BPR(業務改革)とは|意味や具体例
BPR(業務改革)とは、「Business Process Reengineering」の頭文字から取った言葉です。業務の本来の目的に向かって既存の業務プロセス全体を見直し、職務や業務フロー、組織、情報システムなどを再構築する、という考え方を指します。
業務プロセスとは「特定の業務の開始から終了までの一連の業務の流れ」のことです。例えば製造の業務プロセスであれば、仕入れから製造、運送、営業・販売といった一連の流れに、研究・開発、人事、経理などいくつもの業務が絡み合って構成されています。
このように、一つの業務フローではなく業務プロセス全体を幅広く対象とし、見直しを行っていくのがBPRです。
例えば、
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- 各グループ会社の総務や人事業務などをまとめて担当する組織(シェアードサービス)を作り、業務を集約させる
- ITシステムの活用により製品開発プロセスを根本から見直す
といったことがBPRに該当します。
BPR(業務改革)と業務改善の違い
BPRと似た言葉として業務改善と比較されることがありますが、次のように定義が異なります。
一般的な定義 | |
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BPR(業務改革) | 業務プロセス全体を見直し、再構築する |
業務改善 | 業務プロセス全体には変更を加えず、業務の一部のムダをなくす |
BPRは業務プロセス全体を見直すのに対し、業務改善は個々の業務の細かい部分を見直します。業務プロセス全体を改革対象とするBPRでは、部署をまたいだ業務や組織の在り方といった大きなテーマを扱うため、企業全体で取り組むことが求められます。
BPR(業務改革)とDXの違い
業務改善と同様に、BPRはDXと比較されることがありますが、次のように定義が異なります。
一般的な定義 | |
---|---|
BPR(業務改革) | 業務プロセス全体を見直し、再構築する |
DX | 業務プロセスだけではなく、組織や企業文化・サービス・ビジネスモデルなどをデジタル技術によって変革し、優位性を確立する |
BPRは業務プロセスの効率化を主眼に置いているのに対し、DXは企業文化・サービス・ビジネスモデルなどの、より大きい括りの変革を目指します。つまり、変更範囲に違いがあると言えるでしょう。
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BPRが注目されている背景
BPRが注目されるようになった背景として、以下の2つが挙げられます。
少子高齢化の進行
経済産業省によると、2050年には日本の人口は1億人を下回り、生産年齢人口比率は、ピーク時の約50%にまで落ち込むと予測されています。
生産年齢人口比率は減少の一途

生産年齢人口が少なくなっていく将来、今までと同じプロセスでビジネスを展開していては、業績縮小は避けられません。また、グローバル化の影響で、今後も競争が激化していくことが予想されるため、組織構成や社内制度、業務プロセスの抜本的な改革が求められています。
内閣府が公表した「令和4年版高齢社会白書」によれば、2021年10月時点の総人口は1億2,550万人であり、うち65歳以上の人口が3,621万人と、高齢化率は28.9%に上ることが予想されます。
すでに高齢者が1/4以上を占めていますが、この状況が続けば、2030年には総人口の約1/3を高齢者が占めることが予測されるため、各企業が将来を見越した対策を講じることが求められます。

DXを推進する過程でBPRが行われることもある
DX推進の一環として、BPRが行われることもあります。
2018年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」を公開したように、昨今の企業において、DXの推進は重要な課題となっています。
DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革することです。
ビジネスモデルを変革するDXに対し、BPRは業務プロセスの改革を指すという点が大きく異なります。
ただし、既存の業務プロセスや企業文化を維持したままでは、抜本的な変革を行えないため、DX推進においても、まずは業務プロセスの見直しが必要なケースも多いです。
例えば、「従業員をコア業務に注力させたい」という課題に対して「システムやツールの導入」を検討したとしても、そもそも業務プロセスに課題や見直すべき点があった場合、既存プロセスをもとにしたシステム導入では根本的な解決とはならないこともあります。
