2024年03月05日
2025年06月02日
2022年に登場したChatGPTを筆頭に、生成AIは現在、ビジネスにおいてさまざまなシーンで活用されています。生成AIの活用は、作業時間の短縮により業務効率化につながるのが大きなメリットです。
本記事では、生成AIの種類とツール例、生成AIに用いられている技術、生成AIのメリット・デメリットなどについてわかりやすく解説します。
【お役立ち資料】生成AIによる営業業務の効率化プロンプト集公開中
様々なシーンでChatGPT をはじめとした生成 AI の活用が浸透している中、営業現場においても、事務作業などの一部のタスクを生成AI に任せることで、業務効率化や営業生産性向上といった課題解決が期待できる事例が増えています。
そこでパーソルグループでは、生成 AI の導入や業務適用に必要な考え方と進め方をはじめ、営業業務を効率化させるプロンプト集についてまとめた資料を公開しています。
これから生成AI の導入・活用を検討されている担当者の方、実利用や活用定着に取り組まれている方はぜひご活用ください。
目次
生成AI(ジェネレーティブAI)とは、学習したデータをもとに、自動的にコンテンツを生成する人工知能の一種です。生成AIが作り出すコンテンツは、テキスト(文章)や画像、動画、音声、プログラムのコードなど多岐にわたります。
生成AIは、大量のデータを学習・分析することで、コンテンツを生成します。このデータの学習には、機械学習の中でも特にディープラーニング(深層学習)と呼ばれる手法が使われます。機械学習とは、コンピューターが過去のデータからパターンやルールを自動的に学習する技術のことです。
ディープラーニングを活用することで、生成AIは学習したデータの特徴を捉え、新しいコンテンツを生成できるようになります。ただし、完全にゼロから作るわけではなく、学習データをもとにパターンを推測しながら生成する仕組みです。
この技術の進化により、生成AIはより自然で高度なコンテンツを生み出せるようになり、テキストの自動生成や画像生成、音声合成など、さまざまな分野で活用されています。
【プロンプト集】生成AIによる営業業務の効率化
営業現場においても、事務作業などの一部のタスクを生成AI に任せることで、業務効率化や営業生産性向上といった課題解決が期待できる事例が増えています。パーソルグループでは、生成 AI の導入や業務適用に必要な考え方と進め方をはじめ、営業業務を効率化させるプロンプト集についてまとめた資料を公開しています。
従来のAIと生成AIの決定的な違いは、「学習データに基づいて新しいコンテンツを作れるかどうか」です。
従来のAIは、主にパターン認識やあらかじめ決められたルールに基づいた判断を行うものでした。例えば、画像認識AIは過去のデータから特定の特徴を学習し、新しい画像が何であるかを識別します。また、チャットボットなどのAIも、あらかじめ登録されたルールやデータに基づいて最適な回答を選択するのが一般的でした。
一方、生成AIはディープラーニングを活用し、学習データの特徴をもとに新しいコンテンツを生み出します。 例えば、文章を生成するAIは、過去の膨大なテキストデータを学習し、文法や表現のパターンを理解した上で、新たな文章を作成します。ただし、完全に未知の情報をゼロから生み出しているわけではなく、あくまで学習したデータをもとに推論し、新しい形で再構築する仕組みです。
生成AIで作ることができるコンテンツにはさまざまなものがあります。ここでは特にテキスト、画像、動画、音声を作り出す生成AIについて解説します。
テキスト(文章)生成AIは、学習したデータをもとに文章を生成するAIです。例えば、大規模言語モデル(LLM)を使用することで、以下のようなテキストを生成できます。
・ブログ記事
・SEO記事
・メール文
・自動応答メッセージ文
画像生成AIは、テキストの指示や学習データをもとに新しい画像を生成するAIです。例えば、GAN(敵対的生成ネットワーク)や拡散モデルを活用することで、以下のような画像を生成できます。
・広告バナー
・商品パッケージのデザイン
・自動車のデザイン
・アート作品
