2022年03月25日
2024年02月02日
「自社の業務プロセスに対して課題を感じているが、可視化・最適化の具体的な手順がわからない」という悩みを抱えてはいないでしょうか。
多くの企業が働き方改革の一つとして、業務プロセスの改善に着目しています。業務プロセスを改善し効率化することができれば、業務品質が向上し、業務工数の削減や労働生産性の向上にもつながります。
本記事では、業務プロセスを最適化する目的や、見直し・改善の具体的な手順について解説します。
業務プロセス改善に役立つ「業務整理ノウハウBOOK」をご覧いただけます
働き方改革、労働力不足が加速する中、企業における生産性向上への意識が高まっています。テレワークなど多様なはたらき方の導入も求められるようになった今、職場環境の課題は把握できているでしょうか?
BPRや業務改善をご検討中の方に向けて、これまでパーソルグループが業務改善コンサルティングの現場で培ったノウハウを基に作成した『業務整理ノウハウBOOK -業務の見える化チェックシート付き』をお届けします。
改善アラートチェックリストや、具体的な業務整理のステップ、改善の進め方やコツについて解説していますので、ぜひお役立てください。
目次
業務プロセスとは「特定の業務の開始から終了までの一連の業務の流れ」のことを指します。企業規模や業種にもよりますが、企業における業務は複数の業務がそれぞれに関係しあっています。
たとえば、売りたい商品があるとします。実際に「売る(販売)」ためには、まずは商品を「作る」必要があります。このとき「作る(製造)」と「売る(販売)」の業務が連動していますが、業務プロセスは、この前後の流れをすべて含んだものを指します。
業務プロセスと似た言葉に業務フローがあります。業務フローとは「業務開始から終了までに必要な細かい業務手続きの流れ」を指します。業務プロセスは、業務フローよりも大きな流れを指します。
前述の例でいうと、「作る」などの業務内における一連のタスクや手続きが業務フローで、各種業務の一連の流れが業務プロセスを意味します。
製造業での業務プロセスの例を示します。
上記のように、商品を「作る(製造)」ための材料の仕入れや、商品を「売る(販売)」度に、お金の流れを管理・記録する「財務・経理」が絡みます。また、より良い商品を「売る(販売)」ために「研究・開発」を行うこともあるでしょう。このように業務プロセスは、いくつもの業務が絡み合って構成されています。
製造業で製品を作る際の業務プロセスの例を示します。
なお、このような業務プロセス全体を見直すことは、BPR(Business Process Reengineering)とも呼ばれます。
詳細は後ほども解説しますが、業務フローを部分的に改善するだけでは、現状の課題を解決できないこともあります。そのため業務プロセス全体を根本から見直し、各フローや組織、情報システムなどを再構築する企業も多いのです。DXを推進している企業にて行われるケースもよくあります。
関連記事:BPRとは?意味やメリット・必要性をわかりやすく【事例あり】
業務フローや業務プロセスの改善にお困りではありませんか?
