開けばロシアの話ばかりしていた少女は、ソ連崩壊から間もないロシアを目の当たりにしたことで、現実社会へと目を向けました。

「社会や組織をより良く動かすために、自分という『機能』をどこに配置し、どう拡張していくか」。原点から生まれた問いの答えを愚直に追いかけるキャリアからは、利己的なキャリアアップとは一線を画す、ソーシャルインパクトへの渇望が伝わってきます。

役職や功績への執着を削ぎ落し、純粋に人のため、社会のために変革を紡ぎたいと語る土本晃世さんに話を聞きました。

ロシア留学で目撃した「社会システムの崩壊」が原点

――学生時代はロシア文学に没頭していたと聞きました。

中学生のときに世界文学を読み始め、中でもロシア文学に魅了されました。未知の領域や、一筋縄では理解できない深淵なものに惹かれる性質なんですね。毎日ロシアのことばかり考えていて、相手に興味がなくても延々とロシアの話ばかりするような女子高生でした。イベント用にクラスで作成したランキング企画で、「クラスで一番の変人」としてぶっちぎりの1位だったといえば、なんとなく想像がつくでしょうか(笑)。
もちろん、大学もロシアについて学べる学部を選び、将来はロシア政治の研究者か、外務省か、と考えていました。

――どこで転機が訪れたのでしょう。

大学時代のロシア留学です。当時は、ソ連が崩壊してまだ5年ほどで、国内は大混乱の極みにありました。社会システムが完全に破綻し、消防も警察も救急も機能しない。日用品や食料は青空市場で売り買いされ、街中に失業した人があふれている。
本を通して世界を知ったつもりでいた私にとって、荒廃した社会と人間を目の当たりにしたインパクトは強烈でした。そして、自分が生きてきた世界がいかに狭かったかを痛感したのです。

個人が自由な経済活動によって利益を追求できる資本主義の良さも身にしみて感じました。社会主義の「はたらくことは苦役だ」という価値観は、労働者も消費者も幸せにしません。一方、資本主義経済における競争は、過当競争による労働環境の悪化といった影をはらみながらも、技術革新を促し社会全体を豊かにする原動力となります。

混沌のロシアで得たこれらの気づきは、「このまま浮世離れした場所にいてはいけない」という焦燥に変わりました。その焦燥を原動力に、リアルの代名詞ともいえるビジネスへと一気に舵を切り、愛読書をロシア文学から日経ビジネスに持ち替えて社会への第一歩を踏み出したのです。

外圧による組織改革のアプローチを追求すべく、パーソルホールディングスへ

――それで、民間企業へ就職されたんですね。

グローバル企業に的を絞り、生活に身近な電機メーカーに就職しました。配属は海外マーケティング部門だったのですが、実はあまり面白くなくて(笑)。製造業という巨大な、かつ完成されたシステムにおいて、個人の仕事は代替可能なごく一部のパーツに思えました。「自分が価値を生んでいる」という手触りが一切なく、私にとっては苦しい日々でした。

そこで、4年目に社内公募制度を使って、新規事業部門へ飛び込むことにしたのです。市場黎明期だったSFA(営業支援システム)の営業を一から経験し、自分の努力が結果に直結する面白さを初めて知りました。この経験が、私のビジネスパーソンとしての基盤になっています。

また、営業支援に関わったことをきっかけに、より本質的なお客様支援として個々人の能力開発に関わりたいと思うようになり、人事コンサルティング企業へ転職。営業力強化からリーダーシップ開発、次世代経営者育成、評価制度構築まで、約10年のあいだに幅広い分野を担当しました。
最後の2年間は、環境を変えるためのリスキリングを目的として、大学院でMOT(Management of Technology)を学び、卒業後にHRテクノロジーを手掛けるベンチャー企業へ転職しています。

――上場も経験されたそうですね。

人事責任者の後、執行役員・事業責任者として上場を経験しました。
技術の会社で、しかも上場を目指すベンチャーだったため、はたらき方は非常にタフで業務の幅が広い。チームをゼロから立ち上げる仕事も任せてもらい、そこで出会った仲間とのつながりは大きな財産になっています。
一方で、人事領域で専門性を極めたいと思っていた私にとって、事業責任者の立場が本意でなかったのも事実です。長年の経験を通じて、人材開発や組織開発といったいわゆる「内圧」のアプローチだけでは、組織や人を変革しきれないとも感じ始めていました。
折しも、自分で立ち上げた「人的資本研究会」の活動が軌道に乗り、投資家などの「外圧」を通じたアプローチの有用性を追求したいと思うようになったこともあって、3度目の転職を検討。やりたいことと合致するオファーをくれたパーソルホールディングスに転職しました。

ピュアで真摯な社風を正しく伝えることも、人事の使命

――パーソルホールディングスではどんなことに取り組まれていますか。

現在は、人的資本レポートの発行や統合報告書の作成を通じて、IRやサステナビリティ部門と連携して機関投資家との対話を深める役割を担っています。人事領域を超えて経営そのものに関わるご指摘については、経営陣に共有しなければなりません。
2025年は、ちょうど中期経営計画を刷新するタイミングでした。それまでに投資家からいただいたフィードバックをCHROなどと検討し、中期経営計画と連動した人事戦略に反映するという、やりがいのある仕事に携わることができました。

