新規事業の立ち上げを成功させる8つのプロセスとは?事例と合わせて紹介

市場が目まぐるしく変化し続ける現代において、新規事業の成功は企業の成長を左右する重要な要素です。しかし、新規事業の立ち上げには多くの困難が伴い、失敗に終わるケースも少なくありません。

この記事では、新規事業を成功に導くために不可欠な立ち上げプロセスや求められるスキル、そして成功に導くポイントを詳しく解説します。さらに、新規事業の立ち上げや推進に活用できる戦略ならびにフレームワークも網羅的に紹介。未来を切り拓く新規事業を成功させ、企業の持続的な成長に向けた一歩を踏み出しましょう。

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目次

新規事業とは?

新規事業とは、企業が既存の事業領域に捉われず、新たな分野や市場で展開する事業です。

新たな製品やサービスを開発するケースもあれば、新たなビジネスモデルを構築するケースや競合の少ないニッチな市場に参入するケースなど、さまざまな可能性が考えられます。新規事業が黒字化するまでには、事業規模や内容によって差はあるものの、一般的に3〜5年はかかると言われているため、長期的な視点での計画が不可欠です。

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新規事業が求められる理由

新規事業は、企業が競争力を維持し、成長し続けるために重要です。市場の成熟化や顧客ニーズの多様化が進む現代では、既存事業だけでは収益維持が難しくなるケースも考えられます。

また、昨今はグローバル化やDXの進展により、ビジネスモデルが大きく変化しています。この中で、新たな価値創出への期待が高まり、企業には持続的な成長のため、新しい市場やニーズの開拓、収益の拡大が求められています。

このように、新規事業は企業が不確実な環境に適応し、競争優位を確立する上で重要な位置を占めると言えるでしょう。新規事業開発が求められる主な理由として、以下の3点が挙げられます。

新たな領域の企業が続々と参入している

インターネットやWebサービスの普及により、マーケットの境界線が曖昧になっていることが、新規事業が求められる理由のひとつです。これまで競合とは考えられていなかった企業が自社の既存業界に参入する現象は、どの業界においても当たり前のように起こっています。

そのため、企業は自らも新たな領域で競争せざるを得ない状況に直面していると言えるでしょう。市場の成熟化やビジネスの多様化が進む現代において、既存事業だけに依存することは困難であり、新規事業の立ち上げは避けて通れない課題となっています。

マーケット自体が大きく変化している

企業だけでなく、業界そのものを根底から変革するようなサービスも多数出現しています。例えば、フリマアプリのメルカリはリユース業界を大きく変えたり、動画配信サービスのNetflixはレンタルビデオ業界に甚大な影響を与えたりなど、新たなサービスの確立が急務であることを示しました。

このようなマーケットの劇的な変化に対応し、企業が生き残っていくためには、新規事業の立ち上げが極めて重要かつ不可欠だと言えます。

既存事業以外のビジネスの柱が必要になっている

インターネットやWebサービスの普及により、マーケットの境界線が曖昧になっていることが、新規事業が求められる理由のひとつです。これまで競合とは考えられていなかった企業が自社の既存業界に参入する現象は、どの業界においても当たり前のように起こっています。

そのため、企業は自らも新たな領域で競争せざるを得ない状況に直面していると言えるでしょう。市場の成熟化やビジネスの多様化が進む現代において、既存事業だけに依存することは困難であり、新規事業の立ち上げは避けて通れない課題となっています。

新規事業の取り組み実態

マーケットの成熟化やビジネスの多様化が進む現代において、既存事業のみに依存するのは厳しい時代となりました。このような背景から、新規事業の立ち上げが企業にとって重要な課題となっています。

しかしながら、新規事業立ち上げに積極的に取り組んでいる企業は約半数に留まり、その中で実際に事業を軌道に乗せられた企業はわずか1割程度であるのも、また事実です。パーソル総合研究所が実施した調査では「非常に成功している」と回答した企業はわずか2.3%であり、「どちらかというと成功している」を合わせても30.6%に過ぎません。

