2022年04月15日
2023年11月06日
業務効率化を実現することで、従業員がコア業務に集中できるようになり、生産性の向上、企業の競争力強化につながります。しかし、業務効率化を進めるといっても、何から取り組めばいいか分からず、改善に着手できないケースも少なくありません。また、長く運用してきた業務のフローを変えるのは社内の反発が起こる可能性もあり、簡単ではありません。
そこで本記事では、業務効率化を実現するための手法や改善ポイントの見つけ方などを、イラストや具体例を交えて解説します。
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働き方改革、人材不足が加速する中、生産性向上への意識が高まっています。テレワークなど多様なはたらき方の導入も求められるようになった今、自社の業務課題は把握できているでしょうか?
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改善アラートチェックリストや、具体的な業務整理のステップ、改善の進め方やコツについて解説していますので、ぜひお役立てください。
目次
業務効率化とは、業務プロセスから「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省き、非効率な業務を改善することを指します。
業務効率化の具体例として以下のようなことが挙げられます。
こういった業務効率化を行うことで、以下のようなメリットを得られます。
少子高齢化が進む日本では、人材不足が深刻な課題となっています。業務効率化を推進し、少ない人員で多くの成果を創出することが必要になります。
また、従業員が重要度の高い業務に集中できたり、効率化により創出された時間で自己研鑽ができるようになったりすることで、スキルやモチベーション向上にもつながると考えられます。
企業全体の組織強化や生産性向上を実現するために、業務効率化は多くの企業にとって重要です。
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業務効率化を進める際は、以下のステップで進めることで効果を最大化できます。
まずは、現状の業務フローを可視化することから始めましょう。以下のような項目について、業務の棚卸を行います。
業務を可視化することで、不要または重複しているプロセスを見つけることができます。業務を可視化し、課題が明確になれば、課題に対してどう改善していくのか、具体的な取り組みが見えてくるはずです。
可視化ができていないまま、改善に踏み切ると、既存のプロセスをそのまま簡略化する、現行のシステムをそのままリプレイスする、といった既存のやり方に囚われた業務改善になりがちです。
例えば、「勤怠管理」について考えてみましょう。勤怠管理と言っても、実際には下記のようにさまざまな業務で構成されています。
業務フローを細かく見ていくと、ただ従業員の勤怠を管理するだけでなく、データ収集やコミュニケーション・データ編集・報告/ 共有といったように、業務完了までに細かなタスクが連なっていることがわかります。この構造を考慮せずに、ツール導入で一部分のみ最適化しても、業務フロー全体の改善にはなりません。
問題になっているすべての作業に一斉に着手するのではなく、優先順位をつけていきましょう。あるべき姿を目指すにあたり、時にはドラスティックな改革が必要になることもありますが、業務の大きな改変は現場の抵抗も受けやすく、新たなマニュアルやシステムの整備にも時間や手間がかかります。
改善箇所の優先順位を決める際は、以下の2点を軸に考えましょう。
・現状の工数
・影響範囲(当該業務の改善により、ほかの業務の効率化にもつながるか)
具体的には、以下のようなフォーマットを作成し、整理します。
優先度が高いと判断された業務に対し、改善の8原則をもとに改善方法を決めていきましょう。上から順番に業務を振り返りながら、最適な方法を考えていきます。
原則 | 改善内容 |
---|---|
1.廃止 | やめてしまうことができないか |
2.削減 | 回数や量、頻度を減らせないか |
3.容易化 | もっと作業がしやすいよう、簡単にできないか |
4.標準化 | ルール化して、統一できないか |
5.計画化 | もっと計画的に、短い時間でできないか |
6.分業分担 | 仕事の負荷や、スキル・経験は適正か |
7.同期化 | もっと平準化し、まとめてできないか |
8.機械化 | デジタル化・自動化できないか |
改善したい業務にいきなりツールを導入するのではなく、まずは「業務そのものを減らせないか」「業務にかける時間を減らせないか」といった視点から検討しましょう。
前述したフォーマットに以下のように記載し、現状の課題や工数と、それらに対する改善案を可視化していきます。
業務フローに変化を加えたら、それによってどのような効果が出たかを検証しましょう。場合によっては、業務に改善を加えたつもりが、徐々に元の方法に戻ってしまう可能性もあります。
一度改善したら終わりではなく、業務の可視化と分析を繰り返すことが重要です。改善のサイクルを回していくことで、現場にも効率的な業務を常に考える習慣が根付いていきます。
