2021年05月19日
2024年12月13日
事業計画書は、会社の創業や事業の立ち上げ・拡大の際、事業に関する戦略や実行計画、数値計画などを詳細に説明した文書です。金融機関からの融資や助成金の申請、投資家からの資金調達において、事業計画書の提出が求められます。
本記事では、事業計画書にどのような情報を盛り込むべきか、どうすれば読み手の心を掴むことができるのか、具体的な書き方のポイントについて解説します。
【お役立ち資料】新規事業立ち上げノウハウ完全ガイド
マーケットの成熟やビジネスの多様化に伴い、既存事業のみに頼っていては企業の持続的な発展が厳しい時代となりました。 そこで狙うは新規事業の立ち上げですが、新規事業立ち上げに積極的に取り組んでいる企業は約半数、そのうち軌道に乗せられた企業は1割程度という結果があり、一歩を踏み出すことも成功させることも難しいのが現実です。
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目次
事業計画書とは、事業の戦略や実行計画、数値計画などを詳細に説明した文書です。作成義務はないものの、会社の創業や事業の立ち上げ・拡大にあたり、融資申請などの資金調達が必要な場面で提出が求められます。また、事業が成功に至るまでの道筋を可視化することで、プロジェクトメンバーが共通認識を持つためのツールとしても役立ちます。
事業計画書には、事業や新商品・サービスの特徴や収益化までのスケジュール、誰が・いつ・何を・どのように実現するのかといった情報を、客観的にわかりやすく記載します。これにより、読み手は事業の全体像や具体的な計画を把握できます。
事業計画書は経営者が作成するのが一般的です。中小企業診断士や税理士、経営コンサルタントに作成代行を依頼することも可能ですが、相応の費用がかかる点には注意しましょう。
また、個人事業主も事業計画書の作成義務はありません。しかし事業の展望を示したロードマップとして事業計画書があると開業後スムーズに事業を進められるため、作成するメリットは大きいでしょう。
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事業計画書は作成が義務付けられているわけではありませんが、以下の2つの目的で役立てることができます。
事業計画書を作成する目的の1つは、投資家・ステークホルダーからの融資や、国・金融機関からの補助金・助成金を得るためです。
どれほど良いアイデアがあっても、文書として具体的に表現されていなければ、社外から会社や事業の価値を理解してもらえません。具体的な計画と数値を示して第三者を納得させることで、初めて融資や支援といったアクションを引き出せます。
もう1つの目的は、事業計画に不備がないかどうかを可視化し、事業の成功確率を高めるためです。
事業計画書には、事業を計画的に進め、売上や経費を管理し、持続的に利益を上げるための道筋を示す必要があります。事業計画書を作成する過程で、製品やサービスが誰のどのようなニーズを満たすのかが不明瞭であったり、売上見込みやコストの想定が不十分であったりと、計画の不備が明らかになるかもしれません。
事業計画書を通じてアイデアを整理し、プロジェクトメンバー全員で客観的に検討できれば、事業の成功可能性はおのずと高まるでしょう。
投資家や金融機関、ビジネスパートナーなどに対して事業のビジョンや戦略を効果的に伝えるためには、詳細かつ説得力のある計画書が求められます。基本の書き方を押さえて、作成しましょう。
まずは、事業の運営母体や発案者がどういった企業・人物であるかを、読み手に知ってもらう必要があります。基本的な会社の説明に加えて、発案者の経歴や、事業立ち上げに至った動機を記載しましょう。
経歴と動機は「発案者や経営者がどれだけ熱意を持ってこの事業を完遂しようとしているのか」を第三者が見極める最初のステップです。どういったバックグラウンドがあるのか、新規事業にどのような思いがあるのか、あるいは社会貢献のために新規事業がいかに必要であるかなどを第三者に伝えられるように、ストーリーテリングの手法を用いて表現しましょう。
記入例 |
