バリューチェーンとは?バリューチェーン分析を差別化戦略に役立てる方法

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バリューチェーン分析とは、自社の事業活動を可視化することで、各工程に付加価値を見いだすマーケティング手法の一つです。自社のビジネスにおける強み・弱みを浮き彫りにできるバリューチェーン分析の具体的な考え方や実践方法を解説します。

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目次

バリューチェーンの概要とサプライチェーンとの違い

まずは自社のバリューチェーン分析を行って効果を発揮するために、バリューチェーンの意味や役割を理解することが重要です。

バリューチェーンとは

バリューチェーン(Value Chain)とは元々、アメリカの高名な経営学者で、ハーバード大学経営大学院教授のポーターが提唱した考え方です。原材料の調達に始まり、商品の製造・出荷・販売・サービスといったビジネスの流れを、「価値の連鎖」として分析し、各セクションを経て加わる価値に着目しています。

バリューチェーンの構成要素

バリューチェーンのフレームワークについて解説します。事業活動を大きく「主活動」と「支援活動」の2つに分類し、これらに対し、「利益(マージン)」を紐づけてフレームワークに落とし込むと、自社のビジネスを視覚的に整理できます。

「主活動」とは、ビジネスにおける生産から消費までの流れに関わる活動のこと。主に、商品の製造・開発やサービスの提供などを指します。例えば、製造業の場合を考えてみましょう。ビジネスの流れを整理すると、「購買物流」「製造」「出荷物流」「販売・マーケティング」「サービス」が主活動として考えられます。

一方、生産から消費までの流れに直接関わらない活動を「支援活動」として、主活動をサポートする活動として説明されます。よく挙げられるセクションとしては、「全般管理」「人事・労務管理」「技術開発」「調達」などです。

バリューチェーンの概念図

 

このように、自社のビジネスを構成する項目を段階的に整理して分類することで、「どこで」「何の活動が」利益を生み出しているのかを明確にします。

サプライチェーンとの違い

バリューチェーンと混同しがちな言葉で、サプライチェーン(Supply Chain)という言葉があります。サプライチェーンとは、原材料の調達から、商品の製造、販売までの流れを指します。日本語に直訳すると、「供給連鎖」という意味です。言葉も意味も似ているバリューチェーンとサプライチェーンですが、実は両者には大きな違いがあります。サプライチェーンは、調達した原材料が商品となって消費者に届くまでのモノやお金の流れそのものに着目している一方で、バリューチェーンでは、ビジネスフローの中で創出される「価値」に着目しています。

サプライチェーンの仕組み

 

どの製品が、いつ、どこで、どの程度売れたのか。その情報によって供給方法を見直し、効率化することでマネジメントを行います。

バリューチェーン分析で自社の強みを可視化する

どのような業種においても、競合他社よりも優位に立つためには、「自社について知る」ことが最も大切です。ところが自社を取り巻く環境や世の中の情勢が多様に変化し、それに伴うマーケティング手法も段々と複雑化しているために、有効な方法を見つけられない企業も少なくありません。だからこそ、自社が持つ真の強みや、解決すべき課題を可視化することは、ビジネスにおいて重要なミッションだといえるでしょう。

バリューチェーン分析は自社のビジネスの強みや業界での優位性を知り、研鑽することで利益を増やすことが可能になります。これまで把握できなかったコストを削減する動機づけにもなるでしょう。また、自社のみならず複数の他社分析を行うことで、マーケットやユーザーの動向、他社が考える事業戦略の予測、そして自社のビジネス戦略の改善点・成長点が浮き彫りになります。企業の長期的な存続を目指し、ビジネスフレームワークを見直す上でも、マーケティングの有効的な方法として大きな注目を集めています。

バリューチェーン分析の目的とメリット

バリューチェーン分析とは、自社のビジネス・事業を「主活動」「支援活動」に分類して行うフレームワークです。事業工程を可視化し、それぞれを個別に分析することにより、「どこに」「どのような」付加価値が発生しているかを視覚化して分析できます。

ここで説明される付加価値とは、商品やサービスに価値をプラスすることで、ユーザー(顧客、消費者)の満足度が高まったり実用性が増したりするものを指します。以下のとおり、「納期が短い」「おいしい」といった強みが、バリューチェーン分析の付加価値として挙げられます。

バリューチェーン分析における付加価値の例

・ベテランの技術者が多い
・納期が短い
・商品にバリエーションがある
・商品の質が高い
・商品の質が一律
・精密さ、正確さがある
・おいしい
・使いやすい

バリューチェーン分析の目的は、各工程で発生しているコストや問題点を洗い出し、また、どこの工程でどういった内容の付加価値がどの程度生み出されているのかを正しく把握し、戦略の改善のヒントにすることです。分析の結果によって、余計なコストの削減に役立てたり、商品・サービスで他社との差別化を図ったり、特定の顧客層や商品・サービスにリソースを集中して投資することで優位性を高めることができます。

