人材開発を進めるうえで企業が取り組むべきこととは
前述の手法を取り入れるだけでは、人材開発は成功しません。人材開発は、一人ひとりが異なるゴール設定をするため、内発的動機が前提であり、キャリア像を描けるように支援することが重要です。
人材開発の目的が達成できる運用になっているか以下のようなポイントを踏まえて見直しましよう。
▼人材開発を進める上でのポイント
- 企業と社員の間のギャップや課題を把握できているか?
- 求める成果とそれにつながる行動を明確化できているか?
- キャリアの複線化が可能な人事制度、教育制度となっているか?
- 自身のキャリア像を描けているか振り返る場はあるか?
企業と社員の間のギャップや課題を把握できているか?
まずは、企業と社員の間にどのようなギャップや課題があるか把握しましょう。これらを把握しないままでは、かえって社員のモチベーションが低下する恐れがあります。従業員満足度調査やエンゲージメントサーベイなどを行い、現状と課題をしっかりと捉えることが重要です。
求める成果とそれにつながる行動を明確化できているか?
人材開発は社員の行動変容を促し、その行動が成果につながります。そのため、組織における成果とは何か、また成果につながる行動はどのような行動かを明確にしましょう。
成果につながる行動は、人材要件やコンピテンシー・発揮行動等と定義づけているものがベースになります。コンピテンシー評価・行動評価のように、評価項目として使用している組織も多いでしょう。
キャリアの複線化が可能な人事制度、教育制度となっているか?
「課長→部長→本部長」と昇格していくような従来の画一的な人事制度では、キャリアの選択肢が少なく、社員自身がキャリアを描きづらくなってしまいます。社員の主体的なキャリア形成を促進するためには、複数のキャリアコースからキャリアを選択できるような、人事制度への見直しが必要です。
また、社員一人ひとりのキャリア形成を支援できるような学習機会・教育制度を整えることも重要です。
昨今、アンラーニングの考え方が人材開発においても注目されています。アンラーニングとは、過去習得した知識やスキルを意図的に棄却しながら、新しい知識・スキルを取り入れるプロセスを指します。目まぐるしく変化する環境下だからこそ、知識やスキルも柔軟に取り入れていくことが大切です。
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自身のキャリア像を描けているか振り返る場はあるか?
社員が主体的にキャリアを考える必要性を伝え、自身のキャリア像を描けるよう、部下と上司がキャリアについて対話する場を設けましょう。このとき、キャリアプランシートを用いると良いでしょう。過去・現在・将来と段階別にキャリアを考えることができます。
キャリアプランシートの例
STEP1 これまでの経験 今の自分 |
STEP2 これからやりたいこと |
STEP3 どのように 能力を伸ばすのか |
職務経験 (過去・現在)
・これまでの経験の棚卸し ・身につけた知識、能力 ・現在の職務について |
将来計画 (将来)
・自身の価値観、興味 ・自分の強み ・将来やりたいこと (仕事、プライベート) |
行動計画 (将来)
ありたい姿に向けての ・自己啓発計画 ・研修受講計画 ・仕事経験の計画 |