2023年07月25日
2025年06月10日
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためには、デジタル関連の知識やスキルを有する「DX人材」が欠かせません。今いる従業員をDX人材として育成するにあたって「どうすればいいのか、何から始めていいのか分からない」と頭を抱える担当者の方もいるでしょう。
本記事では、DX人材に求められるスキルから、育成のステップ・ポイント、具体的な研修プログラムまで、事例を交えて解説します。
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DXを推進している企業の約90%が「人材獲得・育成」を課題として挙げており、育成計画を見直し始めている企業が増えてきています。
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DX人材の育成に取り組んでいるが、成果が出ずにお悩みの方はぜひご活用ください。
目次
DX人材育成とは、企業が従業員に対して「DXを推進する上で必要な知識やスキル」を身につけられるよう支援し、企業のDXをリードする人材を育成することです。
DX人材は大きく2種類に分けられます。
DX人材を育成する際には、自社においてどちらの人材が必要かという共通認識を持った上で取り組むことが重要です。
具体的な方法のひとつとして、自社で育成プログラムを作成し、それに沿った形で座学やOJTなどを通して知識やスキルを学んでもらう方法があります。また、自社で教育ができない場合は、外部の育成プログラムを活用することも可能です。
なお、自社で育成を進める場合でも、DX人材の育成に精通した外部ベンダーの支援を受けることが、活躍できるDX人材育成の近道と言えるでしょう。教育のプロが自社の状況に適した提案を行うため、課題を解決へと導く育成をできるからです。
「育成するのではなく、DXスキルを有する人材を採用すればいいのでは?」と考える方も少なくないかもしれません。しかし、転職サービス「doda」が公表した2024年6月の「転職求人倍率レポート」によると、「エンジニア(IT・通信)」の求人倍率は11.06倍と、全体の2.60倍に対し大きく上回っています。つまり、DX人材の新規採用は非常に倍率が高く、企業側にとって簡単なことではありません。
【完全版】DX人材育成を再構築するためのロードマップ
DXを推進している企業の約90%が「人材獲得・育成」を課題として挙げており、育成計画を見直し始めている企業が増えてきています。
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【関連記事】DXとは?意味や取り組み内容・メリットをわかりやすく
DX人材を育成する方法はさまざまですが、自社で育成する場合、以下のメリットが考えられます。
自社の社員は、事業方針や業務内容から既存のシステムまで熟知しています。そのため、DX人材を自社で育成すると、自社の現状を把握している人材による最適なDX推進を実践しやすい点が挙げられます。
実際に自社のシステムを使用して毎日業務を行っている社員がDXに携わるのであれば、システムと連携した業務の効率化や課題の改善、新規ビジネスの創出につながりやすいでしょう。自社に最適な形でDXが進められるのは大きなメリットです。
DX推進は、一部の部署だけでなく部署の垣根を越えて会社全体で進めるべきプロジェクトです。実現のためには、各部署のさまざまな社員同士が連携する必要があります。社内全体を取りまとめてスムーズにDXを進めるには、部署ごとの業務内容や必要な機能などを把握した上で、都度調整することが重要です。企業風土や社内で認識されている暗黙のルールなどにも配慮できれば、トップダウンではない自走的な社内体制が構築しやすくなるでしょう。
社内全体の状況を把握している社員が中心となって進められれば、全部署との連携が取りやすくなるため、DXの推進に適した社内体制の構築がスムーズとなります。
【お役立ち資料】DXをリードする人材育成のポイント
多くの企業においてDXが推進されていますが、DX人材の採用市場は競争が激しいため、推進スキルを持った人材を社内で育成する企業が増えています。本資料では、DX人材を社内で育成する際のポイントや準備すべきことについてまとめました。 DX人材の不足にお悩みの方はぜひご覧ください。
独立行政法人情報処理推進機構の「デジタルスキル標準ver.1.1」では、DXに関わる人材に求められるスキルとして、以下の5点を挙げています。