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(1)会社説明 代表者名 山崎 武 企業名・屋号 ベジリアンカフェ株式会社(仮) 所在地 ○○県○○市○○3-10 設立年月日 2017 年 12 月 1 日(予定) 資本金 500 万円 事業内容 カフェレストラン 『自家焙煎した世界の珈琲』と『地元野菜と使ったランチ&スイーツ』の提供 (2)発案者・経営者の経歴 <経歴> ・2010 年 3 月 〇〇大学経済学部卒業 ・2010 年 4 月 〇〇珈琲株式会社 入社 大阪支店営業部 専門店営業に従事 ・2011 年 4 月 店舗運営部にて直営店に勤務 ・2018 年 3 月 〇〇珈琲株式会社 退社 <資格> ・2007 年 3 月 普通自動車免許取得 ・2010 年 5 月 食品衛生責任者取得 (3)起業の動機 ・私は、これまでに大手カフェチェーンの○○で 7 年間勤務し、2 年前ぐらいからこれまでの経験を活かして自分のこだわりの店を持ちたいと思っていた。昨年、地元の同窓会に参加したときに「東京にあるようなおしゃれな空間でくつろげるカフェがない」と言われ、地元に喜んでもらえるようなカフェを開きたいと考えた。親からも 30 才までには、地元に帰ってくるよう言われていたので、よいタイミングだと思っている。 ・私自身は、学生の頃は珈琲が嫌いだったが、老舗の珈琲店で「苦味の少ない珈琲」を入れてもらって珈琲のおいしさを知った経験がある。そのときの経験から、自分がおいしいと思う珈琲を、わかりやすくお客さんに提供したいと思っている。 |
事業内容は、事業計画書の根幹となる項目です。ビジョン・目標に加えて事業コンセプトを記載します。
ビジョン・目標は、分かりやすく具体的なものでなければなりません。特に数値目標は、読み手が納得するかどうかの大きなポイントとなるため、慎重に検討する必要があります。
事業コンセプトには、商品・サービスの内容やターゲット顧客、サービス・商品の提供方法・仕組みなどが含まれます。ターゲット顧客は属性と人数、住んでいる地域を明確にすると、説得力があるでしょう。また、後に記載する数値計画の基礎にもなります。確実に需要が見込まれることを具体的な数値や調査など事実に基づいた推論により明らかにし、分かりやすく表現しましょう。
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(1)ビジョン・目標 ・「こだわりの美味しさと居心地の良さ」を提供し、地域の人たちに「お気に入りの空間」を提供したい。 ・3 年後の売上高は 27 百万円、営業利益は 5 百万円を目標にする。 (2)事業コンセプト ◆商品・サービスの内容 ・「自家焙煎珈琲」:ハワイ、コスタリカ、ブラジル、プエルトリコなどの世界各地の珈琲豆を自家焙煎した珈琲 ・「地元野菜料理」:季節に合わせた旬の地元野菜を使って、彩野菜のカレー、ソイミートのハンバーグ、野菜のミネストローネ等 ◆ターゲット顧客 ・自分の好みの珈琲を気軽に飲みたい人 ・好きなものをおいしく、健康的に食べたいと思っている子育て世代の女性 ◆サービス・商品の提供方法・仕組み ・世界各地の珈琲豆や挽き方による苦味や酸味の違いをマッピングすることで、お客さんに自分に合う珈琲をわかりやすく選べるように提供する。また、顧客の好みに焙煎加減を調整するなどで満足度を高めリピーターを獲得していく。 |
事業を取り巻く環境を理解したうえで、戦略を立てるための重要な項目です。フレームワークを活用しながら、以下の内容について調査・分析しましょう。
(1)業界動向・市場規模
トレンド分析、技術革新、規制・政策の動向、全体市場規模、ターゲット市場規模、市場シェアなど
(2)競合分析
主要競合の特定、ベンチマーク分析など
業界動向は、事業の成功可能性を評価するための基礎です。事業の立ち位置や将来の展望を見定めるうえで役立ちます。政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの観点から外部環境を分析するフレームワークである「PEST分析」が活用できます。PEST分析については以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】PEST分析とは?目的や事例、自社の戦略に活かす方法を解説
また、市場規模を把握するには、統計データを探す、業界紙を読むといった方法のほか、市場調査が有効です。市場調査については以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】市場調査の方法とは?手法や具体的な手順と実施時のポイント
記入例 |
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(1)業界動向、市場規模 ・カフェ市場の規模は、ここ数年 1 兆 1,175 億円(出典:(公財)食の安全・安心財団)前後で推移しているが、外資系を含めたセルフ式コーヒーチェーンの進化や、コンビニのカフェ展開など、コーヒー市場のすそ野が大きく広がっている。 ・コーヒー豆の品種や産地にこだわる「サードウエーブ(第 3 の波)」と呼ばれる新しいトレンドが生まれている。外食各社の参入が相次ぎ、月定額の会員制のコーヒー店などの新たな販売手法によるサービスも増加している。(出典:J-net21 業種別ガイド) |
