2022年04月15日
2023年01月16日
労働人口の減少に伴い、多くの日本企業が慢性的な人材不足に直面しています。そのような中、市場での競争優位性を高めていくために、企業の重要な経営資源の一つである「人材」をどのように活用するかは、企業が成長を続けていくための生命線です。
人員配置は、従業員のパフォーマンス、チームの成績、ひいては企業の成果にも影響を及ぼす経営戦略の一部と言っても過言ではありません。従業員本人のキャリアプランや志向を考慮することで、離職率の低下・従業員満足度の向上にも寄与しますが、理想的な人員配置を実現することは容易ではありません。
本記事では「人員配置」をテーマに、基礎知識から異動配置が抱える問題点、そして最適な人員配置を行うためのポイントや手順について専門家へのインタビューをもとに解説します。
組織活性化につながる最適な人員配置を実現するためのポイントとは?
企業が競争力維持・強化するためには、最適な人員配置によって社員一人ひとりが活躍できる環境を構築し、組織を活性化することが必要です。しかし、具体的にどのように戦略を立案し、どのような施策を実行すればいいのか、悩まれる企業は多いのではないでしょうか。
そこでパーソルグループでは、最適な人員配置を実現するために持つべき視点と行うべき施策についてまとめたノウハウ資料を公開しています。
人員配置の見直しをご検討されている方は、ぜひご活用ください。
目次
人員配置とは、経営目標を達成するために、従業員をどの組織・ポジションに配置するかを決める人材マネジメントのことです。
人材が持つ能力やスキル、経験などを総合的に見極めて判断します。採用や人事異動、昇進・昇格などのタイミングで実施するのが一般的です 。

【お役立ち資料】組織活性化につながる最適な人員配置とは?
「どのように戦略を立案し、人員配置を実行すればいいのか分からない」「現場の采配が大きく、育成観点を持てていない」「非管理職人材が固定化されてしまい、柔軟な配置ができていない」
このような方に向けて、戦略的な人員配置を実現するノウハウをまとめた資料を公開しています。ぜひご活用ください。
人員配置を最適化する目的は大きく次の2つです。
人員配置の最大の目的は、事業目標の達成です。従業員のスキルや実績を踏まえ、適材適所に異動・配置することで生産性向上や組織全体の活性化を促し、目標の達成を目指します。
人員配置は、今いる環境とのミスマッチによってなかなか能力を発揮できない人材のポテンシャル開花や、経営人材候補者の発掘・育成の機会にもつながります。
「他部署への異動」といった環境の変化を通して新たなスキルや知見を得ることで、より一層の成長や活躍を促進するのも人員配置の重要な目的です。
人員配置と聞くといわゆる「人事異動」や「新卒社員の配属先決め」などを想起されることが少なくありませんが、実は「人員配置」は大きく2つの手法に分けられます。
適所適材は、ポジションが先にあり、空いたポジションに適した人材を選ぶ考え方です。一方、適材適所は、異動させるべき人材リストが先にあり、その人材をどこに配置するかという考え方です。
例えば、採用時点で「営業職」など業務内容が決まっている場合は、適所適材といえます。一方、パフォーマンスが伸び悩んでいる従業員を適性やスキル・能力などを見極めたうえで別のポジションへと再配置する場合は、適材適所になります。
どちらの手法が望ましいかは、企業や部署、またその時の事業・組織フェーズやメンバーによっても異なります。
戦略的な人員配置には、具体的にどのような効果があるのでしょうか。大きくは以下3つのメリットにつながります。
パーソル総合研究所の調査によると、異動配置により知識面、意識・行動面など従業員のパフォーマンスに影響を与えることがわかっています。
▼異動経験が個人にもたらす効果‐社内知識形成
社内知識形成は異動経験がある層の方が、ない層と比較して有意に高い
▼異動経験が個人にもたらす効果‐成長志向/学習意欲、キャリア自律度
成長志向や学習意欲、キャリア自律度は異動経験がある層の方が、ない層と比較して有意に高い
異動配置によって社内人材の流動性が高まることで、組織内のコミュニケーションが活発になり、事業・経営状況にもプラスの影響が期待できるといえます。
従業員のスキルや経験が部署や役職にマッチすることで、従業員のパフォーマンスが引き出され、効率的に業務に取り組めるようになります。適性に合ったポジションに就いている従業員が多ければ、結果的に組織全体の生産性の向上につながります。
【関連記事】生産性向上とは?メリットや6つの施策とポイント、事例を解説
また、人員配置の最適化により業務の効率化に成功すれば、1つの業務にあてる人件費を見直すきっかけになります。部署や業務ごとに最適な人員を最適な人数で配置することで、今までかかっていた人件費を抑えることができるでしょう。