新規事業の取り組み実態
【出典】株式会社パーソル総合研究所「企業の新規事業開発おける組織・人材要因に関する調査

このデータは、新規事業の成功がいかに難しいかを示唆しています。しかし、他社の失敗例を事前に学ぶことで、成功率を高めることが可能であるとされています。

新規事業がうまくいかない企業の特徴

新規事業を成功に導くには高いハードルが存在しますが、失敗例を知ることで成功への秘訣が見えてくるでしょう。

撤退基準を設けていない

新規事業がうまくいかない理由のひとつとして、明確な撤退基準を設けていない点が挙げられます。新規事業を立ち上げるにあたって、「いつまでにこの水準の成果が出なければならない」といった撤退ラインを事前に定めておくことは非常に重要です。

撤退基準がないと、事業の止め時が分からず、損失が拡大し続けてしまいます。また、新規事業の担当者は高い熱量を持って取り組んでいるため、周囲が撤退を進言しづらいという社内的なハレーションも予想されます。

そのため、事業開始時に明確な撤退基準を設け、その時が来たら潔く撤退することが解決策として推奨されます。さらに、うまくいかなかった事例は社内でノウハウや資産として蓄積し、次の新規事業へ活かすことで、同じ失敗を回避しやすくなるでしょう。

失敗を許容する風土ができていない

失敗を許容する企業風土が醸成されていないことも、新規事業がうまくいかない理由のひとつです。新規事業の約9割はうまくいかないと言われていますが、この9割の失敗を経験しなければ成功への道筋である1割の「勝ち筋」は見えてきません。

失敗は単なる残念な結果ではなく、企業にとって新規事業立ち上げの貴重な財産となり得ます。新規事業に挑戦したこと自体を評価し、失敗を繰り返すほど成功に近づくという考え方を、企業全体で持つことが重要です。

「どうせ失敗するから」と最初から諦めるのではなく、上層部をはじめ周囲が「たとえ失敗してもいいから頑張ろう」というモチベーションでサポートすることで、失敗は会社にとってプラスの事例につながるでしょう。

新規事業立ち上げの8つのプロセス

新規事業の立ち上げは、段階的なプロセスを踏むことで成功確率が高まります。8つのステップを通じて、アイデアを具体的なビジネスへと育て上げましょう。

1.対象とする事業領域・ドメインの策定

まずは、「なぜ自社で新規事業を立ち上げるのか?」という目的を明確にしましょう。そこからアイデア出しを始めます。

この段階では、自社で手掛けるべき事業領域を定めた上で、大まかなイメージが描けていれば問題ありません。多くの場合、最初のアイデアは何度も変更になるため、あとで方向転換できるよう、こだわりすぎないことが大切です。

2.顧客課題の特定

新規事業の起点となるのは、顧客の課題です。顧客の課題を特定することで、その課題解決に役立つ有益な商品やサービスを生み出しやすくなります。特に、課題は、「あると望ましい」ではなく「ないと困る」状態であることが理想です。

そのためには、ヒアリングや調査を通じて、課題を持つ人の属性や、どのような場面で課題を感じるか、課題解決のためにどのような行動をとるかといったポイントを把握します。これによって顧客の抱える課題の解像度が高まり、新規事業の成功につながるでしょう。

もし、これらが定まり切らない場合は、1に戻って事業領域・ドメインを再考してください。

3.ソリューション特定のための検証

顧客の課題を解決に導くソリューションを検討します。例えばアプリやWebサービスの場合、まずは簡易的なペーパープロトタイプで検証を行い、イメージした顧客体験が得られるかどうかをシミュレーションしましょう。提供価値が大きいと判断できたら、以降は作り込んだプロトタイプで検証を進めます。

検証を続け、「このソリューションであれば課題解決ができる」というものを証明し、特定しましょう。

4.事業検証

ソリューションを特定したら、次は事業として成り立つかどうか、検証を始めます。検証にあたっては、事業計画のたたき台となるような骨子を作り始めましょう。具体的には事業の概要はもちろん、市場環境・競合企業の状況、自社商品やサービスの強み、販売・マーケティング戦略なども整理してまとめます。

【関連記事】市場調査の方法とは?手法や具体的な手順と実施時のポイント

5.事業計画の作成

作成した事業計画をブラッシュアップし、完成させましょう。新規事業に関わる人員をはじめ、売上・利益、資金調達などの計画を具体的なスケジュールに落とし込みます。商品・サービスの価格策定の定義や、サービスのオペレーションなど体制の定義も、この段階で考えておくことをおすすめします。

