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業務改善に活用できるフレームワーク
業務改善を行う際は、フレームワークを活用すると効率的です。目的に合わせて当てはめることで、誰でも論理的に答えを導くことができます。
代表的な業務改善のフレームワークには次のようなものがあります。
- ECRS(イクルス)…Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(交換)、Simplify(簡素化)の4つの視点から業務改善を行うフレームワーク
- PDCAサイクル…Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(改善)の順に1つのサイクルとして回すフレームワーク※業務効率化によく用いられます
- ロジックツリー(決定木分析)…一つのキーワードから派生するキーワードを広げていき問題の原因を多角的に掘り下げることができる木構造をしたフレームワーク
- KPT…Keep(継続すること)、Problem(改善の必要な問題)、Try(新しく試みること)の順で回すフレームワーク※基本方針や振り返りに用いられます
- バリューチェーン分析…原材料の調達から商品の製造・出荷・販売・サービスといったビジネスの流れを「価値の連鎖」として洗い出すフレームワーク
業務改善を進める上での注意点3つ
業務改善活動の全体を通して、留意したいことがあります。以下の3つを心がけましょう。
1.業務改善の意図を徹底的に伝え、従業員に当事者意識をもってもらう
業務改善を行う際には、従業員一人ひとりのマインドセットをしっかり整える必要があります。
当事者意識が生まれないと、ヒアリングをしても問題についての核心的情報がなかなか出てきません。また、「やらされ感」を抱き、改善活動に非協力的な態度をとることもあります。
従業員に業務改善を自分事と思ってもらい、関わる人々の目標を統一する努力を継続しましょう。トップが業務改善の意義や、実行への強い意志を示すのはもちろん、業務改善を社内プロジェクトとし、社内コミュニケーションを強化することも有効です。
2.「合理的」に進めない
業務の合理化、効率化を目指して行う業務改善ですが、改善活動そのものを合理的に進めようとすると、反発が起こりがちです。
現場では「問題の合理的な解決策は分かっているが実行できていない」ということも少なくないでしょう。その場合、必ず実行をはばむ何らかの理由があります。
はたらいている一人ひとりに寄り添い、心を通わせることで、理由を洗い出していきましょう。
3.業務改善についてポジティブに考えてもらう
経営層から見れば良いことずくめに見える業務改善でも、現場ではたらく人からは、ネガティブな思いによって「できない」「無理だ」と決めつける否定的な声が出ることも少なくありません。
業務プロセスが変わることに対するネガティブな感情(例)
・仕事を取られて自分の存在価値がなくなってしまうのではないか
・面倒なことが増えて忙しくなるのではないか
また、以前に改善しようとしてうまくいかなかった、という過去の記憶や、それにより大変な思いをしたというトラウマが本人たちの中に根強く残っていることもあるでしょう。
いずれも、頭ごなしに否定するのではなく、裏にある心理を知り、その不安を取り除いていくことで、納得まで持っていくことが大切です。
それでも抵抗感や不安が非常に強い場合は、いきなりプロセスを大きく変えることは見送り、小さなことから変更していくなど、状況に合わせ、できるところから少しずつ進めましょう。
-
- やることは少し変わったけれど自分の存在価値は失われなかった
- 作業が楽になった
といった安心感、成功体験を持ってもらうことが、その後の業務改善をポジティブにとらえてもらうために、大切な一歩となります。
業務改善の取り組み事例
最後に、業務改善に取り組んだ事例を紹介します。
事例1 AI-OCR×RPAの導入による業務改善
ある電子部品メーカーでは、間接業務の削減を実現すべく、業務量の削減や属人化している業務の改善を課題として抱えており、業務改善を実施しました。
取り組み内容として、業務改善部門とのディスカッションを行いつつ、各部署が自律的に業務改善を行うための方法論を整理・検討、そして検討した方法論を用いて、輸入部門にて検証を実施。
結果、輸入部門で29件にわたる課題を抽出することができました。抽出された課題を解決すべく、手書きの書類、帳簿の読み取りを行ってデータ化するAI-OCRや業務プロセスを自動化するRPAを導入することで、業務量削減につなげることもできました。業務の削減効果は約75~80%と推定され、現場を主体にした業務改善の促進、継続につながっています。
事例2 既存システムの活用による発注プロセス自動化
業種:アパレルメーカー
従業員数:1,000~5,000名
あるアパレルメーカーでは、事業展開する5カ国から届く発注書を担当者1人で処理していました。週300枚の発注書を全て紙に印刷して各部署の管理職に回し、署名を行って処理するというフローでした。
この発注書のペーパーレス化と処理の自動化に、ボトムアップで取り組みました。ワンクリックで管理職が署名できる仕組みを、既存のシステムに組み込む形で導入。
結果として、社内および事業展開する国でのチェックが不要となり、業務負荷が大幅に軽減、業務効率は大幅に改善しました。
この取り組みによって、新型コロナウイルス感染拡大時、テレワークへの業務移行をスムーズにする助けにもなり、リスク管理の面でもプラスの効果をもたらしました。
まとめ|自社に合った方法で生産性向上を目指そう
業務改善にマニュアルはありません。自社の抱えた課題に対しての最適なアプローチは、業務の自動化、廃止、削減、標準化、外部委託など、社内外の状況にあわせてまったく異なります。
最初から方法を決めて改善活動を行うのではなく、業務にかかわる従業員一人ひとりと向き合いながら、無理のない範囲から着手していくとよいでしょう。
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人材不足の課題に加え、コロナ禍で多様なはたらき方が広まり、企業における生産性向上への意識が高まっています。 健全な成長をめざすためにはこれまでの業務のやり方を見直し、改善を行う必要も出てくるでしょう。
そもそも自分の職場において、現在の業務に課題があるのかないのか、 あるとしたらどんな課題であるのか、明確に把握できているでしょうか。
「現状の業務に、特に問題が起きているわけではない」 「これまでも今のやり方で進められてきた」と感じている場合でも、実は隠れた「ムダ」が存在しているかもしれません。
パーソルグループでは、BPR・業務改善をご検討中の方に、業務改善コンサルティングの現場での事例を基に、 具体的に業務を書き出すステップと業務改善の進め方やコツについて解説した「業務改善コンサルタントが教える、業務整理ノウハウBOOK【業務の見える化チェックシート付き】」を作成いたしました。ぜひ自社の業務改善を進める際にご活用ください。