2023年06月19日
2025年04月18日
2010年代以降から年々深刻化している続けている人手不足問題。帝国データバンクの調査によると、人手不足をと感じている企業の割合は51.7%と高水準が続いています。人手不足はコロナ禍で人手不足は一時的に緩和したかように見えていましたが、経済の回復とともに再び増加傾向にあるのが現状です。右肩上がりの傾向が続いています。
本記事では、何が人手不足を引き起こしているのかといった、その原因に加え、企業が取り組むべき対策と事例を解説します。
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目次
企業における「人手不足」とは、業務を行う上で必要なとする数の人材が集まらずおらず、業務に支障をきたしているが出ているような状態を指します。人手不足に陥る企業の割合は年々増加傾向にあります。
人手不足に陥る原因としては、主に以下が挙げられます。
日本は世界的に見ても、急速に少子高齢化が進行している国のひとつです。日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年にピークを迎え、その後減少に転じ、2023年には7,395万人と、総人口の59.5%となっています。
総務省の推計によれば、生産年齢人口の比率は「2020年:2065年」で「100:70」に減少すると予測されています。もの差が生じるという結果が出ています。
また、パーソル総合研究所の調査によると、2035年には7,505万人/日相当の労働需要に対して、見込める労働供給は7,122万人/日相当の見込みであり、約384万人もの人手不足が発生するとになると予測されています。
推計の通りに人手不足が進行した場合、2035年には「1,775万時間/日の労働力不足」になることが分かりました。これは1日あたり34,697万時間の労働需要に対し、労働供給は32,922万時間であり、1日あたり1,775万時間分の労働力が不足することが予測されます。
就労環境や産業構造などの大きな構造変化が、企業と求職者の社会全体ないし職場内での人材のミスマッチを生んでいることも、人手不足が引き起こされるの要因として考えられます。
下の表は、厚生労働省が発表した職業別の有効求人倍率の一部です。有効求人倍率は、有効求職者に対する有効求人数の割合を示し、であり、1を上回ると人手不足を、下回ると人材過剰を意味します。
職業 | 有効求人倍率 |
---|---|
職業計(全体) | 1.18倍 |
土木の職業 | 6.82倍 |
介護関係職種 | 4.12倍 |
サービスの職業 | 3.08倍 |
職業 | 有効求人倍率 |
---|---|
職業計(全体) | 1.18倍 |
一般事務の職業 | 0.35倍 |
会計事務の職業 | 0.67倍 |
運搬・清掃・包装等の職業 | 0.75倍 |
土木・介護・サービスに関する業種は人手不足が著しいものの、一般事務や会計事務、運搬・清掃・包装等の職業では人材の余剰が発生しています。
「求人を出しても採用できない」と困る企業がある一方で、「仕事を探しているのに見つからない」と悩む求職者も存在します。これは、企業と求職者の間で求めるスキルや労働条件などが合わずに「構造的失業」が生じていることを意味します。
こうした労働力不足と構造的失業が重なり、慢性的な人手不足が引き起こされています。
若者たちの仕事やはたらき方に対する考え方や価値観の変化も、人手不足の大きな要因です。
20代を中心とした若者は、職場に「はたらきやすさ」を求めるだけでなく、「成長の機会」を求めるようになりました。これは、単に快適な環境のみならず、自身のスキルや知識を高められる仕事を重視する傾向の表れです。
また、転職への抵抗感が薄れ、肯定的な考えが強まっていることも人手不足の背景として考えられます。現代の若者たちは、現在の職場ではたらきながらも、転職や独立・起業も視野に入れています。若者が新たな挑戦を求めているため、企業は若者にとって魅力的な環境を提供し続けなければ、人材確保はますます困難になるでしょう。
さらに、精神的なストレスを抱えながらはたらいている若者が多いことも明らかになっています。ネガティブな感情はジョブパフォーマンスの低下や早期離職につながるリスクがあります。企業には、従業員のメンタルヘルスへの配慮と、サポート体制の整備が求められているといえるでしょう。
