2023年08月16日
2025年06月02日
DXという言葉が一般化し、デジタルが社会の中軸を担う中で、「ITリテラシー」という表現を耳にする機会が増えています。超情報社会においてITにおけるリテラシーが高いほうが良いのは当然ですが、自社のITリテラシーの程度について判断できない企業経営者や管理職の方も多いのではないでしょうか。また、どのような知識・スキルを身につければ、ITリテラシーを高められるか、具体的にイメージできていない方もいるでしょう。
ITリテラシーが低い従業員が社内に多い場合、企業にさまざまなリスクが生じるため、適切な対処が必要です。本記事では、ITリテラシーの低い組織の特徴や企業がITリテラシーを高める具体的な方法などについて解説します。
【お役立ち資料】DX人材を育成するポイントとは?
あらゆる企業においてDXは不可欠となっていますが、DXを推進するための人材を確保すべく、自社でDX人材を育成する企業が増えてきています。
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そのような方に向けて、【DXをリードする人材育成のポイント】を公開しています。
DX人材の育成・採用にお困りの方はぜひご活用ください。
目次
ITリテラシー(デジタルリテラシー)とは、ITや情報を適切に扱う知識や能力を指します。デジタル技術やIT機器、インターネットが普及した現代では、日常業務でITを活用することが当たり前になり、従業員にもITや情報を正しく扱えるスキルが求められています。
厚生労働省の「基礎的ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書」では、ITリテラシーを以下のように定義しています。
現在入手・利用可能なITを使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。
上記が広義のITリテラシーですが、より具体的には以下のスキルや知識を指します。
これらのスキルは、IT企業など特定の職種に限定されるものではありません。現代ビジネスにおいて必須と言えるIT技術を効果的に活用するためにも、ITリテラシーは現代社会でビジネスに関わるすべての人に求められます。当たり前のように利用する技術だからこそ、正しい知識やモラルが必要です。
ITリテラシーは、IT活用の基礎的な考え方にあたります。ITリテラシーを基盤としてITスキルを身につけ、その後業種に特化したITスキルへと進化させることが重要です。
具体的には、学習したITリテラシーをもとに「汎用的IT使用スキル」を習得します。電子メールやグループウェア、表計算ツールなどのITツールを活用できるようになり、得たスキルを応用し、「製造業×IoT」「介護業×ロボット」など業界特有の技術に発展させます。最終的には、企業の理想を実現するためにこれらのIT技術の活用が目的です。
ただし、電子メールやグループウェア、表計算ツールなどを使いこなせるだけでは不十分です。ITリテラシーが低いと、無意識のうちにリスク管理が甘くなり、情報漏えいなどを招く恐れがあります。そのため、企業がIT人材を育成する際には、まずITリテラシーの習得を重視しなければなりません。
【関連記事】IT人材とは?不足の背景や育成・採用方法、必要なスキルを解説
デジタルリテラシーとITリテラシーは似た概念として扱われることもありますが、それぞれ異なる側面を持っています。
デジタルリテラシーは、デジタル技術やインターネットを駆使して情報を検索、評価、活用する能力を指し、幅広い分野で必要とされるスキルです。例えば、教育や生活全般においてデジタル機器を適切に使用する能力が含まれます。
一方、ITリテラシーは、企業活動や業務の生産性向上を目的にIT技術を適切に活用する能力です。具体的には、業務課題を解決するためにITツールを活用したり、情報セキュリティやコンプライアンスを遵守したりするスキルを含みます。
つまり、デジタルリテラシーは日常生活や幅広い場面で必要とされる汎用的な能力で、ITリテラシーは企業や業務に特化した専門的なスキルにフォーカスしています。どちらも現代社会において重要であり、相互補完的な関係にあると言えるでしょう。
