2022年12月21日
2024年08月29日
あらゆるビジネスシーンにおいて、論理的に考える力は必要不可欠です。しかし、社員一人ひとりの論理的思考力を向上させるのは難しいと感じている企業も多いのではないでしょうか。
論理的思考力を向上させる手段としては、ロジカルシンキング研修の実施が挙げられます。
とはいえ、ロジカルシンキング研修の講師を務められる人材が社内にいない企業も少なくないでしょう。そのような場合は、専門的なノウハウを持つ研修会社への外部委託をおすすめします。
ロジカルシンキング研修で 得られるスキル例 |
論理的思考力を鍛えることで、次のようなスキルを習得できる ・問題解決能力 ・コミュニケーション力 ・主体性 ・思考整理能力 ・説得力 |
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ロジカルシンキング研修で 身につくフレームワーク例 |
・MECE ・ロジックツリー ・演繹法 ・帰納法 ・仮説思考 |
ロジカルシンキング研修の プログラム例 |
研修名:論理的思考補基礎研修 論理的思考をするための考え方を学ぶプログラム。論理的思考がビジネスの場で活きることを知り、フレームワークやケーススタディを通じて業務で実践できるスキルの習得を目指す。 |
本記事では、ロジカルシンキング研修のプログラム例や効果的に実施するポイントを解説しています。すでに実施している研修の見直しや、より研修の効果を高めたい担当者の方はぜひ最後までお読みください。
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物事の要旨を正しく理解したり、わかりやすく伝えたりする「論理的思考力」は、質の高い意思決定や円滑な問題解決など、あらゆる業務シーンで役立つスキルの一つです。
・業務報告や商談相手との会議などの場で、考えを整理して伝えるのが苦手な社員が多い
・業務でトラブルが生じた際、原因分析や解決策の考案に時間がかかってしまう
このような課題を持つ企業に向けて、パーソルグループでは【人材育成課題を解決する”社員研修”のススメ】を作成いたしました。計画的に人材の成長を促す方法のほか、パーソルグループが提供する研修プログラムを公開しています。
従業員の論理的思考力を育てたいと考えている企業は、ぜひ一度ご覧ください。
目次
ロジカルシンキング研修とは、必要な情報を取捨選択し、論理的に組み立て、伝えるための思考法を育成する研修です。
具体的には、「MECE」「ロジックツリー」「演繹法」「帰納法」といった、論理的思考力に役立つフレームワークを理解し、実際のビジネスシーンで活用できるスキルを学びます。実際の業務を想定し、演習問題に取り組むこともあります。
ロジカルシンキング研修を通じて、物事の要旨を正確に理解する力や、伝える力を伸ばすことが可能です。それにより、質の高い意思決定を下せるようになったり、円滑に問題解決をできるようになったりするでしょう。
前述の通り、論理的に考える能力はあらゆるビジネスシーンにおいて求められます。そのため、ロジカルシンキング研修は若手から管理職まで、業種や職種に関係なく、すべての従業社員が対象です。
特に、上司への報連相が上手くいかない、提案資料を作成する際に考えがまとまらない、商談において相手の質問の意図がつかめず適切な回答ができない、といった課題を抱える社員に効果的な研修です。
クリティカルシンキングとは、「批判的思考」と訳される通り、物事を批判的に捉えることによって課題や問題の本質を見抜く思考法を指します。「そもそも前提条件が間違っていないか」「データの集計方法は妥当か」といったように、仮説を立てながら一つひとつを検証し、判断していく能力のことです。
クリティカルシンキングもロジカルシンキングとほぼ同義と考えられますが、論理的には正しいことに対しても、改めて批判的な観点から検証するのがクリティカルシンキングであることから、これら2つは補完的な関係にあると言えるでしょう。クリティカルシンキングとロジカルシンキングの両立によって、より網羅的に考え抜かれた答えを導き出すことが可能になります。
【関連記事】「クリティカルシンキングとは?ビジネスに役立つ考え方と実践の手順」を読む
ロジカルシンキング研修は全社員が対象となりますが、現在のキャリアやスキルによって学ぶべき内容は異なります。育成対象に合わせて研修プログラムを検討することが大切です。
例えば若手社員の場合、ロジカルシンキングの基本となるフレームワークや思考法から学んでいきます。社会人として早いうちから論理的思考力を身につけると、業務の効率と質が高まり、プレイヤーとしての能力が飛躍的に向上するでしょう。