そのため、まずはBPRによって従来の業務プロセスを見直す企業も多いのです。
BPRに取り組む4つのメリット
BPRが企業にもたらすメリットは下記の4つがあります。
1.生産性が向上する
BPRは、業務フローや組織構造全体を俯瞰的に把握する取り組みです。全社レベルで課題を洗い出すことで、業務の遂行に無関係と思われていた業務内容が、生産性を落とす原因となっていたことが分かる可能性があります。
生産性向上を阻む要因が明らかになれば、それを排除もしくは改善します。その結果、業務効率化が実現され、組織の生産性向上が期待できます。
生産性の向上は労働時間の短縮や人的コストの削減にもつながるため、企業にとって大きなメリットとなります。
2.意思決定がスピードアップする
BPRの導入によって、必要となる組織改革の姿が見えてきます。
BPRに取り組むことで、細分化されている組織において「どこが意思決定のボトルネックになっているか」が可視化されます。
原因がわかれば、どのように組織を改革すべきか、抜本的な案が立てやすくなります。BPRを導入することで、企業競争力に欠かせない意思決定のスピードアップが実現するでしょう。
3.顧客と従業員の満足度が向上する
BPRに取り組む際は、一般的にITシステム導入による業務の標準化が行われます。業務の標準化が浸透・定着していけば、ムダな業務はなくなり、従業員への負担が軽減されます。
労働時間が短縮されたり、コア業務に集中できるようになったりすることで、従業員の満足度向上が期待できるでしょう。
また、従業員の満足度向上は、顧客満足度向上という相乗効果を生み出します。従業員がモチベーション高くはたらくことで、従来よりも質の高いサービスを提供できるためです。
4.リスクマネジメントに役立つ
BPRはリスクマネジメントの観点からも重要です。例えば、業務プロセスが属人化していると、業務フローが不透明になり、作業効率が低下するだけではなく、担当者の異動・退職時に引き継ぎが行えなくなるといったリスクが考えられます。
業務プロセスの見直しやマニュアル化などを行い、誰でもできるような業務フローを構築できれば、リスク回避につながります。
BPRに取り組む2つのデメリット
BPRが企業にもたらすデメリットには、下記の2つがあります。
1.工数や時間・費用がかかる
BPRの実施には多くの工数や時間・費用が必要となります。
BPRの対象範囲は業務プロセス全体なので、業務フローや情報システム、組織、職務、管理機構などを見直す必要があります。つまり、従業員へのヒアリングや業務の観察、データ分析など、多くの工数を必要とするため、実施中は通常の業務にも影響を与える可能性があるのです。
また、BPRにはITシステムの導入や設備の変更が必要になるケースが多いでしょう。それらに費用がかかるだけではなく、適切に構築・運用できる専門スキルを持った人材が必要になるケースもあります。するとコストが大きくなってしまうので、事前に予算や変革規模などをよく整理しておかなくてはいけません。
2.経営層と従業員の間に摩擦が起こりやすい
BPRは、企業の業務プロセスを変革するため、新しいシステムの導入や業務フローの変更など、従業員の日々の業務に大きな影響を与えます。
今までのやり方が良いと反発する従業員や新しいシステムをうまく使いこなせない従業員も出てくるでしょう。さらに普段の業務時間が圧迫されることで、不満を募らせる従業員も出てくることが予想されます。
これらの点を理解し、目的や方針、変更の内容を十分に従業員に浸透させておかなくてはいけません。それらが伝わっていないと、なぜ変更が必要なのか理解できず、経営層と現場との間に摩擦が生じてしまうこともあります。
BPRが進まない原因とその解決方法
うまく活用できれば多くのメリットがあるBPRですが、実際にはBPRの導入に課題を感じている企業もあります。
中小企業白書によると、業務プロセス見直しを行うにあたっての課題として次のようなものが挙げられています。
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- 業務に追われ、業務見直しの時間が取れない
- 取組を主導できる人材が社内にいない
- 取組の目的や目標が上手く設定できない
【出典】中小企業庁「中小企業白書(2018年度版)」
BPRを成功させるためには、計画的に段階を踏みながら改善を進めていくことが大切です。いきなりITツール導入を検討するのではなく、BPRを実施する目的や、業務課題の分析から始めていきましょう。具体的なBPRの進め方は次章で紹介します。
BPRを進める5つのステップ
BPRは生産性を上げ、企業の業績を向上させるために有効な取り組みです。一方で、ITシステムの導入・構築にコストがかかったり、ドラスティックな改革により現場の抵抗が生じたりと難航するケースもあります。
