RPAとは?RPAを導入するメリットや導入時の準備、注意点を解説

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RPA(ロボティックプロセスオートメーション)はオフィスの定型業務をソフトウェアで自動的に行うツールです。業務効率化、人材不足解消、労働時間・人件費削減などさまざまなメリットがあります。導入時に必要となる準備や注意点などを分かりやすくまとめました。

目次

RPAとは何か? 普及の背景

RPAの導入を検討する企業が増えているようです。RPAとは何か、なぜRPAは普及し始めたのかについて見てみましょう。

RPAとは

RPAとは「Robotics Process Automation」の略語で、「ロボットによる業務自動化」を意味します。定型的なパソコン操作を、人間が行うのではなくソフトウェア(ロボット)により自動化するものです。RPAは「ロボットによる業務自動化」そのもの、または、それを実行するためのソフトウェア、その両方を指す場合もあります。

RPAはAIと連携し、これまで人間だけが対応可能とされていた業務を代行するツールになりつつあります。総務省の「情報通信白書(令和2年度版)」によると、2025年までに事務的業務の3分の1がRPAに置き換わる可能性があるともされています。

RPAには3つの段階がある

RPAを利用した業務にはクラス1からクラス3までの3段階があります。クラスが上がるほど複雑な業務に対応できます。

クラス3のCA(Cognitive Automation)ともなると、AIのような自律的な判断力を備えた、業務プロセスの分析や改善、意思決定までを自動化することも可能です。しかし、クラス3の実現にはまだ時間がかかるといわれています。

現段階でRPAといえば、日本の企業や団体が導入しているクラス1のRPAを指すのが一般的です。

RPAのクラス

クラス 主な業務範囲 具体的な作業範囲や利用技術
クラス1
RPA(Robotic Process Automation)
定型業務の自動化 ・情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業
クラス2
EPA(Enhanced Process Automation)
一部非定型業務の自動化 ・RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化
・自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術の搭載
・非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能
クラス3
CA(Cognitive Automation)
高度な自律化 ・プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化
・ディープラーニングや自然言語処理

【出典】総務省「情報通信白書 令和2年版 RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」

AI(人工知能)との違い

AIとは、「Artificial Intelligence」の略で、一般的に人工知能のことを指します。AIの定義は定まっていませんが、「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムをつくる科学と技術」とされます(総務省「情報通信白書 平成28年版」)。

RPAは、一般的に業務を自動化するシステムそのものを指します。しかしRPAは、人間に決められた手順で作業を繰り返すことしかできません。

一方、AIはRPAなどのシステム内に組み込まれ、データに基づき自らが学習して最適な判断ルールを構築していきます。自律的に物事を判断してより良い作業方法を提案したり、他のツールに指示したりすることが可能です。

RPAは人間のルールどおりの手作業を代替する「手足」、AIは人間の「頭脳」を代替するツールといえます。このことから、RPAは「デジタルレイバー(Digital Labor)=仮想知的労働者」とも呼ばれています。

RPA とAIの関係は?

RPAとAIを組み合わせると高度な自動化が実現するといわれています。AIが物事の判断と指示を担い、その指示を受けたRPAが作業を行うというものです。RPAにはクラス1からクラス3まであることは前述のとおりです。現在利用されているほとんどのRPAはクラス1にあたる簡易的なRPAといわれます。簡易的なRPAは定型的な業務を行うための手順を人間が考え、具体的な業務内容の指示を出す必要があります。

一方、クラス3にあたる高度なRPAは、AIを組み合わせることで業務プロセスの分析や改善、意思決定までを自動化することも可能になるといわれています。RPAとAIを組み合わせることで、RPA活用の幅が広がる可能性があるのです。

RPAの導入状況

RPAの導入が先行したのは銀行・保険・証券など金融業界です。その背景には、煩雑で定型的な事務業務が多いという金融業界の特性があるといわれています。RPAが金融業界で高い効果を発揮したことから、製造業やサービス業、行政機関など多様な業種でRPAの導入が進みつつあります。

市場調査会社のMM総研が2020年1月に公表した「RPA国内利用動向調査2020」によると、2019年11月時点での国内企業におけるRPAの導入率は38%で、同調査開始以来、増加傾向が続いています。