【関連記事】事業計画書とは?書き方と記入例をわかりやすく解説【テンプレ付き】

6.撤退基準の決定

新規事業は必ずしも軌道に乗るとは限りません。軌道に乗るまでは先行投資が大きい状況が続いてしまうため、「〇月末までに」「〇〇のラインを下回ったら」など、撤退する明確な基準を事前に決めておきましょう。撤退基準を設けることはプロジェクトの緊張感にもつながり、新規事業の成功を大きく左右します。

7.テストマーケティングの実施

本格的なリリース前のテストマーケティングとして、VoC(Voice of Customer:顧客の声)をできる限り多く収集し、課題点を修正します。顧客の声を聞き、仮説を立てるというサイクルを何度も繰り返すことが重要です。

8.リリース・成果検証

リリース後は、成果検証や改善のためのPDCAを回していきます。この段階でも、顧客の声を聞くことがポイントです。新規事業は立ち上げがゴールではありません。会社を支える事業へと成長させられるよう、継続的に成果を出し続けることが求められます。

【規模別】新規事業を成功させるポイント

新規事業の立ち上げ方は多岐にわたりますが、企業の規模や特性によって立ち上げのコツが異なります。大企業とスタートアップ、それぞれの強みと弱みは以下の通りです。

大企業の場合

大企業は、新規事業を成功させる上で以下のような強みと弱みを持っています。

強み

  • 十分なリソース、アセット、資金があるため、複数の新規事業に同時に参入し、種をまく余裕がある
  • 承認や報告のプロセスが複雑で、意思決定に時間がかかることがある
  • すでに先駆者が圧倒的シェアを取っている業界にあえて参入するケースが多く、そのうち10%でもシェアを獲得できれば相当な売り上げにつながる勝算がある

弱み

  • 規模の大きい既存事業の力が強く、新規事業の行方が大きく左右されやすい傾向がある
  • 同時に複数の新規事業を進める余力があるため、勝ち筋がありそうな領域に一気にブーストをかけていく戦い方が得意
  • 大企業ならではの古い慣習や暗黙のルールに縛られがちで、新しいことにチャレンジしづらい面がある

ボウリングに例えると、大企業は10個のレーンすべてを同時に使用できるようなものだと言えるでしょう。一斉にボールを投げれば、そのうちの1つくらいはストライクになるレーンがあるはずです。ストライクの出たレーンにリソースを集中させれば、新規事業立ち上げの勝ち筋になります。

スタートアップの場合

スタートアップ企業は、新規事業において以下のような特徴的な強みと弱みを持ちます。

強み

  • 承認プロセスが少ないため、社長の一存でクイックな判断ができることが多く、状況に応じてすぐに方向転換(ピボット)が容易
  • 高速でオペレーションやPDCAサイクルを回すことが可能
  • 大胆なアイデアや斬新な発想、イノベーションが生まれやすい環境

弱み

  • 人材などのリソース確保が困難であり、アセットや資金も限定されているため、同時に進められる新規事業の数はだいたい1つに留まるケースが多い
  • 既存事業もある意味で新規事業と言えるため、新規事業以上に既存事業もしっかり伸ばしていく必要がある/li>

ボウリングに例えると、スタートアップは使えるレーンは1つだけであり、そのひとつのレーンでできるだけ投げる回転を速め、投球回数を増やす必要があります。

新規事業の立ち上げに必要な人材・スキルとは

新規事業の立ち上げには、多岐にわたるスキルが求められます。ここでは、新規事業の立ち上げに必要なスキルを5つ紹介します。

情報収集力

新規事業の立ち上げには、幅広い情報を迅速かつ正確に収集する能力が不可欠です。市場動向、競合の状況、顧客のニーズなど、さまざまな視点から情報を収集することで、ビジネスの機会やリスクを把握できます。高い情報収集力があれば事業の方向性をより確実に見極めることができ、成功の可能性を高められるでしょう。

課題発見力

新規事業の立ち上げでは、まだ世の中にはないアイデアが求められる場面もあります。そのため、新規事業に携わる人材には、潜在的な課題や問題を発見する能力が必要です。問題点を見つけ出し、それに対するソリューションを生み出すことが、事業の成功につながります。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングは、新規事業の計画や実行において重要なスキルです。論理的に物事を考え、問題を分析し、解決策を導き出す能力が求められます。情報を整理し、因果関係を明確にすることで、事業の戦略や方針を合理的に決定し、効率的な実行が可能になります。