【調査レポート】人事施策に関する動向・取り組み状況
人材不足が深刻化するなか、「採用」や「育成」など、人材施策に投資を行う「人的資本経営」が加速しています。本資料では今後より重要視される人事テーマの取り組み状況について、施策のポイントとあわせて解説します。
人手不足は多くの企業に共通する課題ですが、その度合いは業界・業種によって異なります。厚生労働省や帝国データバンクの調査によると、特に以下の5業種で人手不足が深刻です。
厚生労働省では、労働者の過不足の状況を示す指標である「労働者過不足判断D.I.※1」を公表しています。この「D.I.」の数値が高いほど、人手不足感が強いことを意味します。
産業別にD.I.のポイントを見ると、働き方改革による「2024年問題」の影響が大きい「建設業」「運輸業・郵便業」「医療・福祉」などでは、特に顕著な人手不足感が見られます。
産業 | D.I.ポイント |
---|---|
建設業 | 60 |
運輸業・郵便業 | 59 |
医療・福祉 | 57 |
学術研究・専門技術サービス業 | 55 |
情報通信業 | 53 |
生活関連サービス業・娯楽業 | 48 |
サービス業(他に分類されないもの) | 46 |
製造業 | 44 |
不動産業・物品賃貸業 | 42 |
宿泊業・飲食サービス業 | 36 |
卸売業・小売業 | 28 |
金融業・保険業 | 24 |
帝国データバンクの調査によると、「情報サービス」が最も人手不足を感じている業種として挙がっています。また、「2024年問題」により労働時間の上限規制が設けられた「建設」「運輸・倉庫」といった業界でも、約6割の企業が人手不足感を抱いています。
それぞれの業界ごとに、人手不足の原因や特徴を確認していきましょう。
医療・福祉業界では、特に介護分野における人手不足が顕著です。
団塊の世代が75歳に達する2025年には、2017年に比べて、介護サービスの需要が在宅介護で24%増、居住系サービスで34%増、介護施設で22%増と見込まれています。しかし、ニーズは増加する一方で賃金水準の低さやキャリアパスの不備などが理由で人材確保が進まず、2025年には約55万人の人手不足が予測されています。
また医療業界では2024年4月から、医師を対象にした時間外労働時間の上限規制が課されました。今後は労働時間の短縮による医師の人手不足も懸念されています。
【関連記事】2025年問題とは?何が起こるのか・具体例や対策をわかりやすく解説
高度成長期に整備されたインフラの老朽化に伴い、2030年頃までに労働力の需要が上昇することが予測されています。
しかし、休日が取りづらさやケガのリスクなどから、工事の現場作業を行う技能労働者のなり手が少ない上に、高齢化が進み、高齢の技能労働者の大量退職も迫っています。2025年における技能労働者の需給ギャップは47〜93万人とされています。
このような課題に対応するためには、業務効率化やコスト削減などの取り組みが不可欠であり、建設業界のDX推進が求められています。
【関連記事】建設業DXとは?重要性やよくある課題・導入方法
宅配便の取り扱い量は短期間で飛躍的に伸びている一方で、ドライバーは減少の一途をたどっており、現役ドライバーの高齢化も進んでいます。2030年におけるドライバーの需要ギャップは、8.6万人と推計されています。
また、「2024年問題」の影響も懸念されています。物流業界における2024年問題とは、2024年4月から働き方改革関連法に伴う「時間外労働時間の上限規制」が「自動車運転の業務」にも適用されたことによる、人手不足やドライバーの収入低下、物流の停滞などの諸問題を指します。
時間外労働に上限規制が課されることで、今まで以上にドライバー人材の不足が懸念されているため、企業としても早期の対応を求められています。
【調査レポート】物流業界の「2024年問題」実態調査
物流業界の「2024年問題」について、直接的な影響が考えられる運輸業・郵便業のほか、間接的な影響が考えられる業種の経営者・管理職に対し、課題や取り組みについて調査しました。
物流業界の「2024年問題」の対策について、課題をお持ちの経営者・管理職の方はぜひご活用ください。
旅館やホテル業は24時間体制で営業をしており、シフト制を敷いているとはいえ、従業員へかかる負担が大きい業種のひとつです。また、宿泊業では離職率が高い傾向にあり、人手不足に陥りやすいともいえます。