一般的なバリューチェーン分析の方法

バリューチェーン分析では、次の4つのステップを段階的に行うのが一般的です。

バリューチェーン分析のフロー

1 自社のバリューチェーンを洗い出す
2 コストを分析する
3 強みと弱みを分析する
4 VRIO(ブリオ)分析を行う

1 自社のバリューチェーンを洗い出す

企画・開発、製造、物流、PRなど事業に関わるすべての活動を機能別に分類していきます。分類ができたら、生産から消費までの一連の流れに直接関係しているかどうかによって、主活動と支援活動に仕分けします。その上で、主活動をさらに細分化し、図式にして視覚化することにより、自社にどのようなバリューチェーンがあり、競争の優位性(あるいは劣位性)を持つかを把握できます。

2 コストを分析する

活動ごとの数字を出して収益性やコストを明確に把握。活動ごとに年間のコストや担当部署を記入しておくと後で分かりやすいでしょう。

3 強みと弱みを分析する

競合を含めた比較を実施します。客観的な視点など、できるだけ多くの視点を集めると、より精度が上がります。

4 VRIO(ブリオ)分析を行う

VRIO分析の「VRIO」とは、Value(価値)・Rareness(希少性)・Imitability(模倣可能性)・Organization(組織)の頭文字を組み合わせたものです。4つのテーマごとに活動の強みを分析します。希少性が高い場合はプレミアム感を演出して訴求するなど、優位性を高めるポイントが見えてきます。この結果は、コアコンピタンスの理解にも活用できます。

バリューチェーン分析を行う一般的な方法は前述のとおりですが、いきなり4つのステップすべてを行うのはハードルが高くてなかなか難しいものでしょう。100人規模の企業であれば、ファーストステップである「自社のバリューチェーンの洗い出し」を行えば十分に有効と言えるでしょう。

バリューチェーン分析を戦略に活かすために

バリューチェーン分析の戦略性を最大化させるには、前述のように自社の分析だけでなく競合他社の分析を同時に行います。

例えば「納期が短い」「デザイン性が高い」「質が良い」といった一見、分かりやすそうな強みも、いざ当事者となると意外と気づきにくいものです。明らかになった競合他社の強みや弱みと比較することで、これまで当たり前だと思っていた自社の製品やサービスには、実は大きな付加価値があったことに初めて気づけるケースも多いはずです。そうして発見できた付加価値や強みに対しては、効率的かつ戦略的にリソースを投入することができます。仮にバリューチェーン分析をしなかった場合、以下のような間違ったリソース投入をしてしまうことも考えられます。

例:実際には優れた設計力が強みであるため、設計部門を充実させるべき
→ 販売数の増加を狙い、営業人員を増やす。その結果、受注量だけが増えて「優れた設計力」の強みに支障が出てしまう。

結果、自社の強みを消してしまうことになってしまいます。精度の高いバリューチェーン分析は他社と比較をし、そして第三者視点やユーザー視点を含めて行うことが大切です。

業種別のバリューチェーン

バリューチェーンは、業界や業種によって実にさまざまです。業種別に見ると、例えば製造業では「購買」「製造」「出荷物流」「販売」「サービス」に、小売業は「商品企画」「仕入」「店舗経営」「集客」「販売」「サービス」、飲食業では「購買」「製造」「出荷物流」「販売・マーケティング」「サービス」といったように、バリューチェーンを細分化することができます。

細分化した活動を個別に見ていくことで、競合他社と比べて製造業では「原材料の品質が良い」「製造のスキルが高い」、小売業では「商品企画力が高い」「納期が短い」、飲食業では「オシャレ」「オペレーションが強い」といった強みに気づくことができ、その強みをブラッシュアップさせてさらなる差別化やリソースの集中的な投入を進めることができます。反対もまたしかりで、問題点を抽出することができます。

ファストファッションブランドの成功例

バリューチェーン分析を活用した成功例は、国内外で多く見ることができます。例えば、海外発のあるファストファッションブランドでは、工場で行う製造工程を除き、企画やデザイン、設計などの工程をすべて本社で行う体制を確立しています。サプライチェーンを効率化したことでコスト削減を実現し、同時に、商品完成までの時間を可能な限り短縮させることに成功しました。これにより、短期間で新たなデザインの商品を発表できるようになりました。

同ブランドの強みは、幅広い年齢層に向けた普遍性の高い商品を取りそろえる国内ファストファッションブランドとの差異となり、大きな付加価値だといえるでしょう。目まぐるしく変わる流行に敏感で、常に新しいものを求める若い世代の人から多くの支持を集めるようになっています。

強みに磨きをかけて競合他社との差別化を実現

近年競争の激しいカフェ業界においては、海外発のコーヒーチェーン店の場合、コーヒー豆の質と接客サービスの良さ、マーケティング力に強みを発揮。こうした強みに磨きをかけることで他社との差別化を図り、現在も業績も拡大しています。バリューチェーン分析を上手に活用して、自社の強みに合致した独自性のある戦略を推し進めたことで、大手企業に肩を並べるほどの成功を収めている地域密着型のスーパーや小さな町工場なども少なくありません。

このように事業内容を機能別に分類して機能別に強みや弱みを明確にすることができるのが、バリューチェーン分析です。自社の強みと弱みを改めて洗い出し、経営戦略や事業戦略の有効性を高めるために活用してはいかがでしょうか。

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