DX人材の育成においては、最先端のデジタルスキルやデータ活用スキルだけでなく、ビジネス戦略策定、ビジネスモデル設計といったビジネス変革に必要なスキルも求められます。また、リーダーシップや問題解決スキルなどのプロジェクト推進力も求められる能力です。
DXの推進にあたっては、技術を導入することに加え、ビジネスモデルや業務プロセスを抜本的に改革する必要があります。このため、ビジネス変革に関するスキルは、企業が競争力を維持し、成長を続けるために不可欠です。
ビジネス変革のスキルには、戦略的思考や業務プロセスの再設計スキル、マネジメントスキルなどが含まれます。例えば、小売企業がDXを推進する際、従来の店舗販売モデルから、オンラインプラットフォームを活用した新しいビジネスモデルへの転換が考えられます。この過程で起こる業務プロセスの再設計や、従業員の意識改革に対して有効なのが、ビジネス変革のスキルです。
【関連記事】業務プロセスとは?見直し・改善の進め方、ポイント
デジタルが浸透した社会において、データは現代のビジネスにおいて最も価値のある資産のひとつです。DXを進めるためには、データを効果的に活用し、意思決定や業務改善に役立てるスキルが求められます。
データ活用に必要なスキルには、データ分析やデータマネジメント、ビジネスインテリジェンス(BI)の理解と応用が挙げられます。これらのスキルが発揮されることで、企業は市場動向や顧客のニーズを的確に把握し、データに基づいた意思決定を行えます。また、分析データを現場レベルで活用できれば、マーケティング部門では新規市場開拓に、営業部門ではクロスセルやアップセルなどの機会創出などにつなげられるでしょう。
DXの基盤となるのが、最新のテクノロジーへの理解です。基本的なプログラミングスキルやシステム設計能力はもちろん、AIやIoT、クラウドコンピューティングをはじめとする新技術に関する知識と、それを自社が抱える課題解決にどう活かすかといった応用力が求められます。
テクノロジーに関しては、知識はもちろん、応用力が欠かせません。HRテックをはじめ、テクノロジーは多くの部門の課題を解決する可能性を秘めています。まずは自社が抱える課題を洗い出し、テクノロジーで解決を図れるか思案してみましょう。
DXが推進するにつれて、サイバー攻撃のリスクも増大します。セキュリティ管理がおざなりになり、顧客情報が流出してしまう例は後を絶ちません。デジタル技術を活用する企業にとって、セキュリティのスキルはビジネスの信頼性を支える重要な要素であり、その観点が欠けていると重大な損失を招く恐れがあります。
セキュリティ管理を適切に行うためには、情報セキュリティマネジメントやネットワークセキュリティ、データ保護に関する知識が重要です。また、従業員のセキュリティ教育を通じて、企業全体のセキュリティ意識を高めるスキルも求められます。
DXを成功させるために求められるのは、技術的なスキルだけではありません。効果的なコミュニケーションやリーダーシップの発揮といった、パーソナルスキルも重要となります。これらのスキルは、変化を受け入れ、部署のメンバーをリードし、関係者と協力してプロジェクトを推進するために不可欠です。
コミュニケーションや問題解決にかかる能力、柔軟性、適応力などを磨くとともに、ストレス管理や自己学習の姿勢も意識する必要があります。リーダーシップについては研修を用意し、自社が求めているリーダー像を落とし込むことも重要です。
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DX人材の育成は、大きく6つのステップに分けられます。より効果的なDX人材育成を行うには、それぞれのステップで重視するポイントを押さえながら順番に実行する必要があります。
人材育成のポイントとして、まずDXで何を実現するべきかを定義することが重要です。いきなり対象者の選定から始めたり、人材計画を立てたりはせず、DXの目的を明確にしましょう。それぞれのステップについて詳しく解説します。
DX人材の育成において、最初に行うべきステップは目的の策定です。企業ごとに最適なDXの内容は異なります。そのため、自社に合ったDXを成功させるためには、最初にDXの目的を明確に定めることが重要です。DXによって新しくビジネスを作るのか、ビジネスプロセスのデジタル化を進めるのかといった目的によって、求める人材の要件も変化するでしょう。
