【2022年】人手不足の原因と影響|解消するための3つの対策

人材・組織 経営者・役員 人事

年々深刻化している人手不足問題。人手不足は、少子高齢化だけでなく、いくつかの要因が絡み合って生じているといわれています。

本記事では、何が人手不足を引き起こしているのか、その原因と企業が取り組むべき対策を解説します。

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コロナ禍によって人々のはたらき方は大きく変化し、それに伴い人事・組織戦略の新たな課題も浮かび上がっています。人事施策や組織戦略の展望にお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

パーソルグループでは、働き方の「いま」と「これから」について、管理職および一般職1,000名を対象に調査を行いました。人事制度、オフィス環境、副業、人材育成、メンタルヘルスなどに焦点を当て、働き方の実態調査の結果をまとめた【アフターコロナの新しい働き方2022最新動向調査レポート】お届けします。

経営・人事の皆様のご参考になれば幸いです。

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目次

日本における人手不足の原因と背景

企業における「人手不足」とは、業務を行う上で必要な人材が集まらず、思うように業務が行えていないような状態を指します。

企業が人手不足に陥っている原因は、大別すると次の2つです。

    • 少子高齢化
    • 人材のミスマッチ

それぞれについて詳しく説明します。

少子高齢化

日本は世界的に見ても、急速に少子高齢化が進行している国の一つです。日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに、総人口も2008年をピークに減少に転じています。

日本の人口推移

 

【出典】総務省「情報通信白書 平成29年版」

総務省の推計によれば、生産年齢人口の比率は2015年:2060年で100:60もの差が生じるという結果が出ています。こうした人口減少、特に若者世代の減少は社会に大きな影響をもたらすと考えられています。

パーソル総合研究所が、中央大学経済学部の阿部正浩教授と共同開発した「予測モデル」による2030年の推計では、「7,073万人の労働需要に対し、見込める労働供給は6,429万人であり、644万人もの人手不足となる」という予測がなされました。推計の通りに人手不足が進行した場合、2017年には1,835円だった実質賃金(時給)は、2030年には2,096円にまで上昇するとされています。

2030年に想定される労働人口



 

【出典】株式会社パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」

こうした人口減少、特に若者世代の減少は社会全体に大きな影響をもたらすと考えられています。

人材のミスマッチ

人手不足が起きる要因は、単なる従業員数の不足だけではありません。就労・産業などの大きな構造変化が、社会全体ないし職場内での人材のミスマッチを生んでいるという要因 も考えられます。

「中小企業白書」のデータを見ると、事務的職業、運搬・清掃・包装などの職業では有効求職者数が有効求人数を大きく上回っているのに対し、販売・サービス・介護関係の職種では逆の状況が続いていることが分かります

職業別有効求職者数と有効求人数の差

 

【出典】中小企業庁「中小企業白書 2017」

「求人を出しても人が来ない」と困る企業がある一方で、「探しているのに職が見つからない」と悩む求職者がいる。企業と求職者の間で求める能力や資格、労働条件などのミスマッチが生じていることに起因する「構造的失業」といえます。

労働力不足と構造的失業のダブルパンチが、慢性的な人手不足という事象を引き起こしています

人手不足が著しい業界とは

人手不足はどの企業にも共通の課題であるものの、その度合いには業界・業種で差があります。

厚生労働省のデータによれば、以下の5業種が、特に人手不足感の強い業種であることが分かります。

  • 運輸業・郵便業
  • サービス業
  • 医療・福祉
  • 宿泊業・飲食サービス業
  • 建設業

産業別人手不足感

 

【出典】厚生労働省「人手不足の現状把握について」

では、それぞれの分野ごとに、人手不足の原因や、特徴を確認していきましょう。

運輸分野

宅配便の取り扱い数は短期間の間に飛躍的に伸びています。つまり、労働力の需要が大きく伸びているといえます。
しかし、ドライバーは減少の一途をたどっており、現役ドライバーは高齢化が進んでいます。2030年におけるトラックドライバーの需要ギャップは、8.6万人と推計されています。

