2025年06月24日
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術の活用によって業務やビジネスモデルそのものを変革し、企業価値を高める取り組みのことです。
本記事では、DXとは具体的にどのような取り組みを指すのか、なぜ必要なのか、どのように推進していけばよいのかを解説します。企業の取り組み事例も紹介しますので、自社での推進のご参考にしてください。
【以下の動画では、DXの概要やポイントを「2分」でわかりやすく解説しています。記事と合わせてご覧ください。】
【お役立ち資料】DXを成功に導くポイントとは?
DXは多くの企業にとって不可欠となっていますが、DXを実現するにはいくつかのポイントを押さえることが大切です。
・DXが社内で推進できていない
・DX推進施策や効果について詳しく知りたい
そのような方に向けて、パーソルグループでは、【DX推進を成功に導く人材採用・人材育成・組織設計と成功事例】を公開しています。
すでにDXに取り組んでいる方もこれからDXに取り組む方もぜひご活用ください。
目次
DXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略称であり、デジタル技術によって業務やビジネスモデルを変革し、企業価値を高めるための取り組みのことです。
経済産業省の「デジタルガバナンスコード3.0」(旧DX推進ガイドライン)では、DXを以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
今日の市場環境は急速に変化しており、顧客のニーズも多様化しています。このような中で企業が持続的に成長していくには、データに基づいた迅速な意思決定や、顧客中心のサービス提供が欠かせません。これらを実現するための強力な手段となるのがDXです。
具体的な取り組みとしては、AIによる業務効率化、IoTを活用した新たなサービス開発、クラウドによる柔軟なシステム構築などが挙げられます。これらの変革を通じて、企業は市場の変化に柔軟に対応し、新たな収益源を生み出すことを目指します。
経済産業省の『DXレポート2』によると、DXの取り組みは「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の3段階に分類されます。また、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)がまとめた『DX動向2024』では、それぞれの段階における取り組みの項目を、以下の通り定義しています。
デジタイゼーション | ・アナログ・物理データの単純なデジタルデータ化 |
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デジタライゼーション | ・業務の効率化による生産性の向上 ・既存製品・サービスの高付加価値化 |
DX (デジタルトランスフォーメーション) |
・新規製品・サービスの創出 ・組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化 ・顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革 ・企業文化や組織マインドの根本的な変革 |
デジタイゼーション、デジタライゼーションについて、それぞれ解説します。
デジタイゼーションとは、組織や個人のアナログ作業や情報をデジタル化する取り組みを指します。例として、紙や物理的に管理されていた情報をスキャンし、電子ファイルとして保存することで情報検索や共有、管理を効率化することが挙げられます。
DXは、企業文化やビジネスモデルを根本から変革する取り組みとして位置づけられています。デジタイゼーションはその前段階として、紙の書類や手動の作業を見直し、データを一元管理できる体制を整備することが必要です。
【関連記事】デジタイゼーションとは?デジタライゼーションとの違いや具体例を解説
デジタライゼーションは、従来の業務プロセスを単に電子化(デジタイゼーション)するだけではなく、そこからビジネスモデルやサービス、製品に新しい価値を付与することに焦点を当てています。例えば、紙をPDF化してオンラインで共有するのはデジタイゼーションですが、そのデータを解析し、顧客ニーズに応じて個別提案する仕組みを構築するのがデジタライゼーションです。
デジタライゼーションはDXのベースとなるプロセスです。部分的な業務のデジタル化を進めると、組織全体がデータやシステムの活用に慣れ、より包括的な改革へのモチベーションが高まります。デジタル基盤が整うことで、新技術の導入がスピーディかつ柔軟に行えるようになります。
