OJTとは?メリットや進め方、効果を高める6つのポイント

OJTとは、実際の職場での実務をベースに知識やスキルを習得させる育成(研修)手法を指します。

本記事では、OJTでは具体的に何を行い、Off-JTなど他の育成手法とは何が違うのか、OJTが向いている業務・向いていない業務を解説します。OJTの効果を高めるポイントやよくある失敗の原因も紹介しますので、ぜひご参考にしてください。

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目次

OJT(On-the-Job Training)とは

OJTはOn-the-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の略で、実際の職場での実務をベースに知識やスキルを習得させる育成(研修)手法を指します。

OJTの定義や取り組み内容は企業ごとにさまざまです。労働政策研究・研修機構の調査では、OJTの取り組み内容として、以下が挙げられています。現場で「とにかく実践させる」「仕事のやり方を見せる」といった実務ベースの方法や「マニュアルを配布して理解してもらう」などの方法など、複数の方法を組み合わせつつも、実務をベースに教育を行うのが一般的です。

現場 ・とにかく実践させている
・仕事のやり方を見せている
・仕事の幅を広げている
・段階的に仕事を降っている
・それぞれの従業員に後輩の指導を依頼している
方針・考え方等 ・仕事の心構えを示している
・会社の理念や創業者の考え方を伝えている
・身につけるべき知識や能力を示している
・会社の人材育成方針を説明している
・目指すべき仕事や役割を示している
マニュアル・計画等 ・業務に関するマニュアルを配布している
・個々の従業員の教育訓練の計画を作る
・専任の教育係を付ける
相談・助言 ・仕事の相談に乗り、助言している
・仕事を振り返る機会を与える
・今後の職業人生の相談に乗っている
・キャリア形成を支援するメンバーを配置している
【参考】独立行政法人 労働政策研究・研修機構「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)」をもとに作成

OJTの重要性を示す理論として、人材開発の領域で有名なロミンガーの法則があります。これは、「70:20:10」の法則とも言われ、社員の成長に影響を与える要素の70%が「仕事上の経験」であるとされています。

OJTはこの「仕事上の経験」に該当し、学習と実践を日々繰り返していくOJTが重要な教育手法であるといえます。

厚生労働省の調査によると、「正社員または正社員以外に対して計画的なOJTを実施した」と回答する企業は61.8%となっています。このことから、現在の日本企業ではOJTは主流の育成手法となっていることが分かります。

【出典】厚生労働省「令和3年度能力開発基本調査

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Off-JTとの違い

Off-JTはOff-the-Job Training(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)の略で、実務の現場を離れて行う育成手法です。

OJTは職場での実務を通じて学ぶ方法ですが、Off-JTは職場外での学びが重要な場合に適しています。具体的な手法としては、セミナーや研修、ワークショップなどがあります。Off-JTのポイントは、専門家が提供する体系的な知識を身に着けることができる点です。

つまり、OJTは日常業務を通じて実践的な学びであり、Off-JTは職場外で知識やスキルを学ぶ点に違いがあります。

メンター制度との違い

メンター制度は、メンターとなる先輩社員がメンティーと呼ばれる対象者につき、育成する手法です。育成対象の社員に対し、先輩が一人つくという点ではOJTと同じように見えますが、メンター制度は実務に限らず、新人の精神面や悩みをサポートすることに比重を置いているという違いがあります。

そのため、新人が所属する部署内に限らず、ナナメの関係、具体的には年齢や社歴が近い他部署の先輩社員がメンターに選ばれることも多く、気軽な相談相手の役割を担っています。

オンボーディングとの違い

オンボーディングとは、新しい社員が早期に組織・職場に馴染み、業務をこなせるようにするための取り組みを指します。「業務の習得を支援する」という側面においては、OJTと共通する側面もありますが、OJTとオンボーディングは別物です。

OJTではあくまでも社員が特定の業務やスキルを身につけることを目的としますが、オンボーディングでは組織に馴染み業務をこなせるようになることを目的とします。そのため、OJTは現場での指導がメインになりますが、オンボーディングは現場での指導や相談の他に、ランチ会やスキルアップ研修、歓迎会なども実施します。