・業務効率に課題を感じているが、何をどう変えれば良いのかが分からない
・現状のボトルネックを特定し、本質的な業務改善を行いたい
・組織の生産性を高めたいが、何から手を付ければ良いのかが分からない
このような企業に向けて、パーソルグループが業務改善コンサルティングの現場で培ったノウハウを基に作成した『業務整理ノウハウBOOK -業務の見える化チェックシート付き』をお届けしています。
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業務プロセスを見直すことで得られる主なメリットに、以下の3つが挙げられます。
それぞれの詳細について見ていきましょう。
業務プロセスの見直しは、業務効率化や生産性の向上につながります。
たとえば、従来紙ベースで行っていた書類の管理・やりとりを電子化すると、回覧・承認といった作業の効率化や、手入力による記入漏れなどの人的ミスの削減が期待できます。また、データ上で書類が管理できれば、管理工数も削減されると同時に、過去の書類検索なども容易になり、効率化を図ることができます。
業務プロセスを見直すことで、業務の効率化が叶うだけでなく、本来の業務へ注力できるようになり、生産性向上にもつながるのです。
業務プロセスの見直しは、DXの促進にも効果的です。2018年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」※を公開したように、現在DX推進は企業において重要な課題となっています。
※「デジタルガバナンス・コード」と「DX推進ガイドライン」が統合され、2022年9月に「デジタルガバナンス・コード2.0」が公表されました。
▼DXとは
データやデジタル技術(=Digital)を用いて既存のビジネスやプロセスに変革(=Transformation)を起こし、競争力を強化することで売上や利益を向上させたり、競合よりも有利に採用を進めたりすること
既存の業務プロセスや企業文化を維持したままのDXでは、抜本的な変革を行うことができないため、DX推進においても、まずは業務プロセスの見直しに取り組むべきとされています。
たとえば「従業員をコア業務に注力させたい」という課題に対して「システムやツールを導入し解決しよう」と考えたとします。しかし、既存プロセスをもとにしたシステム導入では、そもそもの業務プロセスに課題や見直すべき点があった場合、根本的な解決とはなり得ません。
このように、システム化やツールの導入よりも前に、まずは業務プロセス自体を変革させていくことが、DXを推進するために有効なケースもあるのです。
関連記事「DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?具体例や必要性をわかりやすく解説」を見る
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DXを成功させるためにはデジタル人材の採用や社内教育、組織改革が必須です。本資料では企業の成功事例をもとに、具体的な取り組みや実施のポイントを解説します。
業務プロセスの見直しは、リスクマネジメントにおいても効果的です。業務プロセスが属人化していると、業務フローが不透明になり、作業効率が低下するだけではなく、担当者の異動・退職時に引き継ぎが行えなくなるといったリスクが考えられます。
しかし、業務プロセスを見直し、マニュアル化するなど、誰でもできるような業務フローを構築できれば、属人化のリスクを抑制できます。
業務プロセスの改善は以下5つのステップで進めると、効果的な改善ができます。それぞれのステップでどのような作業を行うか解説します。
最初に従来の業務プロセスとフローを可視化します。効果的に業務改善を行っていくためには、まずは現状の業務に潜んでいる課題を見つけ出すことが重要です。
業務プロセスがどのようになっているのかを、以下のような図で可視化してみましょう。
さらに、それぞれの業務フローについて、具体的に誰が何をしているのかを細分化していきます。
業務を細分化して可視化するコツは、以下の3点です。
「受注処理」「経費精算」など、各種業務の手順を書き出し、具体的にどのように行っているのかを整理していきます。その後、担当者・取引先などによってパターンが変わる場合は、その内容を書き出していきましょう。
また、業務の可視化には関係者へのヒアリングも有効です。「現状何を課題だと感じているか」「何を改善すれば業務効率が良くなりそうか」などを、現場の担当者に聞いてみましょう。
ヒアリングは、できるだけ直接業務に関わらない、人事などの第三者に行ってもらうようにします。上司や経営者がヒアリングを行うと、業務上の不満や課題を率直に伝えにくく、実際の業務プロセスの把握ができなくなる可能性があります。
STEP1で可視化した業務を業務フローと業務プロセスに分けて整理しましょう。業務フローと業務プロセスを整理すると、どこに課題があるか、的確に判断しやすくなります。
ここまで書き出すことで、既存業務にばらつきが生じている部分や、非効率になっている部分を把握しやすくなります。問題点が明確になれば、的を射た改善策を講じやすくなります。
