2023年06月19日
2024年03月28日
「IT人材が不足して困っている」という課題や「IT人材が不足している理由や対策を知りたい」といった疑問を抱えていませんか。
IT需要拡大などにより、IT人材不足は深刻化しており、国の調査でもその実態が明らかになっています。IT人材不足は、企業における競争力や生産性向上のためにも早急に取り組むべき課題です。
本記事では、IT人材不足の実態や要因、IT人材の定義、IT人材を確保する重要性を解説します。その上で、IT人材確保のために実施するべき施策と、IT部門の業務効率化を推進する方法を紹介します。
【お役立ち資料】IT人材不足への対応|高度IT人材の強化と非IT人材へのリスキリング戦略
Chat GPTの急速な普及により、AIの活用が非常に身近なものになってきました。データとデジタル技術の戦略的活用は、生産性向上だけではなく企業価値の創造にも大きく寄与します。
多くの企業がこうした変化に対応すべく、DXの必要性が高まっている中、IT人材不足は深刻化しており、「IT人材が採用できない」「育成に苦労している」といった課題を多く耳にします。
そこで、パーソルグループでは「非IT人材のリスキリング」と「高度IT人材の強化」について、取り組む際のポイントや事例をまとめました。
IT人材の採用・育成にお悩みの方はぜひご活用ください。
目次
経済産業省によると、2030年には最大約79万人ものIT人材が不足すると予測されています。さらにIT人材の平均年齢も高齢化が予測されており、ITニーズの増加に伴う需給ギャップの拡大も懸念材料です。
IT人材にもさまざまな種類がありますが、その中でも特に人材不足が深刻で問題になっている種類を、3つ紹介します。
IT人材は以下の3種類に大別できます。なかでも、DX推進を担う「先端IT人材」のニーズが急速に高まっており、人材不足も深刻な状態です。
IPAの「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」によると、9割以上の企業がDXを担うIT人材の量と質が「やや不足している」「大幅に不足している」と回答しています。
また、「DX白書2023」からも、DXを推進する人材について、量・質の両面で不足を感じている企業が多いことがわかります。
例えば、2022年時点でDXを推進する人材の「量」が「やや不足している」「大幅に不足している」と回答した割合は、合わせて83.5%でした。対して、米国では22.6%となっており、日本におけるDX推進人材の不足が顕著になっています。
DXを推進する人材の「質」についても、「大幅に不足している」と感じている企業は、51.7%になりました。DXを推進する人材のニーズは増大しているものの、人材をなかなか確保できていない現状を示すものでしょう。
【関連記事】IT人材とは?育成・採用する方法や求められるスキルを解説
【お役立ち資料】DXをリードする人材を育成するポイントとは
多くの企業においてDXが推進されていますが、DX人材の採用市場は競争が激しいため、社内で育成する企業が増えてきています。 本資料では、DX人材を社内で育成する際のポイントや準備すべきことについてまとめました。 DX人材の不足にお悩みの方はぜひご覧ください。
AI人材は、機械学習やデータサイエンスなどに確固たる知識・スキルを有し、AIシステムの構築・運用を担える人材を指します。技術職に限らず、AIに関するマネージャーなども指すので、比較的広い意味で捉えるべきと考えましょう。AI技術の進歩やブームで需要は高まっているものの、人材不足は深刻です。
IPAの「DX白書2023」では、AIを導入する課題として「AI人材の不足」を挙げた企業が最多でした(40.7%)。また、経済産業省の報告でも、2030年には12.4万人のAI人材が不足すると予想されました。
2020年 | 4.4万人 |
---|---|
2025年 | 8.8万人 |
2030年 | 12.4万人 |
【関連記事】AI人材とは?職種や必要スキル、人材育成のポイントや注意点
DX推進人材と同様、情報セキュリティ人材のニーズも高まっています。NRIの「企業における情報セキュリティ実態調査2022」によると、企業の9割弱がセキュリティを担える人材が不足していると回答しています。
これらの調査結果からIT人材は大幅に不足しており、今後も不足が拡大していくでしょう。
詳細は後述しますが、IT人材不足が起きている要因としては、IT人材も減少している一方で、IT需要が拡大していることが挙げられます。また、「レガシーシステム」と呼ばれる古い技術で構築されたシステムなどの保守・運用といった業務に工数がかかっていることも要因のひとつです。
企業にはこれらの現状を受け入れた上で、IT人材不足解消に向けて対策を講じていくことが求められます。
