2023年08月10日
2025年02月07日
少子高齢化や労働人口の減少が著しい現代において、企業が競争力を高めて行くためには、デジタル技術を活用し新たなビジネスモデルを創出する「DX推進」への取り組みが不可欠です。しかし、DX化への取り組みにはさまざまな課題が生じます。
これらの課題の原因には、人材不足だけでなく、経営陣のコミュニケーション不足やシステムのレガシー化など、さまざまな要素があります。多くの課題がある中でもそれぞれの問題の原因を理解し、対策を講じていけば、DXを円滑に推進していけるようになるはずです。
本記事では、DX推進を阻む課題や解決策、他社の取り組み事例などについて具体的に解説します。
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多くの企業では、DX人材の育成において「即戦力となるDX人材が不足している」「自社に合ったプログラムが無い」「研修成果が不透明」といった課題を抱えています。
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目次
DXはデジタルトランスフォーメーションと呼ばれ、デジタル技術や最先端のテクノロジーを活用して、企業における業務やビジネスモデルなどに変革をもたらすことを意味する概念です。
DXは以下の3種類に大別でき、それぞれの取り組みとしては次のようなものが挙げられます。
内容 | 取り組み例 | |
---|---|---|
①プロセスDX ”仕事のやり方を変える” |
従来の業務プロセスにデジタル技術を活用 ➝業務効率化・業務改善を実現 |
・業務の可視化 ・業務の自動化 ・業務ナレッジ共有化 |
②ワークスタイルDX ”はたらき方を変える” |
はたらく環境にデジタル技術を活用 ➝時間や場所の制約を減らし、多様なはたらき手を受容して活躍機会を増やす |
・テレワーク推進 ・タレントシェアリング ・EX(従業員体験)向上 |
③ビジネスDX ”新しい事業を生み出す” |
デジタル技術を活用 ➝新たな事業創造や既存ビジネスモデルの変革に取り組む |
・新規事業の開発 ・ビジネスモデルの変革 |
【関連記事】DXとは?意味や取り組み内容・メリットをわかりやすく
パーソルホールディングスが公表した「DX推進に関する最新動向調査レポート」によれば、「DX推進にどの程度課題を感じているか」との問いに対し、全体の約5割が課題を感じていると回答しています。
また同調査では、「DX推進について取り組みの障壁は何か」との問いに対し、以下のような回答が得られました。
【よくある課題】
このように、DX推進においては社内外でさまざまな問題が発生します。 特に「推進のためのスキルを有する人材を育成できない」と答えた企業が全体の21.1%、「社内のITリテラシーが不十分」との回答が19.9%を占めました。
ここからは、上記のアンケートで得られたよくある課題に絞って、詳細や解決策を解説していきます。
DX推進に取り組む企業の多くが人材不足に課題を感じています。データを活用した業務改善プロジェクトを進めたり、マーケティング戦略の立案を行ったりするには、ITの知識や利用経験・組織をマネジメントする力などが求められます。そういったスキルを持った人材が不足している企業が多いのです。
人材を社内で十分に育成できない理由としては、IT人材育成のノウハウを蓄積できていないケースが考えられます。IT戦略の立案や推進を外部企業へ委託していたケースでは、自社にノウハウを蓄積できず、それゆえに人材も育成できません。
また、DX推進を行う上で活躍できる人材は、デジタルテクノロジーに関する理解を十分に持ち、さらに持っている知識をビジネスにおいてどのように活用できるかを考えられる必要があります。しかし、市場においてもこのようなスキルを兼ね備えている人材は多くありません。
そのため詳しくは後述しますが、DX人材を確保するために、以下のような手段を講じる必要があります。
いずれにしても、まずは自社に必要なDX人材とは何か、どのようなスキルを持つ人材が不足しているのかを明確にする必要があります。そのうえで、採用や育成を行う場合は長期的な計画を立てて取り組みましょう。
【関連記事】DX人材とは?役割や求められるスキル・獲得方法【事例あり】
ITリテラシーとは、ITや情報を適切に扱える知識や能力を指します。
DXを推進して業務の効率化や構造の変革を果たす上では、前提としてIT技術の活用が必須です。
例えば業務効率化を進めるための最新のツールを使いこなしたり、マーケティング活動を加速させるためにデータを活用したりすることが求められます。
しかしIT人材の不足により、例えば以下のような問題がよく起こっています。
従業員それぞれのITリテラシーが低いと、いかにDX戦略を組み立てたとしても、肝心の実行が行えず取り組みが滞ってしまうケースもあるでしょう。
