レガシーシステムとは?問題点や脱却・移行プロセスをわかりやすく解説

企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するにあたり、最新のITシステムとの互換性が期待できないレガシーシステムの課題は避けて通れません。

しかし、レガシーシステムという言葉を耳にしたことはあっても、その実態を十分に理解できていない経営者や部門責任者の方もいるのではないでしょうか。

レガシーシステムとはどのようなものなのかを正しく理解しておかなければ、現在のシステムが稼働し続けることによって生じる影響やリスクに十分に対応できません。最悪のケースでは、大規模なシステム障害が発生し、事業存続に関わる重大な問題に発展する恐れもあります。

本記事では、レガシーシステムの具体例やリスクについて解説するとともに、脱却へのプロセスを紹介します。

【お役立ち資料】レガシーシステムを刷新!2025年の崖を乗り越える施策とは

デジタル技術でビジネスに変革を起こす「DX」。経済産業省は「2025年の崖」という言葉を用いて、その必要性を訴えていますが、なぜ企業はDXに取り組む必要があるのでしょうか。

パーソルグループでは、2025年の崖に取り組む意義や思うように進まない理由、企業が取り組むべき8つの施策についてまとめた【レガシーシステムを刷新!2025年の崖を乗り越えるためにDX・IT部門が取り組むべき8の施策】を公開しています。

DX推進に課題をお持ちの方はぜひご活用ください。

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目次

レガシーシステムとは?

レガシーシステムとは「過去の技術や仕組みで構築され、老朽化・ブラックボックス化しているシステム」を指します。

レガシーシステムは、導入から長い年月が経過していることが多く、保守・サポートが難しい上、新しいシステムや環境に対応できないケースが非常に多い状況です。その結果、経営・事業戦略において足かせとなり、高コスト構造を引き起こす原因となるだけでなく、企業のDX推進を妨げる大きな要因にもなっています。

「2025年の崖」との関係

経済産業省は、日本企業がレガシーシステムの刷新を推進できずDXの実現が遅れることで、2025年以降に日本経済において年間最大12兆円もの膨大な損失が発生すると予測しています。この問題が「2025年の崖」です。

「2025年の崖」を乗り越えるためには、レガシーシステムからの脱却が急務と言えます。レガシーシステムから脱却できずDXを推進できない場合、企業の競争力や収益性、持続的な成長などに悪影響が生じるだけでなく、現在の業務プロセスの維持が難しくなる恐れがあります。

【関連記事】2025年の崖とは?定義や問題点・必要な対策をわかりやすく解説

ユーザー企業で発生しうる問題

レガシーシステムを使い続ける企業は、運用コストの増加リスクが上がるでしょう。老朽化したシステムの保守や修繕には多大なコストがかかるため、IT予算が圧迫されます。

自社のエンジニアでそれらの業務に対応しようとしても、レガシーシステムに精通した技術者は年々減少の一途をたどっていくでしょう。運用や障害対応が疎かになると、顧客ニーズや市場の変化への迅速な対応は困難になります。

ベンダー企業で発生しうる問題

レガシーシステムに依存するベンダー企業は、サポート業務の負担増加が大きな課題として挙げられます。老朽化したシステムのメンテナンスや障害対応に時間と人員を割かざるを得ない場合、新しいサービスや製品の開発に注力できない状況が続くでしょう。

クラウドサービスや最新のITインフラへの移行が進む中で、時代遅れの技術に依存し、トラブル対応を続けることは、収益の減少や顧客からの信頼を損なうリスクがあります。

DXとの関係性

DX推進において、レガシーシステムはデータ活用の妨げとなるでしょう。レガシーシステムはデータの統合や分析が困難であり、DXの鍵となるデータ活用を推進しにくい点が課題です。

また、レガシーシステムは最新のITインフラとの連携ができないケースが多く、業務プロセスの自動化ならびに効率化の実現も困難と言えます。DXを通じたデータ活用や業務プロセス改善が不可能な場合、企業は市場競争に取り残されてしまいます。

【関連記事】DXとは?意味や必要とされている背景、進め方、事例を解説

レガシーシステムの例

レガシーシステムの代表例として、メインフレームと呼ばれる大型コンピューターやオフィスコンピューターがよく挙げられます。ただし、近年構築されたシステムでも、以下に該当する場合は「レガシーシステム化」している恐れがあります。