前章では特に不足しているIT人材を紹介しましたが、その他にもさまざまな領域・職種のIT人材がいます。どのような職種の人材を「IT人材」と呼ぶのかイメージしにくい方も多いのではないでしょうか。
IPAの「DX白書2023」によると、企業(事業会社)で活躍する代表的なIT人材とその総数は以下のとおりでした。
それぞれの職種の詳細は以下の通りです。
ITストラテジスト | 経営戦略やIT戦略の立案を行う |
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システムアーキテクト | システム企画や要件定義、基本設計など、システム開発の上流工程を担当 |
プロジェクトマネージャ | システム開発プロジェクトの責任者 |
ITサービスマネージャ | ITサービス提供時の管理者 |
ネットワーク技術者・担当者 | LAN・インターネットなどのスペシャリスト |
データベース技術者・担当者 | データベース開発・運用等のスペシャリスト |
エンベデッドシステム技術者・担当者 | 組み込みシステムのスペシャリスト |
情報セキュリティ技術者・担当者 | セキュリティのスペシャリスト |
アプリケーション技術者・担当者 | アプリケーション開発のスペシャリスト |
プログラマー | プログラミングでシステムを開発 |
システム監査 | システムの信頼性や経営への貢献度を監査 |
ここからは前半でも触れた、IT人材の3つの分類ごとについて詳しく解説します。
ITツールの運用・保守、および請負開発を行える人材です。既存のツールを運用できること、要求に応じたプログラミングができることなどが求められます。具体的な職種としては、システムエンジニアやプログラマーなどが挙げられます。
ITを他の産業と結びつけて新たな商品・サービスを生み出すなど、ITの戦略的活用を実現できる人材です。ITツールを運用するだけにとどまらず、付加価値を与えて別の戦略に応用できるようなスキルが求められます。新たなビジネス戦略を上手く提案できるプレゼンテーションスキルやコミュニケーションスキルも必要です。
高度IT人材には、幅広い職種が挙げられます。例えば、経営戦略の立案を行うIS(Information System)アナリストやコンサルタント、生産性の向上を実現するITアーキテクトやスペシャリスト、技術革新および新たなサービスを創造するソフトウェアデベロップメントやITサービスマネジメントなどです。
AIや機械学習、IoTなどの最先端技術を理解・習得している人材を指します。AIやIoTのほかにも、ビッグデータおよびクラウドといった最先端技術を扱えるスキルを持ち、それらに関するセキュリティの知識も必要です。具体的な職種としては、AIエンジニアやデータサイエンティスト、クラウドエンジニアなどが挙げられます。またDXを推進する「DX人材」も先端IT人材に分類されます。
【関連記事】DX人材とは?役割や求められるスキル・獲得方法
これらのスキルのうち、特に重要なスキル、あるいは自社内に不足しているスキルを考えることで、優先的に確保すべきIT人材が見えてくるでしょう。
IT人材不足を引き起こす要因はIT需要の拡大や労働力人口の減少など複数あります。ここでは、代表的な要因を4つ解説します。
IT需要の急拡大は、IT人材不足の大きな要因のひとつです。近年、リモートワークやオンライン会議の普及により、企業はIT技術導入の必要性が高まっています。農業や漁業といった、これまでITとは程遠いと考えられていた第一次産業でも、ITの活用が進んでいるなど、あらゆる分野でITの需要が拡大しています。
また、IT技術の進展やDXの需要増加に伴い、先端IT人材の需要がとくに高まっています。経済産業省によると、従来型IT人材は需給ギャップが2030年には軽減されるものの、先端IT人材にいたっては需給ギャップがさらに広がると予測されています。
このようにIT人材の需要は拡大していますが、人材供給が一定もしくは減少しているため、人材不足が起こっています。
少子高齢化による労働力人口の減少も、IT人材不足に拍車がかかる要因です。パーソル総合研究所の調査によると、2030年には644万人もの人手不足になるという予測が示されました。
産業別にみるとサービス業、医療・福祉業などが大きな人手不足が予測されています。
日本全体で労働人口が減少している背景を受けて、IT人材の不足も進行する見通しです。実際に、IT人材は減少し、平均年齢が高齢化しています。
若手IT人材が減少し、今いるIT人材が次第に定年を迎えることで、IT人材不足はいっそう深刻化するでしょう。
【お役立ち資料】労働力不足に備える、効果的な人材マネジメント・組織づくりとは