【関連記事】デジタルリテラシーとは?低いことで起こる問題や高める方法
【調査レポート】個人のデジタル学習実態を公開中
パーソルグループでは、企業ではたらく5,000名を対象に「はたらく個人のデジタル学習実態調査」を実施し、結果をまとめたレポートを公開しています。
デジタルに関する学習や、活用方法についての調査結果をまとめていますので、ITリテラシーを高めたいとお考えの方はぜひご覧ください。
ITリテラシーは、大きく以下の3つに分類されます。これらを個別に身につけるのではなく、すべてのスキルをバランスよく習得することが重要です。
情報基礎リテラシーは、情報の正確性を見極めるスキルや必要な情報を効率よく検索する能力です。また、取得した情報を正しく活用できるスキルも含まれます。情報基礎リテラシーが低いと、必要な情報を迅速に見つけられず、得た情報の信ぴょう性を判断するのが困難になります。
パソコンやタブレット端末などのデジタル端末を正しく操作するスキルです。具体的に以下の要素を指します。
さらに、操作技術に加えて、デジタルデバイスの基本的な仕組みに関する知識も求められます。
インターネットリテラシーとは、セキュリティやモラルを踏まえて、安全かつ適切にインターネットを利用する能力です。具体的に以下の要素が含まれます。
インターネットリテラシーが低い場合、「ネット上に重要な情報を公開してしまい情報漏えいにつながる」「SNSで不適切な投稿をして炎上する」といったリスクが高まります。
ITリテラシーが低い従業員は、ツールや技術を十分に活用できず、生産性の低下や情報漏えいなどのトラブルを引き起こし、企業へ甚大なダメージを与える恐れがあります。以下では、ITリテラシーが不足する従業員により引き起こされる主な懸念を解説します。
ITリテラシーの低さは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展を鈍化させます。DXとは、「デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革し、企業価値を高める取り組み」です。DXで業務の効率化や構造の変革を果たす上では、IT技術の活用が欠かせません。
しかし、ITリテラシーが低い従業員がいると、企業が新しくツールを導入しても従来のやり方に固執するケースがあり、DXが進まない原因になります。実際、「DX推進に関する最新動向調査レポート」において「DX推進について取り組みの障壁は何か」という問いに「社内のITリテラシーが不十分」と回答した企業が19.3%にも上りました。このことからも、ITリテラシーの向上がDX推進の鍵を握ることは明らかです。
【関連記事】DX推進の課題とは?よくある失敗や問題点・解決策【事例あり】
ITリテラシーが低い従業員は、安全性の低いWebサイトへ不用意にアクセスしたり、不審なメールの添付ファイルを開いたりすることでマルウェアに感染し、情報漏えいを引き起こすリスクがあります。さらに、セキュリティに懸念がある公衆wi-fiを利用して重要な情報をやり取りするなど、無意識のうちに情報漏えいにつながるアクションを起こすことも考えられます。ほとんどの公衆wi-fiは通信が暗号化されていないため、第三者に情報を盗取されるリスクが高まります。
こうした情報漏えいが起き、顧客情報などの重要な情報が盗取されると、企業の信用は著しく低下します。流出したのが積み重ねてきた技術情報であれば、市場で優位性を保てなくなり、事業が頓挫してしまうかもしれません。顧客や取引先からは、適切に情報を扱えない企業であると見なされ、場合によっては事業の継続が困難になる恐れがあります。
新たなデジタルツールやIT技術を導入しても、ITリテラシーが低い従業員が多いと、その効果を十分に発揮できず業務効率の向上は見込めません。ITリテラシーが低い従業員のなかには、デジタル技術やITツールに苦手意識を持つ人が少なくありません。こうした従業員がツールやシステムの導入に抵抗し、業務改善が進まないケースも見られます。
また、大きな問題として挙げられるのが、ほかの従業員がITリテラシーの低いメンバーに合わせる必要があることです。新たなデジタル技術やITツールの導入により本来得られるはずの利便性や効率性が受けられなくなり、業務効率化の機会損失へとつながります。