続いて競合分析には、自社および競合他社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を分析するフレームワークである「SWOT分析」が活用できます。SWOT分析については、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】SWOT分析とは?やり方や具体例、活用法をわかりやすく解説
記入例 |
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(2)競合分析 A店 ・大手チェーン店で 1 杯 220 円の安さがウリ。店内は数年前にリニューアルをして新しく、清潔感がある。席数は 40 程度。学生から高齢者まで幅広いお客さんが利用しており、いつも混雑している。席と席の距離も近く、サッと珈琲を飲むはいいが、のんびり過ごせるような空間ではない。 |
自社の商品・サービスの強みや特徴は、以下のような項目について記載します。
・商品・サービスの独自性
・他社製品との差別化ポイント
・技術的優位性や特許
・コストパフォーマンス
・顧客満足度やリピート率
・社会的責任やサステナビリティ
必ずしもすべての項目を並べる必要はありません。自社の強みを明確にし、競合他社と比較して優れている点や、市場における優位性をアピールすることが重要です。
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・自家焙煎することで、大量生産・大量供給では提供できない珈琲豆本来の個性豊かな香りとコクを提供できる。私は、これまでのカフェ勤務で豆・味・抽出技術を学ぶとともに、プライベートでも焙煎技術の勉強会やワークショップに参加し、スキルを磨いてきた。今では産地の珈琲豆の特性に合わせて、最適な焙煎技術や珈琲の抽出ができるようになっている。 |
販売・マーケティング戦略は、自社の商品やサービスを知ってもらい、購入してもらうための重要な要素です。事業計画書には販売計画と集客方法について記載しましょう。
(1)販売促進
商品・サービスを一定期間にどのくらい売るか
(2)集客方法
商品・サービスをどのように広く知ってもらうか
販売促進や集客方法は、事業内容や市場環境・競合分析を基に作成します。数値に落とし込んで検討することで、事業内容や分析を見直すきっかけにもなるでしょう。これらを繰り返し調整し、事業の実現可能性を高めていきます。
検討する際は、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4つの要素を分析し、効果的なマーケティング戦略を立案するためのフレームワークである「4P分析」が活用できます。
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(1)販売促進 珈琲マップの活用 「苦すぎない珈琲」とか「酸味が強いほうがいい」といった、自分の好みに合うおいしい珈琲を選びたいという要望に応えるため、苦味や酸味をマッピングして、珈琲がわかりやすく選べるようにする。また、豆の銘柄を産地別に地図の絵柄にプロットして、お客さんが味と産地をイメージできるように工夫する。 (2)集客方法 フェイスブック、ブログ等を活用した発信 フェイスブック、ブログ等を活用し、珈琲の知識、食材のこだわり、料理のレシピを公開する。また、当店で定期的に実施するフェアやイベントについての情報も随時掲載する。 受入れの席数に制限があるなど予約が必要なものに関しては、Web上で対応していく。 |
体制と人員計画は、事業運営の基盤を築く上で不可欠な要素です。経費の中でも大きな支出となるのが人件費であり、人件費の適切な管理は事業の成功に直結すると言えるでしょう。
人員計画を立てる際には、まず必要な業務を詳細に洗い出し、それに応じた適切な人員数を見積もることが重要です。業務の洗い出しが不十分である場合、人員の過不足が発生し、結果として事業に悪影響を与える恐れがあります。正確な業務分析に基づいて、必要な人員数を算出し、適切な雇用形態(正社員、契約社員、アルバイトなど)を選定しましょう。