動画生成AIは、画像やテキストから動画を自動的に生成するAIです。例えば、シーンの切り替えやエフェクトを自動的に組み合わせることによって、以下のような動画を生成できます。
・広告動画
・プロモーション映像
・教育動画
最近では、拡散モデルやGANを応用した技術により、短い動画をゼロから生成することが可能になっています。
音声生成AIは、テキストを音声に変換したり、特定の話者の声を合成したりする技術を持つAIです。テキストの読み上げやキャラクターの声を自動的に作り出すことができ、以下のような音声を生成できます。
・音声案内
・オーディオブック
・音声コンテンツ
テキスト、画像、動画、音声といった各コンテンツを作るのに役立つ生成AIツールを紹介します。
ChatGPTは、対話形式で文章を生成できるテキスト生成AIツールです。記事やコラム、SEO記事、ホワイトペーパーなど、さまざまな種類のコンテンツ作成に活用できます。 また、ターゲットに応じた最適な表現や構成を提案することも可能で、アイデア出しや既存記事のブラッシュアップにも役立ちます。
ChatGPTは、メールアドレスを登録すれば無料で利用できます。有料の「ChatGPT Plus」プランでは、より高速かつ高精度な応答が可能です。
Canvaは、オンラインでデザインを作成できるツールで、AIを活用した画像生成機能を備えています。テキストから画像を生成する機能や、デザインの自動提案機能があり、手軽にコンテンツ制作が可能です。これにより、プレゼン資料やSNS投稿、チラシ、動画用のサムネイルなど、さまざまなビジュアルコンテンツを簡単に作成できます。デザインの知識がなくても直感的に使える点が特徴です。
CanvaのAI機能は無料で利用できますが、一部の機能には制限があります。
Runway MLは、AIを活用した動画制作ツールです。画像やテキストから動画を生成する機能のほか、映像編集やエフェクト追加、モーショントラッキングなど、多彩な機能を搭載しています。これにより、SNS用の短尺動画や広告、プロモーション映像、映画制作など、幅広い用途に対応可能です。初心者でも簡単に使え、上級者は高度な編集を行うこともできます。
無料プランでは基本的な機能を利用できますが、動画生成に使用できるクレジット数に上限があり、一部の高度な機能は有料プランでのみ提供されます。
ElevenLabsは、高品質な音声を生成できるAIツールです。多言語対応のテキスト読み上げ機能や、特定の話者の声を再現するボイスクローン機能を搭載しています。 ナレーションやオーディオブック、動画の音声、ゲームキャラクターの声など、幅広い用途に活用できます。高度な音声合成技術により、自然で流暢な音声を生成できるのが特徴です。
無料プランと有料プランがあり、無料プランでは利用可能な文字数に上限があります。商用利用を考えている場合は、有料プランの利用が推奨されます。
生成AIに用いられている技術にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的な5つの技術について詳しく解説します。
大規模言語モデル(LLM)とは、膨大な量のテキストデータを学習し、テキスト生成や要約、質疑応答といったタスクを高精度で実行できるディープラーニングモデルです。 大規模言語モデルは、自然言語処理(NLP)の分野で使用され、テキスト生成AIにおいては、プロンプト(指示や質問)を入力することで、モデルが自動的に文章を生成します。この技術により、文章の生成や要約、文脈理解などが可能になります。
トランスフォーマーとは、自然言語処理の分野で革命的な技術で、GPTやBERT、PaLMなどの先進的なモデルの基盤となっています。テキスト生成AIにおける自然言語処理や機械翻訳などの分野で広く活用されており、その高い性能と柔軟性から注目を集めています。
拡散モデル(Diffusion Model)とは、画像生成AIで使用される技術の一つで、画像にノイズを加え、そのノイズから元の画像を再構築する過程を学習します。まず、画像にノイズを加えて「破壊」し、次にそのノイズを「修復」することで、元の画像を再構築します。拡散過程の逆操作を学習することにより、ノイズの中から新しい画像を生成する仕組みです。この技術により、リアルで高品質な画像生成が可能になります。