ITリテラシーには以下のような種類があるため、自社に不足しているものは何かを洗い出してみましょう。
外部の社員研修サービスなどを活用し、従業員全体のITリテラシーを高めるという方法もおすすめです。
【関連記事】ITリテラシーとは?低い場合の問題点・高める方法を解説
DXを推進するには、ITツールの導入や、それによる顧客データ・社内データの利活用などが必要です。
クラウドシステムが活用されるようになったり、リモートワークが導入されるようになったりしたことで、これまで以上にセキュリティ対策に慎重になる企業も多いでしょう。
セキュリティ対策が甘く情報漏洩を起こすと、企業の信頼が失われてしまう可能性があるため注意が必要です。
対策としては以下のような方法があります。
「セキュリティ人材」と一言でいっても、求められる専門知識やスキルは非常に幅広く、巧妙化・複雑化している脅威に対処するためには経験も必要になります。
また、企業や組織によって活用するデータや守るべき情報等が異なるため、事前に計画を立ててからセキュリティ対策に取り組む必要があります。難しいと感じる場合は、専門家に頼るのも一つの手でしょう。
組織体制や社内環境が整備されていないと、スムーズにDX推進ができません。組織体制や社内環境の課題は、部門ごとに異なり、経営陣、IT部門、現場部門の3つに分けられ、各部門でどのような課題があるかを把握する必要があります。
また、課題を解決するためには、それぞれのリーダーが課題と正面から向き合い、部門ごとで解決することが重要です。部門別に想定される課題を紹介します。
経営陣が「DXで何を成し遂げたいのか、どのように推進していきたいのか」といったビジョンを明確に示していない場合、DXはなかなか進みません。また、テクノロジーを活用して企業を成長させて行くには、必ずビジネス上の目標設定が必要になります。経営陣がいかに顧客視点に寄り添いビジョンを考えることができるかが重要です。
そもそも、経営層がIT技術やDXに十分な関心を持たない場合、現場もIT技術などに対して興味を持つことはできず、取り組みを進めることができません。明確なビジョンを提示することで現場やIT部門も取り組みやすい状況にしましょう。
DXは組織全体で取り組むべきプロジェクトであり、そのためには経営トップがDX推進へ積極的な姿勢を見せなくてはなりません。
現場部門は、DX推進においてもっとも影響を受ける部門です。日常業務を遂行しつつDXへの取り組みにも着手しなくてはならず、新たなツールやシステムの使い方なども覚えなくてはなりません。
何のためにDXを推進するのか、自分たちのどのようなメリットがあるのか、といったことが分からず、経営層に対する反感が高まり、結果的にDXがうまく進まないおそれもあります。
現場部門でDXに携わるメンバーは、デジタルに関する知識を学び「デジタルを現場でどのように活用すればいいのか」を考える必要があります。
あらゆる業界でビジネスのデジタル化、IT化が進むなか、企業におけるIT部門の役割は増える一方です。さらに、DX推進となれば他社におけるデジタル技術活用やDX推進事例の研究、システムの選定、導入、デジタル技術活用の提案などもしなくてはならず、さらに負担が増加します。
役割や責任が大きくなる一方で、DX推進に要する人材が不足している、育たないといったシーンに直面するのもIT部門です。
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近年多くの企業で活発化している「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」推進のためのご参考にしてください。
DXの課題を認識しているのにもかかわらず、うまくDXを推進できないことがあります。その場合、以下のような落とし穴にはまっているのかもしれません。
ここでは、それぞれの理由について解説します。
DXを推進したい企業が陥りがちなこととして、DX推進自体が目的になってしまうケースがあります。DXの最終的な目標は、デジタル技術を活用してビジネスモデルを抜本的に変革し、企業価値の向上や市場における競争優位性を確保することです。
DXあるいはデジタル技術の活用は、これらの目標を達成するための効果的な手段ではあるものの、必須ではありません。手段であるはずのDX推進が目的となった結果、「ITツールを導入しただけで満足する」といったケースが存在します。
例えば、従来Excelで管理していた勤怠管理にクラウド型ツールを導入したり、給与計算ツールと結び付けたりすることは、業務の効率化を叶えるための「IT化」といえます。しかし、その効果を検証しなくては、企業価値の向上につながっているのかわかりません。
「ツールを入れて便利になった」で終わってしまわないよう、目的意識を持って導入することが大切です。
DXへの取り組みが一過性のものになってしまうことも、多くの企業が陥りがちな問題です。DXに取り組む企業の中には、ITツールの導入により1度効果が出ただけで満足してしまうケースがあります。