例えば、無人決済システムを導入した無人店舗ビジネスをはじめる場合、ビッグデータを扱える人材、AIに知見があるエンジニアに加えて、新しい顧客体験を実現できる製品やサービスをデザインする人材が必要です。また、RPA(ソフトウェアロボットによる業務の自動化)により業務プロセスを改善したい場合、プログラミングやコーディングができる人材や、部署を横断して円滑にコミュニケーションがとれる人材などが求められます。
まだDX戦略が定まっていない場合には、有識者やアドバイザーを役員に登用するなどの方法で、経営者側の働きかけによるDX戦略の整理を実行する必要があります。
DXの目的を定めたら、DXに必要な人材の要件定義を行います。目的を踏まえて、どのようなスキル・素養を持った人材が自社のDX推進に必要かを洗い出しましょう。
経済産業省のDX推進スキル標準(DSS-P)では、DXの取り組みに必要な人材として、主に5種類の類型があるとしています。各人材類型が、個々のスキルを用いて求められる役割を果たすことで、DXが効果的に進められます。
DX人材の育成で重要なのは、DX人材に求められるスキルを理解し、自社の育成方針に誤りがないか再確認することです。自社のDX推進に適した人材像やスキルが設定されていないと、宝の持ち腐れとなってしまう恐れが発生します。
エンジニアリングやデータサイエンスなどの「技術系スキル」、組織やプロジェクト管理などの「ビジネス系スキル」、コミュニケーション能力や物事に柔軟に対応できる柔軟性、精神力などの「スキル以外の素養」に分けて整理すると、重視すべきポイントを押さえやすくなります。
人材の要件を定義した後は、DX人材のキャリアパスを設計します。DX人材の育成は短期間で終わるものではないため、キャリアパスを立てて、計画的にDX人材を育成しなければなりません。
キャリアパスの設計では、設定したDX人材の要件を基に自社で不足しているスキルや人材を整理し、実際に社員が学ぶ必要のあるスキルなどを明確にしましょう。例えば、スキルマップを活用してスキルを可視化し、社員に何を学ばせるのかを定義する方法が挙げられます。
スキルマップは、社員一人ひとり、あるいは、部署やグループ内の社員がどのようなスキルを持っているかを可視化した一覧表です。スキルマップを活用すると、社員の持つスキルの種類だけでなくスキルレベルまで把握できるため、効率的に人材育成を行うためのキャリアパス設計に役立ちます。
前のステップで設計したキャリアパスに合致する育成対象者を選出します。以下3つの観点から対象者を選出しましょう。
全社でDXを推進するためには、育成対象者はプログラマ、エンジニアといった専門的なデジタルスキルを持つ社員だけでなく、社内の各部署から幅広く集める必要があります。
育成計画を立案し、実行に移しましょう。実行方法は知識の習得やマインドセットを行う座学、実践で学べるOJT、社内外でのネットワーク構築の3種類が主に挙げられます。
座学では、DXに関する専門的な知識の習得が可能です。研修や講義などの実施で、デジタルスキルやその他DXに関する知識を学習します。チーム全体でDXを推進するためのチームマネジメントや、リーダーシップスキルの習得、変革を恐れないマインドセットなども座学を通して身に付けられるスキルの例です。
OJTは、実際の業務経験を通じた人材育成方法です。座学で学習した知識やマインドセットは、OJTで実践して定着させ、実行力を身につけていきます。そのため、座学とOJTはセットで行われるケースが大半です。
社内のみならず、社外とのネットワークを構築する姿勢も重要です。IT関連の知識や技術は変化が激しいため、常に最新の情報を仕入れておかなければなりません。eラーニングやリカレント教育をはじめとする自学システムを整え、社員が自律的・主体的に学び続けられる環境を整えましょう。
【関連記事】リカレント教育とは?意味や必要性・リスキリングとの違い
人材育成を担当する上司とDX担当者が話し合いながら、DXの目的を達成するためのロードマップとして具体的なアクションプランの設定を行います。各プロセスを小さなタスクに分けて、誰がどのタスクを担当するかを定めたアクションプランを設定すると、DXで行う業務の把握や推進に役立ちます。
例えば、DX研修を計画している場合、以下のようなアクションプランシートを作るとよいでしょう。
育成後には、実践でのアウトプットと、新しい知見を習得するインプットの繰り返しが欠かせません。一度学習した内容をもとにアクションプランを設定したとしても、後からプランの見直しが必要となるケースがあります。当初に設定したDXの目的を達成するためにも、PDCAサイクルを取り入れてアクションプランの設定、改善を繰り返し、完成度の高いDXを実現しましょう。