そこで、本章ではできるだけ効果的かつ円滑にBPRを進めるステップを紹介します。
1. 検討
①目的・目標の設定
階層の異なる従業員から改善すべき点をヒアリングします。併せて経営層からは企業戦略を見据えた改善点をヒアリングします。ヒアリング内容を取りまとめ、社内を代表した従業員、役員と協議し、目的・目標を設定します。
②対象とする業務範囲の設定
対象とする業務の範囲と、業務のキープロセスを明らかにします。業務システムを導入する場合は、BSU(ビジネス・システム・ユニット)と呼ばれる、各業務により分かれて設計されるシステム区分を明確にします。
2. 分析
③分析・課題の把握(業務内容、フロー、組織)
既存の業務プロセスがもたらす課題を分析し、改善方法を検討します。課題の分析には、分析のフレームワークを用いることも有効です。
分析フレームワーク例1.ABC(Activity Based Costing)
ABCは活動基準原価計算とも言われ、活動(Activity)単位に業務プロセスを分類してそれぞれのコストを算出します。各活動のコストを足し合わせていくことで、当該プロセスの全体的なコストが見えてきます。
コスト = 単価(※) × 時間 × 回数
※人件費や設備の稼働費など時間あたりのコスト
コスト管理によって収益性やキャッシュフローを改善するためにも有効な分析ですが、業務改善の用途にも活用できます。ABCによって各プロセスのコストを出しておけば、施策実施後の効果検証の際にも役立ちます。
分析フレームワーク例2.BSC(Balanced Scored Card)
コスト観点のみでは測ることができない業務の場合は、BSCも活用できます。BSCは目標を設定した後、下記4つの観点から現状を評価したスコアカードを作成する分析手法です。
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- 財務
- 顧客
- 業務プロセス
- 学習と育成
財務的な指標だけでなく、顧客満足度や内部プロセスの効率、従業員の学習や成長といった多面的な視点から業績を評価し、バランスよく管理・改善できます。
BSCを用いれば、財務の観点から短期的に考えると業績に貢献しないことでも「他の3つの観点で長期的に考えると会社の利益に貢献すること」を見分けることもできるでしょう。
分析フレームワーク例3.シックスシグマ
シックスシグマは、統計学の観点からアプローチして、業務プロセスやサービスを改善するフレームワークです。顧客からの声をデータをもとに分析を行うことで、品質のばらつきを減らし、顧客満足度を改善することが可能です。
シックスシグマでは、DMAIC(Define, Measure, Analyze, Improve, Control)という言葉を参考に改善案を考え実行していきます。
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- Define:問題を定義する
- Measure:現状のデータを収集する
- Analyze:データを分析し問題の根本原因を特定する
- Improve:改善策を実施する
- Control:効果測定を行いPDCAを回す
シックスシグマは特に、製造部門、営業部門、サービス部門などで、品質管理を重視した業務プロセス改善の際に大きく効果を発揮します。
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3. 設計
④戦略・方針の策定、実施方法の検討
⑤ビジネスプロセスの設計(業務フロー、ルール、組織)
洗い出した現状や課題から、改善に向けた戦略や方針を策定し、ビジネスプロセスの標準化を行います。直接的な成果や利益を生まないノンコア業務については、アウトソーシングすることができないかについても検討します。
どの業務プロセスをアウトソースするかについての判断基準は以下のとおりです。業務のなかでも、定型化しやすく再現性の高いノンコア業務は、アウトソーシングに適しています。社内での業務設計の見直しで解決するケースもありますが、改善方法には下記の選択肢も考えられます。詳しくは次章でご説明します。
・ERPシステムの導入
・シェアードサービスの利用
・BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の利用
4. 実施
⑥変更の実施
経営トップと従業員がBPRの必要性や目的を共有し、目標をクリアしているか、方針がそれていないかを確認します。経営トップと従業員がBPRの必要性や目的を共有することがポイントになります。