さらに、デジタライゼーションを実施する段階で人材育成や運用体制の整備を進めれば、DXへの移行がスムーズになります。外部パートナーや社内IT部門との連携体制も強化され、企業全体のデジタルリテラシーが向上するでしょう。
【関連記事】デジタライゼーションとは?DXとの違いや具体例を解説
DXとIT化は混同されがちですが、その目的と範囲において明確な違いがあります。
IT化は、情報技術を導入することで、既存の業務プロセスを効率化することが主な目的です。例えば、これまで手作業で行っていたデータ入力業務をシステム化したり、紙の書類を電子化したりすることがIT化の典型的な例です。これにより、コスト削減や生産性向上といった効果が期待できます。IT化は業務改善の手段であり、多くの場合、部分的な最適化に留まります。
一方のDXは、デジタル技術を用いてビジネスそのものを変革し、新たな価値を創造することを目的とします。既存の業務効率化に留まらず、顧客への提供価値や競合との差別化といった、より上位の目的を達成しようとします。
例えば、オンライン会議システムの導入はIT化ですが、顧客とのオンラインでのコミュニケーションを通じて、新たな顧客体験を提供したり、これまでにないサービスを生み出したりすることはDXの一環と言えるでしょう。
つまりIT化が「業務の効率化」に焦点を当てるのに対し、DXは「ビジネスモデルや組織全体の変革、そして新たな価値創造」を目指します。DXを実現するためにはIT化が前提となることが多いため、IT化はDXの手段の一つと捉えることもできます。
ここでは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の『DX動向2024』を参照し、日本におけるDXの取り組み状況について説明します。
日本では、2021年度から加速度的にDXの取り組みが進んでいます。2023年度の調査で「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」と回答した企業は全体の37.5%になり、2022年度のアメリカでの調査で同じ回答を選択した企業の数値(35.5%)を超えています。
「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門でDXに取組んでいる」「部署ごとに個別でDXに取組んでいる」と回答した企業の合計を「DXに取り組んでいる企業」とみなす場合、2021年度の調査では55.8%だったところから2023年度は73.7%にまで増加しており、徐々に取り組みが浸透していると言えるでしょう。
2023年度の調査では、DXの取り組みにおいて成果が出ていると回答した企業は64.3%となり、前年度調査の58.0%から増加しました。しかし、アメリカでは2022年度調査の時点で成果の出ている企業が89.0%にのぼっており、その差は顕著に開いていると言えるでしょう。
さらに、DXの取り組みにおける3段階(デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション)の観点からも、実際にどのような成果が出ているかを紹介します。
デジタイゼーションに該当する「アナログ・物理データのデジタル化」、デジタライゼーションに該当する「業務の効率化による生産性の向上」は比較的取り組みやすいと考えられ、いずれも70%以上の企業が「成果が出ている」と回答しています。
一方で、デジタルトランスフォーメーションに該当する「新規製品・サービスの創出」や「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革」において成果を出している企業は20%前後に留まり、成果創出の難易度が高い状況です。
前述した成果の状況を踏まえて、DX推進が滞っている要因としては以下のような課題が挙げられます。
『DX動向』によると、DX推進に取り組む予定がないと回答している企業においては、その理由として「DXの戦略立案や統括を行う人材が不足している」「DXを現場で推進、実行する人材が不足している」の2つが特に多く挙がっています。
この結果から、DX推進における最大のネックは人材不足だということが分かります。人材の確保について、以下では「量」と「質」の両面から見てみましょう。
【関連記事】DX人材育成の6ステップ|ポイントやよくある課題、事例も解説
まずDX人材の「量」の確保について、2023年度調査では「大幅に不足している」と回答した企業が62.1%にのぼり、2022年度調査の49.6%から大きく増加しました。この背景には、DXの取り組みが進展するにつれて、人材不足がより顕著になってきたことがあるでしょう。