    • 事業部門ごとに構築され、柔軟なカスタマイズができない
    • サポートがすでに終了している、もしくは終了予定である
    • 部分的な改修を繰り返した結果、システムが複雑化し、特定の担当者しか利用できない状態になっている

一部のニーズに最適化された設計や、長年にわたる小規模な修正や機能追加が繰り返された結果、システムが極めて複雑化しているケースがあります。

このようなシステムは、保守や設計を一部の担当者に依存しやすくなり、システムがブラックボックス化しがちです。また全体の一貫性や互換性も失われてしまうリスクが高いため、最新の技術への対応が困難になり、企業全体の競争力や成長性を大きく損なう恐れが生じます。

レガシーシステムの問題点・リスク

レガシーシステムを放置すると、企業にはさまざまな問題やリスクがもたらされます。特に以下の5つの点は、重大な経営課題となる恐れがあります。

    • 大規模なシステム障害
    • セキュリティの脆弱化
    • システムの複雑化・属人化
    • 運用コストの増大
    • 競争力の低下

大規模なシステム障害

古い技術基盤のレガシーシステムは、新しいシステムと統合や連携を行う際に大規模なシステム障害が発生するリスクが大きくなります。例えば、システム全体がダウンし業務が停止したり、顧客データへのアクセスが一時的に不可能となりサービス提供に支障をきたしたりするケースが挙げられます。

また、システムの障害は、単に内部運用に影響を及ぼすだけでなく、顧客サービスの停止による信頼の低下や個人データの漏えいをはじめとする顧客への被害など、外部に直接的な影響を与える危険性もはらんでいます。

セキュリティの脆弱化

レガシーシステムのように古いシステムでは、現代のセキュリティ要件に対応できないことが多く、セキュリティ面で大きなリスクがもたらされます。当然ながら、システムが古いほどサイバー攻撃に対して脆弱となります。

セキュリティ更新プログラムが提供されないため、防御力は低下する一方です。サイバー攻撃の手法が進化している現代では、セキュリティの脆弱性を抱えたシステムは企業全体を危険にさらす要因となります。

システムの複雑化・属人化

システムの部分的な改修は短期的には有効な手段ですが、繰り返すことで徐々に複雑化し、最終的には特定の人物にしか理解や操作ができない状態に陥ってしまいがちです。

システムが高度に複雑化すると、メンテナンスやアップデートは特定の技術者に依存するようになります。特定の技術者が異動や退職をした場合、過去の経緯やシステム構造を把握している人がいなくなるため、システムの維持や管理が困難となるリスクが高まります。結果として、運用業務全体に深刻な支障をきたす恐れがあるでしょう。

運用コストの増大

レガシーシステムのように老朽化したシステムは、不具合の発生頻度が高くなるため、メンテナンスにかかる費用が増加します。メンテナンスによって古いシステムを使い続けることはできますが、運用コストは莫大なものとなり、企業全体のコストを圧迫しかねません。

IT予算の多くが保守に割かれると、新規プロジェクトへの投資は難しくなるでしょう。レガシーシステムを継続して運用することは、単なるコスト面の問題に留まらず、企業の成長にも悪影響を及ぼす危険性があるのです。

競争力の低下

レガシーシステムでは、ビッグデータや最新データを活用できないため、市場ニーズの変化に対して迅速に動くことが困難になります。その結果として、企業の競争力が低下していく恐れがあります。

大量のデータや細分化された顧客データを分析してパーソナライズされたサービスを提供することは、現代のビジネス戦略において有効です。しかし、古いシステムでは大量のデータを分析して活用することが難しいため、顧客満足度が低下したり、新規顧客が獲得しづらくなったりしてしまうでしょう。

また、データを活用できないとDXを進める上での障害にもなり、競争力の低下に拍車がかかってしまう可能性もあります。

レガシーシステムから脱却できない原因

「DX白書2023」によると、日本企業の87.8%がレガシーシステムを保有しています。

レガシーシステムの状況
【出典】独立行政法人 情報処理推進機構「DX白書2023

同調査では、日本でDXに取り組んでいる企業の割合は年々増加しており、2021年度の55.8%から2022年度には69.3%まで上昇しています。しかし、レガシーシステムはいまだ社会に残存しているのが現状です。

なぜ現在に至るまでレガシーシステムが残っているのか、考えられる3つの原因を紹介します。

経営層がリスクを把握していない

レガシーシステムの不都合を解消し、データを利活用するには、システムを管轄する一部門だけでなく、全社一丸となって革新に取り組むことが重要です。そのためには経営層がDXの必要性を理解し、リーダーシップを発揮することが求められます。しかし、経営層のデジタルリテラシーが乏しい場合、2025年の崖が示すリスクに理解を示さないため、十分な対策がなされない可能性があるでしょう。

