2023年06月19日
2025年09月26日
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためには、デジタルに関する知識やスキルを持つ「DX人材」の存在が欠かせません。経済産業省では、DX人材を次のように定義しています。
自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材
【出典】経済産業省「DXレポート2」
本記事では、DX人材の概要から、DX人材の類型や必要なスキル、獲得の方法まで、事例を交えて解説します。
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目次
DX人材とは、DXを推進するためのスキルを持ち、実行できる人材を指します。主体性や好奇心を持ち、組織を牽引し、課題解決や新しい価値の創出に貢献する存在です。
単に技術に詳しいだけではなく、自社の業務を深く理解し、周囲と協力しながら仕事を進める能力やビジネス視点も求められます。DX人材は、新しい技術を学ぶ意欲に加え、リーダーシップや円滑なコミュニケーション力を兼ね備えていることが重要です。
なお、DXそのものの定義を確認したい方は、「DXとは?意味や必要性・導入効果などの全体像を具体例付きで解説」をご覧ください。

【お役立ち資料】DX人材の採用・育成のポイントとは?
DX人材の採用や育成は、企業のDX推進に不可欠です。本資料では、DX人材を確保するためのポイントや成功事例をまとめています。これからDX人材の採用・育成に取り組む方や既に取り組んでいるものの課題をお持ちの方は、ぜひご活用ください。
多くの企業で推進されているDXは、大きく3つのタイプに分けられます。DXのタイプによって、求められる人物像は異なります。そのため、自社で推進するDXのタイプを把握したうえで、自社に必要なDX人材を見極めることが大切です。
DXのタイプやその内容、取り組み例は以下のとおりです。
| DXのタイプ | 内容 | 取り組み例 |
|---|---|---|
| ①プロセスDX ”仕事のやり方を変える” |
従来の業務プロセスにデジタル技術を活用 ➝業務効率化・業務改善を実現 |
・業務の可視化 ・業務の自動化 ・業務ナレッジ共有化 |
| ②ワークスタイルDX” はたらき方を変える” |
はたらく環境にデジタル技術を活用 ➝時間や場所の制約を減らし、多様なはたらき手を受容して活躍機会を増やす |
・テレワーク推進 ・タレントシェアリング ・EX(従業員体験)向上 |
| ③ビジネスDX ”新しい事業を生み出す” |
デジタル技術を活用 ➝新たな事業創造や既存ビジネスモデルの変革に取り組む |
・新規事業の開発 ・ビジネスモデルの変革 |
DX人材の明確な定義はありませんが、デジタルを活用し、ビジネスモデル・組織を変革していくためには、「デジタル技術・データ活用のスキル」「プロジェクトをリードする推進力」の2つが必要です。
経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の発表によると、DX人材に必要なスキルは以下5つの人材類型で分けられています。
各類型の主な役割は以下です。DXを推進する人材は他の類型とのつながりを積極的に構築し、他類型の巻き込みや手助けを行うことが重要です。
| 類型 | 役割 |
|---|---|
| ビジネスアーキテクト | ・DXにおける目的の設定 ・目的を達成するための関係者間の調整 ・プロセスの進行管理 |
| デザイナー | ・製品やサービスの方針、開発プロセスの策定 ・仕組みやユーザー体験、イメージの設計 |
| データサイエンティスト | ・データ活用戦略の策定 ・データ収集や加工 ・データ分析 |
| ソフトウェアエンジニア | ・製品やサービスを提供するためのシステム、ソフトウェアの設計・管理・保守 ・開発や運用環境の最適化 |
| サイバーセキュリティ | ・サイバーセキュリティリスクの検討、評価 ・セキュリティ対策の管理や統制 ・対策の実施や保守、運用 |
デジタル人材に求められるスキルは、技術的なスキルだけではありません。発想力や論理的思考力、マネジメント力に加えて、チームで協働するためのコミュニケーション力や思考力など、業務を推進するためのスキルも必要です。
そのうえで、すべてのデジタル人材でも共通して必要とされるのが、以下の3つのスキルです。
| 共通スキル | 概要 |
|---|---|
| 業務知識 | ・既存の業務フローやプロセスを理解し、具体的に課題を把握できる ・すでに業務知識がある、または十分なインプットができ、課題への的確な施策を打てる |
| デジタルリテラシー | ・デジタルの基礎知識や使い方について理解し、業務へ適切に活用できる ・最新のトレンドを把握し、適切なソリューションを選べる |
| 推進力 | ・組織全体を見据え、大きな枠組みで物事を捉えられる ・社内外の関係者を取りまとめ、組織全体の改革や業務改善に向けてマネジメントができる ・失敗やトラブルが発生しても、試行錯誤して取り組みを続けられる |
DXを推進するためには、デジタル技術に関する知識だけでなく、ステークホルダーと話し合いながら主体的にプロジェクトを進め、課題を発見する力も求められます。
IPAでは、DXに対応する人材の6つの適性因子を整理しています。
| 適性因子 | 概要 |
|---|---|
| 不確実な未来への創造力 | 取り組むべき領域を自ら定め、新分野への取り組みをいとわず、ありたい未来を描いてそれに向かって挑戦する姿勢。現況を把握して課題を設定できる能力。 |
| 臨機応変/柔軟な対応力 | 計画通りのマネジメントではなく、外部の状況変化を踏まえ、方向転換をいとわずに目標に進めていく姿勢。 当初の計画にこだわりすぎない姿勢。 |