しかし、1度効果が出たとしても、その状態が続くとは限りません。検証と改善を重ねることにより、継続的な効果を得られます。そのためには、現場の従業員に対しDXに対する考え方を浸透させ、日頃から改善する意識を持ってもらうことが大切です。
DXを円滑に進めるためには、DXに関する課題と解決策を踏まえて効果的な手順を踏まえて行う必要があります。最初は自社のDX推進に関するビジョンや目的を確認することが重要になります。その他に何を行うべきなのか手順を確認しましょう。
まずすべきは、DX推進の目的を明確にすることです。競合他社が取り組んでいるから、世間でDX化が叫ばれているから、といった漠然とした目的に対して取り組んでも、DXは成功しません。
DXは個別の業務をデジタル化したり効率化したりするだけでなく、ビジネスモデルや企業文化、社内制度の変革なども伴うものです。もちろん、一定の投資も欠かせません。そのため経営層が主導となり、目的の設定を行う必要があります。
経営層が主導することにより、DXの方向性や経営的な意義が明確になり、経営層と従業員が同じ方向を向いてDX推進に取り組めるようになります。
何のためにDXへ取り組むのか、DX推進を進めることでどのようなビジネス形態へ変革をもたらすのか、最終的なイメージを明確にしましょう。
DXの目的を定めた後には、経営層が全社的に周知をしていくことが重要です。
そもそも、DX推進によってもっとも大きな影響を受けるのは、現場で業務を遂行する従業員です。目的やビジョンを明確に示さないと、反感を買う羽目になり、取り組みもスムーズに進みません。DX推進の目的と併せて、必要性や現場にどのようなメリットをもたらすのかなどを周知しましょう。
従業員の理解度が高いほど、DXの取り組みが全社的に活発になります。
独立行政法人情報処理推進機構が公表した「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」によると、「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」と回答した企業は、部署ごとや一部部門でDXに取り組んでいる企業に比べて成果が出やすいことが明らかになっています。
この調査結果の通り、ひとつの部門だけで部分的に取り組むのではなく、役員や現場の従業員も巻き込んでDXを推進していくことが大切です。DX推進は企業の上層部だけでなく、組織全体で取り組むプロジェクトであると認識し、経営層が積極的に参画していきましょう。
次にすべきは現状の把握です。デジタル技術の活用による業務の刷新やビジネスモデルの変革など、DXを実現するには組織の現状や課題を正確に把握しなくてはなりません。内包している課題はもちろん、どのような変革を進めていくべきなのか、といったことを洗い出しましょう。
DX実現のためには、社内システムの刷新が求められるケースもあります。老朽化しているシステムがあるのなら漏れなくピックアップしていきましょう。現状把握を行う際には、DX推進を担う部門や担当者、上層部だけではなく、現場の声も聞く必要があります。業務プロセスにおける課題の実態は、現場の声を聞かないことには分かりません。現場の従業員への直接的なインタビューやアンケートなどを実施し、ダイレクトな声を抽出しましょう。
DX推進を成功させるには、社内体制の整備も欠かせません。
DXを推進するための体制作りには、以下の3つに取り組むことが重要です。
それぞれの取り組みについて解説します。
DXはビジネスモデルや事業そのものの変革を伴う取り組みです。そのため、戦略策定や問題解決ができる能力、プロジェクトチームをまとめるリーダーシップ、社内外の人と円滑にやり取りを行うコミュニケーションスキル、周囲を巻き込む力など、さまざまな資質が求められます。
しかし、このような資質を持った人材を社内で抱えている企業は多くなく、この先確保することも難しくなってくるでしょう。経済産業省の「IT人材供給に関する調査」によると、2030年には最大で79万人ものIT人材が不足すると言われています。現状DX人材の獲得は困難であり、この先競争はいっそう激化していく見通しです。
採用は難易度が高いため、社内に適任者を探したり、育成したりすることも視野に入れましょう。DX人材を育成するには、外部の社員研修を取り入れる、OJTなどによって実践を積ませることも有効です。
特に、プロジェクトをリードしていく責任者は、自社が所属する業界や社内の事情を深く理解している必要があるため、外部から見つけるのは容易ではありません。そのため、自社の従業員にプロジェクトマネジメントなどの経験を積ませながら、長期的な視点を持って育成していくことも大切です。
ただし、優れたDX人材の育成には手間も時間もかかります。そのため、外部人材を活用する方法もおすすめです。外部の専門家へ協力を仰げば、必要なだけのリソースを補充でき、トータルのコストも抑えられるケースも多いでしょう。