ここでは、パーソルグループが提供しているロジカルシンキング研修をもとに、研修プログラムの具体例を紹介します。
論理的思考の基礎研修では、自身の論理的思考力の現状をセルフチェックで把握、論理的思考スキルで強化していきたいポイントを検討、実際の仕事の場面を想定し、演習問題に取り組むといった順で研修を行います。
上記のような課題を持つ人におすすめの内容です。
特徴 | 論理的思考がビジネスの場で活きることを知り、フレームワークやケーススタディを通じて業務で実践できるスキルを身につける |
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目的 | ロジカルシンキングの基本的な考え方やフレームワークを知り、論理的に物事を考えられるようになる |
対象者 | 新卒社員、若手社員 |
プログラムの目標 | 会議や商談の場など、日々の業務において論理的に話ができるようになる |
学習の流れ | 1. 論理的思考の必要性を知る 2. 論理的思考に必要な考え方やフレームワークを学ぶ 3. 実際の仕事の場面を想定し、演習問題に取り組む |
問題解決力強化研修では、トラブル事例の原因解析や解決策の考案など、ケーススタディを通じて問題解決能力を伸ばしていきます。他の参加者と意見交流を取り入れれば、多様な解決方法や価値観を得て、視野を広げることもできるでしょう。
そもそも何が課題にあたるのか分からないといった人こそ学ぶべき内容です。
特徴 | 業務内で起こる問題を正確に把握し、論理的に解決するまでの手法を学ぶ ケーススタディを通じて、すぐ実践できるスキルを身につける |
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目的 | 問題解決に必要な考え方や、フレームワークを学ぶ ケーススタディで、現場での対応力を身につける |
対象者 | 中堅社員 |
プログラムの目標 | 職場で起こる問題を論理的に解決できるようになる |
学習の流れ | 1. 業務場面を想起し、自身の対応を振り返る 2. 問題解決に必要な思考法を学ぶ 3. 業務内で起こりうる問題を例に、どう対応するか考える |
貴社の課題にあわせた研修プログラム選びを支援します
パーソルグループでは、研修プログラムの策定や研修後のフォローアップなど、企業の人材育成に関する課題解決を包括的にサポートしています。
ロジカルシンキング研修の企画・実施にまつわるお困りごと、お悩みは、ぜひパーソルグループにご相談ください。
ロジカルシンキング研修の目的には、以下の3つが挙げられます。
ここでは、それぞれの目的について解説します。
ロジカルシンキングが身につくと、日頃から「なぜ?」「どうやって?」と根拠を求めて考える癖がつきます。
社員一人ひとりが「なぜこの仕事が必要なのか?」を考えた上で仕事に取り組めるようになると、上司や先輩社員の細かい指示がなくても、仕事のゴールに向かって主体的に行動できるようになります。このような人材が多い組織は生産性が高く、業績にも良い影響を与えるでしょう。
ビジネスにおいては、日常的に多くの意思決定が行われています。さまざまな選択肢の中から最善策を選ぶには、客観的事実やデータをもとに思考することが欠かせません。
ロジカルシンキング研修を通じて論理的思考力が養われると、意思決定に必要な情報を的確に取捨選択したり、合理的な判断を下したりできるようになります。また、自身の意見をわかりやすく伝えられるようにもなるため、関係者との合意形成を図りやすくなるでしょう。
ビジネスにおける課題解決にあたっては、「以前はこうだったから」「自分の経験上、このやり方がいいと思うから」といった主観的な経験や勘に頼ってしまうと、的外れな対策を講じてしまうリスクがあります。
課題ごとに最適な対策を講じるには、ロジカルシンキングによって根拠のある仮説を組み立てたのちに、その仮説が正しいかどうかを分析・検証するというプロセスが重要です。ロジカルシンキングを身につけた社員を多く育成できれば、さまざまな課題に対応できる強い組織をつくることができるでしょう。
ロジカルシンキング研修の実施で社員に身につくスキルは、大きく4つあります。
研修を通じてロジカルシンキングを鍛えると、問題解決能力の向上が見込めます。
ビジネスにおいては、日々の業務で発生した問題や顧客の抱える課題に対し、解決策を考えなくてはならない場面が多くあります。ロジカルシンキングができる人は、課題を分類したり、因果関係を明らかにしたりしながら、順序立てて解決策を考えることが可能です。
研修を通じて論理的思考力を鍛えれば、課題の原因を正しく捉え、解決に必要な情報や作業を導き出せるようになり、スピード感のある意思決定や課題解決ができるようになるでしょう。