企業規模別に見ると、大手企業の導入率が51%であるのに対し、中堅・中小企業は半分以下の25%にとどまっており、国内では大手企業が先行する形でRPA導入が進んでいることがうかがえます。

RPA導入が進む背景

少子高齢化の進展による労働力不足

日本の生産年齢人口は、少子高齢化の進行によって1995年をピークに減少の一途です。

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、生産年齢人口は2030年には6,875万人、2060年には4,793万人にまで減少するとされ、労働力不足が大きな社会問題となっています。厚生労働省の「労働経済動向調査(2020年2月)」によると、2011年8月の調査から連続してすべての産業で人材不足となっていることが明らかになっています。

このような背景のなか、労働力不足を補い、生産力を高める手段として注目されているのが、RPAです。

働き方改革の進展

政府が主導する形で始まった「働き方改革」の動きは、広く企業に浸透しつつあります。
その中で、人材不足を補いながら生産効率を上げるためのさまざまな施策が講じられてきています。テレワークの推進をはじめとするワークスタイルの多様化や、ICTの高度活用による業務効率改善などがその例です。

ニューノーマル時代においては、業務自動化による生産性向上の必要性が今以上に高まるといわれます。RPAは、業務自動化による生産性向上を実現する仕組みとして期待されています。

国際競争力の低迷

日本の国際競争力の低下が顕著です。スイスにあるIMD(International Institute for Management Development=国際経営開発研究所)が2020年6月に公表した「世界競争力年鑑(World Competitiveness Yearbook)」の2020年版によると、日本の順位は過去最低の34位となりました。

同調査の中で、国際競争力低下の要因として浮かび上がったのが「ビジネスの効率性」です。この領域に限って見ると日本は55位と、調査対象63の国・地域の中で下位に沈んでいることが分かります。

日本の生産労働人口が減少するなか、労働力を維持しながら国際競争力を強化するためには、労働力の有効活用や生産性を向上させるための方策が求められています。こうした背景からも、RPAはより少ない人数でビジネスの効率性を高めるための手段として注目されています。

日本の国際競争力の推移

 

【出典】IMD World Competitiveness Ranking 2020 をもとに作成

RPAが得意な業務・苦手な業務

RPAは、これまで人だけが対応可能とされていた業務を代行するツールになりつつありますが、得意な業務と苦手な業務があります。RPAの得手、不得手を知ることが、RPA導入を成功に導く一歩です。

RPAの得意な業務

RPAが効果を発揮するとされているのは、ルールやプロセスが固定された定型的かつ繰り返しの作業です。RPAが適用可能な業務としては、以下が挙げられます。

・キーボードやマウスなど、パソコン画面操作の自動化
・ディスプレイ画面の文字、図形、色の判別
・別システムのアプリケーション間のデータの受け渡し
・社内システムと業務アプリケーションのデータ連携
・業種、職種などに合わせた柔軟なカスタマイズ
・条件分岐設定やAIなどによる適切なエラー処理と自動応答
・IDやパスワードなどの自動入力
・アプリケーションの起動や終了
・スケジュールの設定と自動実行
・蓄積されたデータの整理や分析
・プログラミングによらない業務手順の設定

【出典】総務省「情報通信白書 令和2年版 RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」

RPAの苦手な業務

RPAは、基本的には設定されたプロセスを、そのとおりに繰り返し実行することしかできません。そのため、判断を伴ったり、手順が変わったりするような業務には適していません。

RPAに適さないとされる業務には、以下があります。

・ルール化されていない非定形業務
ルールや作業手順が定まっておらず、人間の判断が必要となる非定型業務は、RPAによる自動化は難しいとされています。

・問題解決を目的とした業務
問題解決を目的とした業務には、人間による判断や思考が必要となります。問題解決のためのアプローチ法を見つけ出すといった応用的な判断を必要とする処理も、現段階でのRPAには難しいとされています。

・急な仕様変更が生じる業務
仕様変更が発生した場合、RPAに組み込んであるルールを決め直す必要があります。これによって作業工数が増える可能性があり、業務の自動化によるコストや負担の削減という本来の目的から遠ざかってしまいます。

