2023年09月08日
2023年10月11日
企業が中長期的に発展していくためには、限りある経営資源のリソース配分を最適化する工程が極めて重要となります。そこで重要となるのが、コア業務・ノンコア業務の切り分けです。本記事ではコア業務・ノンコア業務の定義を明確化するとともに、コア業務を洗い出す方法やその重要性などについて解説します。
【業務改善コンサルタント監修】コア業務を整理するノウハウを公開
業務生産性を向上させるためには、コア業務・ノンコア業務を整理して効率化を図ることが大切ですがどのように切り分ければいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
・業務を整理してコア業務に集中したい
・チームや自身の生産性を向上したい
そのような方に向けて、【業務改善コンサルタントが教える、業務整理ノウハウBOOK】を無料で公開しています。
コア業務の整理にお悩みの方はぜひご活用ください。
目次
コア業務とは、収益や業績の向上、あるいは経営に直結するミッション・課題に対する業務を意味する概念です。コア業務は「主業務」とも呼ばれるように、事業活動の根幹を支える中核業務全般を指しており、一般に自社の社員が担当すべき業務とされています。非定型業務が多くを占めることから、専門的な技術や高度な知識、的確な判断力などが求められ、業務領域が属人的なのが特徴です。また、コア業務に対して、ノンコア業務と呼ばれる業務もあります。
コア業務に対して、ノンコア業務と呼ばれる業務もあります。「ノンコア業務」は、それ自体が利益に直結するわけではない補助的な業務全般を意味する概念で、「副業務」とも呼ばれます。コア業務とは対照的にルーティンワークが多く、比較的標準化しやすい点が特徴で、必ずしも自社の社員が担当する必要はありません。
コア業務とノンコア業務の個別具体的な定義は、企業によってそれぞれ違います。どのような業務が利益の創出に直結するかは、組織の経営体制やビジネスモデルによって異なるためです。それぞれの大枠における定義としての相違点は、以下のようになります。
コア業務 | ノンコア業務 |
---|---|
利益の創出に直結する | 直接的な利益を生み出さない |
事業活動の中核となる業務 | 事業活動のなかの補助的な業務 |
属人化しやすい | 標準化しやすい |
業務のルーティン化が困難 | 業務のルーティン化が容易 |
原則として内製化が推奨される | 状況によっては外製化が推奨される |
したがって、人的資源の配分を最適化するためには、ノンコア業務のアウトソーシングやIT化を推進するとともに、自社の人的資源をコア業務に集中させる必要があります。
先述したように、コア業務の定義は組織体制やビジネスモデルによって異なりますが、一般的には戦略の立案・策定、製品やサービスの設計・開発、営業活動、販売促進活動などの直接業務を指します。それに対してノンコア業務に該当するのは、資料や請求書の作成、受発注の管理、給与管理、経費管理、問い合わせ対応、清掃業務などの間接業務です。
コア業務に経営資源を集中するメリットとして以下の3つが挙げられます。
例えば、コア業務とノンコア業務を切り分け、定型的な業務領域をアウトソーシングできれば、重要度の高いコア業務に自社の人的資源を集中的に投入可能です。これまで見積書や資料の作成などに割いていたリソースをコア業務に回せるため、業務の効率化が期待できます。
また、コア業務に対して優先的にリソースを割り当てられれば、ワークフローを改善する機会や余裕が生まれる点もメリットのひとつです。それによって業務プロセスの効率化に貢献し、より多くの付加価値を創出する一助となります。
生産性とは、経営資源の投入量に対して、どれだけの生産量や付加価値額を産出したかを示す指標です。「生産性=産出量÷投入量」という数式で算出できます。投入量=人的資源として考えると、生産性を高めるためには、一人当たりの産出量を増やす仕組みを構築しなくてはなりません。
コア業務にリソースを集中できれば、作業の能率化や生産工程の合理化に寄与し、労働投入量を削減しながら従来と同等か、あるいはそれ以上の成果の創出が可能です。それによって生産性の総合的な向上が見込まれるため、収益性や利益率の改善が期待できます。
企業とは、事業活動によって製品やサービスを生み出し、その付加価値を市場に提供することで利益を得る組織です。そして、組織としての成長と発展を通じて地域社会に貢献することこそ、企業の存在命題と言っても過言ではありません。
業務プロセスの効率化と生産性の向上を実現できれば、生産量や付加価値額の増大に伴って、より多くの利益を創出できます。利益率の増大は企業の成長に寄与し、雇用の促進や地域経済の活性化、それに伴う税収の拡大や社会福祉の充実といった、プラスの連鎖を生み出す一助となります。
利益の創出に直結する業務に経営資源を集中するためには、まずコア業務とノンコア業務を明確化する必要があります。先述したように、コア業務とノンコア業務の定義は企業やビジネスモデルによって異なります。例えば、ITインフラの保守・運用管理はノンコア業務に当たる企業が多いものの、クラウドサービス事業者やインターネットサービスプロバイダにとってはサービスの品質を左右するコア業務と言えるでしょう。
自社の業務を洗い出してコア業務とノンコア業務を明確化することで、ノンコア業務のアウトソーシングや効率化が可能となり、コア業務に集中する体制を作ることができます。
業務を洗い出す5つのステップ【課題別の解法チャート付き】
社員の業務負担を減らすには、日常業務を洗い出しノンコア業務をマニュアル化することが重要です。本資料では企業事例をもとに、業務を洗い出す方法を詳しく解説します。
コア業務とノンコア業務を明確化するためには、既存の業務プロセスを洗い出して可視化しなくてはなりません。その基本的なプロセスは以下の通りです。