業務効率化が進まないと、生産性も高まりません。労働人口の減少が社会問題となっている日本では、今後人材の獲得がますます難しくなるため、企業は今いる人材を活用し、生産性向上に結びつけなくてはなりません。現代社会でビジネスを営む企業にとって、生産性を向上させるためにも、ITリテラシーを高めることが大きな課題となります。
【関連記事】業務効率化の進め方とは?業務見直しのポイントや成功事例も解説
従業員のITリテラシー不足によって、SNSでの不適切な投稿や情報漏えいが発生すると、企業の信用やイメージが大きく損なわれます。
とくに近年、アルバイト店員などが不適切な画像や動画をSNSに投稿し、炎上する事例が増えました。こうした事件も、SNSでの情報発信に伴うリスクを正しく認識していない従業員のITリテラシー不足が一因と考えられます。
企業イメージの低下は、業績にも大きな影響を及ぼします。企業イメージが低下すると、顧客や取引先が離れ、売上の減少や利益の大幅な低下を招きかねません。また、リピーターとして売上を支えていた顧客もどんどん離れてしまい、事業継続が難しくなる恐れすらもあります。
ITリテラシーが低いと、企業の競争力を大きく損なう要因となります。とくに、デジタル技術が急速に進化し、業務効率や市場シェアの向上に直結する現在のビジネス環境では、IT活用能力の有無が企業間競争における明暗を分けることも少なくありません。例えば、ITリテラシーが低いと、次のような状況が発生する可能性があります。
このように、ITリテラシーの向上は、単に業務効率を上げるだけでなく、企業全体の競争力強化にもつながります。
ITリテラシーが低い組織には、以下のような特徴が見られます。自社に当てはまる要素がないか、判断材料のひとつとしてご確認してください。
ITリテラシーが低いと、デジタル機器やITツールの活用で十分な効果を得られず、必要なの情報を迅速に入手できません。ビジネスにおいて、情報は何よりも重要なコンテンツであり、適切なタイミングで市場動向や顧客ニーズを把握できなければ、競争力を失い、他者に後れを取るリスクが高まります。
また、インターネット上に存在する情報は論文や公的機関の資料など、正確性の高い情報がある一方で、発信元が不明瞭で真偽が疑わしい情報も含まれています。ITリテラシーが低いと、不正確な情報を鵜呑みにしてしまい、結果的に組織へ不利益をもたらす恐れもあります。
ITリテラシーが低い組織では、導入したITツールを適切に使いこなせないという課題が生じます。
最近は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業も多いため、単純作業のIT化にとどまらず、SFAやMAなどの企業の競争力を向上させるツールも普及しつつあります。
SFA (営業支援システム) |
顧客情報などの営業活動に必要なデータや進捗を共有し、営業活動の生産性向上を図るシステムを指す。 営業プロセスそのものを効率化させるだけでなく、提案内容や営業活動の質そのものを改善することを目的に導入するケースが多い。 |
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MA (マーケティングオートメーション) |
商談前の見込み顧客への育成を自動化するツール。 一般的に、顧客情報の管理をはじめ、メールの自動配信やアクセス解析といった機能が搭載されており、人手不足の解消や顧客情報の有効活用が見込める。 |
自社がこうした高性能のツールを導入したとしても、ITリテラシーが低い組織では、そのツールを理解できず活用しきれません。その結果、導入効果が得られず、競争力の向上につながらないという結果に陥りがちです。
【関連記事】SFA(営業支援)ツールとは?機能やメリット、導入ステップについて解説
【関連記事】MA(マーケティングオートメーション)ツールとは|機能や選び方をわかりやすく解説
現状、ITリテラシーが低い場合は、DX推進や生産性向上を実現するために、ITリテラシーの向上に努めていくことが大切です。ITリテラシーを高めることで、企業にもたらされるメリットは以下の3点です。