同様に、DX人材の「質」の確保についても、2023年度調査で「大幅に不足している」と回答した企業は58.1%になり、2022年度調査の51.7%から増加傾向にあることが分かります。
レガシーシステムは、2018年に公開された経済産業省の『DXレポート』において以下の通り定義されています。
「技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化・ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっているシステム」
『DX動向』によると、2023年度調査で「レガシーシステムが残存している」と回答した企業は62.8%でした。2022年度調査の69.4%に比べると解消傾向にはあるものの、依然としてレガシーシステムの残存は、企業のDX推進を阻む要因であると言えるでしょう。
また、企業がレガシーシステムの刷新に踏み切れない理由として、「他の案件に手一杯で十分な要員を割けない」「ユーザの既存システムの操作性へのこだわりを解消できない」といった課題が挙げられています。
【関連記事】レガシーシステムとは?問題点や脱却・移行プロセスをわかりやすく解説
DXを成功させるには、事前にしっかりと戦略を立てて段階的に推進していくことが重要です。自社の目指すべき方向や戦略を明確にしておかないと、ITツールを導入しただけでDXを実現したとなってしまいかねません。ここでは、どのようにDXを進めていけばよいのかを解説します。
DXを実現するには、まずDX推進の目的を明確にすることが重要です。DXの目的としては前述のとおり、競争優位性の確立や新しい市場の創出など、さまざまです。
さらに、DXによって「市場の中で自社がどのような位置に立ちたいのか」「どのような社会・経済を実現したいのか」など、自社が理想とするビジョン(未来像)を明確にすることも重要です。目的やビジョンを明確化することでDXの方向性が大まかに定まり、社内での意思疎通なども行いやすくなります。
DXの目的やビジョンを明確化できたら、次は実現するための戦略に落とし込みます。まずは、SWOT分析などによって、現在、自社が置かれている内部環境・外部環境を分析・整理し、最終的なビジョンを確立するまでに必要な要素を洗い出します。
次に、初期、中期、長期に分けて自社のあるべき姿とやるべきことを定めていきます。例えば、初期にすべきことには「関係者間での意識共有」「デジタル化による、DXに必要なインフラの整備」などがあげられます。中長期的には「DX推進体制の整備」「デジタルプラットフォームの構築」などがあげられます。
【関連記事】DX戦略とは|策定ステップと他社事例・戦略の重要性
次のステップでは、DX戦略に沿ってどのような人材やスキルが必要なのかを定義します。DX人材に必要なスキルは以下5つの人材類型で分けられます。自社に必要な人材を定義する際に活用できます。
例えば、データ分析を本格的に行うのなら、データサイエンスやAIなどの最新技術を理解し、業務に導入できる人材が必要になります。必要な人材やスキルを定義することで、採用や教育・育成などの施策を正しく立てられるようになります。
DXを実現するためには、社内はもとより、社外に対してもDX推進体制の構築を働きかけることが重要です。また、単独の部署・企業で進めることが難しい場合もあります。そのような際には例えば、DX推進部署を設置して他部署との連携を図ったり、外部の企業・専門家に協力を仰いだりすることも必要です。
【関連記事】DX人材とは?役割や求められるスキル・獲得方法
ビジョンや取組領域の策定、必要な人材の定義を終えたら、それらを達成するための具体的な行動計画、つまり推進プロセスを策定しましょう。推進プロセスを策定するには、以下の内容を明確にして全体のマイルストーンを設定します。
ビジネスプロセスのデジタル化(デジタイゼーション)が十分に進んでいない場合、まずはそれらの取り組みから始めることも検討が必要となります。短期的な対応と中長期的な対応の両面から考えることが重要です。
最後に、策定した戦略とプロセスに基づいてDXを実施しましょう。実行後に一定期間が経過したら、「DX推進指標」などを参考にその結果を評価します。DX推進指標とは、経済産業省が作成した「企業が自社のDXの進捗状況を評価するための指標」で、自社の進捗が良いのか悪いのかを把握する上で役立ちます。
こうしたツールなどを活用し、現状の評価をしたら、評価結果をもとに戦略やリソース配分を見直し、必要であれば再度ビジョンの見直しも行います。この評価・見直しのフェーズがDX戦略のPDCAサイクルを形成し、継続的にDXを進めていくための鍵になります。
