プロジェクト管理とは?手法と全体の流れを整理するフレームワーク

DX推進の流れにより、業務上必要となるスキルは刻々と変化してきています。そのような中で、プロジェクト管理手法のバージョンアップも求められるようになってきました。そこで本記事では、プロジェクトを成功へ導くプロジェクトマネージャー(PM)が、知っておきたいプロジェクト管理手法について、詳しく解説します。

目次

プロジェクト管理の基礎知識

プロジェクト管理において押さえておくべき基礎知識を解説します。

プロジェクト管理とは

プロジェクト管理は、プロジェクトを成功に導くために必要な「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などのリソースを適切に管理することを意味します。

プロジェクト管理にはさまざまな手法があります。代表的な手法としては、後述する「CCPM」「WBS」「PERT」「PPM」「PMBOK®」などです。これらの手法を使用することで、プロジェクトの全体像を把握しやすくなり、プロジェクトのスケジュール管理や進捗管理が容易になります。

一方で、手法を選定する際には、プロジェクトの性質や目的に合わせて適切な手法を選ぶことが重要となります。プロジェクトの立ち上げから完了後のフィードバックまで、すべてをコントロールするのがプロジェクト管理です。プロジェクトは一連のタスクや業務から成り立っており、それらの計画、整理、進捗管理、工数管理、スケジュール管理などすべてが含まれます。

プロジェクト管理の重要性

プロジェクト管理は、プロジェクトの全体進捗や品質管理を行い、プロジェクトの成功をサポートするための取り組みです。プロジェクト管理には、効率性、生産性の向上、質が高い成果物の3つが求められます。適切にプロジェクト管理ができれば、納期を遵守してプロジェクトの目標を達成しやすくなる・コストをかけずに、高い品質の成果が出しやすくなるなど、さまざまなメリットが得られます。

ただし、プロジェクト管理の効果を最大化するためには、スケジュール・コスト・品質などの多岐にわたる項目を、バランス良く管理することが必要です。そのためには、プロジェクト管理をスムーズに進めるための流れや役立つ手法などについて、基礎的な知識を身につけておくことが欠かせません。

プロジェクト管理には、プロジェクトの成功に向けた重要な役割があります。そのため、プロジェクトマネージャー(PM)を筆頭にプロジェクト関係者は、その重要性を認識し、適切に取り組むことが求められます。

プロジェクト管理の5つの要素

プロジェクト管理においては、「スコープ管理」「スケジュール管理」「コスト管理」「リスク管理」「品質管理」の5つが重要です。

①スコープ管理

プロジェクトの目標、タスク、サブタスクを分割し、実行可能な計画を策定します。

スコープ管理とは、プロジェクトにおいて「何を、どこまでやるか」という成果物や作業範囲(スコープ)を定め、それを達成できるようにマネジメントをすることです。プロジェクトの目標を設定し、そのために必要な作業内容や成果物を決める手法です。

スコープ管理は、プロジェクトスコープと成果物スコープに大別されます。スコープ管理は、プロジェクトの成功に欠かせない手法です。プロジェクトの目標を達成するために必要な成果物や作業範囲を明確にすることで、タスク漏れを防止し、プロジェクトメンバーが同じ目標に向かってプロジェクトに取り組めるようになります。

②スケジュール管理

プロジェクトの期限を設定し、進捗状況を監視します。

プロジェクト管理におけるスケジュール管理とは、プロジェクトの進捗状況を把握し、計画通りに進めるために必要な時間と人的リソースを管理することです。またプロジェクトの成功に欠かせない手法であり、プロジェクトの目標を達成するために必要な作業内容や成果物を決める手法です。

スケジュール管理は、プロジェクトの目標を達成するために必要な作業内容や成果物を決める手法を指します。スケジュール管理は、プロジェクトスコープと成果物スコープに大別されます。プロジェクトスコープは、プロジェクトの目的や範囲を定義するもので、成果物スコープは、プロジェクトの成果物を明確に定義します。つまり、プロジェクトスコープは「やるべきこと」の範囲を定義し、成果物スコープは「何を作るか」を定義するものです。

