2024年07月23日
2025年06月10日
企業が競争力を維持しながら成長し続けるためには、効果的なマーケティング戦略や経営戦略の立案が欠かせません。そのために有効なフレームワークのひとつが、SWOT分析です。自社の内部環境と外部環境を4つの要素に分けて洗い出すことで、現状の把握ができます。さらに、社内外の環境のプラス面・マイナス面を明確にして要素別に分析することで、今後の事業戦略や方向性を導き出すことに活用できます。
本記事では、SWOT分析の概要や分析のやり方、メリットとデメリット、そして戦略への応用方法や具体例などを詳しく解説します。自社の現状を把握し、効果的な戦略を立てるために、SWOT分析を活用しましょう。
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目次
SWOT分析(スウォット分析)とは、自社を取り巻く内部・外部の環境分析により、事業や業務の現状を把握するためのフレームワークです。
SWOT分析の概念は、1960年代に初めて提唱されたと言われています。その後、スタンフォード研究所のアルバート・ハンフリーが理論を発展させ、現在の形になりました。主に企業のマーケティング戦略の分析や事業戦略の策定において活用されています。
SWOT(スウォット)とは「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字を取った略称です。自社の内部環境と外部環境を4つの要素でそれぞれ分析を行うことで、自社の現状や課題が把握でき、事業戦略・マーケティング戦略への落とし込みが可能となります。

SWOT分析の4つの要素は、それぞれ上図縦軸の内部環境・外部環境と、横軸のプラス要因・マイナス要因を掛け合わせた特性を有します。内部環境は自社内を、外部環境は市場や競合他社など自社外を指しています。
内部環境と外部環境を整理し、現状を俯瞰的に把握することで、施策に優先順位を付け、リソースを効果的に配分できるでしょう。また、「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4要素の整理は、潜在的なリスクや課題の早期発見につながるため、リスク管理にも役立ちます。
このような理由から、SWOT分析は企業の戦略策定にあたって非常に有効なフレームワークといえます。
SWOT分析をビジネスシーンで活用する主な目的は、自社や事業の現状を把握し、今後に向けて効果的な事業戦略やマーケティング戦略を立案することです。
競合企業と比較して自社が優位性を保つためには、市場分析を行い、その結果をもとにした効果的な戦略策定が欠かせません。SWOT分析を行うことで、自社の武器となる強みや改善すべき領域、リスクとなりうる外部要因などが明らかになるため、確実性の高い事業戦略やマーケティング戦略の策定につなげられます。
またSWOT分析は、自社の強みと弱みを洗い出すため、市場における自社の立ち位置や成長性を把握すれば、新たなビジネスチャンスの発見にも役立つでしょう。

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ビジネスにおいてSWOT分析を活用することで、さまざまなメリットが期待できます。具体的なメリットは、以下の2つです。
SWOT分析では、自社や事業の「強み」「弱み」といった内部環境だけでなく、外部環境にも目を向け「機会」や「脅威」といった要素を分析します。そのため、市場における自社の立ち位置、つまり全体像を俯瞰的に把握できるのがメリットです。これにより、具体的な戦略を考えるための指針が得られ、目指すべき方向性が明確になります。
SWOT分析は、「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4要素を項目化し、図を使って分析を進めるため、自社の武器となる強みや課題、改善点などを可視化できます。各要素に分析した内容が一目で判別できるため、チームメンバーや関係者との共有が容易になります。
SWOT分析は戦略立案の指針となる一方で、デメリットもあるため、分析の際はメリットとデメリットの両方を把握しておきましょう。
ある要素を「強み」と「弱み」に分ける際、どちらに当てはまるかは分析者によって異なる場合があります。飲食店の「メニュー展開」を例にすると、「豊富なメニュー展開」を強みとして挙げる人もいれば、「メニューが多すぎて在庫管理の負担がかかる」というように弱みと判断する人もいるでしょう。しかし、SWOT分析においては、判断しづらい要素も「強み」「弱み」のどちらかで分析しなければならないため、結果に偏りが出る可能性があります。
SWOT分析は、自社を自ら分析するため、結果が主観的になりがちです。とくに外部環境の分析は、客観的な視点が取り入れにくいため、SWOT分析を行う際は、クライアントなど外部の意見を取り入れると良いでしょう。
SWOT分析は内外の環境分析には向いていますが、分析内容がシンプルで、情報を細かく分けたり、深く分析したりすることはできません。後述する4C・4P分析やPEST分析、ファイブフォース分析など関連したフレームワークを活用することで、より具体的な戦略立案につながるでしょう。