RPA導入のメリット・デメリット

RPA導入のメリットは企業側だけでなく従業員にもあります。一方、デメリットも指摘されています。

RPA導入のメリット

メリット1:人材不足の解消

RPAはデジタルレイバー(Digital Labor=仮想知的労働者)とも呼ばれ、人が行ってきた業務を代替してくれます。しかもRPAは、24時間365日稼働が可能で業務も正確なため、定型かつ繰り返しの業務では、人よりも高いパフォーマンスを発揮します。

メリット2:人件費の削減

人が行っていた業務をRPAに代替させることで、人件費を削減することができます。一般的にRPA導入による自動化で発生するコストは人件費より安く、自動化を進めるほど人件費の削減効果は大きくなります。

メリット3:業務時間の短縮

RPAを導入すれば業務時間を大幅に短縮することができます。

京都府が行政事務へRPA導入を行ったところ、自動化した作業は52時間から11時間で78%削減、また別の作業については14時間から1時間で91%削減と、業務時間の短縮効果が表れました。さらに、1,200回の単純作業の自動化が図られたそうです。

【出典】神奈川県 政策研究センター「行政サービスの高度化、業務効率化に資するICT利活用事例等」(2020年2月)

メリット4:高付加価値業務に集中

RPAを導入し業務効率が向上すれば、従業員は人にしかできない付加価値の高い業務へ集中することが可能になります。付加価値の高い業務としては、企画や業務改革プランの作成といった創造的な業務が考えられます。業務時間に余剰が生まれれば、スキルアップ・学習などによる従業員の付加価値の向上にも貢献するでしょう。

メリット5:人為的ミスの低減

RPAは決められたルールに従って作業を実行するため、人為的なミスを減らすことができます。人の手による業務は、一般的に工数に比例してミスが発生しやすいといわれます。人為的なミスを減らすことができれば、業務品質の向上が期待できます。

メリット6:従業員満足度の向上

RPAは24時間365日稼働できます。また人間と違い、疲労やストレスを感じることもありません。RPAによる業務が増えるほど、残業を減らすことも可能となります。膨大で単純な作業・繰り返し作業から解放されれば、ストレスも減るでしょう。

RPA導入のデメリット

デメリット1:業務のブラックボックス化

担当者の異動・退職の際、しっかりと情報共有、引き継ぎを行わないと、RPAによって自動化した業務は何かが後任者によって理解されず、業務がブラックボックス化する懸念があります。業務がブラックボックス化すると、業務手順の変更やシステム更新時に適切な対応が困難になります。RPAは「導入すれば終わり」ではないことを認識しておく必要があるでしょう。

デメリット2:業務停止のリスク

RPAはシステムの一つであるともいえます。そのため、システム障害やバグが発生すれば業務が停止する可能性があります。例えば、サーバの能力を超えるような動作を実行するとサーバがダウンし、作業データを失う事態になりかねません。現場とIT部門がしっかり連携していないと、RPAがうまく動作しなかったり、時には動作停止したりする可能性も指摘されています。

デメリット3:情報漏洩のリスク

RPAのロボットの使用権限やアクセス権限が不正に使用されると、情報が流出したり、データが改ざんされたりする可能性があります。外部からの脅威も指摘されています。RPAをインストールしたサーバが社外のネットワークにつながっていると、スパイウェアやウイルスが侵入してくる可能性があります。情報セキュリティ対策には、万全を期す必要がありそうです。

デメリット4:現場からの抵抗に対する懸念

RPAは人が行ってきた従来の業務の一部を代替してくれます。しかもRPAは、24時間365日稼働が可能なので、定型的な業務においては人よりも高いパフォーマンスを発揮します。「AIは人の仕事を奪う」といったAI脅威論がありますが、同じようなことがRPA導入の際にも起きる可能性があります。慣れた業務が変更される不安や疑念、抵抗が、現場では起こりうるものとして認識しておきましょう。

RPA導入に向けて取り組むべきこと・留意点

RPA導入をスムーズに行い、業務効率化を実現するために準備すべきこと、留意したいポイントをまとめました。

導入に向けて取り組むべきこと

導入計画の策定

RPA導入にあたっては、どのような段階を踏んでRPA導入を推進していくかイメージすることがポイントです。その際、「どのような業務を」「何の目的で」自動化していくかを明確にすることが欠かせません。
これを怠ると、ロボットの設計・設定などで手戻りが発生し、負担が大きくなる可能性があります。