| 社外や異種の巻き込み力 | 対立するメンバーがいても巻き込み、外部とも交わりを多く持ち、自分の成長や変化の糧にできる包容力。 |
| 失敗したときの姿勢/思考 | 一時的な失敗を恐れずに、失敗を糧にして前に進めることができる姿勢。 |
| モチベーション/意味づけする力 | 自ら解決したい課題を明確にし、自分の言葉で話せる力、前向きに取り組みたいと感じられる姿勢。主体性や好奇心を持っている。 |
| いざというときの自身の突破力 | 困難な状況に陥ったときにも解決策を模索し、壁を突破できるリーダーシップ。物事に取り組む際の責任感の強さ。 |
企業はこうした適性に加えて、デジタルリテラシーを持つ人材を獲得しなければいけません。
国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界のデジタル競争力ランキング2024」では、日本は67カ国・地域中31位でした。
「技術的枠組み」や「高等教育における水準」が評価される一方で、「ビジネスの俊敏性」は58位、「人材」は53位にとどまり、さらに「ビジネスの俊敏性(アジリティ)」「上級管理職の国際経験」「デジタル/技術的スキル」は最下位の67位となっています。こうした結果から、日本は「将来への準備」に課題が集中していることが明らかです。
また、総務省の調査によると、デジタル化推進における課題・障壁として、日本企業は「人材不足」と答える割合が米国・中国・ドイツに比べて非常に高く、次いで「デジタル技術の知識・リテラシー不足」が多いことがわかります。
デジタル化推進における課題(各国比較)
こうした状況を踏まえ、変化の激しいグローバル市場で競争優位性を築くには、日本企業とってDXの推進は急務です。そのためには、DX人材の確保が不可欠であり、企業は採用や育成を通じてDX人材を獲得する必要があります。
企業にとって、DX人材の獲得は急務です。経済産業省の「IT人材供給に関する調査」によると、2030年には最大で79万人のIT人材が不足するといわれており、DX人材をめぐる競争はますます激化しています。
そのため、採用だけでなく、社内に適任者を発掘し育成することも重要です。本章では、DX人材を獲得する3つの方法について紹介します。
DX人材の需要は急増しており、採用競争が激化しています。自社のDX推進を支える人材を採用するには、以下のポイントを押さえましょう。
採用活動を始める前に、自社の課題やDX推進に必要な役割を整理し、どのポジションに誰を配置したいのか、必要なスキルや適性は何かを具体的に設定しておきましょう。これにより、採用後の組織戦略とのミスマッチや、選考がスムーズに進まないといった事態を防ぐことができます。
求職者に応募・内定受諾を促すためには、企業としての魅力をわかりやすく伝えることが重要です。具体的には、企業理念やビジョン、日々の業務を通じて得られるやりがい、働く環境の特徴、報酬制度や待遇面などを示し、「この企業で自分の能力を発揮できそう」と思ってもらえるようにすることがポイントです。さらに、面接後に社員から「どこに魅力を感じたか」をヒアリングすることで、求職者目線での改善点も把握できます。
DX人材の採用は競争力が激しいため、「待ち」ではなく「攻め」の姿勢でアプローチしていくことを心がけましょう。DX人材の採用ポイントを詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】DX人材を採用するには?必要な資質や採用時のポイントについて解説

【お役立ち資料】成功事例から学ぶDX人材の採用ノウハウ
DX人材を確保するには採用ブランディングの強化が重要です。本資料では、DX推進を成功に導くステップやDX人材の採用・育成についてトヨタ自動車の採用ブランディング事例を交えて解説します。
DX人材で特に重要視されるプロデューサーやビジネスデザイナーには、円滑なプロジェクト推進や効率的な組織運用、自社ビジネスへの理解など、幅広いビジネススキルが求められます。こうしたスキルを持つ人材は、実は社内にも多く存在しており、発掘して育成することで、テクノロジーだけでなく自社のビジネスにも精通した心強い戦力を確保できます。
DX人材の育成方法は主に3つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
座学では、DXに必要なスキルやマインドセットを学びます。ハンズオン講座では、特にテクノロジースキルの習得効果が高く、ビッグデータの操作を通じてテクノロジー活用を具体的にイメージでき、理解が深まります。
また、DXはチームで推進することが多いため、座学ではメンバーに自発的な行動を促すリーダーシップの育成も重要です。さらに、社外講師による講演を取り入れることで、実際にDX推進に成功した人の視点からマインドセットや実践の工夫を学ぶことができます。
座学で学んだ知識やマインドセットは、OJT(On the Job Training)を通じて実務で活かす経験を積むことで定着します。社内で小規模なプロジェクトを立ち上げ、学んだスキルを実際の業務に応用させます。
OJTでの指導は、手本を示し、説明し、実践させ、評価・指導するという流れで進めます。単に業務を覚えさせるだけでなく、どのようなDX人材になってほしいか、目的と目標を設定した上で進めましょう。
このように、座学とOJTの両輪でスキルと実践力をバランスよく身に着けることが、DX人材育成のポイントです。
DX人材には、新しい技術やサービスに関する情報収集力も求められます。そのため、社内外のネットワークを構築し、最新情報を常に取得できる環境を整えることが重要です。具体的には、最新技術や事例を情報交換する社外コミュニティに参加したり、各分野の第一人者をSNSでフォローしたりすることで、情報感度を高め、実務に活かすことができます。

【お役立ち資料】DX人材育成を成功させる39項目とは?