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業務の可視化、優先順位をつけた上で改善の手法として用いられる手法は、業務フローの改善以外に下記のようなものがあります。
資料や書類などをアナログな方法で管理している場合は、ITツールを導入するとよいでしょう。近年はクラウド型で安価に利用できるツールが数多くリリースされています。
業務効率化に有効なITツールには、以下のものが挙げられます。
ITツール | 効果 |
---|---|
勤怠管理システム | ・勤務時間や残業時間、有給消化日数を自動で集計できる ・正確な労働時間を把握できる |
人事評価システム | ・評価項目の設定やデータ分析が容易になる ・客観的に評価できる |
タスク管理ツール | ・業務の進捗状況を可視化できる ・離れた場所からでもメンバー間で共有して進捗管理ができる ・タスクの優先順位を決めやすくなる |
チャットツール | ・スピーディなコミュニケーションが取れる ・議題ごとにスレッドを作成し、どこに何が書かれているかを明確にできる |
オンライン会議ツール | ・場所を問わず会議に参加できる ・会議参加者の移動時間を短縮できる ・出張費やその手続きのコストも削減できる |
ただし、ITツールを導入しても、機能が不足していたり、煩雑なルールが設けられていたりすると、作業効率は低下してしまいます。せっかく導入したITツールを使わなくなる場合もあるでしょう。
そのためITツールを導入する際は、複数人で実際に使ってみて、本当に自社の課題を解決できるか、生産性を高められるかを確認することが重要です。
なお、組織の業務効率を向上するツールとして、多くの企業で導入されているのがタスク管理ツールです。例として、パーソルグループが提供しているタスク管理ツール「Bizer team」をご紹介します。
「今誰がどの作業を担当しているのかわからない」「進捗管理が属人化している」といった課題の解決に有効です。
アウトソーシングとは、社内の業務の一部を外部に委託することを指します。自社に不足している人材やサービスを外部から調達することで、企業の生産性向上や競争力強化に寄与します。
アウトソーシングの対象となる主な業務は、各種事務業務や受付、コールセンター、営業など非常に多岐に及びます。
アウトソーシングは、委託先企業の専門的な知識やノウハウを活用できるため、業務品質の向上にもつながります。また、ノンコア業務を外部に委託できれば、従業員が本来注力しなければならないコア業務に専念できます。自社のノウハウやスキルをコア業務に集中できれば、顧客に対するサービス向上にもつながるでしょう。
アウトソーシングの活用は、「改善対象の業務が必須ではあるが、社内で行う必要はない」と判断できる際に、有効な手法です。
RPAは「Robotic Process Automation」の略で、PC上で行う業務をロボットで自動化するテクノロジーのことです。RPAはPCやクラウド上で動くソフトウェアを指しており、以下のようなデータ処理を得意としています。
ルール化されていない非定形業務や問題解決を目的とした業務には適しませんが、ルールやプロセスが固定された定型的かつ繰り返しの作業に適用可能です。
例えば、データ入力業務やリスト作成といった単純業務のほか、指定した法則をもとに取得したデータから資料を作成したり、別の形式にアウトプットしたりする業務に対して有効な手段です。
社内で業務効率化を推進するのが困難な場合は、業務改善に関するコンサルティングサービスを利用することも、一つの手段です。
業務改善コンサルティングでは、現状調査と分析により業務プロセス上の課題を整理したうえで、業務効率化案を提案してもらえます。
提案だけでなく、それを実行しPDCAサイクルを回すところまで支援してもらえることもあり、大幅な業務効率の向上が期待できます。
業務効率化を進める上で重要なポイントは以下の3点です。
業務効率化を推し進めても、現在の課題が明確になっていなければ、本質的なボトルネックを特定できない可能性があります。部分的な改善に留まってしまったり、本来重要ではないポイントに注力してしまったりと、大きな効果を得られない可能性があります。
前述した業務を可視化する方法に沿って、業務分析を実施し、課題を明確にしたうえで効率化に取り組みましょう。一人ひとりの作業を細かく分析することが「ムリ・ムダ・ムラ」を見つけることにつながります。
「その手法やツールにより、何がどれだけ効率化できそうか」という仮説をなるべく立てるようにしましょう。
例えばデータの自動処理を検討している場合、「現在○分かかっている業務を△分短縮できる」「一人当たりの作業工数が○分削減できる」のように、数値で仮説を表せることが理想です。
闇雲に業務効率化の手法やツールを取り入れても、本質的な改善につながらないケースがあるので注意が必要です。
施策を実行しても、その効果を検証し改善を加えなければ、成果に繋がらないこともあります。
例えば、工数を削減するために一部の業務フローに変更を加えたとします。その結果、
などを検証し、必要に応じて修正を加えていきます。また、上手くいったのであれば別の業務への横展開を検討することもおすすめです。
施策を行って終わりではなく定期的に効果検証し、現在の業務方法が最適化されているかどうかを確認することが重要です。