ITリテラシーが高い組織は、これらが実現できていると言えます。
従業員のITリテラシーが高いとツールの有効活用につながり、組織全体の生産性が向上します。パーソルホールディングスが実施した「ITツール導入・活用に関するレポート」では、ITツールの導入により得られた効果として、35.5%の企業が「生産性が向上した」と回答しています。
ITリテラシーの高さは、ツールを扱うスキルだけでなく、情報やツールの正確な利活用にも影響します。その結果、生産性が向上し、コスト削減にも寄与します。ITリテラシーの高い従業員が多い組織は、効率的な業務運営が実現可能です。
【関連記事】生産性向上とは?メリットや6つの施策とポイント、事例を解説
ITリテラシーが向上することで、企業のDXが進みます。前述のとおり、DXの推進にはIT技術の活用が欠かせません。ITリテラシーを高めることで、自社に導入したデジタルツールや業務改善への理解が進み、DXが加速します。
パーソルホールディングスの同調査によると、ITツールの導入後、全体の28.6%の企業が「デジタル化・DXが推進された」と回答しています。
ITリテラシーを向上させる際には、ただ単に知識を身につけるのではなく、従業員一人ひとりが「自社のビジネスにどのように活用できるか」という視点を持つことが重要です。目標を明確にしながらITリテラシーを向上させることで、導入後のツール活用がスムーズに進むでしょう。
ITリテラシーを身につけることで、従業員のセキュリティに対する意識が高まります。また、企業が保有する情報の重要性も理解できるようになるため、情報の取り扱いに対する慎重さも改善されるでしょう。従業員一人ひとりがセキュリティ意識を持って業務にあたることで、情報漏えいやシステムの不正アクセスなどのセキュリティリスクの低減につながります。
従業員のITリテラシーが低いままでは、情報漏えいリスクの増加や業務効率の低下を招きます。情報セキュリティリスクを回避し、生産性の高い企業を目指すべく、従業員のITリテラシーを高める取り組みも進めましょう。
従業員のITリテラシーを高めるには、まず現状を把握する必要があります。企業や組織にはさまざまなバックグラウンドを持つ従業員が在籍しており、ITリテラシーのレベルも人それぞれです。全社員へ一律の教育を実施するよりも、個々の状況を把握した上で一人ひとりのITリテラシーにマッチした教育を行うほうが効果的です。
最初に、自社の業務に必要なITの知識、スキルを洗い出して整理しましょう。例えば、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験「ITパスポート試験」の過去問を活用する方法があります。この試験では「IT用語の説明として適切なものはどれか」「システムの活用方法として適切なものはどれか」など、基礎的なIT知識を問う問題が出題されています。試験問題は「過去問題(問題冊子・解答例)」から閲覧しダウンロードすることもできるので、ぜひ参考にしてください。
また、企業や部署によって必要なITリテラシーは異なります。例えば、SNSや公式サイトなどで情報発信を積極的に行う部署であれば、情報発信に関わるリスクや不適切な投稿を防ぐためにセキュリティリテラシーやネットリテラシーが求められます。
現状を把握するプロセスによって、従業員のITリテラシーレベルを測ることができ、課題が明確になります。現状から抽出した課題をどう解決するのか、具体的な目標を立てて取り組みを進めましょう。
ITリテラシーは、一部の従業員だけが高くても十分ではありません。ITリテラシーの低い従業員がいる限り、情報漏えいや業務トラブルなどのリスクは依然として存在するためです。従業員のリテラシーレベルに応じた研修や教育を実施する必要があります。
研修や教育を実施する際には、ITリテラシーが低いことで企業にどのようなリスクが生じるか、現場にどのようなデメリットが発生するかを伝えることが大切です。過去のトラブル事例や他者での失敗事例を参考にしつつ、ITリテラシー欠如によるリスクを社内報などで周知させましょう。
また、情報セキュリティなど専門知識を要するテーマを扱う場合には、外部研修の利用を検討してください。法人を対象としたITリテラシー研修は多く開催されており、専門家による効果的な指導を受けられます。こうした研修では、高度な知識の提供だけでなく、研修内容を実務へと活かせるような効果的な研修が期待できます。