【関連記事】人件費削減の方法とは?メリットや注意点、事例とあわせて解説
一定の人数規模の企業であれば、なにかしらの人員配置をおこなっているのではないでしょうか。
しかし、戦略と結びついて人員配置の意思決定ができている企業はそれほど多くはありません。企業の現状においては、次のような課題を抱えるケースが増えています。
パーソル総合研究所の調査では、人事異動案を「ほとんど人事部で作成する」と回答したのは全体の3割で、残り7割の企業は「人事部と現場(各部門)が半々」もしくは「ほとんど現場(各部門)で人事異動案を作成する」と回答していました。
現場(各部門)主導で人事異動案を作成すると、スピード感を持って意思決定ができるため、市場環境の変化にも対応しやすい一方、短期的な利益に視野が向きがちです。
つまり、企業が持つべき視点である、中長期的な事業目標や個々人のキャリア形成、サステナビリティへの取り組みなどに目が行きづらくなってしまいます。
経営目標を達成するためには、中長期的な視点で人員配置を検討することが必要です。
ミドルパフォーマーとは、ハイパフォーマーやローパフォーマーではない、各部門の基幹戦力となっている層、つまり従業員の大部分を占める層を指します。特に従業員数が多い中堅・大企業においては、人事部門の限られたリソースで、全従業員の適性や能力・志向などを正しく把握し、適材適所へ配置することは困難を極めます。そのため、将来的に会社の中核を担うであろう「次世代経営人材」や「ローパフォーマー」の異動が優先的に行われており、ミドルパフォーマーは後回しになってしまいます。
しかし、現時点では問題なく仕事を続けているミドルパフォーマーも、同じ部門に5年以上在籍することでモチベーションやパフォーマンスが下がってしまうという傾向があるのです。
パーソル総合研究所の調査でも、異動を経験したことのない一般社員が、年数を経るごとに成長志向、学習意欲、キャリア自律への関心が低下している傾向がわかりました。
ミドルパフォーマーにおいては、異動の優先順位が低く、「本人が望んでいても、異動の声がかからない」「本人の意向や適性とマッチしていない部署に移動させられる」といったことが多く起こってしまうことから、ミスマッチが発生しています。
では、人員配置を適切に進めていくためには、どのようなポイントに留意すれば良いのでしょうか。ポイントとなるのは、以下の3点です。
前述のとおり、ミドルパフォーマーは従業員の大部分を占めるものの、人事側・事業部側双方の観点で異動の優先度が低く、後回しになってしまいがちですが、現状は機能していても、5~10年後に同じパフォーマンスを発揮できるとは限りません。
ミドルパフォーマーは、異動や人材開発の面で後回しにされてきたため、40代以降になって会社としても最適なポストを用意できず、結果的に同じような仕事を退職まで続けることになりがちです。
このようなことを防ぐためにも、次世代経営人材やローパフォーマーだけでなく、ミドルパフォーマーの今後のキャリア形成を考慮して、従業員データの利活用や社内公募制度を用いて、適切なポジションへと配置する仕組みを整えることが大切です。
最近では、多くの企業で「タレントマネジメント」や「ピープルアナリティクス」を用いて、従業員データを採用や人事異動・評価に役立てようという流れが加速しています。しかし、実際に人事異動に従業員データをしっかりと活用できている企業は、あまり多くありません。
パーソル総合研究所の調査によると、人材に関するデータの分析を行っている企業は41.0%ですが、実際に分析したデータを意思決定まで活用できている企業は16.9%にとどまっていることがわかりました。
従業員データが人員配置に活用できない理由には、実際の人員配置に必要な情報がうまく収集できていないことが要因に挙げられます。
人員配置を行う際には、過去にどのような役職についてきたかという「キャリアデータ」に加えて以下のようなデータも必要になってきます。
多くの企業では、過去の事実に基づいた職務経歴書のような「キャリアデータ」は収集できているが、スキルやキャリアプランに関するデータが集まっていないという現状があります。
適切な人員配置に役立てるためにも、現状でどのようなデータを持っているのかを確認し、人員配置に活かせない粒度なのであれば、従業員データの収集を組織全体で進めていく必要があるでしょう。
また、管理体制が大規模に及ぶ場合はタレントマネジメントシステムを活用することも一つの方法です。後ほどご説明します。
人員配置を最適化させるもう一つのポイントが、社内公募制度の充実です。通常の人事異動とは異なり、従業員自らが希望するポジションに立候補することが最大の利点です。
最近では、多くの企業で導入が進んでいますが、公募されるポジションの多くが新規事業などに限られるケースが多いのが現状です。