一般的な企業においては、DX人材を育成する機会はそれほど多くありませんでした。そのため、DX人材の育成を行っている企業でも、知識だけを学ぶ研修を実施するケースがほとんどで、具体的な成果につながっていないのが実情です。企業によってDX推進のために何を学ぶべきかが異なるため、DXに対する考え方を学習できる実践的な育成を行う必要があります。
DX人材育成を成功させるために必要な5つのポイントを解説します。
DX人材の育成は、育成そのものが目的になってしまうケースが少なくありません。研修の機会を与えられた育成対象者が、具体的なDX推進には関わっていないような例はさまざまな企業で散見されます。
DXの知識を習得させる研修に費用と時間をかけても、そこで人材育成を完了としている場合には、対象者は基本的な知識が身についただけで、実際の業務では有効に活用できていないかもしれません。単なる知識や正解を伝える研修を実施して終わるのではなく、DXに対する考え方を学べる研修を実施することが大切です。
考え方を修得できれば、自分の業務と紐づけてDXを理解でき、現場でその学びを活かせるようになります。これこそがDX推進の原動力になり得ます。
DX人材の研修後は、最初から大きなプロジェクトに取り組むのではなく、スモールステップで小さなプロジェクトへの取り組みから始めることが重要です。例えば、エクセルのチェック作業にRPAを導入してみたり、プロジェクトの広報活動にSNSツールを利用してみたりするなど、職場ごとの小さなDXプロジェクトなどに取り組み、業務改善や課題解決などの成功体験を積み重ねます。
こうした小さなDXに関する成功体験は、経営層やDX研修を受けていない社員などと共有できるメリットもあります。成功事例の共有によって、DXに対する社内の理解や関心が高まり、DX推進への体制強化が期待できるでしょう。
小さなDXプロジェクトは期間が短く難易度が低いものが多いため、成功につなげやすい点もメリットです。もし失敗した場合にも大きな損失は生じづらく、改善策を講じられます。
DX推進に関して、社内で支援体制を設けることも重要です。企業のDX推進は、本人の主体性に任せているケースが多くみられますが、これでは、担当者が研修を受けてから実際に変革が完了するまでには長い期間を要します。
DX推進を担当する従業員は、DXを進めている間にもDXの最新情報を学び続け、現場で活用し続けなければなりません。周囲の支援がない状況では、最新情報や現場の変化が生じたときにどうすべきか分からなくなるケースもあり、モチベーションを維持するのが難しい問題があります。
DX担当者に任せることに加え、社内全体で協力する意識を持ち、支援体制を設けることで、担当者の負担が軽減され適切なDX人材育成の実現につながります。
支援体制を設けるには、まずは経営層がDXの重要性をよく理解し、明確なビジョンを持たなければなりません。その上で、周囲の従業員との積極的なコミュニケーションや従業員教育などを行い、DX志向の企業文化醸成を進めていくとよいでしょう。また、予算の確保や専門スキルを持った人材の採用、外部パートナーとの提携なども、支援の重要な要素です。
さらに、DXに取り組む人材に対する、スキルや実績の評価も大切です。例えば、KPIの設定や定期的なフィードバック、パフォーマンスレビューなどを行えば、課題や改善点が見つかり、当初の目標設定を見直す機会を設けられるので担当者の新たな成長につながります。また、DXの成果そのものを評価することで、担当者のモチベーション維持にも役立ちます。
DX人材を確保する方法は、育成だけではありません。その他にも、以下の選択肢もあります。
情報処理推進機構の調査によると、デジタルビジネス推進企業では、DX推進を主導するリーダー層となる人材は内部で保有する傾向があります。
一方で、システムのデザインや実装を担当するUI/UXデザイナーやエンジニアに関しては、社内の人材を育成するだけではなく、外部人材も積極的に活用している様子がうかがえます。
このように社内人材の活用のみではなく、状況や不足している人材に応じて適切な解決策を検討することが重要です。
従業員の強みや興味に基づいて役割を割り当てることで、学習の効率や効果が高まり、さらに仕事に対するモチベーションも高まります。個人の適性に合わせた育成ができれば、イノベーションの促進にもつながるでしょう。IPAでは、DX人材に求められる資質について6つの適性因子を仮説として挙げています。