ロジカルシンキング研修の2つ目の目的は、コミュニケーション力の向上です。
ビジネスパーソンは上司や同僚、社外の取引先など、多くの関係者と折衝します。情報過多な現代社会のコミュニケーションにおいては膨大な情報が取り交わされるため、情報をただ羅列するだけでは相手に理解してもらえません。そのため、数値やデータなどの根拠をもとに、一つひとつの情報を取捨選択し、順序立てて相手に伝えることが求められます。
論理的思考力が身につけば、主張と根拠をセットで伝えるのはもちろんのこと、根拠に客観的な情報を取り入れ、より説得力のあるプレゼンテーションができます。例えば、商談相手にサービス導入の成果を説明する場合に、「作業時間を1時間短縮できる」「導入企業の95%が効果を実感している」といった具体的な根拠を示せるようになるでしょう。
論理的に伝える力は、内容の説得力が増すのはもちろん、情報伝達スピードも上がるため、円滑なコミュニケーションにつながります。
ロジカルシンキング研修の実施により、情報整理能力の向上が見込めます。
ビジネスシーンでは、情報や知識を持っていても活用できなければ意味がありません。情報や知識を有効活用するには、それらを体系的に整理する必要があります。
思考整理能力が身につけば、顧客や上司への円滑な説明ができるだけでなく、部下への教育にも役立ちます。「なぜこの作業が必要なのか」「この作業が他の作業にどうつながっているのか」を論理的に説明できれば、部下の理解も高まるでしょう。
説得力の向上も、ロジカルシンキング研修により身につくスキルの一つです。ビジネスシーンでは、根拠をもとにした主張でなければ自分の意見を認めてもらえません。ロジカルシンキングを身につければ、会議や商談の場で、論理的に順序立てて説明できるようになります。
会議の場であれば、データや分析をもとにした建設的な意見を交わせるでしょう。商談の場であれば、顧客の合意を得られる可能性も高まります。
ロジカルシンキング研修では、フレームワークをもとに論理的思考を習得していきます。ここでは、汎用性の高いフレームワークの例を紹介します。
MECE(ミーシー)とは、以下4つの頭文字を取った言葉です。物事を漏れなく、重複せず、分類・整理するための考え方です。
ロジックツリーとは、さまざまな課題をツリーのように枝分かれさせ、分解して考えるフレームワークです。課題に対し、原因を網羅的に把握したい際に使われます。
演繹法(えんえきほう)とは、一般的なルールや前提、法則をベースに、結論を導き出す方法です。主張の素地となるルールなどの知識を増やすことで、一から主張を生み出さずとも根拠のある主張ができます。
それに対し帰納法とは、複数の事実をベースに共通点を見つけ、一般的な主張を導き出す方法です。事実を根拠に主張するので、肝心の主張は自身で見つけ出すことが求められます。
ピラミッドストラクチャーとは、メインメッセージを頂点として、下の段に根拠(キーメッセージ)を加えていくことによって論理的な主張を組み立てる方法です。上の段が下の段を要約する構造になっており、また横に並んでいる要素にも論理的な共通項を見いだすことができます。
「So What?(だから何?)」「Why So?(それはなぜ?)」は、仮説の立案と検証を行う際などに役立つ思考法です。「So What?」はさまざまな要素から読み取れるメッセージ(結論)を抽出し、「Why So?」はメッセージ(結論)がさまざまな要素によって証明されることを検証します。
ロジカルシンキング研修の実施方法は、以下の3つが挙げられます。各研修方法の特徴について解説しますので、実施形式を検討する際の参考にしてください。
受講者が研修会場に出向き、講師から直接講義を受ける研修方法です。実務の場を離れ、普段関わることのない他の受講者と交流できるため、学びの相乗効果が期待できます。また、研修中に不明点がある場合、その場で講師に質問して理解を深めることが可能です。
ただし、研修会場の確保や受講者のスケジュール調整、講師の選定などが必要であり、研修実施までに時間とコストがかかります。
eラーニングとは、パソコンやスマートフォンから研修コンテンツを視聴するなどして学習する研修方法です。受講者は場所や時間を問わず学べるほか、企業側も学習状況を一元管理できることが特徴です。
利便性は高い一方で、視聴がメインの学習形態であることから、実技の習得には不向きです。また、場所や時間を選ばない反面、受講態度や学習の進め方が個人のモチベーションに依存してしまう点も懸念されます。
オンライン集合研修は、受講者がWeb会議ツールなどを活用して受講する研修です。会場まで出向く時間やコストを削減でき、遠方の研修にも参加できるため、スケジュール調整がしやすいのが特徴です。