GAN(Generative Adversarial Network)は、生成ネットワーク(Generator)と識別ネットワーク(Discriminator)の二つのネットワークを競わせながら学習する技術です。生成ネットワークはリアルに見える画像やデータを生成し、識別ネットワークはそれが本物か偽物かを判定します。この対抗的なプロセスを通じて、生成ネットワークはますますリアルなデータを生成できるようになります。GANは画像生成やアート、デザインなどの分野で広く利用されています。
VAE(Variational Autoencoder)は、画像やデータを圧縮し、その背後にある潜在的な構造を学習するディープラーニング技術です。データを圧縮してから元のデータに近い形で復元するだけでなく、新しいデータを生成する能力も持っています。VAEは、画像や音声、その他の複雑なデータの生成に使用され、特に新しいサンプルを生成する際に強力です。この技術は、生成モデルの中でも特に柔軟で高い表現力を持っています。
ここからは、従来のAIと生成AIとの違いを理解した上で、生成AIを業務に取り入れることのメリットをご紹介します。
生成AIは自動的にコンテンツを生成するため、人による作業を削減できます。例えば、AIを活用して文章を自動生成することで、ライターや編集者のコストを削減できます。さらに、生成AIは既存のデータから新たな文章や画像を作成することができるため、デザインやプロトタイプの作成にかかるコストも削減できます。
【関連記事】コスト削減とは?削減アイデアと成功事例・NG例を解説
生成AIは、繰り返しの作業や単純なタスクを自動化できるため、業務の効率化に貢献します。これまで手作業で多くの時間を要していた業務も、生成AIによって効率化を図ることができます。例えば、大量のデータからパターンを抽出し、予測モデルを構築する際に活用できます。
【関連記事】業務効率化の進め方とは?ポイントや成功事例も解説
生成AIは、異なるデータや視点から新しいアイデアを生み出すことができます。例えば、動画生成AIは異なる写真や画像を組み合わせて新しい映像を作り出すことができます。さまざまなパターンを提示してくれるため、アイデアをブラッシュアップする際にも役立ちます。
生成AIは、新しいコンテンツを自動的に生成する強力なツールです。例えば、画像生成AIを利用することで、新しい風景写真やアートワークを作成できます。素材が不足している場合でも、時間や手間をかけずにゼロからコンテンツを生成することができます。
一方で、生成AIを取り入れることによるデメリットもいくつかあげられます。ここでは、生成AIのデメリットを解説します。
生成AIは学習データに基づいてコンテンツを生成しますが、そのデータが正確でない場合、生成された情報も誤ったものになる可能性があります。特に専門的な知識や科学的な事実に基づいたコンテンツを生成する際には注意が必要です。
生成AIは大量のデータを学習するため、個人情報や機密情報が含まれている場合、それらの情報がコンテンツに反映される可能性があります。そのため、プライバシー保護とセキュリティ対策が重要です。例えば、テキスト生成AIが個人のメールやメッセージを学習してしまうことで、プライバシー侵害のリスクが生じます。
生成AIはリアルな文章や画像を生成できるため、悪意を持った人々がフェイクニュースや偽造コンテンツを作成する手段として悪用する可能性があります。例えば、偽造された映像や音声を生成するAIが、詐欺やデマの拡散に利用されることが懸念されます。
ビジネスにおける生成AIの活用シーンを紹介します。
テキスト生成AIは、企画書やメールなどさまざまな文書の作成を効率化します。要点を抽出し、短時間で要約を作成できるため、長文のビジネス資料や記事の読み込み時間を大幅に削減できます。また、統一されたトーンやフォーマットで文書を作成できるため、社内外のコミュニケーション品質も向上します。時間のかかるマニュアル作成や会議議事録の要約にも活用でき、業務効率化に大きく貢献します。