1人でも雇用する場合は、労働関連法規・社会保険関係法規が適用されます。最低賃金法の定める最低賃金以上で雇用する必要があり、また、社会保険料や福利厚生費などについても加味して人件費を見積もらなければなりません。毎月の給与計算をはじめとする業務増も考慮が必要です。
人員計画に加えて、事業運営の体制も重要です。役割と責任を明確にし、効率的なコミュニケーションを図りましょう。特に創業時には、少人数でのスタートが現実的であり、事業が軌道に乗った段階で徐々に人員を増やす流れが望ましいでしょう。
事業を始めるにあたって必要な資金は、設備資金と運転資金の2つに分けられます。
設備資金は業界や提供する商品・サービス、販売方法によって大きく異なります。設備は一度設置すると簡単には変更できないため、「まずは販売計画が実行できる、必要最低限の設備投資に留める」という考え方が賢明です。
一方、運転資金は事業の継続に欠かせない費用であり、特に慎重に検討する必要があります。運転資金には人件費や賃料、仕入費用、材料費、消耗品費などが含まれ、これらは「固定費」と「変動費」に分けられます。人件費や賃料は固定費、仕入費用や材料費、消耗品は変動費に分類されます。
人件費 | 給料・福利厚生費(社会保険料など)・通勤交通費 |
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店舗維持費 | 家賃・管理費・共益費・水道光熱費・修繕費、看板使用料・駐車場使用料 |
仕入れ | 材料費・外注費 |
販売関連 | 販売費・荷造運賃 |
販売促進 | 広告宣伝費・販売促進費 |
通信関連 | 各種リース料・保険料、会議費・接待交際費、借入金返済元金・借入金支払利息 |
運転資金は毎月発生するため、見積が甘いと損益計画が崩れ、事業の運営に支障をきたす恐れがあります。融資担当者にとっては、純利益(+減価償却費)から運転資金を引いた額が返済資金の原資となるため、この部分が特に重視されるでしょう。なお、減価償却費については、次の損益計画の章で詳しく説明します。
事業の初期段階では、売上が不確定なため、固定費の割合をできるだけ抑えることが重要です。固定費の割合が高いと、売上が確保できない月に資金繰りが厳しくなるリスクが高まります。一方、変動費の割合が高いと、売上が減少した場合でも連動して経費も減少するため、資金繰りが比較的安定しやすくなります。
【関連記事】人件費削減の方法とは?メリットや注意点、事例とあわせて解説
損益計画では、売上高と各種コストを見積もります。以下の計算式で各種利益を算出しましょう。売上高は、販売計画で見積もった金額を使用します。
・売上総利益 =売上高-売上原価
・営業利益 =売上高-売上原価-販管費
・経常利益 =売上高-売上原価-販管費-営業外損益
・純利益 =売上高-売上原価-販管費-営業外損益-税
・営業外損益=財務活動・金融活動など、本業外の損益(支払利息など)
販管費とは、販売費および一般管理費のことで、人件費や減価償却費などが含まれます。販管費比率(販管費÷売上高)が低いほど経営効率がよいとされるため、販管費比率はひとつの経営指針にもなり得ます。
減価償却費は、設備や機械、車両などの資産価値が時間とともに目減りする分を、購入時に全額必要経費とはせず、使用可能な期間(法定耐用年数)にわたって分割し、必要経費として計上する科目です。実際に都度費用が発生するわけではないため、返済可能額には「税引後利益(純利益)+減価償却費」を記入します。
売上の増加率ほど販管費が増加しない仕組みを構築できれば、投資家からの評価は高くなるでしょう。売上に対する利益が大きく増加し、投資家が重視する「成長性」が高く見込まれるためです。
最後に、実行スケジュールを検討します。前項までに立てた計画を考慮した上で、誰が・いつ・何を・どのように実現するのかといった情報をまとめましょう。通常は3年程度の期間を目途に策定しますが、事業の内容に応じて四半期ごとや年間でのスケジュール設定も可能です。
実行スケジュールを作成したら、投資家や金融機関などの第三者へ提案する前に、まずはプロジェクトメンバー間で不備がないか、内容を確認することが大切です。事実や正確なデータを論拠とし、読み手が納得しやすい内容にブラッシュアップしていきましょう。
総務省の「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」によると、多くの事業計画書に共通の問題点が見られます。そのほとんどが「検討不足」「説明不足」であることがわかります。
・当社はこうしたい、こうしようということは一応書いてあるが、なぜその分野か、なぜその事業ビジョンを追求しようとするのか、検討不足・説明不足