経営層が既存システムの抱える問題やその解決策を理解していない状況は、2025年の崖を引き起こす一因となります。

ユーザー企業とベンダー企業の協力体制が構築されていない

日本企業特有の要因として、ユーザー企業(システムを利用する企業)とベンダー企業(システムを提供する企業)の関係性が挙げられます。日本では、システム開発を行う場合に、ユーザー企業が要件定義の段階からベンダー企業へ依頼請負契約を締結するケースが少なくありません。つまり、何をどう開発するかを、ベンダー企業に丸投げしている状態です。

丸投げの弊害として、ユーザー企業側はシステムについての知識が乏しく、ベンダー企業側もリテラシーが低いユーザー企業側の要望をそのまま受け入れてしまうという問題があります。日本ではスクラッチ開発や汎用パッケージのカスタマイズが好まれる傾向にあり、個々のシステムが独自ノウハウによって成り立っているケースが多く見受けられます。

ユーザー企業とベンダー企業の協力体制

また、依頼請負契約にあたっては、ユーザー企業とベンダー企業との間における責任の所在や作業分担が明確になっていないことも珍しくありません。その結果、損害賠償請求などのトラブルに発展した場合には、無用な時間とコストを費やしてしまうことになります。

DX推進を目的としたシステム開発では、まず「システムによって何を実現したいか」という要件をユーザー企業側が定義するとともに、既存システムの課題を把握することが重要です。

システムを扱える人材の不足

IT技術の進歩は目ざましく、新たなプログラミング言語が次々と生まれています。そのため、古いプログラミング言語でシステムが構築されている場合、当時の技術者の定年退職などによってシステムのメンテナンスに対応できる人材は減っていくでしょう。

また、場当たり的なカスタマイズを繰り返した結果、システムのメンテナンスが属人化し、社内にシステムを扱える人材が残っていないケースもよくあります。

レガシーシステムのメンテナンスは、新しい技術を身につけた若手エンジニアにとってキャリア形成につながらないため、人材が定着しにくいという問題もあるでしょう。

経済産業省の「DXレポート」では、2025年には導入から21年以上経過した基幹システムが6割となり、IT人材の不足は約43万人まで拡大するとして警鐘を鳴らしています。そのような状況でレガシーシステムに対応できる人材を確保するのは、より困難になることが想定されます。

【関連記事】DXに必要なプログラミングスキルとは?重要性やおすすめ言語を紹介

レガシーシステムから脱却する方法

レガシーシステムから脱却する方法は、大きく以下の3つに分かれます。システムの現状や要件に応じて、最適な脱却方法を選択しましょう。

    • モダナイゼーション:既存のシステムを刷新する
    • マイグレーション:既存システムから新システムに移行する
    • クラウド活用:グラウドベースのソリューションに移行する

モダナイゼーション

モダナイゼーションは、老朽化したレガシーシステムを現在のビジネス要件や技術環境に合わせて更新することです。既存のデータやプログラムを活かしながら、ソフトウェアやハードウェアを最新の製品や設計に置き換えます。

モダナイゼーションを実施する際は、現在のシステムの詳細な分析を行い、どの部分を残し、何を刷新する必要があるのかを明確にしましょう。モダナイゼーションの代表的な方法として、以下の3つが挙げられます。

リプレイス 既存の基幹システムを新たなシステムに置き換える方法
リホスト ソフトウェアのプラグラムはそのままで、サーバーやミドルウェアなどを新システム基盤に移行する方法
リライト 既存のシステムと同等のシステムを新たなプログラミング言語によって再開発する手法

リプレイス

リプレイスは、レガシーシステムを完全に新しいシステムに置き換える手法です。従来のシステム設計や技術基盤がビジネス要件に適合しなくなった場合に有効と言えます。ゼロから設計し直すため、大規模なプロジェクトとなることが多い一方で、最新技術を最大限に活用できるメリットがあります。

リホスト

リホストは、既存のソフトウェアやアプリケーションを変更せずに、システム基盤を新しいサーバーやクラウド環境に移行する方法です。この方法では、プログラムをそのまま再利用できるため、コストやリスクを抑えながらシステムの運用基盤を更新できます。ただし、レガシーシステム自体の機能や設計は従来のままであるため、長期的な競争力強化には不十分な場合があります。