OJTの目的

企業がOJTを実施する主な目的を解説します。目的を理解することで、OJTに取り組む意識も変わります。

1.人材の早期育成

実際の業務を通じてスキル向上を図ることから、人材の早期育成につながります。インプットしながらアウトプットする機会を与えられるため、知識の定着も早く、即戦力化できるとされています。

2.定着率向上

即戦力として成長した社員には、活躍のチャンスも広がります。「できること」が増えると、新人のモチベーションも高まり、結果として企業への定着率向上へつながります。

また、OJTを通して社内での人間関係が構築されることにより、組織や上司が「気にかけてくれている」という安心感が生まれ、新人の孤立化を防ぐことにもなるのです。このような関係性の中で、帰属意識や自律性が醸成されていきます。

こうした関係性の醸成と孤立化の防止は、テレワーク・リモートワークが進む組織においては一層重要となるでしょう。

3.適材適所の人材配置

OJT担当者が新人を個別に指導することにより、一人ひとりの適性や素養を把握することができます。強みやスキルを理解し組織で共有することで、適性を見極めることにもなり、適材適所の人材配置につながります。

複数の職務を経験しながら次第に専門性を高めていくことが一般的な職能資格制度の日本企業において、OJTを通じた適材適所を実現するためには、OJTの履歴をタレントマネジメントシステムなどへ蓄積することが重要です。職務や部署が変わり学習や実践を積むごとに、こうしたOJTの履歴をカルテのように記録していきます。これにより、後々に適性を見極めることにつながります。

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4.育成を担当する社員の成長

OJTでは、対象者が成長するのはもちろんのこと、担当となった先輩社員も成長の機会を得られます。OJTを実施することで、人材育成力や対人マネジメント力の向上につながるのです。管理職になる前に、人材育成に関わる機会を得ることは極めて重要です。

OJTを実施するメリット

本章ではOJTのメリットを解説します。自社がOJTに求めるメリットと合致するか検証してみてください。

1.社内コミュニケーションの活性化

OJTは育成担当者と新入社員のみならず、部署や組織全体で取り組んでいくものです。業務を教えたり質問したりすることで対話が生まれ、フィードバックや情報共有を通して社内のコミュニケーションが活性化されます。それにより、組織の生産性や社員の定着率の向上といったメリットが生まれます。

2.育成コストの抑制

自社の社員に育成の役割を与えるため、育成コストが抑えられます。一般的にOff-JTなどによる研修は、外部に講師を依頼するケースが多く、費用がかかります。外注費をかけることなく、実践を通して即戦力を育成するという点では、コストを抑えられる施策であると言えるでしょう。

3.組織社会化の実現

OJTの実施によって、育成対象者が自社の組織に順応していく「組織社会化」がスムーズに運びます。組織社会化は、新入社員が組織の一員として活躍できるようになるうえで必須のプロセスです。OJT担当者によるマンツーマンの直接的な指導により、自社の価値観や文化、ルールなどを習得し、一人の自立した社員へと成長していきます。

OJTを実施するデメリット

OJTによる教育はメリットばかりではありません。本章ではOJTのデメリットについて述べていきます。自社で運用する際は、以下に挙げるデメリットを防げるように対策を取りながらOJTを進めるとよいでしょう。

1.現場社員のリソースが新人教育に割かれる

新人への教育に時間が割かれ、現場社員の負担が増えることは避けられません。特に、OJTの初期は一時的に部署や課全体の業務に影響が出る可能性があります。

OJT担当者が育成に集中できるように、また、組織としてのパフォーマンスを落とさないためにも、OJT担当者の業務を事前に他の社員へ割り振るなどの対策を取りましょう。

2.指導者によって指導内容に差が生じる

OJT担当者の指導スキルによって、新人への教育内容に差が生じることがあります。プレイヤーとしては優秀でも、育成に不慣れだったりマネジメントが苦手だったりすることも考えられます。