【関連記事】ロジカルシンキング研修とは?おすすめプログラムやフレームワーク

プレゼンテーションスキル

新規事業の立ち上げでは、事業のアイデアや計画を第三者に伝えるためのプレゼンテーションスキルが重要です。例えば、社内外で資金や予算を調達する必要がある場合、出資者や決裁者に有益な事業であることを納得させなければなりません。分かりやすく説得力のあるプレゼンテーションを行うことで、投資家やパートナー企業、チームメンバーの理解と協力を得やすくなるでしょう。

プロジェクトマネジメントスキル

新規事業の立ち上げにおいては、プロジェクトを管理するスキルが不可欠です。プロジェクトマネジメントスキルには、計画の策定、リソースの配分、進捗の監視、リスクの管理が含まれます。組織のリソースを最大限に活用し、成功へと導く能力が求められます。

【関連記事】プロジェクト管理とは?手法や流れを整理するフレームワークを解説

新規事業の戦略

アンゾフの成長マトリクス

新規事業の立ち上げにあたって参考になるのが、「アンゾフの成長マトリックス」です。これはイゴール・アンゾフによって提唱されたマトリクスで、企業が成長を図るために取るべき戦略を「製品」と「市場」の2軸に基づき、4つに分類しています。それぞれの戦略について解説します。

アンゾフの成長マトリクス

新市場開拓戦略

既存市場に対して、新しく開発した製品を投入する戦略です。例えば、コロナ禍で多く見られた飲食店のテイクアウトサービスは、この戦略に当てはまるでしょう。

既存市場はすでに需要と供給が保たれているため、成功の難易度がやや高いと言えます。ユーザーニーズの変容に合わせて既存製品を改良したり、顧客の潜在的なニーズを掘り起こせるような斬新な製品を開発したりすることで、事業成長が期待できます。

【関連記事】新規市場開拓の進め方とは?具体的な事例やポイントを解説

新製品開発戦略

既存市場に対して、新しく開発した製品を投入する戦略です。例えば、コロナ禍で多く見られた飲食店のテイクアウトサービスなどが当てはまるでしょう。

既存市場はすでに需要と供給が保たれているため、成功の難易度がやや高いと言えます。ユーザーニーズの変容に合わせて既存製品を改良したり、顧客の潜在的なニーズを掘り起こせるような斬新な製品を開発したりすることで、事業成長が期待できます。

多角化戦略

既存の事業とは異なる分野に進出し、多角的な事業展開を行う戦略です。事業が低迷した場合のリスク分散や、複数の収益源の確保が期待できます。

Googleの事業展開は、多角化戦略の代表的な例でしょう。Googleが手掛ける事業は、検索エンジン事業から広告事業、クラウドサービス、さらには自動運転技術の開発までと多種多様です。また、ディズニーは映画制作に加え、テーマパークの運営やキャラクター商品の販売など多岐にわたる事業を展開し、複数の収益源を確保しています。

【関連記事】多角化戦略とは?メリット・デメリット・リスクを具体例とともに解説

市場浸透戦略

既存市場に対して既存商品をさらに浸透させ、売上拡大を図る戦略です。この戦略では新たに製品を開発することなく、販売・マーケティング戦略を刷新するため、ほかの戦略に比べるとコストを抑えられる点がメリットと言えるでしょう。顧客がまだ気づいていない製品の魅力をアピールできれば、従来よりもニーズの増加が期待できます。

新規事業の立ち上げに役立つフレームワーク

新規事業の立ち上げには、効果的なフレームワークの活用が欠かせません。これらのフレームワークは、アイデアの創出から市場調査、事業モデルの構築、マーケティング戦略の策定、事業の評価と改善まで、あらゆるフェーズで強力な武器となるでしょう。

新規事業のアイデアを生み出すためのフレームワーク

新規事業のアイデアを生み出すためには、未来志向の視点や現状分析が不可欠です。異なるアプローチで効果的なアイデアを生み出す2つのフレームワークを紹介します。

バックキャスティング

バックキャスティング(バックキャスト)は、未来の目標から逆算して現在の行動を計画するフレームワークです。この手法は、明確なビジョンや長期目標を持つ新規事業に適しています。