【お役立ち資料】DXを成功に導く人材採用・人材育成・組織設計とは
DXの具体的な施策は企業ごとにさまざまですが、どの場合にも共通して重要なポイントがあります。
本資料では、DX推進を成功に導くステップやDX人材の採用・育成についてまとめた資料を公開しています。これからDXに取り組む・DXの推進にお悩みの方はご覧くださいませ。
【関連記事】DX推進指標とは?活用方法や自己診断で陥りやすい間違いを解説
前述の通り、DX推進が滞ってしまう背景としては人材不足の問題が大きいと言えます。そもそも市場におけるDX人材が量・質ともに不足している現状に鑑みると、初めから十分なスキルや知識を備えた人材を採用するのではなく、自社でDX人材を育成する取り組みが欠かせません。
ここでは、DX人材の育成における失敗事例と原因を解説します。
明確な目的を持たないまま、DXリテラシー研修やトレンド追従型の技術研修を実施しても成果にはつながりません。自社のDX戦略や課題との関連性がなければ、研修で得られた知識を実務で活用する場面がなく、「研修のための研修」で終わってしまう可能性が高いでしょう。
このような失敗を招かないためには、「なぜ、何のために、どのような人材を育てるのか」を議論し、明確な目的と成果指標を設定することが不可欠です。
【関連記事】DXリテラシーとは?必要な知識やスキル、高める方法を解説
現場のリアルな課題やニーズを深く理解せず、トレンドや一般論に基づいたDX人材像を設定してしまうケースは少なくありません。このようなケースでは、研修などで得られた知識やスキルが実務に適用できず、「机上の空論」で終わってしまいがちです。
主な原因は、現場リサーチの不足、経営層と現場の断絶、人事・DX推進・事業部門間の連携不足にあります。現場の具体的な課題を特定し、それに即した人材要件を明確に定義した上で、課題解決に焦点を当てた実践的なカリキュラムを設計することが欠かせません。
DX人材を育成しても、既存の組織体制や人事制度(評価や処遇、キャリアパス)と整合せず、そのスキルを実務で活かせないまま投資が無駄になることもあります。
この背景には、人材育成と人事評価の連携ができていない、実践機会が提供できていない、部門間の壁がある、さらに失敗を許容しない組織文化があるといった原因が挙げられます。これにより、育成された人材が従来の業務に戻されたり、適切に評価されずにモチベーションが低下したりする事態が生じます。
このような事態を回避するには、人材定義から育成、人事評価、現場での実践機会提供までを一気通貫で設計し、DX人材育成を組織変革の起点とする必要があるでしょう。
DXを成功させるためには、いくつかの押さえておくべきポイントがあります。
いきなり全社的なDXを行うのは難易度が高く、どのように進めればよいのかがイメージしにくい部分も多いでしょう。そのためまずは、既存業務のデジタル化など着手しやすい領域からスタートし、段階的にDXを推進することがおすすめです。例えば、既存業務のフローを可視化し、ボトルネックを特定します。そのうえで、デジタル技術を用いて効率化・自動化を行ってみましょう。
一部の業務・一部の部署のみを変革し、徐々にその範囲を広げていくのがおすすめです。そして、組織のデジタルリテラシーやプロジェクト推進能力が高まってきたら、さらにその範囲を広げ、サービスやビジネスモデルの変革に取り組むと進めやすいでしょう。
自社の現状・課題把握をして、まずは小さく始めることがおすすめです。
DXはIT部門だけで実現できることではありません。会社に根本的な変革を迫るため、経営陣や現場の従業員などを巻き込んで、全社的に推進する必要があります。仮に、DXに対する社内での理解度が低ければ、反発が起こったり、本質的な改革を行えなかったりすることもあります。
DXを成功させるためには、担当者だけでなく、社内の全員がDXを理解し、賛同する体制を作ることが重要です。そのためには、経営陣や社内メンバーにDXの必要性やメリットを丁寧に説明して理解度を深めてもらい、積極的に協力してもらえるように働きかけていきます。
DXを推進する際にはDX人材を外部から確保するだけでなく、社内全体のデジタルリテラシーを向上させることも重要です。事業部門とIT部門でのデジタル知識の違いが大きいと、十分な意思疎通が困難になることが想定されます。そこで、円滑なコミュニケーションを図るためにも、少なくとも各部門担当者のリテラシーは高めるようにしましょう。