業務効率化を進める上で重要なポイントは以下の2点です。
業務効率化のおおよその方向性が見えたときに大切なポイントは、可視化された課題に飛び付かず、まずは業務効率化に向けたロードマップを描くことです。業務の目的を果たすために、どのような手順を踏めば効率的なのか、理想の業務フローを描いていきます。
よくある失敗が、理想の業務フローを構築する前に、無駄やムラがある部分に、局所的にシステムを導入してしまうことです。多額のコストをかけてシステムを導入しても、よくよく後から振り返ると、その作業自体が最初から不要だったというケースはしばしば見られます。
そうではなく、例えば「可視化・改善のためのKPTミーティング(※)を月に一度実施する」などして“改善し続ける姿勢”を持つことが大切です。
目下の工数やリソースが多くかかっている作業だからシステムを導入するという発想ではなく、目指すべき理想の形を更新し続け、そこにシステムを当てはめる手順を踏みましょう。
※KPT=現状を見直す際に、「Keep(継続すること)」「Problem(課題)」「Try(解決策)」という3項目を書き出し、今後の対策を考える手法。
DX部署のような実際のターゲットと異なる部署がトリガーとなって業務効率化を進めているとしても、ターゲットとなる部署の従業員や部門のトップを巻き込んで進めることが重要です。
業務効率化の推進により、今までの業務フローが変わるため、一から仕事のやり方を変えなければならず、現場にいる従業員からは「面倒くさい」「わざわざ導入しなくても」といった感情が生まれがちです。こうしたネガティブな感情はモチベーション低下や離職を招いてしまう危険性もあるため、できる限り現場でのコンフリクトが生じないように業務効率化を推進すべきです。
最近では多くの企業で、DX推進部等の部署を設けて、全社的な業務効率化を進めるケースも多くなっていますが、成功事例を見てみると、現場のトップが、プロジェクトの目的や有用性を理解しているように見受けられます。
業務効率化がどのように自社の成長に寄与するのか、その目的やメリットを従業員に浸透させるとともに、従業員の不安を取り除いてあげることが大切です。
本章では、業務効率化に成功した企業事例を紹介します。
ある大手情報通信会社の経理部では、社員数の減少に伴い、業務の属人化に課題を抱えていました。業務量についても把握ができていなかったため、業務の繁閑に合わせた最適な人員体制が構築できていない状態でした。
そこでパーソルテンプスタッフのコンサルタントにより、業務調査を実施。属人化している業務内容を洗い出し、業務のマニュアルやFAQなどを作成し、業務の標準化を推進しました。
また、共通業務・類似業務を明らかにしたのち、経理部と財務部の各業務を一体化した業務運用を導入。一方の部署が忙しい時期にもう一方の部署が業務を手伝うなど、スタッフのマルチタスク化が進みました。
ある電子部品メーカーの総務部では、業務量の削減や属人化している業務の改善を課題として抱えており、業務改善を実施しました。
業務改善部門とのディスカッションを行いつつ、各部署が自律的に業務改善を行うための方法論を整理・検討。検討した方法論を検証し、課題を抽出することができました。
また、抽出された課題を解決すべく、手書きの書類、帳簿の読み取りを行ってデータ化するAI-OCRや業務プロセスを自動化するRPAを導入することで、業務量削減につなげることもできました。業務の削減効果は約75~80%と推定され、現場を主体にした業務改善の促進、継続につながっています。
とある人材サービス会社では、従業員に支給する社用モバイル端末の発注や支払いといった管理業務や、紛失時のデータ消去などの作業に多くの工数を必要としていました。
そこで、パーソルプロセス&テクノロジーにモバイル管理業務を委託。納品、管理、解約、廃棄、請求支払といったライフサイクル管理を全て一括でアウトソーシングしました。
元々、総務部と情報システム部で組織を跨いで管理していた業務を、パーソルが一括で業務遂行することで、運用を効率化。アウトソーシング導入前の約30%にあたる月320時間の業務工数削減に成功しました。
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本記事では、業務効率化を図る際の考え方や推進するための手順、ポイントなどを解説しました。
業務効率化は、業務フローの無駄やムラをなくし非効率な業務の改善を図ることを指し、企業の成長を後押しする重要な考え方です。しかし、既存の体制を壊し新しいことを始める際には、どうしても反発が出るものです。
経営層だけで進めるのではなく、いかにして現場を巻き込みながら進めていくのかという視点を忘れずにプロジェクトを推し進めることが大切です。
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
プロダクト統括部 Bizer team部 ゼネラルマネージャー 兼
Bizer株式会社 代表取締役
畠山 友一
富士通、リクルート、ネウスウェイ、グリーを経て2013年10月にBizer株式会社を設立。2019年1月にパーソルプロセス&テクノロジーに株式譲渡。「Bizer team」を活用し、数多くのバックオフィス改革や成長し続けるチームの支援に従事。