SWOT分析は、規模や業種を問わずあらゆる企業で活用できます。具体的なやり方を覚えて、自社の課題解決に活かしましょう。
まずは、SWOT分析の目的を明確にします。たとえば、新規事業の立ち上げや既存事業の改善など具体的な目的を設定することで、より効果的な分析や戦略策定が期待できます。
次に、外部環境を分析し、機会と脅威を整理します。
「機会」とは、自社や事業にとってプラスの影響がある要素を指します。市場の成長や技術革新、顧客ニーズの変化、法改正などを分析しましょう。
一方で、「脅威」とは、自社や事業にとってマイナスの影響があるリスクや要素です。競合他社の台頭や市場の縮小、規制の強化、経済の悪化などがあげられます。脅威を排除することは難しいケースが多いですが、必要に応じて対策を立てることで、リスクを低減できるでしょう。
次に、内部環境を分析し、強みと弱みを整理します。
「強み」の分析では、主に「競合他社と差別化できている点」「自社商品・ブランドの優位性」などを顧客視点で洗い出すと良いでしょう。独自の技術やノウハウ、ブランド力、人材など、今後自社の事業戦略の基盤となる要素を洗い出していきます。
「弱み」では、他社に劣る要素や競争上不利な点、改善点などを整理します。今後の事業成長におけるリスクとして認識し、早期に対策を講じることが大切です。
これまで挙げた、強み・弱み・機会・脅威を一覧表にまとめ、全体像を把握します。ここで、強みと機会の組み合わせによる戦略や、弱みと脅威の克服策について検討します。
最後に、整理した内容をもとに具体的な戦略に落とし込みます。分析結果を事業戦略に落とし込むためのアプローチのひとつとして「クロスSWOT分析」が挙げられます。次章で詳しく解説します。
クロスSWOT分析は、SWOT分析における内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)の4要素をそれぞれ掛け合わせて分析するフレームワークです。分析した要素を掛け合わせることで戦略に落とし込みやすくなります。
クロスSWOT分析は、各要素の頭文字をとった以下の4つの戦略から構成されます。

例として、飲食店における「強み×機会(SO戦略)」のクロスSWOT分析を考えてみましょう。まず、SWOT分析の「強み」「機会」では、以下のように分析できたと仮定します。
強み(Strength)
機会(Opportunity)
上記の結果を踏まえて、クロスSWOT分析を行うと、以下のようなマーケティング戦略が導き出せます。
メニューに健康志向やオーガニック食品を取り入れ、新しい顧客層を獲得する。
容器を見直し、店舗同等のクオリティで提供することで、デリバリー市場での競争力を強化する。
SWOT分析を効果的に進めるには、フレームワークの活用がおすすめです。活用できるフレームワークについて詳しく紹介します。
4C分析は、顧客視点で自社の商品やサービスを分析するフレームワークです。主にマーケティング戦略を策定する際に用いられ、以下の4つの要素から成ります。

4C分析はSWOT分析において、内部環境の「強み」と「弱み」の特定に役立ちます。4C分析の各要素をSWOT分析に反映した例を紹介します。
強み:顧客が商品やサービスに対して価値を感じている。企業やブランドに前向きなイメージを抱いている。
弱み:上記の要素に対してマイナスイメージを持っている。競合他社に、より魅力を感じている。
強み:商品やサービスの価格が適正である。コストパフォーマンスが高いと受け止められている。
弱み:価格が高すぎる、または顧客が感じる総コストが高い。
強み:顧客と良好な関係が築けている。エンゲージメントを獲得できている。
弱み:カスタマーサポートの満足度が低い。広告やキャンペーンなどに対しての反応が悪い。
強み:顧客が商品やサービスを購入・利用するまでのプロセスがスムーズ。
弱み:店舗のアクセスが悪い。商品の絞り込みが難しい。決済手段の種類が少なく不便。
このように、4C分析を通じて強み・弱みが明確になることで、より具体的な戦略策定が可能となります。4C分析は顧客視点で行う必要があるため、顧客像を明確にするためにもペルソナを設定しましょう。
4P分析も、SWOT分析における内部環境分析の精度を高めるために使えるフレームワークの一つです。4C分析が「顧客視点」で分析を行うのに対して、4P分析では「企業(自社)視点」で分析を行います。
4P分析では、以下の要素を評価します。

4P分析をSWOT分析に取り入れることは、内部環境のさらなる深掘りにつながります。要素ごとに例を紹介します。
強み:商品やサービスの品質や種類、デザインや機能、企業ならびにブランドイメージに優位性がある。
弱み:競合他社と比較して上記の要素に改善の余地がある。
強み:商品やサービスのコストパフォーマンスが高く、価格競争力がある。
弱み:価格が高すぎる。コストパフォーマンスが悪い。価格戦略が不明瞭。
強み:広告やキャンペーン、SNSの活用といったプロモーションが成功している。
弱み:プロモーションが不十分。広告の費用対効果が低い。
強み:オフライン・オンラインを問わず、効率的かつ広域にわたる流通チャネルを持っている。
弱み:流通チャネルが限定されている。物流コストが高い。
4C分析と4P分析は、分析を行う視点の違いから、併用されるケースが大半です。このようにフレームワークを組み合わせて用いる方法は「マーケティングミックス」と呼ばれます。
PEST分析は、企業に影響を与える外部環境を分析するフレームワークです。社会全体に大きな影響を与えるようなマクロ要素の分析に適しています。
PEST分析では、以下の4つの要素を分析します。