OJTを始める前に、担当者を集めて研修などのスキルアップの機会を与えたり、OJTのマニュアルを用意したりと社内全体で取り組み、指導者の質を担保しましょう。

3.運用が形骸化する

OJTは育成手法の一つに過ぎないため、ただ新人に先輩とマンツーマンで業務を学ばせる形式だけを取っても、うまくはいきません。かえって、現場の負担感や新人側の不満が生じ、OJTのメリットが享受できないケースもあります。

事前準備を入念に行い、社内全体で取り組む姿勢をもつなど、「やって終わり」にならないような対応が重要です。

OJTに向いている・向いていない業務

冒頭で紹介した通り、OJTのベースは実務での業務習得ですが、OJTの対象業務には、向き・不向きがあります。自社でOJTを実施するにあたり、そもそも実地での指導が適しているか業務かを確認することが大切です。

OJTに向いている業務

手順がある程度明確で、マニュアルが確立している業務が向いています。やることが分かりやすく、新人でも理解しやすいためです。手順があることで、どこでつまずいたのかという課題の発見も容易です。

例えば、製造業の組み立てラインでは、特定の手順に従って作業を進めることが求められるため、誰が指導者でも同じ内容を教えることになります。教える内容が明確であるほど、指導者ごとの感性や好みのやり方に振り回される機会が少なくなり、OJTを通じて新人に業務を着実に習得してもらいやすくなります。

また、パターン化できる業務もOJTに向いているでしょう。顧客応対など、状況や相手によってやり方が異なるものの、いくつかのパターンに分けて対処法を教えられる業務であれば、育成担当者の指導の下、新人はスムーズに業務を習得できます。

OJTに向いていない業務

新規プロジェクトなど柔軟な対応が求められる業務や、イレギュラーが発生しやすい業務はOJTに向いていません。こうした業務はマニュアル化がしづらく、育成担当者にとっても初めての経験となることがあるため、新人に教えるのは難しくなります。

また、専門的な知識を必要とする業務でも、OJTは不向きでしょう。経理や会計、法律、IT、デザイン、学術といった分野の業務は、業務を遂行する上で専門的知識が重要になります。つまり、座学で知識の習得をすることがベースとなりますが、専門知識は数百時間以上をかけて学ぶのが一般的なため、OJTトレーナーでできることはほとんどありません。

OJTで新人に知識やスキルを習得させたい際には、OJTが育成手段として適しているかを判断し、向いていない場合にはOff-JTなど別の手段を検討するとよいでしょう。

OJTの基本的な4ステップ

OJTの基本的な手順は以下の4ステップです。段階ごとの内容や意図を簡単におさらいしましょう。

ここでのポイントは、4ステップをすべて実施することです。業務を見せるだけで説明しない、説明だけで業務をやらせないなど、一部分だけ実践してもOJTはうまくいきません。事前に計画を立て、OJTに取り組みましょう。

1.Show(見せる)

まずはOJTの担当者が、実際に仕事をやってみせます。実際に対応している姿を見せることで、新人に業務の流れ、やり方を把握させます。教育係が手本を示すイメージです。

2.Tell(説明・解説する)

担当者が業務をやってみせたあとは、細かい部分やコツを説明します。表面的な内容にとどまらず、理由や背景まで説明することで、新人の業務に対する理解度を高めましょう。特に、暗黙知(実践上のコツ・工夫など)を伝えることが重要です。次のステップで新人が実践できるように、説明だけでなく質疑応答を行い、新人の抱える疑問はこの段階で解消します。

3.Do(やらせてみる)

実際に新人一人で対応する機会を与えます。手本を見たり説明を聞いたりして、分かったように感じても、実際にやってみるとうまくいかないケースは珍しくありません。実務を通して経験を重ねることが重要です。失敗を責めずに、新人が安心して取り組める環境を整えましょう。

ただし、いきなり一人で行わせるのではなく、近くで見守りながら、フォローを加えながら行うことで、新人の心境にも寄り添うよう配慮しましょう。

4.Check(振り返りを支援し、追加指導する)

実践の機会を与えた後は、振り返りの場を設けてフィードバックを行います。「できたこと」「できていないこと」の両面に触れ、できていた部分は褒め、できていないことは改善点を共有しましょう。新人の理解度や育成進捗もあわせて確認します。