③コスト管理

プロジェクトの予算を設定し、予算内でプロジェクトを完了するための計画を策定します。

プロジェクト管理におけるコスト管理とは、プロジェクトにかかる費用を予算内に収めるよう管理することを指します。具体的には、コストの見積もりや予算設定、調整などの業務が該当します。プロジェクトを完遂させるためには、人件費や材料費といったコストが必要です。コスト管理では、プロジェクトに関係するコストを適切に管理することで、利益を出します。

コスト管理が適切にできなければ、企業として利益を出せず、企業としての維持ができなくなるため重要な部分です。

④リスク管理

プロジェクトの進行中に発生する可能性のあるリスクを特定し、それらに対処する計画を策定します。

プロジェクト管理におけるリスク管理とは、プロジェクトにおいて発生する可能性のあるリスクを特定し、その影響を最小限に抑えるための予防策を講じることを指します。リスク管理は、プロジェクトの進行中に発生する問題を予測し、問題を最小限に抑えるための管理手法です。

リスク管理によって、プロジェクトのスケジュール・予算・品質などの指標を維持でき、プロジェクトの成功に向けた確実な道筋を確立できます。リスクマネジメントは、プロジェクトの潜在的なリスクをチームが分析し、その影響を最小限に抑えるための予防を施すプロセスのことを言います。リスクマネジメントによって、プロジェクトのスケジュール・予算・品質などの指標を維持でき、プロジェクトの成功に向けた確実な道筋を確立できます。

⑤品質管理

プロジェクト管理における品質管理では、プロジェクトの成果物が品質基準を満たしていることを確認します。

プロジェクトにおいて製品やサービスの品質を維持し、改善し続けるための方法や手法です。品質管理は、要件を満たすために必要な手段を実施し、製品やサービスが要件を満たしているかを監視し、必要に応じて改善策を講じていきます。

品質管理には、「品質計画」、「品質保証」、「品質管理」の3つのプロセスがあります。品質計画は、品質目標を設定し、品質を確保するための方針や計画を作成することです。品質保証は、品質目標を実現し、品質基準を満たすための改善活動を支援するステップです。品質管理は、プロジェクトで実施されている作業を測定・監視・記録する役割となります。

代表的な5つのプロジェクト管理手法

プロジェクトマネージャー(PM)として押さえるべき、代表的な5つのプロジェクト管理手法「CCPM」「WBS」「PERT」「PPM」「PMBOK®」を解説していきます。

①CCPM

CCPM(Critical Chain Project Management)は、プロジェクトのタスクの納期を可能な限り短縮し、バッファ(余白)を設けるプロジェクト管理手法です。CCPMの特徴は、プロジェクトに遅延が発生した場合に、どの程度遅延しているのかを把握しやすい点があります。

CCPMのメリットには、プロジェクト全体に影響を及ぼすタスクを把握できること、プロジェクトの遅延を直感的に把握できることが挙げられます。一方、CCPMのデメリットとしては、短期的なプロジェクトには向かないことや、協力意識が不可欠であることが挙げられます。CCPMを導入する際には、注意点を理解した上で導入を検討することが重要です。

②WBS

WBS(Work Breakdown Structure) は、プロジェクトを小さなタスクに分割して管理する手法です。WBSの特徴はプロジェクト全体を視覚的に分解し、計画、調整、進行状況の追跡が容易になることです。

WBSを使用することで、プロジェクトのスケジュール管理や進捗管理が容易になります。また、プロジェクト全体像を把握でき、作業の依存関係を明確にできます。一方で、WBSを作成するには時間と労力が必要であり、WBSの作成によってプロジェクトの進行が遅れることもあります。

③PERT

PERT(Program Evaluation and Review Technique)は、プロジェクト各工程の依存関係を矢印でつないでいきます。そして、それぞれの所要時間を記入して図(PERT図)を作成していきます。PERTの特徴は、各工程の依存関係を図示して所要時間を見積もり、重要な工程を見極められる点です。

