2024年11月13日
2025年06月10日
既存事業をより良いものにするためにも、新規事業を成功させるためにも、確固としたビジネスモデルの構築が欠かせません。ビジネスモデルの構築や見直し、改善には、「ビジネスモデルキャンバス」というフレームワークの活用がおすすめです。
本記事では、ビジネスモデルキャンバスの概要や作成する目的、ビジネスモデルキャンバスを構成する9つの要素と具体的な書き方、活用する上でのポイントなどを解説します。既存の事業に課題を抱えている方、新規事業の立ち上げに当たってビジネスモデルを可視化したい方は、ぜひ本記事を参考に自社のビジネスモデルキャンバスを作成し、ビジネスの成功につなげましょう。
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目次
ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas)とは、企業が利益を生み出すための仕組みであるビジネスモデルを可視化するフレームワークです。BMCと称されることもあります。スイスの起業家アレックス・オスターワルダー氏とローザンヌ大学教授イヴ・ピニュール氏によって、2010年に開発されました。
ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスモデルに必要不可欠な9つの要素を見える化した設計図のようなものです。既存事業を成長させるためには、現状を把握し、自社や自社製品の強み・弱みを発見して、必要に応じた改善を行うことが欠かせません。また新規事業を成功させるには、社内外のステークホルダーにビジネスモデルを理解してもらうことが重要です。
さまざまな要素が複雑に絡み合ったビジネスモデルを分かりやすく可視化できるビジネスモデルキャンバスは、既存事業にも新規事業にも役立つフレームワークとして、国内外の多くの企業で活用されています。
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ではなぜビジネスモデルキャンバスを作成することが、既存事業や新規事業に役立つのでしょうか。ビジネスモデルキャンバスを作成する5つの目的を解説します。
ビジネスモデルキャンバスを作成する目的の一つは、ビジネスの全体像を把握することです。
ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスに欠かせない9つの要素を1枚のシート上に整理するものです。これによりさまざまな要素で構成されている複雑なビジネスを簡潔にまとめることができ、全体像の把握が容易になります。
膨大な情報が何十ページにもわたってまとめられた事業計画書よりもシンプルに整理できるため、どこにフォーカスして事業を運営するべきかが明確になりやすいでしょう。
関係者との認識合わせを容易にすることも、ビジネスモデルキャンバスを作成する目的です。
ビジネスには経営陣や現場の従業員、ビジネスパートナー、投資家など社内外のさまざまなステークホルダーが関わります。事業の運営や立ち上げを円滑に行うには、ステークホルダーとのコミュニケーションが必要不可欠です。
ビジネスを構成する要素が1枚にまとめられているビジネスモデルキャンバスを活用すれば、認識違いが起きにくくなる上に理解を深めやすくなるでしょう。
ビジネスモデルキャンバスを作成する目的には、事業の改善点や新たな可能性を見つけることも含まれています。
9つの要素を埋めていくと、自社の強みや弱み、新たなビジネスチャンスや潜んでいるリスクが見えてきます。発見した改善点や可能性を踏まえて事業を展開すれば、自社の成長につなげられるでしょう。
また自社のビジネスモデルと競合他社のビジネスモデルを比較すれば、差別化できるポイントや自社の優位性も見つけられます。
アイデアを迅速にテストし、改善につなげることも、ビジネスモデルキャンバスを作成する目的です。
ビジネスモデルキャンバスを活用すると、実行には至っていないビジネスのアイデアも可視化できます。アイデアを検証することで問題点や改善点が見えてくるため、ビジネスモデルをブラッシュアップできるでしょう。
また実際に事業を運営して得た気付きや学びを反映させて、ビジネスモデルを改善することも可能です。アイデアの創出・ビジネスの運営と検証を繰り返すことで、より自社の成長につながるビジネスモデルを構築できます。
ビジネスモデルキャンバスは、これまでの価値観を覆すような新規事業を創出する際にも役立ちます。既存の価値観にとらわれずに、さまざまなアイデアを組み合わせて検証できるため、業界にイノベーションを起こすような画期的なビジネスモデルを生み出せる可能性があります。
ビジネスモデルキャンバスを構成する要素には、顧客との関係を検討する項目もあるので、顧客視点に立った新たなビジネスの創出にも役立てられるでしょう。
ビジネスモデルキャンバスを構成する要素は、以下の9つです。