一方で、受講者同士の交流はしづらく、研修前後のフォローアップがないと受け身になりやすい点も注意が必要です。
研修を通じて知識だけ習得しても、実務に活かせないと効果があったとは言えません。ロジカルシンキング研修の効果を高めるには、以下の5点を意識しましょう。
ロジカルシンキング研修を効果のあるものにするには、受講者が主体的に研修に取り組む必要があります。そのためには、研修の目的を明確にすることが大切です。
また、研修を通じて「何を」「どの程度まで」身につけるべきか、目標を設定することも大切です。これによって受講者は目標達成に向かって主体的に取り組めるでしょう。
パーソル総合研究所の「コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査」によると、研修後に上司の事後フォローや実践の振り返りが学びにつながっていることが明らかになっています。
例えばロジックツリーを活用して自分自身の業務課題を掘り下げてみたり、過去に作成した提案書を書き直してみたりなど、学んだことを実践する機会を設けるとよいでしょう。
研修効果を高めるために、受講後の振り返りやフィードバックまでを想定して計画を立てましょう。
論理的思考はビジネスパーソンに欠かせませんが、ビジネスの場で求められる力はロジカルシンキングだけではありません。ときには、新たなアイデアを生み出す自由な発想力が求められることもあるでしょう。
新たなアイデアを生み出す思考法として「ラテラルシンキング」が挙げられます。ラテラルシンキングは水平思考とも呼ばれ、既成概念に囚われず自由な発想で問題解決を図る思考方法です。前提を疑うことにより、創造的なアイデアを生み出せます。
ロジカルシンキングは、あくまでもビジネスに必要なスキルの1つです。正しい情報を見極める情報処理能力や、失敗を恐れずチャレンジする行動力など、社員一人ひとりの成長に合わせた研修を別途受講することも視野に入れるようにしましょう。
研修の効果を高めるには、座学と実践をセットで考えることも大切です。実践では、座学では想定しなかったことが多く発生します。座学で学んだことを実践に移した結果、足りない知識やスキルを認識し、次の課題を見つけることがスキルアップにつながります。
人材開発の領域で有名な「ロミンガーの法則(70:20:10)」においても、「仕事での経験」は社員の成長に70%も影響を与えるとされています。つまり、学習した内容を定着させるには、アウトプットの機会を設けることが非常に重要なのです。
研修を内製する場合には、担当者に任せきりにせず、組織全体で研修体制を構築しましょう。会社の経営層が研修担当者に対して研修の意義や展望を伝えることにより、組織全体が方向を見誤らずに研修の実施に取り組めます。
経営層から研修担当者に伝える内容は、以下の3点を意識しましょう。
また、研修の計画を行う際には、都度、上司や経営層からフィードバックを得ることも大切です。フィードバックによって軌道修正を図れるだけでなく、組織の一体感を醸成して研修担当者の孤立を防げます。組織全体で研修のノウハウが蓄積されれば、人材育成の効率化や組織力の向上にもつながるでしょう。
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ロジカルシンキング研修に限らず、研修はただ実施するだけでは意味がありません。研修後に受講者が実務で実践できるように設計することが大切です。
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ロジカルシンキング研修の実施を検討中の企業は、ぜひパーソルグループにご相談ください。
ロジカルシンキングは、すべてのビジネスパーソンに求められる重要なスキルです。ロジカルシンキング研修の実施は問題解決力の向上やスムーズな意思決定、円滑なコミュニケーションの実現など、多くのメリットをもたらします。 効果的な研修実施によって社員一人ひとりの論理的思考力を伸ばし、組織全体の成長や発展へと還元していきましょう。
A.ロジカルシンキング研修の効果を高めるには、キャリアや階層によってプログラム内容を分けることをおすすめします。例えば若手社員には基本的なフレームワークを習得する研修、管理職には部下への論理的な指導を学ぶ研修といったように、テーマに工夫を持たせましょう。
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>>【無料DL】人材育成課題を解決する“社員研修”のススメ
A.ロジカルシンキング研修では、「MECE」「ロジックツリー」「演繹法・帰納法」などのフレームワークを扱います。フレームワークについて詳しくは、本記事内で解説しています。
>>ロジカルシンキング研修で身につくフレームワーク例