これらのマクロ的な要素を分析し、以下のようにSWOT分析の「機会」「脅威」へと反映します。
機会:政府の規制緩和や対策などにより、事業拡大や新市場参入のチャンスが増える。
脅威:政治的不安定や新規制の導入などにより、コスト面での負担や運営リスクが生じる。
機会:経済成長や消費者購買力の増加により売上が増える、または新たな顧客が獲得できる。
脅威:経済不況や為替レートの変動により、収益が減少する。
機会:消費者のライフスタイルや価値観の変化により、新しい市場ニーズが生まれる。
脅威:社会的トレンドの変化や人口の減少により、既存市場が縮小する。
機会:技術革新やDXにより業務効率化につながる、または新たなビジネスチャンスが生まれる。
脅威:技術の進化により市場競争が激化し、既存の商品やサービスのニーズが減少する。
PEST分析は、マクロ環境の4つの要素について最新の情報を収集し、変化の兆候やトレンドを正確に反映させなければなりません。そのため、日頃からいかに情報感度を高く維持できているかが、PEST分析を成功へ導く鍵となります。
【関連記事】PEST分析とは?目的や事例、ビジネスへの活用法を解説
ファイブフォース(5フォース、5F)分析とは、業界の競争環境を評価する、外部環境分析で活用できるフレームワークです。「フォース」とは「脅威」を指しています。自社に立ちはだかる5つの脅威をそれぞれ分析しながら、業界内における自社の魅力や競争力の評価を行います。
ファイブフォース分析における5つの脅威は、以下の通りです。

この5つの脅威を、SWOT分析の「脅威」に反映させます。以下はその例です。
脅威:激しい価格競争により利益率が減少する、広告コストが増加する。
脅威:新規市場への参入障壁が低い。既存市場に参入者が増えて競争が激化する。
脅威:顧客ニーズを満たす代替品が増え、価格競争が激化する。
脅威:大口クライアントからの価格引き下げやサービス向上の要求が強まる。
脅威:仕入れコストが増加し利益率が低下する。スムーズな供給が行われない。
このように、ファイブフォース分析で把握できた競争環境をもとに、SWOT分析の「脅威」の精度を上げることで、より効果的なマーケティング戦略の策定ができるでしょう。
【関連記事】ファイブフォース分析とは?具体例を用いて分かりやすく解説
SWOT分析を自社の課題解決に役立てるには、注意しなければならないポイントがあります。単に分析だけして終わりになってしまわないように、以下に気を付けましょう。
SWOT分析は、分析者の主観が入りやすく、特に「強み」「弱み」は結果が偏りがちです。そのため、できる限り客観的な事実やデータにもとづいた情報を揃えながら、各要素の評価を行いましょう。社内外の関係者から広く意見を集めることもひとつの手です。
昨今は外部環境の変化が早いため、分析結果が変化する可能性があります。そのため、定期的にSWOT分析を行い、分析結果の精度を保ちましょう。必要に応じて改善策を見直すことが大切です。
SWOT分析の具体例として、トヨタ自動車とTesla(テスラ)の例を紹介します。
2社ともに自動車業界の大手企業として知られていますが、トヨタの強みが品質と信頼性である一方、Teslaは電気自動車の先駆けとしてのイメージと技術革新を強みとしています。同じ業界でありながら異なる特徴を有する、2つの企業のSWOT分析を確認しましょう。
トヨタのSWOT分析は以下の通りです。
Strength(強み)
Weakness(弱み)
Opportunity(機会)
Threat(脅威)
Teslaはアメリカのテキサス州に本社を置く企業です。電気自動車メーカーとしてのイメージが強い企業ではあるものの、実は発電や貯蔵、電動機器の製造なども事業領域に含まれます。以下は、Teslaの電気自動車事業におけるSWOT分析です。
Strength(強み)
Weakness(弱み)
Opportunity(機会)
Threat(脅威)
【お役立ち資料】新規事業立案に役立つフレームワーク集を公開中
新規事業を立ち上げる際には、SWOT分析をはじめとしたフレームワークを適切に用いることで競合分析や目指すべきポジション・事業の強みを理解することができます。
パーソルグループでは、新規事業を立ち上げる際に役立つ12のフレームワークの概要と活用方法をまとめた資料を無料で公開しています。SWOT分析をはじめ、フレームワークを活用したいはぜひご覧ください。
SWOT分析は、自社や事業における強みと弱み、そして市場における成長機会と脅威・リスクを把握でき、戦略的な意思決定に役立てられるフレームワークです。
4C分析・4P分析・PEST分析・ファイブフォース分析といったフレームワークを活用したり、具体的な戦略に落とし込むためのクロスSWOT分析を行ったりすることで、いっそう精度を高められるでしょう。
SWOT分析は、提唱から50年ほど経っているため「時代遅れ」と評されることもありますが、裏を返せば、50年以上活用され続ける汎用的なフレームワークであるといえます。自社のビジネスを分析・把握し、成長へと導くためにも、SWOT分析のやり方を覚えて、戦略策定に活用しましょう。