例えば以下のような課題が、業務プロセス全体のボトルネックになっていることがあるでしょう。
それらを、このようなシートに整理していきます。
課題を把握するためには、目に見えている課題だけではなく、その根本にある原因まで分析を行うことが大切です。
たとえば、「従業員の残業が多い」といった課題一つとっても、原因は複数考えられます。「人員が足りていないのか」「マニュアルができていないのか」「業務効率が悪いのか」など原因によって対処方法は異なります。業務プロセスを整理することで、どこに原因があるのか、より正確な判断がしやすくなります。
また課題を整理する際は、「ECRS(イクルス)の原則」が役立ちます。
ECRSとは、効果的な業務改善のために考えられた原則で、
「Eliminate(排除する)」
「Combine(結合する)」
「Rearrange(交換する)」
「Simplify(簡素化する)」
のステップで課題解決を図るフレームワークです。
「なくしても問題のない業務はないか(E)」
「他の業務担当が行っていることを一つにまとめられないか(C)」
「作業行程を入れ替えることで、効率化できないか(R)」
「作業を今より簡単にできないか(S)」
という視点で改善案を考えてみましょう。
なお、「E>C>R>S」の順に業務改善の効果が高いとされています。業務改善計画の優先度を決める上でも活用できます。
STEP2で決めた方針に基づき、実行計画を作成します。具体的にはタスクを洗い出し、実行スケジュールを定め、必要に応じて、実施のための体制づくりまで行います。
このとき、それぞれの業務フローで「誰が・何のために」行うのか、「事前にどのような作業が必要か」確認しておくことが、効率化を図るためには大切です。
業務プロセスはいくつもの業務が絡みあっているため、一つのフローを改善することで、別のフローにも影響が出てきます。全体の業務プロセスを俯瞰し、それぞれの業務フローにマイナスの影響が出ていないか、具体的にイメージしながら計画策定をすることが大切です。
STEP3で立てた計画を実行しましょう。後のSTEP5にも関係しますが、業務改善の効果を測るための体制づくりも必要です。
たとえば、評価シートや業務フローの可視化ができるツールを使って、成果と課題を記録・整理しましょう。
計画実行の結果を振り返り、PDCAサイクルを回していきます。必要があればステップ2や3に戻り、改善を繰り返します。
業務プロセス改善は1回でうまくいくことは少ないため、長期的な目線で改善を繰り返すイメージで取り組みましょう。改善したように思えても、隠れた「ムダ」が存在する場合があります。
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業務プロセスを改善するには、日常業務の洗い出しや整理が必須です。本資料ではコンサルタントが現場で得た事例をもとに、業務を書き出すステップやポイントを具体的に紹介します。
業務プロセス改善を成功させるポイントは、以下の3つです。
これらのポイントを押さえることで、業務プロセス改善で成果を得やすくなります。
改革の意義を現場の担当者に理解してもらうことで、業務プロセスの改善は円滑に進むようになります。
担当者は、現在のやり方に愛着があったり、変化に抵抗があったりするかもしれません。そうした事情を考慮せず、説明無しで一方的に推し進めようとすると、現場から反対や不満、懸念の声が生まれるリスクがあります。
そのため、業務プロセスの変更がどのような事情で行われ、どのような変化をもたらすのかを説明することが重要です。その際には、「労働時間の短縮につながる」「有給が取得しやすくなる」など、業務プロセス改善によって得られるメリットを具体的に説明するようにしましょう。メリットが明確であれば、担当者から理解・協力を得やすくなります。
現場の担当者に対して定期的にヒアリングし、得たフィードバックを改善につなげていくことも重要です。
業務プロセスの変革をすると、変化に慣れるまでの間に現場の担当者は多くのストレスを感じます。また、従来のやり方との違いに戸惑い、混乱が生じることも少なくありません。
こうした問題への対処法は、適切なフォローをしていくことです。「業務の変更によって生じている問題は何か」「うまくいっている点は何か」など、現場の実態を把握することを心掛けましょう。
課題が生じているのであれば、業務内容を修正する、適宜サポートをするなどして、改善に努めます。
現場をしっかりとフォローしていくことで、新しい業務プロセスがスムーズに定着しやすくなります。
業務プロセス改善は、実施後に一定の成果が得られたとしても、見直しを続けることが大切です。現場からのフィードバックを反映して一度改善したとしても、時間が経過して状況が変化していく中で、新たな問題が生じることもあります。
そうした変化に対応するため、定期的に業務プロセスの見直しを行いましょう。その際に問題や課題が発覚すれば、再度改善策の立案をして実行に移します。実行後は効果測定をし、改善の余地がないかを確認していくことが大切です。