バックキャスティングのメリットは、将来の望ましい状態を前提にステップを逆算することで、策定した計画が目標達成に直結する点です。長期的な視野で戦略を立て、段階的に達成すべき目標や具体的な行動計画を明確にできるでしょう。

【関連記事】バックキャスティングとは?フォアキャスティングとの違いや活用方法を解説

フォアキャスティング

フォアキャスティング(フォアキャスト)は、現在のトレンドやデータを基に未来を予測し、行動計画を立てる、バックキャスティングと対になるフレームワークです。

市場調査や顧客動向分析、技術トレンドなどのデータを基に、将来の市場ニーズや競争環境を予測し、それに応じた事業戦略を立案します。短期的な市場の変化や技術革新に対応する際に効果的な手法です。

市場調査のためのフレームワーク

市場調査は、新規事業の立ち上げにおいて不可欠です。フレームワークを用いて市場の規模や成長性、競合状況を正確に把握できれば、新規事業の成功確率は高まるでしょう。

SWOT分析

SWOT分析

SWOT分析は、組織の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を分析するフレームワークです。内部環境である強みと弱み、外部環境である機会と脅威を総合的に評価し、戦略を立てる際に用います。

SWOT分析の活用により、自社の強みを活かし、弱みを克服するための効果的な戦略を策定できます。また、市場の機会を捉え、脅威に対処するための対策も講じられるため、全体的な戦略立案や事業計画の基盤の強化が期待できるでしょう。

【関連記事】SWOT分析とは?やり方や具体例、活用法をわかりやすく解説

PEST分析

PEST分析

PEST分析は、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の要因を分析するフレームワークです。

法規制の変更や経済成長率、社会的トレンド、技術革新といったマクロ要因の分析により、新規事業に影響を与える外部要因の把握につながり、長期的な市場環境の変化を見据えた戦略策定が可能になります。外部環境の変動に対するリスクを管理し、機会を最大化するためにも、PEST分析は非常に有効なフレームワークです。


【関連記事】PEST分析とは?目的や事例、自社の戦略に活かす方法を解説

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析

ファイブフォース(5FORCE)分析は、特定の業界における競争要因を分析するフレームワークです。具体的には、新規参入の脅威、供給者の交渉力、買い手の交渉力、代替品の脅威、業界内の競争の5つの要因を評価します。

ファイブフォース分析は、業界の競争構造を理解し、自社の競争ポジションを明確にできます。リスクを回避しつつ、業界内における新規事業の競争力を強化するための具体的な戦略立案に役立つでしょう。

【関連記事】ファイブフォース分析とは?具体例を用いて分かりやすく解説

事業モデル構築のためのフレームワーク

事業モデルは、顧客に価値を提供し、持続的に収益を確保するための基盤となります。

ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスは、事業モデルを1枚の図で視覚的に整理するためのフレームワークです。9つの要素(顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客関係、収益の流れ、主要リソース、主要活動、主要パートナー、コスト構造)から構成されます。

ビジネスモデルキャンパス

ビジネスモデルキャンバスを使えば、事業の全体像が一目で把握でき、各要素間の関係が明確になります。チーム全体で事業モデルに対する共通認識を持てるため、強みや弱点を分析し、改善点を特定する上で非常に有効です。

【関連記事】ビジネスモデルキャンバスとは?目的や書き方、活用のポイントを解説

マーケティング戦略のためのフレームワーク

効果的なマーケティング戦略は、新規事業の成功に欠かせません。ターゲット市場に適した製品やサービスを提供し、顧客のニーズに応えることが求められます。

4P分析

4P分析

4P分析は、製品(Product)、価格(Price)、場所(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの要素を、自社視点から深掘りするフレームワークです。ターゲット市場に適したマーケティング施策の立案に役立ちます。

新規事業に4P分析を取り入れることで、製品の特性や価値提案を明確にし、競争力のある価格を設定できます。さらに、適切な販売チャネルを選定し、効果的なプロモーション活動の計画も可能になるでしょう。