デジタル人材を育成する仕組みを持たない場合は、社内でデジタル技術に関心がある人材を選抜し、教育を行う方法があります。経済産業省が公表しているDXリテラシー標準に基づいて教育プログラムを提供するのも良い方法です。
業務部門の担当者は、技術の専門家である必要はないものの、技術の価値を理解して、技術がビジネスの課題解決にどう役立つのかを理解する力が必要です。
【関連記事】デジタルリテラシーとは?低いことで起こる問題や高める方法を解説
DX推進のイメージをより深めるために、他社の取り組み事例を紹介します。
課題・背景 | ビルや商業施設・病院などにおいて、部屋や設備などの使用状況に応じた効率的で手間のかからない空調コントロールが求められていた |
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主な取り組み | クラウド経由で空調管理を遠隔制御できる「DK-Connect」を展開 |
成果 | 顧客に適した空調管理の効率化により、快適性向上、エネルギー削減、管理工数削減などが可能に |
近年、ビルや商業施設・病院などの業務用空調機には「快適な環境を提供する」という従来の機能だけではなく、多様な働き方への対応やエネルギー消費量の削減などが求められています。また、設備管理者の人手不足も課題になっており、使用状況に応じた効率的で手間のかからない運用・管理が必要とされています。
ダイキン工業株式会社はこの課題に対応するため「DK-Connect」を2021年から展開しています。
このサービスは、空調機をクラウドに接続し、パソコンやスマートフォン・タブレット端末からの監視や制御を可能にするソリューションです。例えば以下のようなことが行えます。
「DK-Connect」の展開により、顧客ごとに空調管理を効率化し、快適性の向上やエネルギー消費量の削減、管理工数の削減などに貢献しています。
課題・背景 | 管理するビル毎に、その都度設備間・システム間を連携するのが、コスト、時間、手間がかかっていた |
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主な取り組み | 建物のOSである「DX-Core」を導入 |
成果 | 入居者・建物管理者・オーナーの利便性や業務効率性の向上 |
清水建設が行なったDXの取り組みの1つは、建物のシステムや設備を一元管理できるシステムの開発です。従来、建物内に新しいシステムを導入しようとすると、システムや設備を個別に連携する必要がありました。
例えば、ビル内の搬送用や清掃用のロボットの場合、ロボットが移動するためにエレベーターや自動扉を利用するシーンがありますが、従来はこれらとロボットを個別に連携させなければなりませんでした。
この問題を解消するのがDX-Coreです。DX-CoreのAPIを通すことで、ロボットやエレベーターのほか、監視カメラや空調などの設備も一元管理できるようになります。そしてDX-Coreを導入した結果、ビルの付加価値向上、オーナーの利便性や業務効率性向上に繋がりました。
【関連記事】建設業DXとは?重要性やよくある課題・導入方法
課題・背景 | 長期的に顧客を確保するために、まずます増加する「デジタルネイティブ世代」が使いやすい銀行サービスを提供することが重要 |
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主な取り組み | デジタルネイティブ世代をターゲットにしたシステムをゼロベースで設計 |
成果 | サービス開始2年で200万ダウンロード、67万口座突破 |
株式会社ふくおかフィナンシャルグループは、2022年にスタートした第7次中期経営計画で「〜カタチは変わる、想いは変わらない。〜」をスローガンに掲げ、DXを推進してきました。それを体現する取り組みが「みんなの銀行」サービスの提供です。
「みんなの銀行」とは、あらゆるサービスがスマートフォン上で完結するサービスです。従来の銀行の延長線上ではなく、デジタルネイティブ世代をターゲットに据え、業務プロセスや基幹システムに至るまで全てをゼロベースで設計しています。2030年にデジタルネイティブ世代が就業人口が60%になることを見込んだ、先見的な取り組みです。
同サービスは、2021年5月にスタートし、2023年5月までの2年間で200万ダウンロード、67万口座を突破しています。利用者の居住地域も九州だけでなく、関東や関西、甲信越地方など様々です。
DXは単なる既存業務のデジタル化とは異なります。ふくおかフィナンシャルグループのように、ときに社会構造の変化にも目を向けた大胆な取り組みを行うことも大切です。
【関連記事】金融業DXとは?重要性・導入メリットや課題などのポイントを徹底解説!