生成AIは、ブログ記事、SNS投稿、キャッチコピー、動画スクリプトなど、さまざまなコンテンツ制作をサポートします。ターゲットに合わせた表現やSEO対策を考慮したテキストを自動生成することができ、クリエイティブ業務の負担を軽減できます。画像や動画の自動生成AIと組み合わせることで、デザインや映像制作の効率化も可能です。これにより、短時間で多様なコンテンツを作成し、マーケティング施策の効率化が期待できます。
生成AIを活用したチャットボットや自動応答システムを導入すれば、24時間対応のカスタマーサポートが実現できます。FAQの回答や自動要約による迅速な問い合わせ対応、感情分析を活かした柔軟な対応が可能で、顧客満足度の向上に貢献します。オペレーターの負担を軽減しながら、複雑な問い合わせには人間の対応を組み合わせることで、効率的なサポート体制を構築できます。
生成AIは、業界や顧客データをもとに最適な営業トークスクリプトを自動生成し、営業活動を支援します。過去の成功事例を学習し、顧客ごとにカスタマイズされた説得力のあるスクリプトを作成できるため、トークの精度向上に貢献します。
生成AIは、膨大なデータから重要な傾向を分析し、レポートを自動作成するのにも役立ちます。売上データや市場調査、顧客行動の分析結果をわかりやすく要約し、可視化することで、社内の目標達成に向けた意思決定をサポートします。これにより、定期レポートやプレゼン資料などの作成が効率化され、迅速なデータ分析や戦略立案が可能になります。
生成AIは、プログラミングコードの自動生成にも対応でき、システム開発のスピードを向上させます。自然言語で要件を入力することで、適切なコードを提案し、初心者でも高度なプログラムの作成が可能になります。バグ修正やコードの最適化も行えるため、エンジニアの負担を軽減し、品質向上に貢献します。さらに、プロトタイピングや技術検証の迅速化にも役立ちます。
では、実際に企業は生成AIを活用しているのか、具体的な活用事例を紹介します。
サイバーエージェントでは、自社で開発した大規模言語モデル(LLM)とChatGPTのAPIを組み合わせて、画像の内容に加え、配信ターゲットに合った広告コピーを自動生成しています。
また、アニメーション業界で生成AIを活用するために「アニメーションAI Lab」を新設しました。最新のアニメーション制作プロセスを研究し、生成AIを活用した新しいアニメーション制作方法を探求しています。
楽天グループでは、OpenAI社との協力により、最新の対話型AI技術やChatGPTを活用して、国内外の消費者およびビジネスパートナーに向けて新たな顧客体験を創造しています。
楽天証券では、独自で開発したAIモデルにChatGPTを組み合わせた「投資AIアシスタント」を2023年7月から提供しています。ユーザーが抱える投資に関する悩みを早期に解決することを目的に開発されました。
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これから生成AI の導入・活用を検討されている担当者の方、実利用や活用定着に取り組まれている方はぜひご活用ください。
自社で生成AIを活用するには、生成AIを活用できる人材が必要です。しかし、そのような人材を育成するためには、講師の確保や研修のノウハウが不足しているといった課題をお持ちではないでしょうか。そのようなときにおすすめなのが、パーソルイノベーションの研修サービス「リスキリングキャンプ」です。
リスキリングキャンプは、インプットよりもアウトプットを重視し、個々の理解度に合わせた最適な学習カリキュラムを提供します。さらに、キャリアコーチとの面談を通じて学習意欲を高め、変化意欲や成長志向を育てます。また、ピアラーニング(お互いに協力しながら学び合う学習手法)を取り入れており、仲間と共に学ぶことができるため、学習効果が高まります。
生成AIを活用した人材育成に課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
生成AIはさまざまな種類のコンテンツ制作に役立つだけでなく、カスタマーサポートや営業、エンジニアなどの業務効率化にも活用できます。一方で生成AIを利用する際には、生成した情報の正確性やプライバシー侵害や情報漏洩などのリスクにも注意が必要です。