業務可視化とは?進め方を3ステップで解説【フォーマットあり】

「生産性が落ちている」「業務効率化を図りたい」など、業務の見直しや改善を検討している場合には、業務可視化による問題点の把握が欠かせません。業務可視化では、部門の業務を見直し、洗い出すことで、今まで把握できていなかった課題を明らかにします。

本記事では、業務可視化の概要から実際の進め方、注意点まで解説します。

【コンサルタント監修】業務可視化に役立つノウハウを無料公開中

人材不足が深刻化している現代において、社員一人ひとりの生産性を向上させることが企業に求められています。

・業務を可視化して生産性を上げたい
・業務を改善して、全体の効率化を図りたい

そのような方に向けて、業務改善コンサルタントが教える【業務整理ノウハウBOOK】を公開しています。
具体的な業務整理のステップ、改善の進め方やコツについて解説していますので、ぜひお役立てください。

資料をダウンロードする(無料)

目次

業務可視化とは?

業務可視化とは、業務がどのように行われているかを見えるようにし、すべての従業員が把握できるようにすることです。業務に関係する人材やシステム、データをすべて洗い出し、洗い出した業務の中で無駄になっている箇所を確認し、工程の変更や削減することで業務の最適化を図ります。

可視化によって自社業務の全体像を把握できることから、現在発生している課題や無駄な業務なども明らかにできます。

業務可視化の目的

業務可視化の目的は、無駄な業務を洗い出し、業務の工数を削減することです。自部門が抱える業務を徹底的に洗い出すことで、不要または重複している工数を見つけることができます。

業務の可視化は業務改善や標準化など、社内の業務改革には必須の工程です。例えば、業務標準化とは「従業員が最適な手順で仕事に取り組めるように業務の流れを決めていく改革」を指しますが、業務の流れを決めるためには、最初に業務を可視化する必要があります。業務改善においても同様で、まず自部門がどんな業務を抱えているかについて洗い出さなければいけません。

このように、業務の可視化は社内改革の第一歩となる工程です。全社的な業務改善を行っていない場合でも、業務可視化は自部門の業務を見直す機会になるためオペレーションが変わっていく効果も見込めます。

【無料DL】業務可視化の方法と平準化のステップ

業務可視化は、属人化を解消し社員の負担を減らすために実施されます。本資料では、業務可視化のステップに加えて、業務の割り振り方やマニュアル化のコツなども詳しく解説します。

資料ダウンロードはこちら

業務可視化の進め方

業務を可視化する際には、業務の現状と問題点を把握することが重要です。本章では、業務を可視化するための3つのステップについて解説していきます。

    1. 業務内容を洗い出す
    2. 改善点を洗い出す
    3. 業務フローと改善点を共有する

1.業務内容を洗い出す

まず、どの部門の、どの業務を可視化の対象とするか決め、現在行われている業務をすべて洗い出します。その後、業務内容や流れをひと目で確認できるように業務内容を整理しましょう。業務を整理する場合は業務を担当部署や内容などで分類し、体系的にまとめることが重要です。体系的にまとめておくことで、関連する業務やタスクをもれなく把握ができ、一連の業務で効率化への取り組みを行うことができます。

業務の洗い出しで重要なことは、漏れなく洗い出さなければならないということです。例えば営業事務の場合「受注処理」とひとことで言っても、次の例のように細かな手順があるはずです。

業務を書き出す時はこの粒度まで細かく洗い出す必要があります。どこまで洗い出せばよいか分からない場合、「一覧表を読んで、他の担当者以外が作業を代行できるか?」という基準を設けてみましょう。

また、業務を洗い出す際のポイントをいくつか紹介します。合わせて参考にしてください。

現場メンバーにヒアリングを行う

複数の部署が関わる業務の場合、関係者全員にヒアリングとアンケートを実施しましょう。現場では、個別の対応は全従業員で情報共有されることなく、属人化してしまっている場合もあります。 一部の従業員しか把握していない作業パターンまで正確に書き出し、可視化につなげていくことが重要です。

洗い出した内容は、抜け漏れがないかを誰が見ても理解できるレベルまで詳細に記載します。抜け漏れを防ぐため、毎日の業務や毎月の業務を時系列に挙げていき、年間の業務スケジュールなども利用しましょう。

洗い出し業務を分担する

洗い出し業務は、マネージャーが「受注処理」などの項目を洗い出し、現場メンバーが細かな手順を記入する、という座組で進めると抜け漏れが少なくなります。現場の実情に詳しいメンバーが作業内容を書き出すことによって、作業内容に関する認識のズレが起きにくくなります。

作業のパターンまで書き出す

顧客の興味や関心に応じて対応を変える必要がある作業など、条件によって作業パターンが存在する場合には、各パターンの作業内容をすべて書き出します。人によって手順や工程が異なる場合も別のパターンとして追加していきましょう。パターンを網羅できることで作業内容の細分化を徹底して行うことができます。

例えば、注文の入力に関しても電話での問い合わせ内容を手動で端末に入力しているパターンと、Webフォームからの問い合わせが自動で受注データとして端末に入力されているパターンなどが考えられます。電話からのお問い合わせの場合は、注文内容をメモに手書きをしてそれを基に端末に入力するというアナログ処理が行われていることを実情を確認することができます。

2.改善点を洗い出す

作業内容やパターンを把握し、書き出すことができたら、業務に関わる部署やメンバーで改善点を洗い出していきます。改善点を洗い出す際には業務の問題を引き起こしている根本的な課題を見つけ、改善していく必要があります。