この9つの要素をブロックで分け、1から9の順番で埋め、1枚のシートにまとめます。インターネット上には無料で使えるビジネスモデルキャンバスのテンプレートもあるので、活用してみても良いでしょう。
ここからは各要素の詳細と書き方を解説します。
顧客セグメント(Customer Segments)は、自社のビジネスの対象になる顧客を特定して書き出す項目です。
ターゲットを属性で分類し、特性や傾向、嗜好などを洗い出して、具体的なペルソナを描きます。ペルソナには以下の要素を含めると良いでしょう。
ここでは「30代女性」「子どもがいる女性」のように簡潔にまとめるのではなく、「未就学児を育てている30代女性で、仕事と両立しているが、育児がワンオペ傾向で自分の時間を確保できない。家事が少しでも楽になる方法を探している」といったように細かくまとめます。ターゲット像が明確になるので、どのような価値を提供できるのかを考えやすくなるはずです。
またメインとなるターゲットだけではなく、サブターゲットについても具体的に書き出すと良いでしょう。
価値提案(Value Proposition)は、顧客に対してどのような価値を提供するのかを書く項目です。製品に関する説明を簡潔にまとめた上で、どのような価値が提供できるのか、またどのようなニーズを満たせるのか、製品によって顧客が抱える課題をどのように解決できるのかを書き出していきます。
価値提案に書き出す内容は、短くシンプルで分かりやすい内容にしましょう。例えば電気調理器具の場合「時間とコストを削減できる」「自宅で手間なく本格的な料理が味わえる」「直感的に操作できる」といった表現にまとめます。いったん書き出した上で、内容が曖昧ではないか、難しい専門用語を使っていないかを見直し、誰でも理解できる表現にしてください。
チャネル(Channels)は、ターゲットに対してどのようなルートでリーチし、価値を提供するのかを書き出す項目です。具体的なルートを検討することで、顧客に対してどのようなアプローチを行っていくかが明確になります。
ビジネスモデルキャンバスの考案者は、チャネル開発を以下の5つのフェーズに分けています。
上記の5つのフェーズを把握した上で、以下のような内容を確認しましょう。
顧客との関係(Customer Relationships)は、顧客とどのように関係を築いていくかを書き出す項目です。顧客との関係を構築する方法には、以下のような種類があります。
例えば、パーソナルアシスタントやコミュニティによって顧客との深いつながりをつくることができれば、競合他社に乗り換えられる可能性が低くなることに加え、口コミやSNSの投稿などによる宣伝効果も期待できるでしょう。
またこの項目では、顧客が製品の購入を始めてから終了するまでの間に自社にもたらす利益を意味する「ライフタイムバリュー(LTV:顧客生涯価値)」を向上させるために、どのような取り組みが実行可能かも検討することをおすすめします。
収益の流れ(Revenue Streams)は、製品を通して顧客に価値を提供した結果、どのように収益が得られるのかを書き出す項目です。
一般的に収益を得る方法には、以下のようなものがあります。
収益の流れを多角的に見直すことで、新たな収益を生み出す方法が見つかる可能性があります。また単に収益の流れを書き出すのではなく、どの程度の収益が得られるのか、顧客がどのような方法で支払うのかを洗い出しておくことも大切です。
経営資源(Key Resources)は、価値提供を行うために必要なリソースを書き出す項目です。
主なリソースには、以下のようなものがあります。
どのようなリソースが必要かだけではなく、どの程度のリソースが必要かも考慮しましょう。経営資源が充実していれば、多くの価値を生み出し、提供できる可能性が高くなります。ただし、経営資源が多過ぎると管理にコストがかかるため、バランスを考えることが大切です。
主要活動(Key Activities)は、顧客に価値を届け、維持していく上で必要となる主な活動を書き出す項目です。
具体的には、以下のような活動が主要活動に該当します。
以下の3つを考慮して、実行すべき活動を洗い出しましょう。
事業計画や事業戦略の方針を決定するためにも、主要活動を明確にしておくことが重要です。
パートナー(Key Partners)は、事業を運営していくために必要不可欠な関係者やサプライヤーを書き出す項目です。既存ビジネスの成長や新規ビジネスの立ち上げにどのようなパートナーがどの程度必要か、どのような連携を取るべきなのかを洗い出します。
製品を顧客に提供するまでには、原材料の調達や生産、物流、販売などのプロセスがあります。パートナーと協力すれば、自社で賄えないリソースを外部から調達でき、リスクの低い事業運営が可能です。
具体的には、以下のような企業・人材がパートナーとして挙げられます。
単にパートナーの種類を書き出すだけではなく、パートナーとの連携によって事業の効率化や最適化、コスト削減、リスクの軽減などができているかも確認するようにしてください。現状は事業運営のほとんどを自社で賄えている場合でも、パートナーと連携することで、これまでにはないビジネスを展開できる可能性もあります。