さらに、コロナ禍収束後の国内旅行客やインバウンド需要の急増により、旅館やホテルの需要も高まっています。このような複数の要因により、旅館やホテル業の人手不足は深刻化しています。宿泊業界では新たな人員確保が喫緊の課題となっています。
企業のDX推進が進む中で、システム開発・運用の需要が増加し、情報サービス業の人手不足が顕著になっています。
独立行政法人情報処理推進機構の「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」によると、9割以上の企業がDXを担うIT人材の量と質が「やや不足している」「大幅に不足している」と回答しています。
特に不足しているのは、ITツールの運用・保守、請負開発を行う従来型のIT人材ではなく、最先端技術を扱えるIT人材です。
DX推進に必要なIT人材を確保し、情報通信サービス業のボトルネックを解消するためには、採用強化や定着率向上、外部人材の活用、人材育成といった対策を講じることが必要です。
【関連記事】IT人材不足の原因とは?対策やエンジニアの確保・育成方法
慢性的な人手不足の状態が続くと、企業の経営や従業員のはたらき方に大きな悪影響を及ぼします。実際に、人手不足が経営に影響を与えている企業は全体の7割以上にのぼり、事業の縮小や倒産のリスクも懸念されます。「現在はそれほど影響がない」と思っていても、事態が深刻化する前に対策を取ることが重要です。
【参考】厚生労働省「人手不足が企業経営や職場環境に与える影響について」
人手不足により1人あたりの業務負担が増大すると、長時間労働が常態化しやすくなります。
残業時間の増加や休暇取得の減少、業務過多によるストレス増大といった状況が続くと、従業員の健康リスクが高まり、さらなる人手不足につながる悪循環が生じてしまいます。
人手不足により日々の業務に追われることで、従業員の能力開発に割ける時間が減少します。研修や自己学習の機会減少により業務の属人化が進めば、おのずと新しいスキルは習得しにくくなり、キャリア成長が停滞します。
結果として、企業全体の競争力が低下し、さらなる人材不足を招くリスクがあります。
労働環境の悪化やモチベーションの低下が続くと、従業員は転職を意識し出します。負担が大きい職場から離れたいと考えたり、将来性が見えない企業に長く留まることを避けたいと考えたりするのは、当然のことといえるでしょう。
企業は代わりの人材が確保できず、人手不足がさらに深刻化してしまいます。このような悪循環を防ぐためにも、企業は早急に人手不足対策を講じる必要があります。
「人手不足解消へ向けてどうすればいいか」という課題に対して、最も有効な対策は、直接的な要因を解消することです。
しかし、ステークホルダーの協力が不可欠ですぐには難しかったり、企業が単体で改善するのは難しい課題も多かったりするのが現実ではないでしょうか。長時間労働など労働環境の改善や業務効率化による生産性向上が、人手不足解消のキーワードといえます。
ここでは、企業が取り組むべき10の対応策を挙げ、それぞれ解説していきます。
働き方改革は、生産性向上に加え、人材の採用や定着にもつながります。制度を見直すことも大切ですが、特にフォーカスしたいのが女性やシニア層がはたらきやすい環境づくりです。
中小企業庁の調査によれば、1995年から生産年齢人口が減少し続けているにもかかわらず、労働力人口は大きく減っていません。これには、65歳以上のシニアや女性の労働参加率の上昇が関係しています。
しかし、女性は出産などのライフイベントに伴い離職を余儀なくされたり、シニアは体力的に「短時間での雇用」を希望しても適した仕事に就けなかったりなど、はたらきたくてもはたらけない人が多くいます。
つまり、フルタイム以外のワークスタイル(産休や育休、時短勤務、復職制度、テレワーク制度など)の許容や長時間労働の改善は、女性やシニア、さらには外国人の登用促進につながり、優秀な人材獲得につながります。
新たな人材の受け入れには、社内体制の整備が不可欠です。ただし、大きな体制変更は、かえって現場を混乱させる場合もあります。目指す体制構築までのロードマップを作成し、段階的に受け入れる人材の幅を広げることが重要です。
【お役立ち資料】高年齢化する組織に求められる人材マネジメント
・定年延長・再雇用が求められる時代の組織実態とは?