本資料では、労働力不足に備えて効果的な「人材マネジメント」「組織づくり」のポイントをまとめています。人材不足についてお悩みの方はぜひご覧ください。
IT技術の急速な進歩により、求められるスキルや知識の習得、育成が追いついていません。
日本企業では、IT人材の教育・研修制度および自己研鑽支援制度について満足度が低く、自主的に勉強している割合も低いという調査結果も公表されています。
こうした背景から、企業がIT人材を確保するためには、教育体制の整備やモチベーション管理を合わせて行う必要があると考えられます。
レガシーシステムにおける保守・運用にIT人材が割かれているという実情も大きな課題です。
レガシーシステムとは、老朽化や肥大化、複雑化、さらにブラックボックス化したシステムを指します。より具体的には、1980年代に多くの企業が導入した、メインフレームや、それを小型化したオフィスコンピューターなどを使用したシステムのことです。レガシーシステムは以下のような理由から問題視されています。
経済産業省の「DXレポート」によると、レガシーシステムは日本国内の約8割の企業が抱えていると言われています。そのような技術的負債に対して貴重なIT人材を割かなければならないことは、人材不足を引き起こす要因となっています。
【関連記事】レガシーシステムとは?問題点や脱却・移行プロセスをわかりやすく解説
ここからは、IT人材を確保する方法を4つ紹介します。
IT人材を効率的・効果的に確保するに、まずは求職者のニーズ動向を理解することがポイントです。
パーソル総合研究所の調査によると、エンジニアは求人に応募する際に以下の2点を重視しています。
そのため、自社の職場がアットホームな雰囲気であることやサービスの認知度よりも、「安定して働けそうか」「自分が成長できるか」を訴求すべきでしょう。具体的には、入社後にどのような経験を積め、どのようなスキルを獲得していけるのか、またどのタイミングでどの役職につけるのかなど、求職者が入社後の活躍を具体的にイメージできるようなキャリアパスを明確にするなどがあげられます。
また、転職市場の動向を把握することも大切です。例えば、自社の求める人材と同等のスキル・経歴を有する人材がどの程度の待遇で募集されているのか、給与面などの条件を確認しましょう。
このように市場・求職者の動向を理解して、採用活動に取り入れていくことが重要です。
IT人材を確保する上では、採用後に長く定着してもらうことも重要です。採用後の定着率を向上させる1つの手段は、企業と候補者のミスマッチを減らすことです。
企業側と候補者側の認識に差があると、入社後にモチベーションやパフォーマンスが低下し、短期間で離職に至りやすくなるでしょう。
ミスマッチを減らすためには、以下のような施策があげられます。
派遣やフリーランス、アウトソーシングなどの外部人材を活用するのもひとつの方法です。外部人材は、高い専門性を有することに加え、実務経験も豊富です。内製と異なり教育コストもかからず、業務内容・業務量に応じて契約できるため、人件費削減にもつながります。
自社でIT人材を育成していく方法もあります。自社の事業や業務に詳しい人材を育成することで業務やプロジェクトが円滑に進みやすく、従業員本人にとっても仕事の幅が広がり、モチベーションも向上するといった点がメリットです。
IT人材を育成していく上で役立つ方法の1つが、e-learningです。e-learningはインターネット環境があれば、いつでもどこでも視聴できる学習方法です。ただし、学習の習熟度合いが個人のモチベーションに大きく左右されるというデメリットがあります。そのため、学習前に「そもそも何のためにITやDXについて学ぶのか」「習得・活用できれば、どのようなメリットが従業員・会社にあるのか」をしっかりと説明することが大切です。
また育成方法としては、社内研修や公開型講座の実施も考えられます。ITパスポートなどの資格取得に報奨金を出すといった形で、従業員に自学自習を促すのもよいでしょう。
なお、このような取り組みにより、従業員に必要なスキルを習得させることを「リスキリング」と呼びます。リスキリングにより、非IT職種の従業員にITスキルを身につけてもらうことで、IT人材不足の解消を試みている企業も増えています。
【関連記事】リスキリングとは?DXとの関連性、企業が推進すべき理由を解説
オフショア開発もひとつの方法です。オフショア開発とは、システムおよびソフトウェア開発の一部、またはすべてを海外の企業に委託することを言います。この方法のメリットは、比較的人件費が低く、高い技術を持った多くのIT人材を抱える国に委託することで、人件費を抑えた開発が実現することです。
一方で、委託先が遠隔であることや文化の違いから、スケジュール管理やコミュニケーションに苦労するといったデメリットも存在します。