――投資家の皆さんからの声で、印象的だったものがあれば教えてください。

「パーソルの企業文化がよくわからない」という指摘はショックでした。
多様な価値観を包み込むという美点は、見方を変えれば、対外的なメッセージの力強さに欠けるともいえます。グループビジョン「はたらいて、笑おう。」には、一人ひとりが自分に合ったはたらき方を選び、仕事を通じて心から満足や幸せを感じてほしいという願いを込めていますが、それも漠然として感じられるのかもしれません。

実際に組織の内部に身を置いてみると、社員は心から人間の価値と可能性を信じ、誠実にビジョンを体現しているんです。入社間もない頃、派遣事業のリーダーたちと共にスタッフのウェルビーイング向上を目指す委員会に加わった際は、全員がスタッフ一人ひとりの幸せを真剣に願って議論する姿を目の当たりにして心打たれました。
そうした「パーソルらしさ」を、いかにわかりやすく世の中に発信していくか。これもまた、人事として取り組まなければならない課題だと感じています。

正解のない道を歩むプレッシャーを、仕事の醍醐味に変えていく

――2026年は、昨年練り上げた戦略を実現していくフェーズですね。

グループ人事では、「変革をけん引する経営チームの構築」「人材ポートフォリオの変革」「AI時代に適応したリスキリング」「ウェルビーイングとエンゲージメントの向上」、そして「AIによる人事機能の高度化」といった観点で5つの戦略テーマを設定し、実行しています。

現在、私が主導しているのは、経営戦略や事業計画を完遂するために欠かせない人材構成を、質と量の両側面から最適化していく「人材ポートフォリオ変革」です。この変革は人事領域だけで完結するものではありません。経営戦略や財務、さらにはAIといった専門部署と密接に連携し、部署の垣根を越えて全社的な変革を推進しています。

――AIの台頭や事業構造の変化が進む中、人材ポートフォリオ変革は難易度が高そうです。

個人のスキルや感覚による肉体的な労働や、労働者の数に依存した労働集約型モデルから、専門知識やアイデア、情報を集約してイノベーションを生む知識集約型モデルへの転換とともに、人材ポートフォリオは大きく変わっていくでしょう。
特に、AIの驚異的な進化は、経営戦略や事業環境を短期間で激変させる可能性があります。よって、人材ポートフォリオの変革においては、状況に応じて「いま必要な人材」の要件を柔軟に定義し直す動的なアプローチが欠かせません。
正解が誰にもわからない中、多くの部門と手を取り合って構想から実行までをけん引する現在の職務には、並々ならぬプレッシャーが伴います。しかし、完成した組織の歯車として動くのではなく、混沌とした未完成の状況から「ゼロイチ」で作るプロセスにこそ仕事の醍醐味を見出せる方にとっては、これ以上ないほど刺激的な環境だと思っています。

――他部門と連携する上で意識していることはありますか。

たとえ稚拙であっても、自分なりの考えを持つこと。そして、「こうあるべきだ」という意志を、可能な限りスピーディーに周囲へ伝えていくことです。
組織の抜本的な変革が急務である今、何よりも求められるのはスピードです。万全を期してから対話に臨もうとすれば、どうしても時間の損失が大きくなってしまいます。

ありがたいことに、パーソルホールディングスには理念への共感を通じて集まった、他者を尊重し合えるメンバーが多く、個人の手柄を優先して他者を排斥するような文化がありません。全員で目的を達成しよう、より良い方向を目指そうという共通の価値観の上に立って、非常に有意義で未来志向の意見交換が実現できています。

エゴを捨て、まっすぐに社会に尽くす「土管」でありたい

――仕事をする上で、重視していることを教えてください。

大きく3つあります。

1つ目は、人事として、「経営」と「従業員」という2つの重要なクライアントに目を向けることです。
パーソルホールディングスの人事は、経営層が迅速かつ適切な意思決定を下せるよう支援することが本分であり、自ずと経営に寄り添う場面が多くなります。だからこそ、一つひとつの意思決定の先に従業員がいることを忘れてはならないと肝に銘じています。

2つ目は、コーポレートスタッフとして、日々汗をかいて利益を生み出してくれているグループ各社へのリスペクトを忘れないことです。経営の近くで事業の長期的な成長を考える上でも、事業会社に近いPL感覚を忘れないようにしたいですね。

3つ目は、「土管のようにはたらく」というのを理想としていて(笑)。
土管は外側を強くすることができますし、その結果として水はよりスムーズに流れます。ただ、水そのものは変わりませんし、土管がそれを自分のものにすることもありません。あくまで価値を滞りなく届ける道です。
はたらく一人の人間として、賞賛や評価、自己の利益や優越感といった利己的な思考を削ぎ落して、自分という機能を、社会を動かすカへ。自分を介して価値をまっすぐ社会へ届ける、土管のような存在でありたいと考えています。

――ありがとうございました。最後に、パーソルホールディングスへの入社を検討する方にメッセージをいただけますか。

今後2、3年は、これまで個人で積み上げてきた取り組みをチームへと広げ、組織的に推進していく段階に入ります。カオスな状況をポジティブに捉え、未知の領域への挑戦をいとわない方、一緒にチームとして最大のアウトプットを追求していきましょう。

※社員の所属およびインタビューの内容などは2026年8月現在のものです。

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