業務を洗い出す際は、まずその目的と対象となる部門を決めなくてはなりません。ノンコア業務はコア業務に比べて属人性が低く、業務の標準化がしやすいことから、コア業務とノンコア業務を明確化する工程は、現状の業務プロセスにおいて標準化できる領域を特定することと言い換えられます。そして、標準化できる業務領域をアウトソーシングする、あるいはIT化することで効率化・省人化を図り、空いた人的資源を企業価値の向上につながる業務領域に集中することが目的です。
そのためには、まずどの部門のどのような業務領域を標準化できるのかを深掘りしなくてはなりません。したがって、まずは対象となる部門を決める工程が、コア業務とノンコア業務を明確化するファーストステップです。
コア業務とノンコア業務を明確化する目的を踏まえ、対象となる部門を定めたら、業務を徹底的に洗い出します。標準化できる業務領域を特定するためには、現状における業務プロセスを細分化し、全体像を俯瞰的な視点から把握しなくてはなりません。全体像が見えていない状態で標準化を進めると優先順位が曖昧になるため、局所的な施策にとどまってしまい、のちに全体最適が図れなくなるリスクが懸念されます。
そのため、まずは時間をかけてでも既存の業務フローをすべて洗い出し、言語化・数値化して整理するプロセスが重要です。このプロセスは標準化できる業務領域を特定するだけでなく、業務フローの全体像を可視化することで、オペレーションの効率化や工数削減に寄与するというメリットもあります。
業務プロセスは大きく分けると「感覚型」「選択型」「単純型」の3つに分類できます。
感覚型は、高度な知識や経験に基づき、都度判断が必要となる不確実性の高い業務領域です。例えば、製造分野であれば金属部品の切削や溶接、IT分野ではWebデザインやWeb広告の運用、営業分野なら需要分析やプレゼンテーションなどが挙げられます。
選択型は、機器の設定やシステムの操作といった、相応の知見を必要とするものの、ある一定のフレームワークに則って進められる業務です。単純型は、手順を知っていれば誰でも実行できる定型的な業務を指します。
この3つのなかで、感覚型はコア業務に該当する領域であり、選択型と単純型は標準化の対象となる業務です。コア業務とノンコア業務の定義は企業によって異なりますが、このフレームワークを用いることで、標準化できる業務と属人的な業務を分類できます。
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コア業務とノンコア業務を切り分けるためには、以下に挙げる3つの要素を意識することが大切です。
コア業務とノンコア業務を正確に見極めるためには、現状における一連の業務をすべて把握するプロセスが極めて重要です。そのためには、ロジックツリーやマインドマップなどのフレームワークを活用することや、他の従業員に確認してもらうことで、既存の業務内容を可視化し、俯瞰的な視点から評価・分析しなくてはなりません。そのため社内一丸となって把握に努めましょう。
分類を行う際、業務のほとんどをコア業務に割り振ってしまうケースが良く見られます。しかし、多くの業務はノンコア業務に割り振ることが可能です。例えば、採用業務のなかでも「面接日程調整」「求人票入力」などは、基本的な事務スキルがあれば対応できる業務(=ノンコア業務)に分類されます。
専門的な知識が必要な業務以外はノンコア業務に分類できると考え、積極的にノンコア業務に割り振っていきましょう。
コア業務とノンコア業務を切り分ける際は、企業理念や経営ビジョンに基づいて自社のあるべき姿(To be像)を意識しなくてはなりません。会社を変えていくという長期的な目線を持ち、組織としての在り方を明確化することで、注力すべき分野やプロジェクトが明確化され、経営戦略の方向性を定める指針となります。
さらに現状と理想のギャップが可視化されるので、経営目標の達成に向けて必要なアクションを具体化する一助となります。
コア業務とノンコア業務を切り分けたら、ノンコア業務を合理化・省人化していきます。方法として挙げられるのが、「アウトソーシング」と「ITシステム導入」です。
アウトソーシングは、コア業務にリソースを集中する有効な手段です。仮にすべての業務領域を高いレベルで内製化できるとしても、ノンコア業務をアウトソーシングできれば、それだけコア業務に人的資源を集中的に投入できます。それによって創出する生産量や付加価値額が増大すれば、収益性が向上し、アウトソーシングの外注コストを補って余りある利益を生み出せる可能性が高まります。
また必要な範囲を限定して依頼できるためとくに、直接的な利益を創出しにくい総務のような間接部門をアウトソーシングできれば、製品開発や営業活動、マーケティングなどの直接部門により多くの経営資源を投入可能です。
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ノンコア業務を効率化するもうひとつの方法は、業務のIT化です。例えば、「RPA(Robotic Process Automation)」の導入によって見積書や請求書の作成、伝票の記帳といった定型的な業務を自動化できれば、ノンコア業務を大幅に省人化できます。
またCRM(Customer Relationship Management)ツールを導入し、顧客関係を管理することで、営業活動におけるノンコア業務の工数を大幅に削減可能です。そのほかにも、ビジネスチャットを活用して社内コミュニケーションの円滑化を推進する、あるいはITインフラをクラウド化して保守・運用管理の業務負荷を軽減する、といった方法も考えられます。
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パーソルワークスデザイン株式会社
サービスデザイン本部 営業部 営業課
岡田 利昂
2008年のパーソルグループ入社より、一貫して民間企業、自治体等数多くのクライアントへ顧客解決ソリューションを提案。顧客業務分析、新規事業開発の担当も兼務して経験。2021年より現職。