適性因子(仮説) | 概要 |
---|---|
不確実な未来への創造力 | 取り組むべき領域を自ら定め、新しい分野にも積極的に取り組み、目標とする未来を描いて挑戦する姿勢。現況を把握して課題を設定できる能力。 |
臨機応変/柔軟な対応力 | 計画通りのマネジメントではなく、外部状況の変化や現状を踏まえながら、目標に向けて適切に方向転換を行い進めていく姿勢。当初の計画にこだわりすぎず、臨機応変に対応する力。 |
社外や異種の巻き込み力 | 対立する周囲のメンバーを巻き込むだけでなく、外部とも多くの交わりを持って、自分の成長や変化にもつなげられる受容力。 |
失敗したときの姿勢/思考 | 一時的な失敗を、成功に向けた過程と受け取り、糧にする力。失敗を恐れず前に進み続ける姿勢。 |
モチベーション/意味づけする力 | 自ら解決したい・取り組みたい課題を明確にして自身の言葉で表現できる力、前向きに取り組みたいと感じられる姿勢。主体性や好奇心を持っている。 |
いざというときの自身の突破力 | 解決が困難な状況に陥った場合でも、あきらめずさまざまな方法を模索して、状況を改善するためにリーダーシップを発揮する姿勢。物事に取り組む際の責任感の強さ。 |
DX人材には最先端の専門スキルだけでなく、DXを推進していく上で欠かせない人間力も求められるため、既存社員にDX推進の役目を割り振る際には、適性因子を持ち合わせているかどうかの見極めも大切です。
【お役立ち資料】DXを成功に導く採用・育成・組織設計と成功事例
DXの具体的な施策は企業ごとにさまざまですが、どの場合にも共通して重要なポイントがあります。本資料では、DX推進を成功に導くステップやDX人材の採用・育成についてまとめた資料を無料で公開しています。これからDXに取り組む・DXにお悩みの方はご活用ください。
DX人材の育成に関して、以下の疑問や悩みを持っている方も多いでしょう。
それぞれの課題の解決策について解説します。
一口にDX人材と言っても、多様な職種や役割があるため、デジタル技術を習得させるだけでは不十分なケースが大半です。まずは自社がDXを推進する目的を明確にし、現在社員がどのようなスキルを持っているかを整理します。その上で足りないものを明確にし、どのような人材を育てるべきなのかを定めることが大切です。
自社だけでDXの目的や必要な人材を明確にできない場合は、外部コンサルタントの力を借りるのもひとつの方法です。
DX人材の育成方針が定まったとしても、どのように学習させればよいのかが分からないという企業も多いでしょう。DX人材を育成するには、次の方法があります。
社内にノウハウや知見がある場合は、自社独自の研修を設計し、社員に受講してもらう形での育成も行えるでしょう。しかし、必要なスキルを習得できる研修を自分たちで作れる企業はそう多くはないでしょう。その場合は外部への依頼が有効です。
e-learningであれば、あらかじめDX人材の育成に必要なカリキュラムが組まれた教材を使用できます。小テストや理解度チェックアンケートなども実施できます。また外、部のコンサルタントやDX推進ソリューションを活用すれば、必要な教育プログラムの企画から各種教育コンテンツの提供までを実施してもらえる場合もあります。
DX人材の育成が実務に活かせない例として挙げられるのは、座学を中心とした育成になってしまっているケースです。もちろん、座学で基礎知識やスキルを習得する取り組み自体に問題はありません。しかし、知識のインプットだけで実務に活かすのは難しいでしょう。OJT(実務を通し学習させる手法)を取り入れ、座学で学んだ知識やスキルを実務で活かす場を提供することが重要です。
自社での育成プログラム作成・実行が難しい場合は、外部の育成プログラムを活用する手段もあります。外部の育成プログラムを活用することでスキルや知識を体系的に学習できます。
以下は、パーソルイノベーションが提供する、DX人材育成サービス「TECH PLAY Academy」のプログラム例です。
1日目 | AIの基礎講義やオリエンテーション、ChatGPTの活用体験 |
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2日目 | DX概論や事例の学習、ビジネスモデル図解によるDXの分析 |
3日目 | ビジネスフレームワークの基礎や市場、自社の分析方法について |
4日目 | 顧客中心設計やペルソナに関する講義、インタビュー設計の重要性 |
5日目 | 差別化戦略をはじめとしたビジネス戦略設計の講義、プロダクトグロースステップ |