コスト構造(Cost Structure)は、事業にかかるコストを書き出す項目です。製品の販売価格はコストによって左右されるため、コストの詳細を正確にすべて書き出しましょう。
コストの内訳は業界やビジネスモデルによっても変わりますが、固定費と変動費で分けて書き出しておくと、コストが適正かどうかや、削減できるコストがないかどうかを検討しやすくなります。また価値提案・経営資源・主要活動・パートナーなどの要素とどのように関連しているかを踏まえて整理すると、コストの算出や各要素の見直しがしやすくなるでしょう。
ビジネスモデルキャンバスを活用する際は、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
ビジネスモデルキャンバスを活用する際は、多様な視点を取り入れるように意識しましょう。
作成したビジネスモデルキャンバスをチーム内でシェアし、異なる視点からのアイデアやフィードバックを取り入れることで精度が高まります。初めから完璧なビジネスモデルキャンバスを目指す必要はありません。まず大まかな内容を作成し、チーム内で議論を重ねながら、完成を目指すと良いでしょう。
ビジネスモデルキャンバスを活用する際は、実際のデータに基づいて検証しましょう。
ビジネスモデルキャンバスを検証する際に現状とズレが生じることは珍しくありません。インターネットや書籍による調査、アンケート調査、モニター調査などでデータを収集し、それらに基づいて検証を行い、ズレが生じている部分は調整を行いましょう。
ビジネスモデルキャンバスを活用する際は、定期的なアップデートも心掛けましょう。
ビジネスモデルキャンバスは、自社や製品の変化、業界・市場を取り巻く環境や条件の変化、トレンドの変化に応じて定期的に見直す必要があります。9つの要素は関連しているため、1つでも要素に変化があった場合はすべての要素を見直し、必要に応じてアップデートすることが大切です。
アップデートのタイミングは状況によっても異なりますが、新製品開発、顧客ニーズや収益の変化、新技術の登場などに合わせて見直されることが一般的です。事業に大きな影響を与える変化が起きたときが見直しのタイミングだと覚えておくと良いでしょう。
ビジネスモデルを検討する際に活用できるフレームワークは、ビジネスモデルキャンバス以外にも複数あります。代表的な2つのフレームワークをご紹介するので、目的やシーンに応じて使い分けてみてください。
リーンキャンバスはビジネスモデルキャンバス同様、ビジネスモデルを可視化するためのフレームワークです。1枚のシートに9つの要素を書き出す点もビジネスモデルキャンバスと同じですが、リーンキャンバスはスタートアップのビジネスモデルに特化しており、以下の要素で構成されています。

ビジネスモデルキャンバスから、スタートアップにとってはそれほど重要ではない項目を削除する代わりに、より重要性の高い、顧客・課題・製品に関する内容を重点的に分析できるのが特徴です。
スタートアップがビジネスモデルを検討する場合は、まずリーンキャンバスの活用から始めてみると良いでしょう。
バリュープロポジションキャンバスは、ビジネスモデルキャンバスの考案者によって、「顧客への提供価値」と「顧客セグメント」にフォーカスするために開発されたフレームワークです。

1枚のシート上に「顧客への提供価値」と「顧客セグメント」をまとめることで、製品とニーズのズレを見いだせます。このズレを改善することで、より顧客のニーズにマッチした製品の提供が可能となるでしょう。
バリュープロポジションキャンバスは、まだ市場が未成熟で、競合他社がそれほど多くない事業に対して効果的なフレームワークです。この段階でバリュープロポジションキャンバスを活用し、顧客に関する理解を深めることで、先駆者として市場を開拓できます。
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新規事業を立ち上げる際には、ビジネスモデルキャンバスをはじめとしたフレームワークを適切に用いることで競合分析や目指すべきポジション・事業の強みを理解することができます。
パーソルグループでは、新規事業を立ち上げる際に役立つ12のフレームワークの概要と活用方法をまとめた資料を無料で公開しています。ビジネスモデルキャンバスをはじめ、フレームワークを活用したいはぜひご覧ください。
ビジネスモデルキャンバスはビジネスモデルを簡潔にまとめたシートで、全体像の把握が容易になります。相互に関係し合う9つの要素を順に検討することで、自社や自社製品の強み・弱みを発見し、改善を行える他、ステークホルダーへのビジネスモデルの共有や新たなビジネスの機会の発見にも役立ちます。
活用する際は、多角的な視点を取り入れ、実際のデータに基づいた検証を行いながら、定期的に見直しを行うことが大切です。本記事でご紹介した各要素の書き方を参考に、自社のビジネスモデルキャンバスを作成してみてください。