人件費削減の目的は生産性の向上にある|具体的な方法や注意点

企業を取り巻く環境が急激に変化する昨今、自社のコストを見直す企業が増えています。なかでも人件費は固定費の中でも大きな割合を占めており、見直しを検討する企業も多いのではないでしょうか。

しかし、人件費の削減は方法を間違えてしまうと、かえって企業経営にマイナスの影響をもたらす可能性があります。

本記事では、人件費を適正化する際考慮すべきポイントや具体的な削減方法を解説します。

業務プロセス改善に役立つ「業務整理ノウハウBOOK」をご覧いただけます

働き方改革、労働力不足が加速する中、企業における生産性向上への意識が高まっています。テレワークなど多様なはたらき方の導入も求められるようになった今、職場環境の課題は把握できているでしょうか?

BPRや業務改善をご検討中の方に向けて、これまでパーソルグループが業務改善コンサルティングの現場で培ったノウハウを基に作成した『業務整理ノウハウBOOK -業務の見える化チェックシート付き』をお届けします。

改善アラートチェックリストや、具体的な業務整理のステップ、改善の進め方やコツについて解説していますので、ぜひお役立てください。

資料をダウンロードする(無料)

目次

人件費とは

人件費とは、従業員に関する費用全般を指します。人件費というと給与やボーナスが浮かびますが、福利厚生費や研修費なども含まれています。

▼人件費

    • 給与・賞与・雑給
    • 福利厚生費
    • 法定福利費
    • 退職金
    • 人材研修費・採用費 など

企業によって異なりますが、社員の総人件費は給与の1.5~2倍と言われています。ちなみに、業種ごとの人件費率(売上高に対して人件費が占める割合)の平均は、以下のとおりです。

業種 人件費率の相場
小売業 10~30%
飲食業 30~40%
建設業 15~30%
卸売業 5~20%
製造業 10~50%
サービス業 40~60%
宿泊業 30%前後
【参考】TKCグループ「要約版・速報版 | TKC経営指標(BAST) | TKCグループ」

人件費削減がもたらすメリット

適切な人件費の削減は以下2つのメリットをもたらします。

  • 営業利益の拡大
  • 事業投資の加速

人件費の削減は、交通費や光熱費といった給与以外の経費の削減にもつながります。同じ売上高でも営業利益が高くなることで、金融機関からの評価も良くなり、融資を受けやすくなる効果も見込めるでしょう。あわせて、投資家からの評価も上昇し、株価が上がる可能性もあります。

また、削減した資金を新規事業への投資や設備投資などに回すことで、事業成長の加速を図ることができます。 

人件費削減の本質|やってはいけない安易なコストカット

人件費の削減は営業利益の拡大や事業投資の加速といったメリットをもたらしますが、以下のようなリスクも伴います。

    • 生産性の低下
    • 人材の流出(離職率の上昇)

給与や福利厚生といった部分から人件費を削減すると、従業員のモチベーション低下が懸念されます。モチベーション低下によって、パフォーマンスが落ち、生産性の低下につながるでしょう。

また、ただ人員を削減すると、一部の従業員にタスクが集中し、残業時間が増加してしまいます。よりはたらきやすい職場を求めて、離職率が上昇する可能性も考えられます。

リスクをしっかりと踏まえ、本質的な目的を生産性向上を実現し、企業の付加価値を高めるための取り組みとした上で人件費の削減を目指すことが重要です。 

関連記事「働き方改革に対応して魅力ある職場づくりと生産性向上を実現する方法」を見る

人件費削減のポイントと具体的な方法

人件費削減のポイントと具体的な方法

では、具体的にどのように進めればよいでしょうか。人件費削減の本質は業務効率化により生産性を向上することで、人件費率を下げることなので、以下のステップで進めましょう。

    1. 課題のある部署・部門・業務フローを特定する
    2. 課題の解決方法を検討する
    3. 一気にではなく、段階的に業務を改善する

1.課題のある部署・部門・業務フローを特定する

まず、課題のある部署・部門・業務フローの特定を行いましょう。

課題のある部署や部門の特定には、部署ごとの残業時間を照会したり、現場にヒアリングをしたりといった方法が有効です。残業時間が著しく多い場合は業務の効率化が図れないか、他部署から人員を増やすことで改善ができないかを検証してみましょう。