BPRの進捗確認には、達成度の目安を設定したマイルストーン方式を用いるとよいでしょう。
5.モニタリング・評価
⑦業務モニタリング
⑧効果測定・達成度評価
業務プロセスに問題はないか、問題があった場合どこにあるのかをモニタリングします。併せて効果や成果についてもモニタリングし、達成度などに問題があれば修正を行います。修正にあたっては、最初の「検討」のステップへと戻し、作業を繰り返します。
BPRを推進するための4つの手法
BPRに取り組む際、業務プロセス改善の方法としてERPやシェアードサービスなどを検討することもあります。本章ではプロセス改善に有効な7つの手法をまとめました。
ERP
ERPとは「Enterprise Resources Planning」 の頭文字を取った言葉です。従来は、ヒト・モノ・カネ・情報といった企業経営の基本となる要素を適切に分配し、有効活用する考え方を指していましたが、現在は、「統合基幹情報システム」を指すことが多く、企業の情報戦略に欠かせないシステムを指すようになりました。
ERPとBPRは密接な関係があります。業務を効率化し、企業活動を円滑に進めることはERPだけでは不十分です。そこにBPRを組み合わせることでERPのパフォーマンスは最大化されるといわれています。
ERPは、BPRを実現するために欠かせないシステムなのです。
シェアードサービス
シェアードサービスとは、間接部門の業務を見直し、これをシェア(共有)する手法です。
▼間接部門
企業内の事業所や、グループ企業ごとに存在する財務・経理、総務・人事、情報システム、購買、法務、監査など
これらの業務機能を1カ所(シェアードサービスセンター)に集約、業務を標準化して業務効率化・コスト削減を見込むことができます。

シェアードサービスセンターは、一般的に企業グループ内で法人を独立させて機能を持たせる場合と、親会社の一部門として設置される場合があります。
BPO
BPOは「Business Process Outsourcing」の頭文字を取った略称で、企業のある部門やビジネスプロセスを丸ごと外部の企業に移管し、業務を継続する手法です。BPOの対象となる業務はシェアードサービスと同様、財務・経理、総務・人事などの間接業務が中心でした。
最近では人材育成やマーケティングなど、BPOの業務領域が拡大しています。BPRを進めるにあたり、コスト削減、業務の効率化という視点でBPOを利用する企業も増えているようです。
SCM
SCM(Supply Chain Management)は、製品が生産されてから消費されるまでの一連の流れ(サプライチェーン)を効率的に管理し、最適化を図る手法です。企業内外の多くのプロセスを連携させ、情報を共有することで、コスト削減や納期の短縮、顧客満足度の向上を実現します。
SCMは、調達、製造、物流、販売など、多くの部門を横断的に結びつけ、全体のパフォーマンスを高める役割を果たします。
サプライチェーンの各段階で発生する無駄を排除し、スムーズな物流と情報の流れを作ることで、企業は迅速な対応とコストの最適化を実現できるでしょう。
BPRに取り組む際の6つの留意点
BPRに取り組み、業務プロセス全体の見直しと再構築を行う際は以下の点に留意しましょう。
1.明確なビジョンや方針を示し、組織へ浸透させる
BPRを推進するためには、経営トップのメッセージ発信が必要です。
経営トップ自らが、業務改革を行う目的は何か、そのため何が必要かといったビジョン・方針を明らかにし、組織全体に伝えることが求められます。
BPRの手段やアプローチ方法そのものが目的化されないよう、業務改革のビジョン・方針を組織に浸透させることも必要です。
2.トップダウンとボトムアップ双方からアプローチする
経営トップが明確なビジョンや方針を示すと同時に、実際の取り組みについては、現場の従業員の活動や提案力、創意工夫も必要です。
トップダウンのアプローチが強すぎると、現場の従業員の主体性が失われ、形式的な取り組みに陥ってしまう可能性も指摘されています。現場の自発的な取り組みを促し、それを最大限活用できるようなボトムアップのアプローチも求められます。
3.現場の従業員を改革の当事者として関与させる
現場の従業員を改革の当事者として関与させることも、BPRを推進する上で必要です。モチベーションアップにつながる手法を用いることが有効とされます。
その手法の一つに「方針管理」があります。
▼方針管理
組織が決めた方向に、組織一丸となって取り組む手法
方針管理のなかで上司と部下の継続的なコミュニケーションを図ると同時に、自ら組織の課題を設定し、その課題を解決する手段を考えさせるような研修も必要となるでしょう。
4.BPRの取り組みを継続・定着させる