多くの企業では、DX人材の育成において「即戦力となるDX人材が不足している」「自社に合ったプログラムが無い」「研修成果が不透明」といった課題を抱えています。本資料では、DX人材の育成を成功させるためにチェックすべき39項目のTODOリストとしてまとめました。DX人材育成にお悩みの方はぜひご活用ください。
外部人材を活用する最大のメリットは、解決したい課題に応じて専門性の高い人材を柔軟にアサインできる点です。新規事業の立ち上げのように、短期間で必要な経験やスキルが変化する場合でも、外部人材なら必要な期間だけスポットで活用できます。
近年は、優れたエンジニアや経験豊富なコンサルタントがフリーランスとして活躍するケースが増えています。社員として採用するのが難しい人材でも、外部人材を活用すれば、プロジェクトや課題に応じて必要なスキルや経験を取り入れることが可能です。
最後に、DX人材の育成に取り組み、成果を上げている企業の事例を紹介します。
従業員数:約7,500名(単体・2021年3月)
資本金:約850億円
産業構造や社会構造の大きな変革期に対応するため、企業内大学「ダイキン情報技術大学」を開講しました。大阪大学を中心とした教育・研究機関と連携し、数学などの基礎知識からプログラミング、機械学習やAI応用に至るまで幅広く学べる場をつくりました。2021年度末にデジタル人材1,000人の育成を達成、2023年度末に1,500人育成を目標に取り組みを進めています。
学び直しの機会を会社が創出して、AIやIoTに強い人材を社内で育成する制度です。
従業員数:約3,060名(単体・2023年3月)
資本金:約1,418億円
同社では、データの分析や利活用ができるDX人材に焦点をあてた、求人募集ページの用意や「DX/データアナリスト採用」枠の設置に取り組みました。
求人募集ページには、求めるDX人材の人物像を「データ分析・利活用を中心に、価値創造や課題解決に取り組む人材」として明確に定義してあります。応募者が入社後をイメージしやすいようにサイト内で業務例を紹介しているほか、応募後の説明会にて、実際に活躍する社員の声を紹介し、DX人材への訴求力を高めました。
また、採用枠の設置と並行して「超実践型」のインターンシップを実施した結果、2023年度のインターンシップ倍率が10倍を超すほどの応募を得ており、学生のなかでもDXに強い人材の興味を引くことに成功しています。
従業員数:約15,227名(連結・2023年3月)
資本金:約251億円
同社は「DIGITIZE YOUR ARMS(デジタルを武装せよ)」をスローガンに掲げ、全社員のデジタルスキル向上を目指し、DX人材育成を進めています。
プログラミングの深い知識がなくてもアプリケーション開発ができる「ローコード開発ツール」を導入し、業務改善システムの開発を外部委託から社内での開発に切り替える社内体制を整えました。それにより、事業部門内でアプリケーションを開発しています。実際に使用しながら開発することにより、DXの推進にもつながっています。
【お役立ち資料】DX人材不足の壁を突破する、採用・育成・組織設計ガイド
DXを推進したいものの、「人材が足りない」「採用が進まない」「育成や組織づくりに手が回らない」といった人材面の課題が大きな壁になっていないでしょうか?
そのような方に向けて、パーソルグループでは、DX人材不足の課題を解決するための採用・育成の具体的な手法から、DX人材が活躍できる組織の設計図まで、成功事例をもとに解説した資料を公開しています。
DX人材の採用・育成に課題をお持ちの方は、ぜひご活用ください。
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DXを推進するためには、デジタルリテラシーと推進力を持ち合わせたDX人材の獲得が不可欠です。
DX人材の採用または育成が求められていますが、パーソルワークスイッチコンサルティングの調査では、DX人材の育成課題として「取り組んでいるがDXにつながらない」という回答が最も多く挙げられていました。
自社に人材育成やデジタル技術に関するノウハウがない場合は、外部の企業への依頼も検討してみるとよいでしょう。