・ミドル・シニア層の活性度は組織全体に影響する?
・高年齢化する組織に求められる人材マネジメントとは?
兼業・副業を許可すると以下のようなメリットがあり、はたらく人の意欲向上や、企業の人手不足解消が期待できます。
はたらく個人の目線
・収入源の増加
・自己実現
・スキルアップ など
企業目線
・第三者目線での意見やアイデアなどが生まれ、イノベーションにつながる
・自社をよく知る社員の雇用を維持できる
・短時間での雇用を希望する人など幅広い人材を確保できる など
終身雇用が当たり前の時代には、多くの企業が兼業・副業を原則禁止としていました。しかし、現在では能力や本人の希望に適した柔軟なワークスタイルが広がっており、兼業・副業を許可する企業が増えています。
【関連記事】副業は許可or禁止?企業は副業をどう捉え、活用すべきか
時代の移り変わりとともに、社員に求められるスキルや能力は変化しています。特に近年は変化のスピードが速く、スキルの陳腐化が進みやすい状況です。
今いる人材のスキルや能力を十分に引き出すことは、企業にとっても、はたらく個人にとっても、やりがいや意欲の面でメリットがあります。これに役立つのが、「学び直し制度」や「リスキリング」の検討です。
学び直し(リカレント)制度とは、定期的にに教育を受け、スキルアップを図る仕組みです。例えば、スキルアップ研修で最新の知識や技術を身につけたり、新たな業務に必要なスキルを身につけたりすることで、社員の適正を活かしながら能力と業務とのミスマッチを減らすことができるでしょう。
【関連記事】リカレント教育とは?意味や必要性・リスキリングとの違い
リスキリングとは異なる職務や新たな分野のスキル獲得を指します。リスキリングは、成長領域における新たなビジネスの創出や、より付加価値の高い職務を担う従業員を育成するために、人材戦略の一環として行われます。
人手不足が深刻化する一方で、デジタル技術による自動化・機械化の進展に伴い、一部の職種では人材過剰となるリスクも指摘されています。
担当業務が失われつつある従業員に対し、新たなスキルを取得させて配置転換を行うリスキリングは、今後ますます注目を集めるでしょう。
【関連記事】リスキリングとは?意味やDXとの関係性、取り組み事例を解説
【調査レポート】企業のリスキリング推進の実態
パーソルグループでは、660名を対象に「リスキリング」に関する定点調査を実施しています。企業のリスキリング実施率から対象部門、成果実感まで2024年8月に実施した最新調査の結果をまとめていますので、ぜひダウンロードいただき、ご活用ください。
日本企業の特徴として「過剰品質」が挙げられます。お客さま第一の丁寧な対応を心掛けるあまり、必要以上に手間をかけすぎてしまうケースは、どの企業にも1つや2つはあるのではないでしょうか。
人手不足が深刻化する中、少ない人員で多くの成果を創出することが求められています。業務効率化を推進し、業務プロセスから「ムリ」「ムダ」「ムラ」を排除し、非効率な業務を改善することが必要です。
工数や経費がかかりすぎている業務や工程は、方法を変えるか、思い切って廃止するのも選択肢のひとつです。コスト削減は、企業の競争力強化にもつながります。
業務プロセスを見直す際は、現状の業務フローを可視化し、改善方法や改善箇所を明確にすることが重要です。改善箇所が洗い出せない場合は、社外の専門家の意見を取り入れることで、新たな視点から課題や問題点が発見できることがあります。
【お役立ち資料】業務改善コンサルタントが教える、業務整理ノウハウBOOK
少ない人員でより多くの成果を得るには、業務プロセスの見直しが不可欠です。本資料では、業務改善に向けた具体的なステップやつまずきやすいポイントについて、業務改善コンサルティングの現場事例をもとに紹介します。