PERTを使用することで、作業の依存関係を明確にできます。また、最短のスケジュールを把握できるため、プロジェクトの進行を促進することもできます。

④PPM

PPM(Project Portfolio Management)は、組織全体で行っているプロジェクトを一元的に管理するプロジェクト管理手法です。PPMの特徴は、全体を俯瞰し、投資や人員追加の迅速な判断が可能な点です。

PPMを使用することで、自社の製品や事業を客観的に評価し、将来性を見極められます。また、PPMを使用することで、事業の成長戦略を立てられるでしょう。一方で、PPMを作成するためには時間と労力が必要であり、システム導入費用が高価であることがデメリットとして挙げられます。

⑤PMBOK®

上述した①‐④の手法を活用した上で、総合的に管理できる手法が、PMBOK®(Project Management Body Of Knowledge)です。PMBOK®は、プロジェクト管理の参考・基準になる知識体系です。

PMBOK®の第7版では、プロジェクトマネジメントの原理・原則として以下の12項目を挙げています。

①スチュワードシップ:勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワードであること
②チーム:協働的なプロジェクト・チーム環境を構築すること
③ステークホルダー:ステークホルダーと効果的に関わること
④価値:価値に焦点を当てること
⑤システム思考:システムの相互作用を認識・評価・対応すること
⑥リーダーシップ:リーダーシップを発揮すること
⑦テーラリング(対応):状況に応じてテーラリング(対応)すること
⑧品質:プロセスと成果物に品質を組み込むこと
⑨複雑さ:複雑さに対処すること
⑩リスク:リスク対応を最適化すること
⑪適応性と回復力:適応力と回復力を持つこと
⑫チェンジ(変革):想定される未来の状態を達成するために変革できるようにすること

PMBOK®の8つのパフォーマンス領域とは、プロジェクトの成果を効果的に提供するために不可欠な活動のことです。それぞれの領域は、以下のように定義されています。

①ステークホルダー:ステークホルダーと協力して作業し、良好な関係を築く
②チーム:チームの経験や習熟度を加味しながら、チームのパフォーマンスを高めるようにマネジメントする
③開発アプローチとライフサイクル:ウォーターフォール型開発やアジャイル開発など、適切な開発アプローチを定める
④計画:プロジェクト成果物を提供するために必要となる調整を扱う
⑤プロジェクト作業:プロジェクトを円滑に進めるために取り組むべき活動
⑥デリバリー:プロジェクトが達成を目指したスコープと品質の提供に関連する活動と機能を扱う
⑦測定:計画パフォーマンス領域など、他パフォーマンス領域活動の効果を測定する
⑧不確実性:プロジェクトにおける不確かさを把握し対応する

【出典】一般社団法人PMI日本支部「プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル

PMBOK®を使用することで、プロジェクトマネジメントのスキルを向上させられます。一方で、PMBOK®を理解するためには時間と労力が必要であり、習得にかかる障壁が高くなりがちです。したがって、効率良く学習するための仕組みや外部リソースを活用した研修が、一助となるでしょう。

プロジェクト管理の流れ

プロジェクトの規模に関わらず、プロジェクト管理は大まかに以下の流れで行われます。

    1. プロジェクトの目標を明確にする
    2. タスクを分解し、計画を立てる
    3. 進捗のチェック・軌道修正を行う

1.プロジェクトの目標を明確にする

プロジェクトの成功は、明確で具体的な目標設定から始まります。このステップでは、プロジェクトの範囲、期待される成果物、コスト、期限などを決定します。目標を設定する際には、チーム全体で目標に合意し、それに基づいて各メンバーの責任と期待を明確にすることが重要です。

2.タスクを分解し、計画を立てる

目標が設定されたら、プロジェクトを管理可能なタスクに分解し、それぞれのタスクに対してリソース割り当て、期限、責任者を定めます。このプロセスでは多くの場合、先ほど紹介したWBSの作成を含みます。