なお、研修や教育は定期的かつ継続的に行うのも大切なポイントです。継続して定期的に行うことで、学んだ知識が定着し、従業員の意識改革が進みます。
【DX研修で成果を出したい方向け】実業務で活かせるDX研修設計のコツ
本資料では、過去300社以上のDX支援実績を誇るパーソルイノベーションの研修サービス「TECH PLAY ACADEMY」が、実業務で活かせる研修設計のコツについて、事例を含めて解説しています。
「研修は既に導入しているがなかなか成果につながらない」「どうすれば成果につながる研修を導入・実践できるのか?」というお悩みをお持ちの方は、ご参考にしていただけますと幸いです。
IT関連の資格取得支援を行うのも有効です。資格の例として「ITパスポート」や「IC3」、マイクロソフトオフィス製品の知識・操作スキルを証明する「MOS」などが挙げられます。
これらの受験費用を企業で負担するなど、資格取得を支援する制度を導入することで、従業員一人ひとりのスキルが底上げされ、企業全体のITリテラシー向上にもつながるでしょう。
ITパスポートとは、ITに関する基礎的知識を証明する経済産業省認定の国家試験です。IT系の国家試験では入門レベルにあたり、初心者やIT業界に興味を持つ方、ITを業務に活用したいビジネスパーソンらに適しています。試験では「ITの基礎理論(ハードウェアとソフトウェアの仕組み)」「経営とITの関係」「セキュリティ」が網羅されています。資格取得を通して、実務に役立つITの基本概念を体系的に学習できます。
情報セキュリティマネジメント試験は、情報資産を保護するための知識やスキルを習得するためのプログラムです。情報セキュリティマネジメントの分野では「セキュリティポリシーの策定と管理」「サイバー攻撃への対策手法」「インシデント発生時の対応と復旧計画」などを学べます。とくに、企業内でセキュリティを管理・運用する担当者や管理職に役立つ研修プログラムです。
IC3(アイシスリー)は、“Internet and Computing Core Certification”といい、インターネットやコンピューターの基本スキルを証明する国際的な資格です。試験科目は「コンピューティングファンダメンタルズ」「キーアプリケーションズ」「リビングオンライン」の3つに分かれています。この3つすべてに合格することで、IC3の資格を取得できます。とくに、IT初心者やデジタルスキルを証明したい方に適した資格です。
MOS(Microsoft Office Specialist)は、Microsoft Office製品の活用スキルを証明する民間資格です。とくに、オフィスでの業務効率を高めたい人やキャリアアップを目指す人に人気があります。資格には、「Word」「Excel」「Power Point」「Access(データベース管理)」があり、取得することで、具体的なスキルが可視化され、職場での信頼性や評価が向上します。
素晴らしいIT環境を整備しても、ツールを効果的に使いこなせなければ十分な効果が見込めません。パーソルホールディングスが実施した「ITツール導入・活用に関するレポート」では、ITツール導入後の課題として「従業員が使いこなせない」という声が最も多く寄せられており、全体の31.1%を占めました。
この調査結果からもわかる通り、ITツールを導入して満足するのではなく、導入後の定着支援を実践するのが重要です。ITツールへ実際に触れる機会を設けることで、デジタル機器の正しい使い方やIT技術の利用に関する注意点などの理解が深まります。
ITリテラシーが向上しない理由のひとつとして、デジタル機器やIT技術に対する苦手意識や、触れる頻度の少なさなどが挙げられます。デジタル機器やIT技術に苦手意識があると、触れるのにも抵抗があり、自然と距離を置いてしまいます。そのような状態が続くと、ますますデジタル機器やIT技術の使用に消極的になってしまい、ITリテラシーも向上しません。
このような状況を回避するには、IT技術やデジタル機器に触れる機会を増やすことです。実際に操作する頻度が増えることで、ツールの利用が文化として定着していきます。