課題・背景 | 厳密な品質管理とトレーサビリティの徹底が必要な特殊医薬品の配送コストの負担を、混載輸送によって低減する必要があった |
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主な取り組み | IoTデバイスを活用し、荷物をリアルタイムでモニタリング 温度の逸脱など、配送時に問題が発生した際に自社のネットワーク上でリカバリー対応ができるように整備 |
成果 | 新型コロナウイルスのワクチン輸送で活躍 |
ヤマトホールディングス株式会社のDXの取り組みは、医薬品の運輸で大きな成果をあげています。
医薬品の輸送には厳格な品質管理が求められるため、高額な専門便の利用が一般的でした。しかし、同社はIoTデバイスによる荷物のリアルタイムモニタリングや、ネットワーク上でのリカバリー対応ができるようにすることで、安全な配送を実現しました。また、医薬品専門資材によるエリア分けを徹底することで、トラック庫内での混載を可能にし、配送コストの軽減も実現しました。
同社のソリューションは、新型コロナウイルスのワクチン輸送でも活用され、社会課題の解決に大きく貢献しています。
その他の業界・企業のDX事例は、以下の関連記事でもご紹介しています。
【関連記事】DXの成功事例10選|他社の取り組み内容・成功の共通点を解説
【関連記事】【事例あり】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?導入するためのステップ
パーソルグループは、DX推進の要となる人材育成を支援するサービスを提供しています。DX人材の育成に課題を抱えている企業は、お気軽にお問い合わせください。
「TECH PLAY ACADEMY」は、企業ごとにオーダーメイドした研修カリキュラムを提供するDX人材育成の支援サービスで、実践経験の豊富な講師陣による「実践型育成プログラム」をコンセプトとしています。
例えば、プログラミング未経験者を即戦力エンジニアに育成したり、既存エンジニアのリスキルを支援したり、プロダクトマネージャーの人材育成を行ったりなど、多様なニーズに対応しているのが特徴です。受講者の理解度やマインドの変化をリアルタイムで把握し、研修効果を最大化するための調整を行う「ブラッシュアップ型育成研修」という特徴も持ち合わせています。
法人向けリスキリング支援サービス「Reskilling Camp」は、企業のDX推進における人材不足という課題に対応し、「攻めのDX」を実現するために必要なビジネスアーキテクトなどの専門人材を育成することを目指しています。
具体的には、職種に特化した実践的な研修を提供し、伴走コーチによる「行動変容型コーチングメソッド」で学習の定着と実務への活用を支援します。デジタルコンサルティングセールス、ビジネスオペレーションイノベーター、ビジネスアーキテクトの3つのコースが設定されています。
DXは、単にアナログな作業をデジタルに置き換えるだけでなく、ビジネスモデルを抜本的に変革することです。DXを成功させるには、目的やビジョンを明確にし、入念に戦略を立案し、社内外の協力体制を築くことが重要です。DXを成功させることによって、企業価値や競争力が向上し、事業の持続可能性を高めることができます。