WBSはプロジェクトの全体像を細分化し、各タスクがどのように貢献するかを視覚的に示します。プロジェクトマネージャーはこの情報を基に、スケジュールを作成し、必要なリソースを割り当てます。リスク管理計画もこの段階で策定され、将来発生する可能性のある障害を特定し、対処計画を立てます。

3.進捗のチェック・軌道修正を行う

プロジェクトは必ずしも計画的に進むとは限りません。そのため、プロジェクトの実行フェーズでは、定期的に進捗をチェックし、計画と実際の進捗とを比較することが不可欠です。進捗管理には、進捗状況の追跡、成果物の品質管理、ステークホルダーへのコミュニケーションが含まれます。

問題が発生した場合には、迅速に軌道修正を行い、プロジェクトを計画通りに進めるための措置を講じます。これには、スケジュールの調整、リソースの再割り当て、スコープの変更などが含まれる場合があります。CCPMを導入している場合は、バッファの使用状況などから、軌道修正の方向性を定めることができるでしょう。

プロジェクトを成功へと導く!おすすめのプロジェクトマネジメント研修

前述したプロジェクト管理手法を学ぶ場合、書籍での座学や資格取得も有益な選択肢ではあります。しかし、社員(従業員)のやる気や能力に依存しやすく、実践的なスキル習得の観点からは、十分とは言えないのが実情でしょう。社内研修を行う場合も、社内での講師確保、時間確保に課題があります。そこでプロジェクトを成功へ導きたいときにおすすめのプロジェクトマネジメント研修として、リスキリングキャンプの「PMコーチング+」があります。

リスキリングキャンプの「PMコーチング+」とは?

パーソルイノベーションの<リスキリングキャンプ>が提供する「PMコーチング+」では、プロジェクトマネージャー(PM)的思考を鍛える3つのステップをご用意しています。そして、プロジェクトマネージャー(PM)を育成する環境を提供しています。

3つのステップの概要は以下です。

①PMスキルの共通認識
Udemyの高評価教材を使用した認識合わせを行い、言語化と対話による定着を図ります。

②PM的思考法の共通認識
主にPMBOK®を使いながら、具体的なプロジェクトのケースを使った学び合いを行います。

③PM的思考の体現
PM的思考に基づき、プロジェクトマネージャー(PM)経験の棚卸しと対話による内省を行います。それによって、PM的思考の体現に向けて改善すべき行動を具現化します。また、実戦経験が豊富なコーチが伴走しながら学ぶサポートをすることでスキルを習得しやすくします。

まとめ

DX人材であるプロジェクトマネージャー(PM)には、プロジェクト管理手法の知識が欠かせません。一方で、プロジェクト管理手法は多岐にわたるため、DX人材の育成には多くの時間や負担が発生します。効率的にDX人材を育成するには、外部の人材研修サービスを活用することも有効です。

パーソルイノベーションが提供する「リスキリング キャンプ(旧学びのコーチ)」は法人向けリスキリング支援サービスです。デジタル人材育成におけるスキル面・マインド面の課題に対して、企業にフィットしたカスタマイズカリキュラムと独自の学習伴走メソッドを用い、各企業のリスキリング施策を成功に導きます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

DX人材育成に必要な新規スキルの習得と定着を支援する「リスキリング キャンプ

パーソルイノベーションが提供する「リスキリング キャンプ」は、オンラインコンテンツを活用し、学習目的に応じたカリキュラム設計と、継続可能な学習につなげるための学習伴走を行う法人向けDXラーニングサービスです。学習者の現在のスキルレベルと目指すスキルレベルを考慮して到達レベルを設定し、個別最適化したカリキュラムの設計を可能にします。さらに、学習する動機付けや今後の目標などを踏まえた学習計画を支援するキャリアコーチ、そして専門的な内容を担当するテクニカルコーチが、学習者の学びをサポートします。
DX人材育成に課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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企画・編集/パーソルイノベーション株式会社 リスキリングキャンプ コラム編集室 三浦 まどか

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