市場調査の方法とは?手法や具体的な手順と実施時のポイント

企業が新たな製品・サービスを生み出したり、既存の製品・サービスをアップデートしたりする際に欠かせないのが市場調査です。自社を取り巻く環境や顧客を正しく認識することで、市場や顧客ニーズにマッチした製品・サービスの提供につながるでしょう。

本記事では、市場調査の概要や手法、具体的な手順、実施時に注意すべきポイントについて解説します。市場調査を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

市場調査とは?

市場調査とは、企業が自社の製品やサービスに関連するマーケティング活動を行う際に、市場動向などを調査することを指します。顧客により良い製品やサービスを届けるためには、市場の状況や競合他社の動向、顧客のニーズ、自社製品の認知度などを、さまざまな手法を用いて調査することが求められます。

市場調査で調べる項目

市場調査では、調査の目的に応じてさまざまな情報を収集します。主に以下の5つの項目が調査の対象です。

1.市場規模と動向

市場規模や成長率、将来の見通しなどを調べます。これにより、参入する市場の可能性やリスクを把握できます。

2.顧客の属性とニーズ

ターゲットとなる顧客の年齢や性別、職業、収入、趣味嗜好などを明らかにします。顧客の課題やニーズを理解することで、顧客満足度の向上につながる製品やサービスの設計につながります。

3.競合他社の状況

競合となる企業が提供している製品・サービスの特徴や価格帯、マーケティング戦略、強み・弱みを調べます。これにより、自社が競争優位性を発揮できるポイントを探ります。

4.製品の認知度や評価

自社製品やサービスが市場でどの程度認知され、どういったイメージを抱かれているかについて調べます。ブランド戦略の改善や製品の改良につなげます。

5.購買行動や意思決定プロセス

顧客がどのようなプロセスを経て商品やサービスを購入しているのかを調べます。たとえば、購入の決め手や、Webや店頭といった購入場所について把握します。

マーケティングリサーチとは

市場調査とほぼ同じ意味で使用される言葉に「マーケティングリサーチ」が挙げられます。厳密には、市場調査とマーケティングリサーチは異なる手法です。市場調査は現在の市場に焦点を当てていますが、マーケティングリサーチは現状を基にした未来の市場の予測や、広告施策の効果に関する調査・検証など、マーケティングに関する幅広い調査を含みます。

現状の課題を明らかにし、マーケティング活動を支えるために行う広義な調査はマーケティングリサーチと捉えて良いでしょう。

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そこで本資料では、市場調査の必要性と手法、プロセスを説明し、なかでも新規事業を立ち上げる際に必要なフローを詳細にお伝えします。貴社の新規事業立ち上げにご活用いただければ幸いです。

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市場調査の手法

続いて市場調査の代表的な7つの手法を解説します。得たい情報の量や内容、調査対象人数によって選ぶべき手法は変わるため、自社に適したものを選びましょう。

調査手法 内容
アンケート調査 インターネットや郵送・FAXで質問に回答してもらう
ビッグデータ分析 さまざまな種類や形式で生成される膨大なデータ群を分析する
対面調査 一対一や一対複数人のインタビューを対面で行う
電話調査 電話で質問に回答してもらう
街頭調査 街中で声を掛け、その場でインタビューやアンケートを実施する
覆面調査(ミステリーショッパー) 調査員が一般客のふりをして店舗スタッフなどを評価する
ホームユーステスト(HUT) 製品・サービスを対象者に利用してもらい、後日感想や意見を聞く

定量調査

定量調査は、数値データを収集・分析することで客観的な傾向や因果関係を把握する調査手法です。アンケートや統計データ分析が主な方法で、結果はグラフや数値で表現されます。

アンケート調査(郵送・FAX・インターネット)

定量調査の代表的な手法のひとつが、アンケート調査です。アンケート調査は大規模な調査に向いており、主にインターネットで行う方法と、郵送やFAXで行う方法があります。

インターネット調査は、メールやWebフォームで回答を収集する手法です。オンライン上での調査であるため、郵送代やアンケート用紙を印刷・送付する工数・コストが削減できる点はメリットです。ただし、高齢者からの回答が得にくいため、世代間で偏りが生じやすい点には注意しましょう。

郵送やFAXを活用した調査では、アンケート用紙を対象者に送り、返送してもらいます。内閣府が行う世論調査をはじめ、公的機関がアンケート調査を行う際に用いられます。対象者の手間がかかるため、回答率が低くなりやすい点や、結果の回収と分析に時間がかかる点がデメリットです。

ビッグデータ分析

ビッグデータとは文字通り巨大なデータ群のことで、小売店のレジで収集されるPOSデータや検索エンジンの情報、SNSの投稿内容、位置情報などがビッグデータに含まれます。ビッグデータはリアルタイムで情報が更新されるため、高精度のデータを大量に収集・分析できる点が特徴です。

ビッグデータの分析には、属性ごとの傾向を分析する「クロス集計」や、結果と要因の関連性を分析する「回帰分析」など、さまざまな方法があります。目的に応じて、適切な分析方法を選びましょう。