リライト

リライトは、既存のレガシーシステムと同等の機能を持つ新しいシステムを、現代的なプログラミング言語や技術を用いて再構築する手法です。この方法では、古い技術的な制約を解消しつつ、柔軟性や拡張性を備えたシステムを構築できます。リプレイスに比べると既存システムの要素を活用する割合が高いため、比較的効率的に進められるケースが多いと言えます。

マイグレーション

マイグレーションは、既存システムのデータや機能、ソフトウェアを、新しいシステムに移行する方法です。要件や機能、データを変えることなく、リスクやリソースを抑えながら、より安全で使いやすいシステムへ段階的に移行できます。

マイグレーションには、以下の2種類があります。対象となるシステムやデータ、全体的な規模に応じて適切なマイグレーションを行うために、事前に要件を明確にした上で、計画を立てて慎重に進めましょう。

    • レガシーマイグレーション:システムの移行が目的
    • データマイグレーション:データの移行が目的

レガシーマイグレーション

レガシーマイグレーションは、老朽化した既存のシステムそのものを、新しいシステムへ移行するプロセスを指します。具体的には、古いハードウェアやOSから最新のプラットフォームへ移行することで、パフォーマンスや安定性を向上させることを目指します。この手法は、既存システムの機能や構造を維持しつつ、新しい環境で稼働させるための手法です。

データマイグレーション

データマイグレーションは、システム移行ではなく、データそのものの移行を目的とするプロセスです。古いシステムやデータベースから新しいプラットフォームにデータを移動し、新しいシステムで利用可能な状態に整備します。この手法では、データの品質を保ちつつ、互換性や正確性を確保することが重要です。特に、データ形式の変換や統合が必要な場合には、入念な計画とテストが求められます。

クラウド活用

レガシーシステムから脱却する方法のひとつとして「クラウド活用」が注目されています。既存のシステムをクラウドベースのソリューションに移行することで、保守や維持管理の費用を大幅に削減することが可能です。物理的な自社サーバーを保有する必要がなくなるため、サーバー管理にかかる費用や人件費も抑えられるでしょう。

さらに、クラウド型システムでは、必要に応じてリソースをスケールアップまたはスケールダウンできるため、企業の成長や市場の変化に迅速に対応できます。また、最新のクラウドサービスを活用することで、セキュリティや可用性も向上し、DXを加速させる基盤としても有効です。

レガシーシステムから移行するプロセス

レガシーシステムから脱却するにあたっては、さまざまな関係者と連携しながら新システムへの移行を目指す必要があります。以下4つのステップにおいて、それぞれの段階で適切な準備を行うことが、移行を成功させる鍵となるでしょう。

    1. 現状システムやデータの把握
    2. システム移行のスケジュールを決定
    3. テストと実装
    4. 運用担当者や業務担当者への教育

1.現状システムやデータの把握

システムを移行する前に「新しいシステムに移行するデータ」と「既存システムに残すデータ」を明確に分類する必要があります。同時に、重複データや不要データの削除、データの整合性の確認なども行うことで、システムの移行にかかる時間を短縮できます。

また、現在使用しているシステムのデータやファイルの形式、運用、メンテナンス、トラブル対応の方法などを把握しておくことも重要です。

さらに、既存システムの技術的な制約や運用上の課題を明らかにすることで、新しいシステムの設計時に、これらの課題を解決するための要件定義が可能となります。

2.システム移行のスケジュールを決定

既存システムの現状やデータ内容を把握できたら、「モダナイゼーション」や「マイグレーション」「クラウド活用」などから、どの移行方法を採用するか検討しましょう。

また、移行作業に必要なリソース(人材、時間、費用)を見積もり、リスク(データ損失、ダウンタイム、セキュリティ問題など)についても評価を行います。これらの情報をもとに、実行可能なスケジュールを作成し、プロジェクトのマイルストーンを設定しましょう。

スケジュールの決定にあたっては、関係者全員の合意を得ることが重要です。プロジェクトチーム、IT部門、経営層など、システムの移行に関わるすべての関係者と連携し、移行プロセス中に発生する可能性のあるリスクに対処するための計画も事前に策定しましょう。

3.テストと実装

システム移行のスケジュールが決定したら、移行作業をスタートします。この時、リスクを最小限に抑えるため段階的に移行作業を実施し、各段階で新しいシステムの機能性、パフォーマンス、セキュリティを徹底的にテストした上で品質を確保しましょう。