関連記事「残業時間と時間外労働の違い|企業が見直すべきポイントとは【2022年最新】」を見る

2.課題の解決方法を検討する

課題のある部署・部門・業務フローが特定できたら、どのように改善できそうかを考えていきます。

課題例1 残業が他部署に比べて多い
改善案 ・業務フローを見直し、不要な工程がないか洗い出す
・人員配置を見直す
課題例2 繁閑の差が大きく、適切な人員配置が難しい
改善案 ・繁忙期にはアウトソーシングや人材派遣を活用する

業務の洗い出しをした結果、社内で行わなくてもよいと考えられる業務はアウトソーシングの利用を検討してみるのもよいでしょう。アウトソーシングの対象となる業務は、受発注業務や営業事務・総務や経理、営業コンサルティングなど非常に多岐に及びます。 

主な受託業務

導入にはコストがかかりますが、アウトソーシング企業の知見を取り入れることで、業務の処理速度や正確性が高まり、結果的にコスト削減につながることもあります。

関連記事「アウトソーシングとは?人材派遣との違いと3つのメリット」を見る

3.一気にではなく、段階的に業務を改善する

改善できる箇所が見つかったら、検討した改善策を試してみましょう。

その際、不要と思ったフローが実は重要な役割を果たしている可能性もあるので、一気に変えるのではなく、段階的に変えることをおすすめします。

そもそも自社において、現在の業務に課題があるのか、あるとしたらどのような課題か、明確に把握できているでしょうか。

業務改善コンサルタントが教える、業務整理ノウハウBOOK」では、業務改善コンサルティングの事例を基に、具体的に業務を書き出すステップと、業務改善の進め方やコツについて、解説しています。

ぜひダウンロードしてお役立てください。

資料をダウンロードする(無料)

人件費削減に成功した事例

最後に給与や福利厚生の削減をせずに、人件費削減に成功した事例を紹介します。

製造業のA社様では、経理業務を派遣スタッフが行っていました。しかし、業務の繁閑にかかわらず固定費がかかることや、担当社員の管理や教育の負担が大きく課題でした。

そこで、業務を委託するアウトソーシングに切り替えたところ、閑散期の余剰人件費の削減に成功しました

加えて、手作業が発生していた業務システムの見直しも行ったことで、業務の無駄や出力帳票も整理でき、業務改善も実現しました。


【参照】パーソルワークスデザイン株式会社「 導入事例|製造業 A社様」 

まとめ

人件費削減の本来の目的は、人件費を最適化し生産性向上に繋げることです。闇雲に給与や人員を削減するのではなく、適切に人件費を見直しましょう。

パーソルグループでは、業務改善のコンサルティングサービスもご提供していますので、どこから着手すべきかわからないなどお悩みの場合はぜひご相談ください。

業務プロセス改善に役立つ「業務整理ノウハウBOOK」をご覧いただけます

働き方改革、労働力不足が加速する中、企業における生産性向上への意識が高まっています。テレワークなど多様なはたらき方の導入も求められるようになった今、職場環境の課題は把握できているでしょうか?

BPRや業務改善をご検討中の方に向けて、これまでパーソルグループが業務改善コンサルティングの現場で培ったノウハウを基に作成した『業務整理ノウハウBOOK -業務の見える化チェックシート付き』をお届けします。

改善アラートチェックリストや、具体的な業務整理のステップ、改善の進め方やコツについて解説していますので、ぜひお役立てください。

資料をダウンロードする(無料)

よくあるご質問

Q1.人件費の内訳は?

A1.人件費とは、従業員に関する費用全般を指します。人件費というと給与やボーナスが浮かびますが、福利厚生費、法定福利費、退職金、人材研修費・採用費なども含まれています。

>>人件費とは

Q2.人件費率の相場とは?

A2.業種やビジネスモデルごとに大きく異なりますが、平均的な水準は以下のとおりです。

・小売業:10〜30%
・飲食業:30〜40%
・建設業:15〜30%

>>人件費とは

Q3.人件費の削減はどのように進めるべき?

A3.短期的な目線で行う給与の減額や福利厚生の縮小は従業員のモチベーション低下や人材不足に陥る可能性があります。あくまで目的は業務効率化であることを踏まえて進めましょう。

>>人件費削減の本質|やってはいけない安易なコストカット

ご相談・お見積り・資料請求等
お気軽にお問い合わせください

Webでのお問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

0120-959-648

ご相談・お見積り・資料請求等
お気軽にお問い合わせください

Webでのお問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

0120-959-648