電話調査

電話調査は、対象者に電話をかけて意見や感想を聞く調査手法です。電話がつながればその場で回答を得られるため、アンケート調査よりスムーズに実施できます。製品・サービスの開発や満足度調査に向いている手法です。

ただし、固定電話を持たない若年層への調査が難しい点や、電話番号を公開していない世帯を対象にできない点は課題といえます。

街頭調査

街頭調査は、調査員が街中で対象者となり得る方に声を掛け、その場でインタビューやアンケートを行う調査手法です。

会社員の声を聞きたい場合は、オフィス街で18時以降に実施するといったように、場所や時間帯を選び、調査の目的に沿った対象者の声をスムーズにヒアリングできる点が特徴です。

ただし、断られることが多く、サンプル数が集まらない場合も想定しておかなければなりません。また、質問は簡潔にする必要があります。

ホームユーステスト(HUT)

ホームユーステスト(HUT)は、製品・サービスを対象者に一定期間利用してもらい、利用した感想・意見などを後日ヒアリングする調査手法です。製品・サービスの満足度調査や、改善点の洗い出しに向いています。

ホームユーステストを行うことで、製品・サービスのリアルな評価が分かるほか、対象者が製品・サービスを今後も使用してくれる可能性がある点もメリットです。一方で、製品準備のコストや調査期間中の離脱リスクがあることなどがデメリットです。

定性調査

定性調査は、少人数の対象者から深い洞察を得るための調査手法です。対象者の意見や感情、行動の背景を探ることに重点を置きます。インタビューやグループディスカッションが主な方法です。

対面調査(デプスインタビュー・グループインタビュー)

対面調査は、製品・サービス開発や満足度を調査したい場合に有効な手法です。デプスインタビュー(DI)とグループインタビュー(FGI)に分けられます。

デプスインタビュー(DI)は、一対一でインタビューを行う調査手法です。プライベートなテーマについて調査したい場合や、具体的に順を追って行動心理を知りたい場合などに適しています。インタビューは一般的に1時間前後で実施され、得られた情報を基に、さらに深掘りして質問を進められるため、本音を聞き出しやすい点が特徴です。ただし、対象者が増えるほど調査に時間がかかってしまう点はデメリットといえます。

一方、グループインタビュー(FGI)は、自社の製品やサービスについて複数人で話し合いをしてもらう調査手法です。さまざまな観点から幅広い意見・アイデアが収集できる点が特徴です。ただし、他の対象者の影響で意見に偏りが生じる場合もあるため、議論の進行には注意が必要です。

覆面調査(ミステリーショッパー)

覆面調査(ミステリーショッパー)は、調査員が一般客を装い、製品・サービスの提供を受けながら行う調査手法です。飲食店や小売店などの店舗で、主にサービス品質やスタッフ応対、店舗設備を調査・評価するために行われます。自社の店舗に対して行う場合もあれば、比較のために競合店舗で行う場合もあります。

調査対象者は調査のタイミングや調査員を知らないため、店舗の実態が把握できる点が特徴です。調査結果を基に自社と他社の違いを洗い出し、自社サービスの改善点を明らかにします。ただし、調査員には信頼性や客観性が求められるため、調査員の選定は慎重に行いましょう。

市場調査の手順

市場調査を実施する際の具体的な手順について解説します。

1.目的・ゴールを明確に定める

まずは、市場調査の目的・ゴールを明確にします。目的が不明瞭なまま調査の計画を立ててしまうと、せっかく調査をしても必要なデータが手に入らない場合があります。企業の課題の抽出や解決のために、市場調査でどのようなデータを得て、どのように活用したいのかを明確にしましょう。

市場調査を行う目的の例は、以下の通りです。

    • 新製品の広告出稿媒体を決める際に、ターゲットの情報収集手段を知るため
    • 既存サービスの問題点を知り、改善するため

2.期間・予算・調査ターゲットを決定する

市場調査の目的・ゴールが決まったら、調査の実施時期や予算、対象となる層を決定し、スケジュールを作成します。インタビュー調査の場合、調査内容の策定から対象者探し、インタビューの実施、分析までに1カ月程度を要するケースが一般的です。

予算は手法によって異なるため、調査対象や必要なサンプル数を考慮し、費用対効果を考慮した上で予算を設定しましょう。

3.過去の調査情報を収集する

市場調査のスケジュールやターゲット、予算を決めたら、過去に実施された調査の情報を収集しましょう。この方法は「デスクリサーチ」と呼ばれます。

過去の調査情報は、政府や調査会社などが公表しているデータから探すのがおすすめです。例えば、総務省統計局の「家計消費状況調査」では、ICT関連の消費実態やインターネットショッピングの支出額などのデータを公開しています。デスクリサーチで得られた情報を基に、調査内容を組み立てましょう。