フィードバックを成功させるには一定の型があります。ここではD.コルブの「経験学習サイクル」を紹介します。それによると、効果的な学習は以下の4つのサイクルによって起こるとされています。

    • 日々現場で仕事を経験する
    • 経験した事実を振り返る
    • 振り返りから学びや教訓を得る
    • 得た学びや教訓を次の仕事で試す

本来は、育成対象者本人が、自ら経験学習サイクルを回せることが大切です。しかし、経験が少ないと視座が低く視野も狭く、振り返りが限定的になりがちです。だからこそ、OJTトレーナーが関わる価値があります。育成対象者よりも高い視座、広い視野から問いかけつつ振り返る機会を提供するのです。OJTトレーナーが問いかけることで、振り返りが深くなり、学びや教訓を得られやすくなります。そして、次にいつその学び気づきを実践するのか、背中を押してあげることができます。

このように、OJTトレーナーが振り返りに関わることで、育成対象者の成長が持続的なものとなります。

【お役立ち資料】フィードバック実践のコツと進め方

フィードバックを成功させるためには、対象者とのコミュニケーションを通して信頼感を確保したり、事後のフォローアップをしたりすることが重要です。 本資料では、フィードバックのコツや進め方をさらに詳しく解説します。

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OJTが失敗する3つの原因

OJT失敗の背景には、一定の傾向があります。失敗の原因を知り、自社に当てはまるものがあれば改善しましょう。

1.OJT担当者のスキル不足

OJT担当者の指導力不足は育成の失敗に直結します。新人が「質問しづらい」「放置されている」と感じてしまう場合は、OJT担当者が新人とコミュニケーションを取れておらず、質問をしやすい関係を構築できていなかったり、業務のフォローアップが不足していたりすることが原因です。

こうした問題はOJT担当者の指導力不足によって生じるため、OJT担当者の教育が必要です。OJT実施時には、研修などを通じてOJT担当者を教育することも計画に織り込むようにしましょう。

2.指導体制が整っていない

育成費用削減や即戦力化を狙い、現場で先輩社員に新人を指導させる形を取るだけでは、OJTは形骸化し失敗に終わります。OJTはあくまで育成手法の一つに過ぎません。社内全体でOJTやOff-JTなどを取り入れ、新人の育成体制を整えることが重要です。

OJT担当となった先輩社員のみならず、上司や部署全体で育成計画や進捗を共有し、指導体制を構築していくことをおすすめします。

よくある失敗例として、組織側でOJTの育成計画を立てないまま、教育を部署の担当者へ一任しているケースがあります。育成計画がないと、OJT担当者は「自分はこうだった」という主観をもとに教育する傾向になりがちです。特に優秀な社員は「教えてもらわなかった」「自分で考えて取り組んだ」と思っていることが多くあります。すると、OJT担当者が新人の気持ちや立場を考えず、十分には教えない指導を進めてしまう懸念があります。するとOJTは失敗します。

OJTの実施状況は、人事部門や上司が指導体制をチェックするなどの工夫をするとよ良いでしょう。

3.振り返りを行っていない

OJTを実施しただけで振り返りを行わないことも、失敗の原因の一つです。前述の通り、振り返りはOJTを改善していくために不可欠な作業です。

振り返りを行う際は、OJTの進捗状況やOJTのトレーニング方法、担当者の指導方法などを確認しましょう。

OJTの進捗状況を確認し、具体的な成果や改善点について考えることが大切です。トレーニング方法では、プロセスや時間配分などを振り返り、どの部分が効果的だったか、またどのような改善が必要かを分析します。

担当者の指導方法では、指導方法やコミュニケーションスタイルが適切だったか、どのような改善が可能かを考えることが大切です。

OJTのやりっぱなしで終わることがないよう、振り返りのポイントを実践しましょう。

OJTの取り組み事例

OJTの取り組み事例を2つ紹介します。自社で取り入れられそうなものがあれば実践していきましょう。

マルハニチロ株式会社

マルハニチロ株式会社は、大手食品会社で冷凍食品や缶詰を扱っている会社です。人材育成方針を「採用人数を絞って、じっくり育てる」と定めているのが特徴で、その一環として新入社員向けにOJTを実施しています。