宿泊、飲食を含むサービス分野

コロナ禍で現在の状況は変わっていますが、外国人旅行者の増加を追い風に、観光分野を中心に需要が大きく伸び、それに伴い、人材が多く必要となりました。
しかし、休暇の取得しづらさ、賃金の低さなどが原因で、特に中小企業においては離職率が高いのが特徴です。

医療・福祉分野

医療・福祉分野の中でも特に介護分野において、人手不足が顕著です。

団塊の世代が75歳に達する2025年の介護サービス量は、2017年に比べて、在宅介護で24%、居住系サービスで34%、介護施設で22%増加すると見込まれています。
ニーズは増加する一方、賃金水準がなかなか上がらず、法人や事業所の理念や運営、キャリアパスの整備など雇用管理の不十分さなどを理由に、人手不足が続いています。2025年における需給ギャップは、約55万人ともいわれています。

建設分野

高度成長期以降に整備したインフラは、今後一斉に老朽化すると見込まれています。2030年頃までの間に、建設後50年以上が経過した施設の割合は加速度的に高くなっていき、労働力の需要もそれに比例して上がっていきます。

ところが、休日が取りづらいことなどを背景に、工事の直接的な作業を行う技能労働者のなり手は少なく、高齢化が進行している上に高齢の技能労働者の大量退職も迫ってきています2025年における技能労働者の需給ギャップは、47〜93万人といわれています。

関連記事「目前に迫る2025年問題とは? 何が起き、どう備えるべきかを徹底解説」を見る

人手不足による企業への影響

慢性的な人手不足の状態が続くと、企業に大きな悪影響を及ぼします。

人手不足が及ぼすデメリット

・労働環境の悪化(残業時間の増加、休暇取得数の減少)
・従業員のはたらきがいや意欲の低下
・能力開発機会の減少
・離職者の増加など

人手不足による事業の縮小や倒産のリスクも懸念されます。「現在はそれほど影響がない」と思っていても、事態が深刻化する前に対策を取ることが重要です。

【参照】厚生労働省「人手不足が企業経営や職場環境に与える影響について」

人手不足解消に向けて企業が取り組むべき対策3つ

人手不足の最も有効な対策は、直接的な要因を解消することです。
しかし、ステークホルダーの協力が不可欠ですぐには難しい、また、企業が単体で改善するのは難しい課題も多いのが現実ではないでしょうか。業界は違っても、長時間労働など労働環境の改善、また業務効率化による生産性向上が、人手不足解消のキーワードといえます。

ここでは、企業が取り組むべき対応策について下記3つを挙げ、それぞれ解説していきます。

人手不足の対応策

1.働き方改革や人事制度の見直し
2.学び直し制度の実施、副業の許可
3.業務の抜本的見直し、ロボットやアウトソーシングの活用

まずは自社でできることとして、人を魅きつける魅力的な職場づくり、また人員は少なくてもしっかりと業務を回していけるような仕組みの構築から、取り組んでいきましょう。

1.働き方改革や人事制度の見直し

働き方改革は、生産性向上に結びつくとともに、人材が集まり、離れていかない職場づくりの一歩になります。従業員全体の制度を見直すことも大切ですが、特にフォーカスしたいのが女性やシニア層のはたらきやすい環境づくりです。

中小企業庁の調査によれば、1995年から生産年齢人口が減少し続けているにもかかわらず、労働力人口はさほど減っていません。これには、65歳以上のシニア、そして女性の労働の参加率上昇が関係しています。

労働力人口と生産年齢人口の推移

 

【出典】中小企業庁「中小企業白書 2018」

しかし、女性の場合は出産などのライフイベントに伴い離職を余儀なくされたり、シニアの場合は体力的に「短時間での雇用」を希望してもそれを許容してくれる仕事に就けなかったりなど、はたらきたくても整備が整っていない環境のためにはたらけない人が多くいます。