対象アプリケーションが扱うデータ形式の統一

RPAは人が行う業務の処理手順を設定すれば、さまざまなアプリケーションを横断して作業を処理します。そこで必要となるのが、ロボットに入力するデータフォーマットの統一です。もし入力するデータのフォーマットが統一されていないと、システム間の情報が一致しないため、RPAの開発工数が膨らむ可能性があります。

対象業務とプロセスのマニュアル化

RPAの自動化による業務のブラックボックス化を防ぐ対策です。導入当初の担当者から次の担当者への引き継ぎを確実に行うために、RPA化された業務フローやRPAの運用方法などをマニュアル化しておきましょう。作成したマニュアルは、内容に変更があった際にはすぐに更新し、常に最新の状態にしておくことも大切です。

RPA導入とBPR推進を同時に

より大きなRPA導入効果を生み出すためには、BPR(Business Process Re-engineering:業務改革)への展開が不可欠とされます。一部の業務の効率化だけではなく、全社的な業務プロセスの改革を見据えることが、持続的な企業の成長のためには望まれます。BPRには業務の可視化が不可欠で、導入準備において作業工程の可視化を行うRPAは、BPRの展開と表裏一体の関係にあるといっても過言ではありません。部分的な業務工数の削減やコスト削減だけでなく、RPAを全社的に展開するには、BPRとの連携が望まれます。

導入時の留意点

テスト導入の実施

RPAの導入にあたっては、まず導入しやすい部門や業務を選定し、効果を見極めたのちに展開するプロセスを経るのが望ましいとされます。いわゆる「スモールスタート」によるRPA導入です。

効果の見極めにあたっては「どの業務がRPAで自動化しやすかったか」「自動化できるという想定は正しかったか」「自社内でロボットを作成できるか」といった点を評価します。

もしも想定した効果が得られない場合は、対象とする業務範囲やロボットが行う業務の手順などを見直します。その後、再度テスト導入と検証を繰り返すといったPDCAサイクルを回しながら、導入部門を拡大していきます。

社内RPA人材の育成

RPAの導入にあたっては、現場とIT部門との連携が欠かせません。しかしながら、IT部門が社内にあるとは限りません。外部のITベンダーが関わる場合も想定されます。ロボットの稼働が始まると、RPAのメンテナンスの比重は現場に偏りがちになります。そこでポイントとなるのが、社内のRPA人材の育成強化です。

IT部門だけでなく現場を巻き込み、社内人材育成を行うことで継続的な運用が可能になるでしょう。

安定運用のための野良ロボット対策

野良ロボットとは、管理者不在のRPAロボットを指します。野良ロボットが生まれる要因はいくつか指摘されています。テスト導入で作成されたロボットが役目を終えたまま放置されたり、ロボットの開発・運用ルールが不明確であったりしたために、行き場を失ったロボットが増殖することなどがあげられます。

野良ロボットが処理する作業の把握は難しく、何らかの原因で停止するまで処理を続ける可能性もあります。結果、システムへの負荷や情報漏洩リスクが高まるといわれています。野良ロボット対策はRPAの安定運用に欠かせないといえるでしょう。

ロボットの権限管理

ロボットの使用権限を明確にし、ID・パスワードの管理を厳重に行います。その目的は、どのロボットがどの部門や業務で使用されているかを管理するためです。そうすれば、営業部門が扱うRPAが経理部門の帳簿へアクセスするといった事態を防ぐことができます。 ロボットの権限管理は、情報漏洩対策としても有効です。

RPAとはオフィスの定型業務を自動で行うプログラムのこと

必ずしもプログラミングの知識が必要なく、比較的安価かつ簡単にオフィス業務を自動化してくれるRPA(ロボティックプロセスオートメーション)。導入メリットとして、業務効率化による労働時間・人件費の削減、人為的ミスの低減、ひいては人材不足の解消も見込めます。しかし野良ロボットと呼ばれる管理者不在のロボット(プログラム)や、セキュリティ上の不安については前もって対策が必要です。より大きな導入効果を得るにはBPR(業務改革)を前提にするという指摘もあります。さまざまな影響に配慮してまずはスモールスタートから始め、最終的な成功に導きましょう。

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