・この事業がなぜ成長し、事業としてなぜ大変魅力的なのか、検討不足・説明不足。「技術が素晴らしい、アイデアが素晴らしい」からといって事業の成功とは直結しないが、多くの場合、混乱している
・顧客ニーズの把握が甘く、実際どのくらい切実なニーズがあるのか、顧客によってニーズがどのように異なっているのか、何が決定的に重要なのか、いつどうなれば本当に購入してもらえるのか、検討不足・説明不足
・全体的に戦略的な検討不足、説明不足で、事業計画の内容が数値計画中心
・競争優位性の説明が非常に不足
・社長自身、事業計画の内容を必ずしも信じておらず、絶対実行しようとのコミットメントもない
投資や支援を得るためには、誰に向けた事業計画書かを明確にし、読み手が何を求めているか正確に把握しなければなりません。
例えば、投資家に向けた事業計画書であれば、投資家が重視する「成長性」を定性的ならびに定量的に表現し、「この事業を応援したい、投資したい」と感じてもらうことが作成の目的となるでしょう。
事業計画書を作成する際は、読み手の視点に立ち、具体的で分かりやすい表現を用いて、信頼できるデータに基づいた根拠を示すことが不可欠です。
事業計画書を書く際には、まず誰がその計画書を読むのかを明確にしましょう。読み手が金融機関の融資担当者であれば、彼らが最も重視する「安全性」や「返済能力」に焦点を当てて書く必要があります。一方、投資家が読み手であれば、リターンの可能性や成長性を強調するべきです。読み手の視点に立ち、その期待に応える情報を提供することが、事業計画書の効果を最大化します。
事業計画書の内容は、具体的で分かりやすいものでなければなりません。情報が曖昧だと、読み手が実現性や信頼性を疑う原因になります。例えば、計画書内で「売上を増加させる」といった表現を使う場合、その根拠や具体的な戦略を示しましょう。また、専門的な用語を使用する際は、読み手のリテラシーに配慮した説明や例を加えて理解を促すことも大切です。
事業計画書に記載する内容は、データに基づいた根拠を持たせることが重要です。例えば、信頼できる官公庁の統計データや、業界の専門家が発表した研究結果などを引用すれば、主張の説得力が増すでしょう。作成にあたって得た情報が二次情報である場合は、一次情報に遡り、信頼性を確認する必要があります。これにより、読み手は事業計画書に対する信頼感を高め、計画の実現性が高いと判断します。
事業計画書作成の参考になるテンプレートやフォーマットを掲載している、公的機関のWebサイトを紹介します。
各種書式ダウンロード|国民生活事業
新たに事業を始める方に向けた「創業計画書」のテンプレートが用意されています。
4の「創業計画書記入例」では洋風居酒屋や美容業、中古自動車販売業、ソフトウェア開発業、介護サービス事業など、幅広い業種の記入例が用意されているため、該当する業種があれば書き方の参考になるでしょう。 また、27~30の「事業計画書」の項目では、中小企業経営力強化関連用や創業後目標達成型金利用といった、目的別のテンプレートをダウンロードできます。
事業計画書の作成例 | 起業マニュアル
飲食業、小売業、サービス業に分けて3つの記入例が用意されています。定量情報について図表が効果的に使用されているほか、全体を通して定性的な表現を用いた作成例となっており、書き方のよい例となるでしょう。
【お役立ち資料】新規事業立ち上げノウハウ完全ガイド
マーケットの成熟やビジネスの多様化に伴い、既存事業のみに頼っていては企業の持続的な発展が厳しい時代となりました。 そこで狙うは新規事業の立ち上げですが、新規事業立ち上げに積極的に取り組んでいる企業は約半数、そのうち軌道に乗せられた企業は1割程度という結果があり、一歩を踏み出すことも成功させることも難しいのが現実です。
パーソルグループでは、新規事業を立ち上げるためのフローとノウハウ、そして成功に導くコツをまとめまたノウハウガイドを公開しています。新規事業のご担当・自社のイノベーション創出に課題をお持ちの方はぜひご覧ください。
事業計画書は、新規事業の成功を導くために欠かせない重要な文書です。事業の目標や戦略、実行計画が詳細に記載されており、金融機関や投資家からの資金調達を成功させるための鍵となります。
事業計画書には、企業概要や事業内容といった基本情報から、市場や競合の分析、マーケティング戦略、各種計画まで、多岐にわたる要素を含める必要があります。これらを整理し、説得力のある内容にすることで、投資家の信頼を得ると同時に、計画の実現性を高められるはずです。書き方の基本を押さえ、事業を成功へと導く事業計画書を作成しましょう。