ミドルパフォーマーをどう活かすかという観点から見ると、新規事業への立候補はハードルが高く、仮に希望が通らなければモチベーションの低下を招きかねません。ミドルパフォーマーが「応募しても合格しない」と考えてしまえば、社内公募制度の意味はありません。
そのため、新規事業などに限らず、一般的なポジションに関しても社内公募制度を利用して、異動できるようにするなど、エントリーのハードルを下げる必要があるでしょう。
ここからは、実際に人員配置を実行するためのステップを解説します。
STEP1.現在の人員配置の確認
STEP2.従業員情報の整理(データ収集)
STEP3.キャリアプランについてのヒアリング
STEP4.人員配置の実行〜効果検証
まずは、事業部や営業所ごとにどのようなポジションの従業員が何人在籍しているのか、現在の人員配置を確認します。また現場の担当者へのヒアリングを通して、人員の過不足について調査しましょう。
次に、在籍している従業員の情報を整理・収集します。
「適切に人員配置を行うポイント」でも述べたように、過去のキャリアデータだけでなく、従業員の能力をスキルデータとして、人材配置の際の材料となり得る粒度で集めていくことが求められます。
なお、従業員が数千人を超える大企業の場合は、人事部門だけではデータ収集ができないことが考えられますので、現場との連携を取り、従業員自らシステムにデータを入力できる仕組みを整える必要があるでしょう。
スキルデータの収集が終わった段階で、各従業員にキャリアプランのヒアリングを行います。現状のポジションに満足しているのか、どういうキャリアを歩みたいのかといった「志向」のデータを集め、人員配置の参考にします。
実際に人員配置を実行する際には、部署などに空きが出たから補充するという「適所適材」の視点ではなく、あらかじめポジションにマッチしそうな候補者リストを作成し、それをもとに人員配置を実行する「適材適所」の考え方を持つようにしましょう。
人員配置は、一度実行すれば終わりではなく、配置後の効果検証が欠かせません。従業員が異動したポジションでパフォーマンスが向上しているのかをモニタリングすることが大切です。
組織活性化につながる最適な人員配置を実現するためのポイントとは?
企業が競争力維持・強化するためには、最適な人員配置によって社員一人ひとりが活躍できる環境を構築し、組織を活性化することが必要です。しかし、具体的にどのように戦略を立案し、どのような施策を実行すればいいのか、悩まれる企業は多いのではないでしょうか。
そこでパーソルグループでは、最適な人員配置を実現するために持つべき視点と行うべき施策についてまとめたノウハウ資料を公開しています。
人員配置の見直しをご検討されている方は、ぜひご活用ください。
本記事では、人員配置とは何か?という基礎知識から、異動配置が抱える問題点、そして最適な人員配置を行うためのポイントや手順について解説しました。
人員配置は、欠員が出たポジションの穴埋めをする作業ではなく、従業員のパフォーマンスを最大化し、企業の経営目標を達成するために行うものです。「次世代経営層」や「ローパフォーマー」に目が行きがちですが、企業を支える「ミドルパフォーマー」の人員配置も意識し、従業員データを活用しながら効率的にかつ、最適な人員配置を目指しましょう。

株式会社パーソル総合研究所
上席主任研究員
藤井 薫
電機メーカーの人事部・経営企画部を経て、総合コンサルティングファームにて20年にわたり人事制度改革を中心としたコンサルティングに従事。その後、タレントマネジメントシステム開発ベンダーに転じ、取締役としてタレントマネジメントシステム事業を統括するとともに傘下のコンサルティング会社の代表を務める。労政時報など人事専門誌への寄稿も多数。2017年8月パーソル総合研究所に入社、タレントマネジメント事業本部を経て2020年4月より現職。
A.人員配置を適切に進めていくためには、以下3点に留意することが大切です。
・ミドルパフォーマーに目を配る
・従業員データを「人員配置」に利用できる粒度にする
・社内公募制度の充実・多様化を図る
企業が行うべき施策について以下のガイドブックにまとめています。ガイドブックは、以下リンクよりどなたでも無料でダウンロードいただけます。
>>組織活性化につながる最適な人員配置の施策とは
A.人員配置とは、経営目標を達成するために、従業員をどの組織・ポジションに配置するかを決める人材マネジメントのことを言います。
>>人員配置とは?
A.人員配置を実行するにはまず、事業部や営業所ごとにどのようなポジションの従業員が何人在籍しているのか、現在の人員配置を確認することから始めましょう。また現場の担当者へのヒアリングを通して、人員の過不足について調査しましょう。
>>人員配置を最適化する4つのステップ