BPRの取り組みは、継続的で組織的な取り組みとして実施することが求められます。1回の取り組みだけでは業務改革を組織に浸透・定着させることは難しいからです。
BPRは、必ずと言っていいほど推進過程で問題が発生します。その問題を見直し、解決していく不断の見直しが必要です。
5.目標とする成果を定量的に定める
BPR推進には目標とする成果を明確に定めることが大切です。そのためには、成果は数値化して評価することができるものにすることがポイントになります。
例えば、「部品の調達コストを10%削減する」「労働時間を20%削減する」といった具体的な数値目標を定めます。目標が定量化されていれば、評価のブレを防ぐことができるでしょう。
6.PDCAサイクルを回す
前述のとおりBPRは継続的な取り組みであるため、主要な取り組み後もPDCAサイクルを回し、常に改善し続けていくことが求められます。
BPRに長期間取り組んでいる企業では、評価結果に基づき、これまでの改革に新たな手法やツールを組み込んだり、異なる改革手法を取り入れたりするケースが多くみられます。
BPRの取り組みを進化させるには、PDCAサイクルを回すべく、情報収集し続ける仕組みづくりを意識することが大切です。
BPRの成功事例
BPRについてよりイメージを膨らませるために、栃木県が策定した「業務改革(BPR)実施方針」をもとに、BPRの方針例や取り組み例を見ていきましょう。
栃木県は、県民目線での施策立案やきめ細かなサービス向上を目指して、BPRの実施方針を定め、必要な調査や分析・施策などを進めています。
まずは、各所属の担当毎の業務内容と作業時間を調査し、各業務を以下の2種類に分類しました。
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- ノンコア業務:職員でなくともできる作業で、「集約」および「ICT利活用による自動化」により、徹底的な効率化が期待できる
- コア業務 :職員でなければできない作業で、業務の標準化・手順化により、部分的にノンコア業務へとシフトさせていくことが求められる
この分類をもとに、まずはノンコア業務の効率化を優先的に改善していくことにしました。
例えば「監査資料作成業務」では、下記の図のような業務プロセスになっています。

現在のプロセスでは、「財務会計システムから出力した数値や情報を転記している」「財務会計システムや簿冊につづられている書類を集めて転記する作業や突合確認に時間を要する」といった課題が想定されるため、以下のような方施行成案を策定しています。
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- PC画面上でも見やすいA4横書きへの様式変更を進め、ペーパーレスを推進支出や物品の状況等の記載については、財務会計システムの出力資料を活用するなど、 事務の省力化を検討
その他にも、例えば収入・支払・会計業務において、アプリケーションの活用により見積作成から発注までの購入プロセスを簡素化するプログラムを開発し、各所属への展開を狙うなど、BPR推進のためのさまざまな取り組みを立案しています。
このようにBPRでは、調査や分析から現状を正しく把握し、改善すべきポイントの優先順位を付けて取り組むことも重要です。
まとめ|BPRとは業務プロセス全体の見直し・再構築のこと
BPRは「Business Process Reengineering」の頭文字から取った言葉で、業務全体のプロセスを見直し、再構築することです。少子高齢化により生産性向上が求められ、DXや「2025年の崖」問題も後押しし、日本でも注目を集めています。
BPRに取り組むメリットには、生産性の向上をはじめ、意思決定スピードの迅速化、顧客・従業員満足度の向上などさまざまですが、一方でシステム入れ替えや導入に伴うコストが高額になりやすいというデメリットもあります。
現場の抵抗もよく起こることの一つです。ステップを慎重に踏んで、一度取り組んだら終わりではなく、絶えずPDCAを回し、コア業務を効率的に行えるようにしていきましょう。
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働き方改革、労働力不足が加速する中、企業における生産性向上への意識が高まっています。テレワークなど多様なはたらき方の導入も求められるようになった今、職場環境の課題は把握できているでしょうか?
BPRや業務改善をご検討中の方に向けて、これまでパーソルグループが業務改善コンサルティングの現場で培ったノウハウを基に作成した『業務整理ノウハウBOOK』をお届けします。
改善アラートチェックリストや、具体的な業務整理のステップ、改善の進め方やコツについて解説していますので、ぜひお役立てください。