つまり、業務プロセス改善にはPDCAを意識することが重要です。「計画→実行→評価→改善」のサイクルを繰り返し回し、業務プロセスの最適化に努めることで、理想的な成果を得やすくなります。
中小企業庁の中小企業白書(2018年版)によると、業務プロセス見直しを行うにあたっての課題として次のようなものが挙げられています。
このような課題の改善には、ITツールや外部サービスの活用がおすすめです。どのような手法があるか、次で紹介します。
RPAとは「Robotics Process Automation」の略語で、「ロボットによる業務自動化」のことです。
たとえば、以下の業務に対してはRPAが適用可能です。
労働力不足の解消や、ヒューマンエラーを回避する上でもRPAは効果的です。RPAの活用により、業務プロセスが効率化することで、従業員が付加価値の高い業務に集中できるようになります。たとえばデータ入力やリスト作成などRPAの得意とする業務フローがあるようであれば、導入を検討してみると良いでしょう。
中長期的に安定した業務体制を構築したい場合や、定型業務を採用や教育の工数は極力かけずに進めたい場合はBPOの導入を検討しましょう。BPOとは、「Business Process Outsourcing」を意味し、自社の業務プロセスの一部を外部に業務委託する方法です。
経理業務や受発注業務など、定型化しやすい業務に導入することで、高い効果を発揮します。
関連記事「BPOとは?アウトソーシングとの違い、事業内容や具体例を簡単に解説」を見る
BPO導入のポイントと活用事例BOOK【チェックリスト付き】
BPOでは委託先企業の専門的知見を活用できるため、業務の効率化につながります。本資料では、総務・経理・営業事務など部門ごとにBPOの活用事例と導入ポイントを解説します。
社内に業務プロセスの改善ノウハウがない場合や業務プロセス自体が整理しきれない場合には、業務改善コンサルティングを活用することも選択肢の一つです。
業務改善コンサルティングでは、現状調査・分析を行い、業務プロセス上の課題を整理した上で業務改善案の提案を行います。業務改善の実施やPDCAサイクルを回すところまで行うため、大幅な業務効率の改善効果が期待できます。
業務プロセスの改善に成功した事例を通じて、自社でどのように業務改善プロセスを改善できるか検討していきましょう。
旅客業界A社が、新システム導入のために導入フローをマニュアル化した事例を紹介します。
課題 | プロジェクトの推進に関わる拠点が、欧州・アジア・日本の3箇所に分散しており、連携が容易ではなかった |
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施策 | マニュアル作成・共有ツールを活用し、画像や動画の共有を促進 |
成果 | 新システムの導入プロジェクトが円滑に進行し、情報共有プラットフォームの構築に成功 |
情報共有プラットフォームの構築により、業務プロセスの効率化を達成しています。
地方を拠点とする小売業界B社が、業務効率化を実現した事例を紹介します。
課題 | より大手のチェーン店の競合他社と激しい競争を余儀なくされており、一層の業務効率化が必須であった。しかし、従業員の危機意識が低いことにも課題を感じていた。 |
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施策 | 業務プロセス改善は従業員と企業双方にメリットがある旨を、従業員に根気強く説明し続けた。そして、店舗作業の中心を占める荷受・品出し・補充、およびレジ作業をメインに、業務プロセス改善を進めた。 |
成果 | 業務プロセス改善のため、作業計画を立案し、現状を理想に近づけるよう改善策を実施し続けた。その結果、1年間で人件費を8%から14%に削減できた。 |
業務プロセス改善は従業員にもメリットがあることを根気強く説明し、従業員のやる気に火をつけたことが、成功の要因と言えるでしょう。
業務プロセスを改善するためには、業務プロセスを構成する業務フローを可視化し、課題分析を行うことが大切です。
また、自社の状況に合わせてRPAなどのツールやBPOを導入することも有効です。
課題に合わせ計画を実施するだけではなく、適宜見直しを行い、改善を繰り返すことで、外部環境の変化にも柔軟に対応していきましょう。
業務プロセス改善に役立つ「業務整理ノウハウBOOK」をご覧いただけます
働き方改革、労働力不足が加速する中、企業における生産性向上への意識が高まっています。テレワークなど多様なはたらき方の導入も求められるようになった今、職場環境の課題は把握できているでしょうか?
BPRや業務改善をご検討中の方に向けて、これまでパーソルグループが業務改善コンサルティングの現場で培ったノウハウを基に作成した『業務整理ノウハウBOOK -業務の見える化チェックシート付き』をお届けします。
改善アラートチェックリストや、具体的な業務整理のステップ、改善の進め方やコツについて解説していますので、ぜひお役立てください。
A.業務プロセス改善を成功させるポイントは、次の3点です。