オフショア開発は、国による違いが生じにくいシステムの作成案件や、スケジュール管理のしやすい納期に余裕がある案件の場合は検討するとよいでしょう。
【関連記事】オフショアとは何か?活用の背景と事例について紹介
前述のとおりIT人材の確保は難易度も高いため、並行してIT部門の業務を効率化できないかも検討しましょう。
RPAやチャットボット、社内wikiなどデジタルを活用することで、顧客対応業務や情報編纂業務の一部をシステム化でき、必要な人材を減らすことが可能です。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、これまで人間が行っていた作業を、AIや機械学習といった認知技術を活用して機械が代行することを指します。
業務効率化にあたっては、まず現状の業務を洗い出すことから始めましょう。業務を可視化することで、短縮できる部分や廃止できる部分、統合できる部分が見えてきます。さらにデジタル化や自動化できる業務を洗い出し、費用対効果を検証した上でツールを導入していきます。
改善したい業務にいきなりツールを導入するのではなく、「業務そのものを減らせないか」「業務にかける時間を減らせないか」といった視点から検討しましょう。
【お役立ち資料】業務整理ノウハウBOOK
「改善すべき業務そのものが整理できていない」
「具体的な進め方がわからず、結局後回しになっている」
「業務のムダを、どのように解消すべきか分からない」
これらの課題をお持ちの方に業務改善コンサルタントが教える、業務整理ノウハウBOOKを公開しています。業務効率化を推進する際にぜひご活用ください。
企業の内外からITシステムやツールに関する問い合わせ対応を行うヘルプデスク業務は、その業務量や業務範囲の多さから人材不足に陥りやすいとされていますそのため、ITツールの活用やFAQの公開、属人化を防ぐノウハウの共有などを行い、業務を見直しましょう。ヘルプデスク業務の見直しは、企業全体の業務効率化に寄与します。
【関連記事】ヘルプデスクとは?|陥りがちな課題や業務効率化のポイントを解説
特定の業務をアウトソーシングすることで、注力すべきコア業務に人材や時間を集中でき、かつアウトソーシング企業の専門的な知識やノウハウの活用が可能です。アウトソーシングすることで、人件費や設備投資といったコスト削減も見込めます。
アウトソーシングの形態は、企画から要件定義、開発・運用まで全てを外部ベンダーに委託するフルアウトソーシングや、IT分野の一部を外部委託するケースなどさまざまです。自社に合う形でアウトソーシングを導入しましょう。
形態 | 概要 |
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フルアウトソーシング | 企画・要件定義・開発・運用まですべてを外部委託する |
運用 | サーバーやOSなどインフラの運用を外部委託する |
ホスティング | 外部ベンダーのサーバーやストレージを活用し、運用や保守などを外部委託する |
ハウジング | 自社が用意したサーバーや通信機器を外部ベンダーのデータセンターなどに間借りする |
ヘルプデスク | 顧客からの問合せやクレーム対応などを外部に委託する |
常駐 | 外部ベンダーのスタッフが自社に常駐し、技術的なサポートを受ける |
【関連記事】ITアウトソーシングとは?活用事例とメリット、導入方法まで
日本におけるIT人材不足は深刻化しており、2030年には最大約79万人のIT人材が不足することが予測されています。特にAIや機械学習などの最先端技術を担う先端IT人材は需給ギャップの拡大が加速しているのが現状です。企業にとってIT人材の確保は急務ですが、IT需要の拡大や労働力人口の減少、IT技術の急速な進展による需要構造の変化などから簡単なことではありません。
求めるIT人材のスキルを定義し、採用基準の見直しや外部人材の活用、育成・教育体制の強化、アウトソーシングの活用など自社にとって必要な施策を行いましょう。
【お役立ち資料】IT人材不足への対応|高度IT人材の強化と非IT人材へのリスキリング戦略
Chat GPTの急速な普及により、AIの活用が非常に身近なものになってきました。データとデジタル技術の戦略的活用は、生産性向上だけではなく企業価値の創造にも大きく寄与します。
多くの企業がこうした変化に対応すべく、DXの必要性が高まっている中、IT人材不足は深刻化しており、「IT人材が採用できない」「育成に苦労している」といった課題を多く耳にします。
そこで、パーソルグループでは「非IT人材のリスキリング」と「高度IT人材の強化」について、取り組む際のポイントや事例をまとめました。
IT人材の採用・育成にお悩みの方はぜひご活用ください。