つまり、フルタイム以外のワークスタイル(産休や育休、時短勤務、復職制度、テレワーク制度など)の許容や長時間労働の改善は、女性、シニア、場合によっては外国人の登用を促進する効果につながり、これまではたらくことのできなかった優秀な人材獲得の可能性を高める原動力になります

ただし、新たな人材の受け入れには、社内体制の整備が必須ですが、いきなりがらりと体制を変えると、かえって現場を混乱させることもあります。
目指す体制構築までのロードマップを作り、少しずつ整備を進めながら、受け入れることのできる人材の幅を広げていくことが重要です。

(2)学び直し制度の実施、副業の許可

時代の移り変わりとともに、社員に求められるスキルや能力は変化していきます。特に近年は変化の速度が速く、変化についていけなくなってしまう、ということも少なくありません。

今いる人材のスキルや能力を十分に引き出すことは、企業にとっても、はたらく本人にとっても、やりがいや意欲の面でメリットがあります。これに役立つのが、「学び直し制度」の検討です。

学び直し(リカレント)制度 … 周期的に教育を受け続けていく仕組み

スキルアップ研修で時代に即した知識や技術を身につけ、既存業務で改めて力を発揮してもらうもいいですし、新たな能力を獲得するための研修を行い、別業務でも力を発揮してもらうのもいいでしょう。本人の適性を考慮しながらの実施は、能力と業務とのミスマッチを減らすことにつながります

また、副業を許可するのも一つの手です。

副業のメリット

はたらく個人の目線
・収入源の増加
・自己実現
・スキルアップ など

企業目線

・第三者目線での意見やアイデアなどをもたらしてくれる存在が社内にいる
・イノベーションの可能性が高まる
・自社をよく知る社員の雇用を維持できる など

終身雇用が当たり前だった時代には、副業は原則禁止という企業が多数派でしたが、現在では能力や本人の希望に適した柔軟なワークスタイルが広がっており、副業を許可する企業も増えつつあります。

関連記事「【対談】副業は許可or禁止?企業は副業をどう捉え、活用すべきか」を見る

(3)業務の抜本的見直し、ロボットやアウトソーシングの活用

日本企業の特徴として挙げられているのが「過剰品質」です。お客さま第一の丁寧な対応を心掛けるうちに、必要以上に手をかけすぎてしまっていたという事例は、どの企業にも1つや2つはあるのではないでしょうか。

そのような場合は社外、もしくは他業界の人に、自社の業務工程について意見をもらうなどの機会をつくると、思いつかなかったような課題や問題点、またその解決方法を指摘してもらえることがあります。

また、直接利益を生まないノンコアといえる業務は、外部委託したり、システム化したりすることもおすすめです。経費精算や事務作業などの処理サービスや自動化システムは数多く登場しています。こうした分野から、ロボットやAIを活用したシステムの利用、アウトソーシングサービスの利用を検討するのもよいでしょう。

時間や人手、経費がかかりすぎている作業や工程は、方法を変えるか、勇気を出してやめてみましょう。コストカットは、競争力強化にもつながります 

関連記事「【事例有】アウトソーシングとは?メリット・デメリットを解説」を見る

とはいえ、一律にシステム化できる業務分野というものはありません。
例えば、経理を社内で人が行うことで、戦略づくりなど経営にプラスの効果が出ており、業績向上につながっているならその業務は企業にとってコアといえます。大切なのは、自社にとってのコアとノンコアを適切に分け、重要な部分に対して人材をアサインするために、ノンコアの業務を省力化することです。

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まとめ|生産性向上が、新たな人材を引き寄せるカギ

人材獲得は企業の生き残りの生命線ですが、超高齢社会において、数のみに頼っていては、業務はうまく回りません。効率化・省力化、能力のある人材を柔軟に受け入れられる仕組みや新たな能力の獲得を支援する仕組みの構築を両輪で進めることで、人材確保の間口が広がります。そしてその取り組みは、自社を多くの求職者から「選ばれる会社」へと変革することに、結びついていくのです。

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