【関連記事】DX人材育成を6ステップで解説!育成を成功させるポイントも紹介
DXは組織をあげた一大プロジェクトであり、従業員が通常業務を遂行しつつ片手間で実現できるようなものではありません。DX化の成功を目指し、先頭に立って取り組みを進めていく専門チームが求められます。
専門チームには、技術者だけでなく、以下のような人材を揃えると良いでしょう。
DXに限らず、現状の業務方法を変更したり新しい取り組みを始めたりするときには、生じた変化に適応できない人や反発する人がでてくる可能性があります。そのため、経営陣の下でDX推進の目的を理解し、実行できるチーム編成が求められます。
自社メンバーが意欲的にDXへ取り組めるようにするための環境づくりも大切です。DX推進のプロセスにおいては、思いがけぬミスやトラブルも発生します。ミスやトラブルを過度に咎めたり、評価へ反映させたりすると、従業員がミスを恐れて前向きな取り組みができなくなるおそれがあります。取り組む上で失敗がでることは前提として、前向きに取り組むことができる環境づくりを意識しましょう。
例えば、デジタル技術の活用を当たり前とする文化を作ります。そのうえで、失敗から得た学びを積極的に共有する文化を醸成すれば、失敗を恐れず、変革を起こすためのアイデアや、新しい試みを積極的に取り入れられる環境を構築できるでしょう。
また、社内のデジタルリテラシーを高めることも重要です。ビジネスの現場で活用されているデータや、デジタル技術に関する知識、活用方法や留意点に関する知識を身につけることにより、DXへの関心が高まります。デジタルリテラシーを高めるには、社内研修を実施するほか、e-ラーニングや外部セミナーの活用も有効です。
【お役立ち資料】データから読み解くDX推進のための組織づくりとは?
「DX推進のためのエンジニアが確保できない」「スキルを持った人材がいない」といった人材・組織に関する課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。本資料では、【エンジニア・外部人材の採用・外部活用・育成の実態と戦略】を解説しています。
エンジニア・DX人材の採用、育成にお悩みのご担当者はぜひご活用ください。
DX化へ向けてやるべきことは多々あります。ペーパーレスや電子契約への移行、ITツールを用いた手作業の自動化といった業務のデジタル化をはじめ、業務プロセス全体のデジタル化、ビジネスモデル変革を狙ったサービスの高度化など、やるべきことは多岐に渡ります。すべてに着手しようとすると、高い確率で失敗するため注意が必要です。
DX推進を進める際は、何から取り組むのか優先順位を決めていきましょう。優先順位を決める際は、課題やコスト面だけでなく、取り組みにかかる時間も考慮する必要があります。解決すべき課題でも、DX実現に年単位の時間がかかるのであれば、優先順位は下がります。特にDX推進の初期段階では、規模の小さなものから取りかかり、リスクを抑えながら成功体験を積むことも有効です。
DXを成功させるには、PDCAサイクルを回しつつ長期的な視点での取り組みが求められます。システムを刷新した、業務プロセスの変革に成功した、と満足するのではなく、PDCAサイクルを回しながら改善を続けていきましょう。
PDCAを意識しないと、そもそもDXへの取り組みが成果につながっているのかどうかも分かりません。もしかすると、ほとんど成果につながらない無駄な取り組みにコストと手間を割いているおそれもあります。
また、PDCAサイクルを回し続ければ、新たに出てくる課題にも適切に対応でき、施策もブラッシュアップされます。このような取り組みを長期的に行うことで、一連の業務プロセスや顧客へ提供するサービスも洗練され、顧客満足度や競争力向上につながります。
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多くの企業ではデジタルスキルを持つ人材の不足や、現場での定着が課題となっています。このような背景のもと、全社的なDX推進や職種特化型のスキル習得が求められています。本資料では、PERSOLグループが提供するデジタル人材育成支援プログラムの概要やカリキュラム、導入事例などについて詳しくご紹介します。
DX推進に取り組みたいものの、何から着手すればよいのか分からない際は、他社の取り組み事例に目を向けてみましょう。ここでは、DXに取り組み一定の成果を得ている5社の事例をご紹介します。
清水建設株式会社は、宮大工の匠として活動していた創業者の心を礎とした、デジタルゼネコンを目指す取り組みをしています。同社のDXは「ものづくりをデジタルで」「デジタルの空間とサービスを提供」「ものづくりを支えるデジタル」の3つを軸に取り組んでいる点が特徴です。