6日目以降は具体的な課題定義やプロジェクトマネジメントと続き、10日間で完了します。
上記のプログラムは一例で、各社の状況やお持ちの課題、目的などにあわせた、研修プログラムのカスタマイズが可能です。事前に研修プランをご提案するため、具体的にどのようなプログラムなのか確認してから研修をスタートできます。DX人材育成のプログラムにご興味がある方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
DX人材を育成する際に、外部の育成プログラムやセミナー・研修などを活用するときは、一部の補助金・助成金を活用することができます。最新の情報や詳細は各補助金・助成金に関するWEBサイトをご確認ください。
種類 | 概要 |
---|---|
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース) | 新たな分野で必要となる知識および技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成 |
DXリスキリング助成金 | 都内中小企業などが従業員に対して、民間の教育機関などが提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する職業訓練を実施する際に係る経費を助成 |
事業内スキルアップ助成金 | 都内の中小企業が従業員に対して実施する短時間の研修に対し、経費の一部を助成 |
地域産業リスキリング実践支援事業費補助金 | DX実践に向けた知識、技能の習得やデジタルリテラシーの向上など、社員のリスキリングを目的として実施する研修に要する経費を補助 |
秋田市デジタル人材育成支援事業補助金 | デジタルリテラシーを持った人材の育成を支援するため、講座などの受講や業務委託などに要した費用の一部を補助 |
DX人材の育成に取り組んでいる企業事例を紹介します。自社の人材育成の参考にしてください。
ダイキン工業株式会社では、自社にDX(AI)人材を育成する教育システムを構築しています。2017年に大阪大学などと連携して、企業内大学「ダイキン情報技術大学(DICT)」を設立しました。
DICTでは全職種の新入社員から選抜した人材を2年間教育することが特徴です。その他にも、管理職や経営幹部向けの講座も整備しています。
DICTの修了生は、営業、開発、製造などあらゆる部署に配属され、現場で実務経験を重ねながらスキルアップ・キャリアアップを目指します。
従業員同士による学び、変革への意識向上などの効果も出ており、ダイキンでは今後、自らテーマを企画して遂行できる高度なDX人材の育成を計画しています。
日清食品ホールディングスは、「DIGITIZE YOUR ARMS(デジタルを武装せよ)」をスローガンに掲げてDX人材育成を進めています。全社員のデジタルスキル向上を目指した取り組みが特徴です。
プログラミングの深い知識がなくてもアプリケーション開発ができる「ローコード開発ツール」を導入し、業務改善システムの開発を外部委託から社内での開発に切り替える社内体制を整えています。事業部門内でアプリケーションを開発し、実際に使用していることから、DXの推進にもつながっています。
DX人材を育成するには、まずは自社におけるDXの目的の定義が欠かせません。その上で人材要件の定義や育成対象者の選定へとステップを踏みましょう。担当者だけに任せるのではなく、社内全体で協力・応援するカルチャーを醸成し、支援体制を構築することも大切です。DX人材の育成を通して自社のDXを推し進めましょう。
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パーソルグループでは、「DX人材育成のプロセス全体像や企業が陥りがちな失敗事例と原因」「DX研修の再始動に向けて抑えるべきポイント」「DX人材育成を成功させるためのステップ」について徹底解説した資料を無料で公開しています。
DX人材の育成に取り組んでいるが、成果が出ずにお悩みの方はぜひご活用ください。
パーソルイノベーション株式会社
TECH PLAY company 事業責任者
武藤 竜耶
2011年、インテリジェンス(現、パーソルキャリア)に新卒入社し、約4年間デジタル人材領域の採用支援を担当。その後、デジタル人材領域の採用支援部門責任者として2年間部門立ち上げに取り組む。2017年に『TECH PLAY』にジョインし、現在はTECH PLAYの事業責任者として全体を管掌。