アウトソーシングとは、社内の業務の一部を外部に委託することを指します。自社に不足している人材やサービスを外部から調達することは、企業の生産性向上や競争力強化に寄与します。
アウトソーシングの対象となる主な業務は、各種事務業務や受付、コールセンター、営業など非常に多岐におよびます。
アウトソーシングは、委託先企業の専門的な知識やノウハウを活用できるため、業務品質の向上にもつながります。特に「必要な業務ではあるが、社内で対応する必要はない」と判断できる業務に有効な手法です。
【関連記事】アウトソーシングとは?意味や導入のメリットを簡単に解説
DXとは、デジタル技術によって業務やビジネスモデルを変革し、企業価値を高めるための取り組みを指します。DXの推進は生産性向上につながるため、人手不足の対応策として効果的です。
例えば、手作業で行っていた業務をデジタル化することで、処理を自動化し、従業員はより付加価値の高い業務に集中できます。また、業務のスピードや精度の向上は、顧客満足度や業務品質の向上にもつながるでしょう。
クラウドシステムや各種ITツールなどでテレワークが可能な体制を構築すれば、柔軟なはたらき方によるワークライフバランスの向上も期待できます。DXには、従業員のモチベーション向上や離職率の低下、多様な人材の雇用促進など、人手不足の解消につながる多くのメリットがあります。
【関連記事】DXとは?意味や取り組み内容・メリットをわかりやすく
【お役立ち資料】DXを成功に導く採用・育成・組織設計とは
DXを成功させるには、「DX人材を確保する」「ツール導入を目的にしない」など、ポイントをおさえて推進することが重要です。本資料では、DX推進を成功させる3つのポイントから実際の成功事例まで紹介します。
若手社員が短期間で離職してしまうことも、人手不足を加速させる大きな要因のひとつです。若手社員が離職する背景としては、以下の理由が考えられます。
離職を防ぐためには、経営方針への理解を深める機会を設けることや、コミュニケーションの活性化、フィードバックや評価を通じた目標意識の醸成、キャリアデザインのサポートなどが挙げられます。
また、若手社員が企業内でキャリアを形成しやすい環境を整え、仕事の意義や楽しさを感じられるような職場文化を醸成することも、離職率の低下につながります。
その他にも、部署を超えたプロジェクトや社内イベント開催、コミュニケーションツール活用などにより社員同士のつながりを深め、自社への愛着を育むことも、離職防止につながるでしょう。
企業は、若手社員の多様な価値観やキャリア観を理解し、それに応じた施策を講じることが求められています。
優秀な若い人材を確保することも、企業の人手不足に歯止めをかける重要な施策です。
若手人材を採用する際は「企業が求める人材像」を明確にすることが重要です。その上で、求職者に対して求める人材像や企業の魅力などを正確に伝え、自社ではたらくイメージを持てるようにしましょう。
特に若手求職者は「仕事のやりがい」や「自己成長の機会」を重視する傾向があるため、これらの要素を強調することがポイントです。また、選考プロセスにおいては、応募者に対してフラットな姿勢で接し、企業文化やはたらき方についてリアルな情報を提供することが求められます。
さらに、人材を採用する方法にも工夫が必要です。人材紹介サービスや求人広告だけでなく、企業からスカウトメールを送ったり、自社社員による紹介制度を活用したりして、若手人材へ効率的にアプローチすると良いでしょう。
ダイバーシティの推進は、人手不足の解決策として有効なだけでなく、企業の競争力強化にもつながります。多様な人材を受け入れることで、新たな視点やアイデアが生まれ、イノベーションの創出や組織の活性化が期待できます。