【参考】総務省統計局「統計局ホームページ

4.調査の手法を決める

過去の調査内容を確認したら、調査の手法を決めます。手法は複数あるため、調査目的や予算、ターゲット層などに応じた手段を選ぶことが重要です。

5.調査を設計する

調査の手法が決まったら、質問項目など具体的な調査設計を行います。回答を誘導しない質問項目を作成し、正確なデータが得られるようにしましょう。また、得られた結果をどう活用・分析したいかをイメージして設計することで、質問項目の漏れを防ぎます。

調査内容が固まったら、実施前に他の社員に確認してもらい、答えにくい部分はないか、選択肢に過不足がないかフィードバックを受けた上で、内容を確定させるとよいでしょう。

6.調査を実施する

調査設計が終われば、いよいよ調査の実施です。実施する際のポイントは、調査の手法によって異なります。特に、定性調査ではその場で臨機応変な対応が求められる場合もあるため、想定されるシナリオは事前に洗い出しておきましょう。

7.結果の集計・アクションを検討する

調査が終了したら、調査結果を集計・分析します。定量調査であれば数値データを、定性調査では対象者の発言を整理して分析します。レポートにまとめる際は、調査で得られた事実を正確に記載することが重要です。また、レポートを今後の企業活動に役立てられるよう、活用方法を考えながら作成するとよいでしょう。

集計後は調査目的に立ち返ります。例えば「既存製品・サービスの問題点を知る」という目的であれば、調査結果から製品・サービスの課題を特定し、改善に向けてどのような施策を実行すべきか検討しましょう。これにより、調査結果を具体的なアクションへとつなげられます。

市場調査は自社でできる?外注すべき?

前述の通り、市場調査にはさまざまな手法があり、自社で行うことも可能です。外注すべきかどうか悩む場合は、以下2つの基準を参考に検討してみてください。

    • 自社にノウハウやリソースがあるか
    • 調査対象者を選定できるか・集められるか

まずは、自社で市場調査を行うノウハウを持っているのか、リソースがあるのかというポイントです。市場調査を過去に行ったことがなくノウハウがなければ、外注を検討しましょう。多くのデータを扱うタイプの調査で、社内で調査に割けるリソースが少ない場合も外注の検討を推奨します。

また、調査対象者を選定できるか・集められるかどうかもポイントです。調査会社の場合は、自社でモニター会員を抱えているため、対象者の選定が可能です。自社で調査対象者を探すことが難しい場合も、外注すべきだといえます。

調査会社によって費用感は異なるため、外注を検討する場合は事前に複数の会社に相談し、見積をもらうと良いでしょう。

市場調査を進める上で注意すべきポイント

最後に、市場調査を進める上で注意すべき3つのポイントについて解説します。

1.調査開始前に仮説を立てる

特に定量調査を行う際は、単に事実を確認するのではなく、仮説を立ててから調査を進めることが重要です。収集した過去の調査データやSNSの投稿内容などを基に予測を立てましょう。

仮説を基に推測した内容と実際に得られた情報を比較・分析できるため、調査結果を製品・サービスの改善に生かしやすくなります。

2.調査ターゲットを明確にする

調査ターゲットの明確化も、市場調査を進めるにあたって重要です。例えば、Z世代をターゲットにした製品についてアンケートを行う際、10代と20代では調査結果がまったく異なる場合があります。また、対象者の趣味嗜好や属するコミュニティーなどによっても、回答内容は異なるでしょう。

調査の目的に合う条件のターゲット層を明確にしておくことで、調査手法や調査内容をスムーズに検討できます。

3.対象者の視点を意識した質問項目にする

質問項目を作成する際は、対象者の立場で内容を考えることが重要です。具体的には下記の2点を意識してください。

    • 対象者にとって分かりやすい単語を使用する
    • 質問項目を増やし過ぎない

難しい業界用語が含まれていたり、複数の解釈が生まれる文章になっていたりすると、対象者が回答しにくくなってしまいます。また、項目が多過ぎると、回答にかかる負担が増えてしまうので注意が必要です。分かりやすく、質問の意図が伝わる項目にすることを心掛けましょう。

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事業を成功へと導くために欠かせないのが「市場調査」です。特に、新規事業開発においては、市場調査によってマーケットを知り、顧客ニーズや想定し得るリスクを把握しておくことが、事業を軌道に乗せる重要なカギとなります。

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新規事業の立ち上げや既存事業の拡大にあたって、市場調査をご検討されている方はぜひご活用ください。

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まとめ|目的に応じた手法で市場調査をビジネスに活かす

市場調査は、企業が顧客にとってより良い製品・サービスを提供するにあたり、市場の状況や顧客のニーズなどを知るために行われる調査です。

市場調査の手法はいくつかあり、大きく定量調査と定性調査の2つに分類できます。複数の調査方法から、目的や期間・予算・ターゲット層にマッチした方法を選定しましょう。

また、市場調査を進める際は、事前に仮説を立てた上で調査設計することが重要です。調査目的に応じたターゲットを定め、対象者が回答しやすい質問項目を作成することで、調査結果をビジネスに活かせるでしょう。