改善策を考える際には「改善の8原則」という観点から見直しを行うことが効果的です。上から順に業務を振り返りながら、最適な方法を考えていきます。

原則 改善内容
1.廃止 やめてしまうことができないか
2.削減 回数や量、頻度を減らせないか
3.容易化 もっと作業がしやすいよう、簡単にできないか
4.標準化 ルール化して、統一できないか
5.計画化 もっと計画的に、短い時間でできないか
6.分業分担 仕事の負荷や、スキル・経験は適正か
7.同期化 もっと平準化し、まとめてできないか
8.機械化 デジタル化・自動化できないか

改善のためにすぐ新たなシステムやツールを入れるのではなく、まずは「作業量自体を減らせないか?」「改善できないか」といった視点から検討しましょう。

また、業務の一部分だけをRPA化(自動化)するなど場当たり的に改善してしまうと、かえって非効率になるケースもあります。改善点を考える場合は、業務フロー全体を見返しながら、改善する業務を検討しましょう。

3.業務フローと改善点を共有する

改善点が明確になれば業務フローの再設計を行いましょう。改善点や作成した業務フローを共有する場合は詳細に記述し、担当者以外でも理解ができるレベルまで落とし込みます。

また、改善すべき点を洗い出した後は、改善策をいつまでに実行するのか、段階的なスケジュールを立てましょう。一度にすべての改善を行うことが難しく優先度をつける際には「現状の業務における負担がどれくらい大きいか」や「改善することにより業務がスムーズになる全体として効率化につながるか」などを基準にすると良いでしょう。

共有した業務フローは、完成後も必ずフローの見直しと更新を行いましょう。最適化されたフローも、実際の現場で使用してみると、スムーズにいかない部分や、実態に適していない状態になることが想定されます。そのため、業務フローは運用しながら定期的に振り返りを行い、マニュアルと合わせて更新するようにしましょう。

業務整理をする際の注意点

業務整理を行う際には、業務の細分化などいくつかの注意すべき点があります。ここでは3つのポイントを紹介します。

すべての業務を細かく洗い出す

前述のとおり、業務可視化を成功させるためには、業務を細かい部分まで正確に洗い出す必要があります。洗い出す際に詳細まで行わず分解の粒度が荒いと、業務整理の精度も低く、作業に関する情報が不十分となり結果的に担当者しかその作業を行えないといった状況になってしまいます。

業務の洗い出しは、これ以上はもう細かく分解できないといったレベルまで、徹底して細かく行いましょう。業務の可視化ではすべての業務を一つひとつの工程や作業にまで分解していきます。抜け漏れがないように、上記の手順通りに全体像を把握してから細かい部分を洗い出しましょう。

作業の分解は、作業の流れが把握できる「FL6:要素作業(手順)」の単位を基準に行うと、作業の再現性や代替性が高いものになります(下図)。洗い出しを完全に終わらせるには時間がかかるため、1カ月や2カ月程度では完了しないものと考え、あらかじめ余裕をもったスケジュールを立てておきましょう。

まずは実施してみる

業務可視化を検討していても、どこから手をつけるべきか考えすぎてしまい、なかなか進められないこともあります。可視化を実際に行っていく中で、どのように進めることができるかが明確になってくる場合もあるため、まずは質を気にせずに実施してみましょう。一度で成功させるのではなく、実施した内容をあとからブラッシュアップしていく方向で考えることが重要です。

業務可視化は、短期的な取り組みではなく、長期的に繰り返し実施することによって効果が得られます。まずは一回目の期限を決めて業務の可視化を開始し、改善点を書き出して改善策を実施します。一度実施した内容を活かしてブラッシュアップし、ます。このようなPDCAサイクルを回すと、継続的に改善しながら業務の洗い出しが行えます。

PDCAサイクルを回す

業務可視化を実施して業務を改善し、すべての従業員で情報を共有したとしても、情報は古くなってしまうため、改善された業務内容が常に現在の状況に当てはまるとは限りません。社内で活用できる情報資産を共有し続けるためには、Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(改善)を繰り返すPDCAサイクルを回して、常に更新しましょう。

また、数カ月に一度、半年に一度など定期的に見直して、業務一覧表を更新し、改善し続けていくことで、業務可視化の効果を維持することが可能です。定期的な見直しに使用される業務改善のフレームワークには、KPT法があります。

KPTとは「Keep(継続)・Problem(問題)・Try(トライ)」です。業務を振り返って「続けること」「やめること」を書き出してから、書き出した内容をもとに改善を検討する手法がKPT法です。組織の業務効率化につながる資産を維持するために、KPT法等を活用して定期的な見直しと改善を行っていきましょう。

【無料DL】業務整理ノウハウBOOK -見える化チェックシート付き

「どこまで業務を洗い出せばいいの?」と悩んでいる方向けの資料です。業務改善コンサルタントが現場の具体例をもとに、業務を洗い出す方法を3つのポイントから解説します。

資料ダウンロードはこちら

まとめ|業務可視化は生産性向上への第一歩

業務可視化では、業務を分解して詳細まで把握できるようにするとともに、改善点の洗い出しも行います。業務内容や改善点を洗い出すことにより、効果的な業務改善が期待できます。改善された業務フローなどは社内で共有し、PDCAサイクルやKPT法によって改善内容を継続的に更新していくことが重要です。

インタビュー・監修

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
プロダクト統括部 Bizer team部 ゼネラルマネージャー 兼
Bizer株式会社 代表取締役

畠山 友一

富士通、リクルート、ネウスウェイ、グリーを経て2013年10月にBizer株式会社を設立。
2019年1月にパーソルプロセス&テクノロジーに株式譲渡。「Bizer team」を活用し、数多くのバックオフィス改革や成長し続けるチームの支援に従事。