特に、女性の活躍促進やシニア層の雇用拡大、外国人労働者の受け入れなどは、労働力不足の解決に直結する重要な取り組みです。例えば、育児や介護と仕事を両立しやすい環境を整えることで、優秀な人材の離職を防ぎ、長くはたらける環境を提供できます。また、定年延長や再雇用制度を導入することで、経験豊富なシニア人材の知見を活かすこともできるでしょう。
企業がダイバーシティを推進するためには、単に制度を整えるだけでなく、社内の意識改革も不可欠です。社員一人ひとりが多様性を受け入れ、互いの違いを尊重しながらはたらける企業文化を醸成しましょう。
【関連記事】ダイバーシティとは?概要や推進例をわかりやすく解説
AIの活用は、業務の効率化を加速させ、人手不足の解消に貢献します。単純作業を自動化することで、従業員はより高度な業務に集中できるため、生産性向上にもつながります。
例えば、AIを活用したデータ入力の自動化や、顧客対応を担うチャットボットの導入は、業務の負担を大幅に軽減できるでしょう。また、需要予測や在庫管理の最適化にAIを活用することで、コスト削減や業務の無駄を削減し、より効率的な経営が実現できます。
AI導入には、初期投資やシステムの習熟期間が必要となる場合もありますが、長期的に見れば、大幅な業務効率化と人件費削減が見込めます。導入にあたっては、現場の意見を取り入れながら、どの業務に適用するのが最適かを見極めることが重要です。
【関連記事】生成AIとは?従来のAIとの違いや種類、メリット、活用事例を解説
人手不足解消の成功事例として、西洋フード・コンパスグループ株式会社の取り組みを紹介します。
西洋フード・コンパスグループ株式会社は、全国約1,600の店舗で社食運営や病院・老人ホームでの食の提供を行う企業です。長年の課題となっていた現場の人手不足を解消すべく、RPAを導入しました。
店舗で行っていた請求書メニュー表などの作成業務を、本社に集約し、RPAで自動化したところ、店舗の負担が軽減しました。RPAの導入によってフルタイム10人分に相当する時間の削減に成功し、結果的に従業員の残業削減にもつながりました。
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「人が集まる・育つ・定着する」組織づくりのヒントが詰まっていますので、人手不足に課題をお持ちの方はぜひご活用ください。
今後も人手不足が続くことが予想される中、企業が競争力を強化するには人材確保が不可欠です。採用に加え、ITツールやアウトソーシングなどによる業務の効率化・省力化を進め、生産性向上を図ることが人材不足の解消につながります。
まずは自社でできることとして、魅力的な職場づくりや業務フローの改善などから取り組んでいきましょう。
A.業務効率化を推進し、業務の「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省く必要があります。まずは現状を分析し、自社の課題を整理した上で、どのような方法で効率化していくか、具体的な解決策の検討に移ります。
業務を書き出す具体的な手順や、業務効率化を進めるポイントについて、業務改善コンサルタントが現場で得たノウハウをもとにガイドブックにまとめています。ガイドブックは、以下リンクよりどなたでも無料でダウンロードいただけます。
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A.少子高齢化による労働人口の減少と人材のミスマッチが大きな原因と考えられています。特に若者世代の減少は社会全体に大きな影響をもたらすと考えられています。
>>日本における人手不足の原因と背景
A.以下の業界は特に人手不足の傾向が顕著です。
・建設業
・運輸業・郵便業
・医療・福祉
>>人手不足が特に深刻な業界