デジタル技術を活かした組織のパフォーマンス可視化や、マネジメントの効率化などにも取り組んでいます。例えば、同社では従業員のコミュニケーション量やパフォーマンスなどを可視化しているほか、高精度リアルタイム位置情報システムにより従業員がどこにいるのか正確に把握できるようになりました。
新たなはたらき方を実現する「SHIMZ Creative Field」をはじめ、建物OSで取得したデータに基づき建物オーナー向けに保守管理やデジタル基盤をサブスクで提供する、フィードフォワード制御サービスにも定評があります。
株式会社ブリヂストンは、リアルとデジタルを融合させて、新たな価値を共創せんとDX推進に取り組んでいます。2050年までに、社会や顧客に持続的な価値を提供できる組織への変革を目指し、独自のソリューションビジネスプラットフォームの展開も始めました。
同社におけるDXへの取り組みとして、技能伝承システムが挙げられます。同社では、ものづくりにおける匠の技をどう伝えていくかが課題となっていました。そこで同社が開発したのが技能伝承システムです。デジタル技術を活かして匠の技を可視化、言語化し、効率的に技術を継承できる仕組みの構築に成功しました。
また、航空機用タイヤに関する事業では、突発的に交換作業が発生したり、特定の時期に交換依頼が集中する事態が起きていました。そこで、同社ではAIやフライトデータを最大限活用し、高精度なタイヤ交換時期の割り出しに成功します。これによって、今まで以上に計画的なタイヤ交換を実現しました。
SGホールディングス株式会社は、DXによる社会や顧客課題の解決と、サステナビリティな社会への貢献を目指し取り組みを進めています。取り組みの一環として、中期経営計画と長期ビジョンの2つを策定し、DX戦略としては「サービス強化」「業務効率化」「デジタル基盤の進化」の3本を軸としています。
サービスの強化として、物流プラットフォームサービスの構築や拡充を進めている点が特徴です。例えば、車と荷物をつなぐマッチングサービスや企業横断型物流サービスの提供などが挙げられます。業務効率化の取り組みでは、AIやロボティクスを活用した宅配便事業の効率化、自動化を進めています。
また、レガシーシステムを撤廃し、自社でのシステム開発、保守メンテナンス体制を構築しました。これによってITコストの削減にも成功し、市場ニーズへの素早い対応も可能になりました。
株式会社リコーは、カメラや事務機器製造といったモノを製造する会社から“はたらく”を変革するデジタルサービスの会社への転換を目指し、DXを推進しています。同社ではAIを重点強化技術と位置づけ、トナー工場に導入しました。
従来、熟練技術者が行っていた品質管理やデータ制御を自動化することにより、生産性を2倍にしただけでなく、不良品発生率を低減しました。ポイントは、業務においてAIを十分に活用できるように生産技術者がAI技術を習得することからスタートしたことです。これにより、AI導入で失敗しがちなAI技術者の業務知識不足という根本的な課題を解決しました。
日清食品ホールディングスは「DIGITIZE YOUR ARMS(デジタルを武装せよ)」をスローガンに掲げ、DX人材育成を進めています。全社員のデジタルスキル向上を目指し、プログラミングの深い知識がなくてもアプリケーション開発ができる「ローコード開発ツール」を導入しました。
それにより、業務改善システムの開発を、外部委託から社内での開発に切り替える体制を整えられたのです。事業部門内でアプリケーションを開発できるようになり、外部へのシステム開発コストを抑えたうえでDXを推進できるようになりました。
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DXを成功させるには、DX課題を正確に把握したうえで、正しい手順と方法のもと取り組みを進めていかねばなりません。本記事で紹介した課題要素に対し、総合的な対策に取り組むことで、効果的にDXを進められます。
DX人材を育成するだけ、IT投資をするだけ、といった施策ではあまり効果は期待できません。高度な知識を有するDX人材を育成できても、レガシーシステムの刷新や新たなITツールの導入などへ投資しないことには、DX化は成功しません。
これから本格的にDX化への取り組みを始めるのなら、必要な情報を収集しつつ、DX推進成功へつながる道筋を考えてみましょう。正しい道筋を立てたうえで、スモールスタートな取り組みに着手し少しずつ領域を広げていくのが成功のコツです。
パーソルイノベーション株式会社
『Reskilling Camp(リスキリング キャンプ)』(旧:学びのコーチ)事業責任者/Founder
柿内 秀賢
法人向けリスキリング支援サービス『Reskilling Camp(リスキリング キャンプ)』(旧:学びのコーチ)事業責任者としてリスキリングを支援。
自身も人材紹介事業の営業部長から、オープンイノベーション推進部立ち上げやDXプロジェクトの企画推進、新規事業開発を担う過程にてリスキリングを体験。