新規事業の評価・改善のためのフレームワーク

新規事業を成功させるためには、定期的な評価に基づいて事業の方向性を修正することが重要です。

KPI

KPI(重要業績評価指標)は、事業における業績や目標の達成度を測定するための具体的な指標です。売上や利益率、顧客獲得数など、事業の目標に沿って指標を設定し、定期的に評価・改善を行います。

KPIの設定によって事業の進捗が可視化され、次にとるべき行動が明確になります。もし進捗が芳しくない場合は、必要に応じて計画の調整を行いましょう。

【関連記事】新規事業におけるKPIの設定方法とは?具体例やポイントも解説

BSC(バランス・スコアカード)

バランス・スコアカード

BSC(バランス・スコアカード)は、財務、顧客、業務プロセス、学習と育成の4つの視点から事業のパフォーマンスを評価するフレームワークです。戦略の実行状況を多面的な観点で把握し、バランスの取れた評価が可能になります。

BSCのメリットは、短期的な成果のみならず、長期的な成長も重視できる点にあります。例えば、たとえ財務的にはまだ貢献度が低くても、ほかの3つの観点から貢献ができている取り組みを見極められるでしょう。

【関連記事】バランススコアカード(BSC)とは?目的や作成方法を解説

新規事業の成功事例

パーソルグループが支援した、新規事業の成功事例を2つ紹介します。

【出典】パーソルキャリア株式会社 HiPro Biz「導入事例

A社|業種:機械・電気製品

A社は自社発の新事業を推進すべく、M&Aを進めたり、専門組織を立ち上げたりしていました。しかし、社内の人材がプロジェクトを主導し、スピード感を持って推し進める風土が十分に整っていなかったことなどから、自社らしい事業開発に苦戦していたと言います。

そのような中、A社はパーソルの「HiPro Biz」の活用を決定。戦略組織コンサルティング経験が豊富な人材をプロジェクトに迎え入れました。

専門知識を持つ即戦力の外部人材の参画により、プロフェッショナルの知見やアイデアを得ながらプロジェクトを進められる体制を整備。さらに、チームメンバーの「行動基準」を制定したり、メンバー各自が自由にテーマを決めて研究に時間を費やしたりすることで、新事業を生み出しやすい企業風土の醸成にもつながりました。

B社|業種:公共サービス

B社では、2023年5月に生成系AI利用に関するガイドラインを策定し、7月には法人向けChatGPTサービスを導入するなど、業務における生成AI活用を推進しています。その結果、大幅な業務時間の削減が実現し、特定の職種や業種に特化した活用への期待が高まっていました。しかし、自社の業務によりフィットした活用や、顧客向けサービスへの応用には、ChatGPTをはじめとした生成AIが社会でどのように活用されているのか知見を得るなど、生成AIに精通した専門家の力が不可欠でした。

そこで、B社はパーソルの「HiPro Biz」を活用。生成AIやChatGPTの研究家であり、起業家やYouTuberとしても活躍する専門家が参画しました。

専門家はChatGPTの高度な活用検証に着手し、ChatGPTの理解度と応用力を伸ばすワークショップを企画・実施。ワークショップで発表された22案は、実装に向けた検証が進んでいます。このような取り組みの結果、デジタルリテラシーが向上した参加メンバーは、各組織で生成AIに精通する人材として活躍しています。

【お役立ち資料】新規事業立ち上げノウハウ完全ガイド

新規事業を立ち上げる際には、自社事業のコアコンピタンスに基づいた戦略を立案することが重要ですが、どのように戦略設計を行えばいいか分からない方も多いのではないでしょうか。

パーソルグループでは、新規事業を立ち上げるためのフローとノウハウ、そして成功に導くコツをまとめまたノウハウガイドを無料で公開しています。新規事業の戦略設計に課題をお持ちの方はぜひご覧ください。

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まとめ|スキルや戦略の活用で新規事業を成功させる

新規事業の立ち上げは、企業の未来を切り拓くための重要な取り組みです。自社の理念や強みを活かし、市場や顧客のニーズに応える新しいビジネスの創出が求められます。

そのためにも、適切なプロセスや必要なスキル、そして多様な戦略やフレームワークを効果的に活用することで、新規事業の成功確率を高められるでしょう。社内全体で協力体制を構築し、未来を見据えた新規事業を推進していきましょう。