具体的には、まず小規模なテスト環境で新システムの基本的な機能を検証し、問題がないことを確認します。次に、より実際の運用環境に近い環境下でテストを行い、システムが本番環境に耐えうるかを評価します。

このプロセスは、新システムへの移行にともなうリスクを管理し、移行後の運用におけるトラブルを未然に防ぐために重要です。テスト結果をもとに必要な修正を加えた上で、本格的な移行を進めましょう。

4.運用担当者や業務担当者への教育

新システムを利用する業務担当者向けに、マニュアルの作成や説明会を実施しましょう。新システムの操作方法や新しい業務プロセスについての説明会を実施し、担当者が自信を持ってシステムを扱えるようにサポートします。

また、新システムに関するFAQやトラブルシューティングガイドも作成することで、現場の混乱を防ぎ、日常業務で発生する疑問や問題にも柔軟に対応できるようにしておきましょう。このような教育プロセスを通じて従業員が新システムへの理解を深めることで、移行後の業務効率が向上し、定着が促進されます。

レガシーシステムから脱却・移行するときの注意点

レガシーシステムから脱却・移行する時の注意点として、以下の3つが挙げられます。

    • セキュリティやデータ損失リスク
    • 現場業務への影響
    • 社内のIT人材確保

セキュリティやデータ損失リスク

新しいシステムへの移行では、重要なデータを大量に取り扱うため、厳格なセキュリティ対策が求められます。データの安全な移行方法の選定はもちろん、移行中に発生する可能性のあるセキュリティリスクへの対策も必要です。

また、移行前にはデータのバックアップを行い、復元プロセスを確立しておきましょう。これにより、万が一データが損失した際でも、迅速に復旧することが可能です。

現場業務への影響

現場業務への影響を最小限に抑えるためには、担当部署や従業員との事前のコミュニケーションが重要です。

移行にともなう新しい業務プロセスやシステムの操作方法について、現場の従業員向けに説明会を実施し、疑問や不安を解消するためのサポート体制を整えておきましょう。これにより、業務効率を維持しつつ、スムーズに移行を進めることができます。

社内のIT人材確保

システム移行プロジェクトでは、ITスキルを持つ社内人材が必要とされます。

ベンダー企業に移行作業を任せることもひとつの解決策ですが、外部に委託すると自社にノウハウが残りにくく、移行後の運用管理に影響が出てしまう恐れがあります。外部依存を最小限に抑えるため、社内にIT人材を確保し、システム移行前後の取り組みを把握できる体制を整えておきましょう。

例えば、社内にシステム移行プロジェクトを推進するリーダーの役割を置き、プロジェクト全体の進行に責任をもって指揮・管理できる体制を構築することが重要です。

また、プロジェクト進行時には、実際に現場で移行作業を行う担当者と、プロジェクト全体を統括するプロジェクトリーダーの連携が肝となります。計画にあたって社内人材が不足している場合は、リスキリングなどの社員研修も検討しましょう。

まとめ|まずはレガシーシステムからの脱却方法を知ることが重要

レガシーシステムからの脱却は、企業がDXを推進する上で避けては通れない課題です。

既存の古いシステムから新しいシステムへの移行には、モダナイゼーション、マイグレーション、クラウド活用といった複数の方法があるため、自社のニーズや予算などに応じて移行方法を検討しましょう。

また、新しいシステムへ移行するにあたって、移行するデータと残すデータの整理、移行作業に必要なリソース確保、リスク管理なども必要となります。

さらに、移行に伴うセキュリティリスクや業務への影響を最小限に抑えるための対策を講じ、IT人材の確保や育成を進めることで、移行プロジェクトを成功に導けます。レガシーシステムから脱却することで、企業は競争力を強化し、持続的な成長を実現する基盤を構築できるでしょう。

【お役立ち資料】レガシーシステムを刷新!2025年の崖を乗り越える施策とは

デジタル技術でビジネスに変革を起こす「DX」。経済産業省は「2025年の崖」という言葉を用いて、その必要性を訴えていますが、なぜ企業はDXに取り組む必要があるのでしょうか。

パーソルグループでは、2025年の崖に取り組む意義や思うように進まない理由、企業が取り組むべき8つの施策についてまとめた【レガシーシステムを刷新!2025年の崖を乗り越えるためにDX・IT部門が取り組むべき8の施策】を公開しています。

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