業務プロセス最適化の具体的な手順
業務プロセスの改善は以下5つのステップで進めると、効果的な改善ができます。それぞれのステップでどのような作業を行うか解説します。
STEP1.業務の可視化
最初に従来の業務プロセスとフローを可視化します。効果的に業務改善を行っていくためには、まずは現状の業務に潜んでいる課題を見つけ出すことが重要です。
業務プロセスがどのようになっているのかを、以下のような図で可視化してみましょう。
さらに、それぞれの業務フローについて、具体的に誰が何をしているのかを細分化していきます。
業務を細分化して可視化するコツは、以下の3点です。
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- 業務の手順を書き出す
- 作業の中身を書き出す
- 作業のパターンを書き出す
「受注処理」「経費精算」など、各種業務の手順を書き出し、具体的にどのように行っているのかを整理していきます。その後、担当者・取引先などによってパターンが変わる場合は、その内容を書き出していきましょう。
また、業務の可視化には関係者へのヒアリングも有効です。「現状何を課題だと感じているか」「何を改善すれば業務効率が良くなりそうか」などを、現場の担当者に聞いてみましょう。
ヒアリングは、できるだけ直接業務に関わらない、人事などの第三者に行ってもらうようにします。上司や経営者がヒアリングを行うと、業務上の不満や課題を率直に伝えにくく、実際の業務プロセスの把握ができなくなる可能性があります。
STEP2.課題の整理、方針策定
STEP1で可視化した業務を業務フローと業務プロセスに分けて整理しましょう。業務フローと業務プロセスを整理すると、どこに課題があるか、的確に判断しやすくなります。
ここまで書き出すことで、既存業務にばらつきが生じている部分や、非効率になっている部分を把握しやすくなります。問題点が明確になれば、的を射た改善策を講じやすくなります。
例えば以下のような課題が、業務プロセス全体のボトルネックになっていることがあるでしょう。
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- 電話受注によって入力とチェックの手間が発生しており、業務を滞らせている
- チェックリストが大量に出力されているため、仕訳が煩雑になり、業務に時間がかかっている
それらを、このようなシートに整理していきます。
受注処理業務における課題分析例
課題を把握するためには、目に見えている課題だけではなく、その根本にある原因まで分析を行うことが大切です。
たとえば、「従業員の残業が多い」といった課題一つとっても、原因は複数考えられます。「人員が足りていないのか」「マニュアルができていないのか」「業務効率が悪いのか」など原因によって対処方法は異なります。業務プロセスを整理することで、どこに原因があるのか、より正確な判断がしやすくなります。
また課題を整理する際は、「ECRS(イクルス)の原則」が役立ちます。ECRSとは、効果的な業務改善のために考えられた原則で、「Eliminate(排除する)」「Combine(結合する)」「Rearrange(交換する)」「Simplify(簡素化する)」のステップで課題解決を図るフレームワークです。
「なくしても問題のない業務はないか(E)」「他の業務担当が行っていることを一つにまとめられないか(C)」「作業行程を入れ替えることで、効率化できないか(R)」「作業を今より簡単にできないか(S)」という視点で改善案を考えてみましょう。
なお、「E>C>R>S」の順に業務改善の効果が高いとされています。業務改善計画の優先度を決める上でも活用できます。
STEP3.実行計画策定
STEP2で決めた方針に基づき、実行計画を作成します。具体的にはタスクを洗い出し、実行スケジュールを定め、必要に応じて、実施のための体制づくりまで行います。
このとき、それぞれの業務フローで「誰が・何のために」行うのか、「事前にどのような作業が必要か」確認しておくことが、効率化を図るためには大切です。
業務プロセスはいくつもの業務が絡みあっているため、一つのフローを改善することで、別のフローにも影響が出てきます。全体の業務プロセスを俯瞰し、それぞれの業務フローにマイナスの影響が出ていないか、具体的にイメージしながら計画策定をすることが大切です
営業事務:受注処理業務の実行計画例
STEP4.計画実行
STEP3で立てた計画を実行しましょう。後のSTEP5にも関係しますが、業務改善の効果を測るための体制づくりも必要です。
たとえば、評価シートや業務フローの可視化ができるツールを使って、成果と課題を記録・整理しましょう。
STEP5.振り返り
計画実行の結果を振り返り、PDCAサイクルを回していきます。必要があればステップ2や3に戻り、改善を繰り返します。
業務プロセス改善は1回でうまくいくことは少ないため、長期的な目線で改善を繰り返すイメージで取り組みましょう。改善したように思えても、隠れた「ムダ」が存在する場合があります。
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