導入するツールの使いやすさも、ITリテラシー向上において重要な要素のひとつです。パーソルホールディングスが実施した同調査によると「ITツール変更を検討したこと」がある企業のうち、20.0%が「操作性が悪い」、20.4%が「機能をうまく使いこなせていない」、21.7%が「他システムとの連携がしづらい」と回答しています。
この調査結果から、新たなデジタル機器やIT技術を導入しても、ツールの操作性が低ければ、社内での利用が浸透しづらいことが分かります。冒頭で述べた通り、ツールを使いこなせない状態ではITリテラシーが向上せず、目指すべき成果も得られません。
そのためITツールを導入する際には、簡便性の高いツールを選ぶことも大切です。直感的に操作でき、利便性が高いツールを選定することで、社内でツールの利活用が活発化し、結果的に組織のITリテラシーを高めることにもつながります。
ITリテラシーを向上させることは、企業にとって競争力を高める重要な施策のひとつです。しかし、その実現にはいくつかの課題や注意点が伴います。自社での教育や組織体制の影響に関するポイントを解説します。
社員のITリテラシーを向上させるために社内で教育プログラムを実施する場合、教育にかかる費用や研修中の業務効率低下が課題となります。また、専門的な知識を持つ講師の確保や、継続的なフォローアップにも時間とリソースが必要です。
ITリテラシー教育の効果を最大化するには、教育だけでなく、それを実際に活用できる環境を整備することが求められます。例えば、デジタルツールを積極的に活用する業務プロセスへの移行や、社員が学んだ内容を日常業務で試せる仕組みづくりが必要です。組織体制に変化を加えない場合、教育の効果が十分に発揮されないことがあります。
【お役立ち資料】DX人材を育成するポイントとは?
あらゆる企業においてDXは不可欠となっていますが、DXを推進するための人材を確保すべく、自社でDX人材を育成する企業が増えてきています。
・DX人材を育成する環境を整えたい
・どのようにDX人材育成を進めるか知りたい
そのような方に向けて、【DXをリードする人材育成のポイント】を公開しています。
DX人材の育成・採用にお困りの方はぜひご活用ください。
パーソルワークスイッチコンサルティングが提供する「 Work Switch +DIGITAL 」は、”自律的なDX推進組織”の実現ゴールにしたデジタル人材育成支援サービスです。DXの目的設定から顧客に寄り添い、「事業や業務をどう変えるか」を自ら考えDXを推進していく人材の育成を、育成コンテンツの企画設計・育成組織設計の両側面からご支援致します。
数々の企業へDXコンサルティングを提供した成功・失敗やノウハウを元に、育成のプロが学習体験をデザインします。学習自体をゴールとせず、目指す姿に向けて設計することで定着に繋げます。
DX人材育成の目的・ゴールから計画策定、実行支援まで一気通貫で支援します。自社のDX人材不足にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問合せください。
ITリテラシー教育を怠ると、情報漏えいリスク増加に加え、業務効率や生産性の低下を招く恐れがあります。適切なITリテラシー教育を実施することで、情報セキュリティの向上と業務の円滑化を図りましょう。
さらに、多くの企業が推進しているDX(デジタルトランスフォーメーション)の基盤としても、従業員のITリテラシーは欠かせない要素です。自社での教育実施が難しい場合は、外部の専門家による研修の活用を検討するのも有効な方法です。専門家による指導を取り入れることで、効果的な学習が可能となり、組織全体のITリテラシー向上につながります。
パーソルイノベーション株式会社
『Reskilling Camp(リスキリング キャンプ)』(旧:学びのコーチ)事業責任者/Founder
柿内 秀賢
法人向けリスキリング支援サービス『Reskilling Camp(リスキリング キャンプ)』(旧:学びのコーチ)事業責任者としてリスキリングを支援。
自身も人材紹介事業の営業部長から、オープンイノベーション推進部立ち上げやDXプロジェクトの企画推進、新規事業開発を担う過程にてリスキリングを体験。