新入社員は入社後、1年間は「OJTリーダー」と呼ばれる指導を担う先輩社員の付き添いの下、業務の指導を広範に受けます。担当業務のやり方を教わるのはもちろんのこと、目標の設定方法を学んだり、日々の悩み相談に乗ってもらったりします。同社のOJTでは、一人前の社会人になるための成長を手助けすることを目指しており、OJTリーダーだけでなく職場全体で新人をサポートしているようです。

【参考】マルハニチロ株式会社「キャリア

山一電設株式会社

山一電設株式会社は山口県に本社を構え、住宅や商業施設、工場の電気工事を専門としている会社です。同社では、新入社員は、経験に基づいて5日から50日間の初期研修を受け、約20日間の現場実習を経て配属される仕組みとなっています。

その後、チームリーダーによるOJTや資格取得マニュアルに基づく試験準備、勤務経験に応じた外部研修の受講などが行われます。

OJTの強化のため、毎月1日を特別な研修日としグループワークも行っているようです。チーム内で教師役と生徒役に分かれ、それぞれの得意分野を共有し合うことでスキル向上を図ることが狙いです。

【参考】厚生労働省「人材育成事例206

OJTの効果を高める6つの運用ポイント

OJTの効果を高めるポイントは以下の6点です。

1.育成計画を立てる

育成計画を立てることは、場当たり的な対応や育成方針のズレを防ぐことにもつながります。OJTの実施期間、目標、習得すべきスキルなどを可視化し、新人や部署のメンバーと共有します。短期的な成長目標に加えて、企業が求める人材像というような長期的な目標を掲げることも効果的です。

どのような内容を教えるべきかは部署によって異なるため、OJT対象の部門が育成計画を立てます。具体的には、1年後にどうなってもらいたいかというあるべき姿を打ち出します。理想とする姿から逆算して、必要な経験や期間、教える順番を考えていくのです。

OJT終了後のフィードバックや関係者たちへの聞き取りを通して得た情報を次年度の育成計画へ反映させると、より当事者たちのニーズにそった育成計画を立てることができます。このように、OJTという教育手法を年間単位のPDCAで捉える視点が重要です。

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2.組織全体で取り組む

OJT担当者に任せきりにせず、組織全体で育成体制を構築しましょう。トップからOJT担当者にメッセージを伝え、OJTへの理解と動機付けを促すことで、組織全体が同じ方向を向いて新人教育に臨めます。

組織のより高い視座からOJT担当者へメッセージを送るにあたり、ポイントとなるのは以下3点です。OJT担当者はこれらのポイントを理解することにより、納得度を高めてOJTに従事できます。

    • 財務的な観点(売上・利益に貢献する人材の育成など)
    • 生産性の観点(仕事の効率・効果の向上につなげるなど)
    • イメージの観点(会社や組織を好ましく思ってもらいたいなど)

ときには上司や経営層からもフィードバックを得ることで、当事者の孤立を防ぎ、求めるゴールへの軌道修正を図っていきましょう。組織全体でOJTのノウハウが蓄積されれば、人材育成の効率化や組織力の向上にもつながります。

3.新人社員の傾向を理解する

新入社員の中には従来のキャリア形成や仕事に対する価値観に魅力を感じない人が少なくありません。OJT担当者と新人で、根底にある価値観が異なるケースも考えられます。

新人社員の傾向を理解することで、こうした世代間のギャップを埋め、相手に合った対応を取ることができます。相手に合った育成は、新人にとっての心理的安全性の確保にもつながり、ミスマッチによる人材流出を未然に防ぐ一手にもなるでしょう。

4.OJT担当者研修を取り入れる

OJT担当者への研修を取り入れて、スキルアップを図ります。先のデメリットにも挙げたように、指導者の質のばらつきは、新人の育成成果に影響します。研修を活用することで、人材育成を体系立てて学べます。OJT担当者の安心感にもつながり、余裕を持って新人を受け入れることができます。

パーソルグループではさまざまな目的や対象者にあわせたOJT担当者向け研修を提供しています。OJT担当者向け研修の開催・実施にあたってお困りごとがあれば、お気軽にパーソルグループまでご相談ください。

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5.OJT担当者同士で情報共有できる場を設ける

OJT担当者同士の横のつながりがあると、OJTは円滑に進みやすくなります。

例えば、育成がうまくいかないといった悩みの相談や成功事例の共有の場を設けるのも一案です。OJTの開始前からこのような場があると、育成担当者は安心してOJTに臨めます。

また、最近では情報共有の場としてグループチャットを作成することもあります。育成担当者だけのグループと、人事部門の社員が入っているものを分けて作成することで、育成担当者たちに目的に応じた情報共有や悩みの相談をしやすい場所を提供します。

6.Off-JTなど他の育成手法と組み合わせて実施する

Off-JTなどの外部研修と組み合わせて実施すると、育成の相乗効果が得られます。例えば、ビジネスマナーの基本や社会人としての姿勢、PCソフトの使用方法などの知識やスキルは、あらかじめ外部研修やEラーニングなどで体系的に学んでおいた方が効率的です。OJTの現場に出たときに思い出し実践できるからです。

新人の育成計画を立てる際は、e-ラーニングや社外研修(Off-JT)など、OJT以外の育成手法と組み合わせて考えましょう。

まとめ|OJTを効果的に運用して組織で活躍できる人材育成を

OJTは、現場での実務を通して新人や未経験者のスキルアップを図る、実践的な育成手法です。即戦力を育てるために実施する企業が多いものの、育成に失敗する例も見られます。成功させるためには、OJTの効果を高めるポイントをおさえ、組織全体で取り組むことが必要です。

OJTの効果的な運用は、優秀な人材が活躍するだけでなく、育成ノウハウの蓄積や体制の整備に役立つなど、組織に中長期的なメリットをもたらします。

パーソルグループでは、OJT担当者向けの研修やマネジメントに特化したプログラムを用意しています。OJTの運用にあたってお困りのことがあれば、ご相談ください。

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監修・インタビュー

株式会社パーソル総合研究所 ラーニング事業本部
トレーニングパフォーマンスコンサルタント

渡邉 規和

大手人材サービス業にて営業管理職(東京・仙台・大阪)、BPO事業のプロジェクトマネジメントに従事。9つの新規受託案件の立ち上げ~運用に関わる。その後、合弁会社の人事(採用・研修)を経て、2018年 富士ゼロックス総合教育研究所(現パーソル総合研究所)入社。
トレーニングパフォーマンスコンサルタントとして、営業力強化・コミュニケーション力強化を中心に組織人材開発に従事。 対面集合・オンライン合わせて年間約140日のトレーニング・ワークショップをファシリテーション。
自身のリカレントのために、専門職大学院である社会構想大学院大学 実務教育研究科に在籍。研究テーマは「『越境学習としての集合研修』を起点とした組織外知識の組織内転移」

資格等:・PMP®
    ・Points of You® Expert
    ・DiSC®認定ファシリテーター
                  ・ブレンディッドラーニングデザイナー (一般社団法人 日本フューチャーラーナーズ協会)
    ・認定ワークショップデザイナー (一般社団法人 ワークショップデザイナー開発機構)
    ・国家資格キャリアコンサルタント (登録番号17060950)
    ・アクションラーニングコーチ (NPO法人日本アクションラーニング協会)

よくあるご質問

Q1.OJTの目的は?

A1.OJTの目的として以下の4つが挙げられます。

1.人材の早期育成
2.定着率向上
3.適材適所の人材配置
4.育成を担当する社員の成長

>>OJTの目的

Q2.OJTを実施するメリットは?

A2.OJTを実施するメリットは以下の3点です。

1.社内コミュニケーションの活性化
2.育成コストの抑制
3.組織社会化の実現

>>OJTを実施するメリット

Q3.OJTの効果的な運用方法は?

A3.OJTの効果を高めるポイントは、以下の6点です。

・育成計画を立てる
・組織全体で取り組む
・新人社員の傾向を理解する
・OJT担当者研修を取り入れる
・OJT担当者同士で情報共有できる場を設ける
・Off-JTなど他の育成手法と組み合わせて実施する

>>OJTの効果を高める6つの運用ポイント