フィードバックとは?ビジネスシーンで効果を高める技法も解説!

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人材育成・人事評価の手法として広く知られる「フィードバック」。しかし、思うような効果を実感できていない方も多いのではないでしょうか。ビジネスシーンにおいてフィードバックを行う目的、また、実施効果を高めるポイントを解説します。

目次

「フィードバック」の定義と目的を再確認

成長を願い、時間と労力をかけてフィードバックしたのに、相手には「ダメ出し」としか認識されていなかった……ということは、ビジネスの現場ではよくあることです。そんな結果を生まないために、フィードバックとは具体的にどういうことなのか、また行う上で心に留めておきたいことをあらためて確認しておきましょう。

ビジネスシーンで使われる「フィードバック」の定義とは?

ビジネスシーンでのフィードバックとは、「問題の解決や成長促進を目的に、取った行動やパフォーマンスの評価を行動した本人に伝えること」という意味で使われます。

フィードバックという言葉は、元々はビジネスではなく、IT・工学分野の用語でした。「出入力のあるシステムにおいて、出力されたものを入力側に戻し、その後の出力を制御する」という意味で、これが転じて上記のような意味で使われるようになっています。

事実に基づき成長を促すのが「フィードバック」

フィードバックの特徴は、「過去」を軸に成長の道筋を考えることです。既に起きた出来事から見えてきた課題や問題、また適切だった対処を客観的に見つめ、以後の行動変容につなげる、というのが基本アクションです。

フィードバックをする側には、課題や問題、褒められるべきポイントを見抜く力、さらに「それにより得られた教訓を今後にどう生かすのか」をフィードバックされる側にわかりやすく伝える力など、さまざまなスキルが求められます。上記の理由で、フィードバックは上司から部下へと行われることが多いものです。

なお、「フィードフォワード」という人材育成の手法もあります。こちらは、思い描く「理想の自分」にたどりつくためにはどうすればいいか、行動のアイデアを周囲からもらうことで成長を図るものです。「未来」を軸にするという点が、フィードバックとの一番の違いです。

人事評価でフィードバックが重要視される理由

フィードバックは、人材育成だけでなく、人事評価においても重要といわれています。では、人事評価の面からフィードバックの効果を確認しましょう。

「3つのギャップ」の解消につながる

人事評価につきものの悩みが、評価を受ける側である部下からの、評価に対しての不満や不納得感、不公平感の発生です。これらは、以下の3つのギャップから生まれてきます。

1 「MUST」のギャップ
上司の考える「やるべきこと」と、部下の考える「やるべきこと」がずれている
2 「CAN」のギャップ
上司の「このくらいはできてほしい」という期待と、部下の「自分のできること」の自己認識に開きがある
3 「WILL」のギャップ
上司が「やってもらいたいこと」と、部下が「やりたいこと」が異なっている

フィードバックの目的は3つのギャップをなくすこと

フィードバックの目的は3つのギャップをなくすこと

いずれも、「知っているであろう」「わかってくれているであろう」という思い込みから生まれてくるギャップといえます。3つのギャップは、上司と部下が互いの思い、考えや認識を明らかにし、共有することで少なくしていくことができます。

認識の可視化が信頼感・納得感を生む

フィードバックで、部下は、上司の意見を通して「意識していなかった自分の姿」への気づきを得ます。上司にとっても、部下の自己認識や、上司が気づいていなかった悩みなどに触れる貴重な機会となります。これにより相互理解が進み、結果、互いへの信頼感、評価への納得感の向上に結びついていきます。

効果的なフィードバックの技法を知ろう

フィードバックは、部下にとっては自らのマイナス面を直視する機会ともなり、一つ間違えるとかえって意欲を低下させたり、反抗心を持つ原因になってしまったりすることもあります。フィードバックする側が、プラスの反応を引き出すさまざまな知識や技法を知ることで、こうした懸念を解消することができます。

ここからは、フィードバックを伝える面談実施時の流れとともに、それぞれのフェーズで役立つ知識や技法を紹介します。

  1. フィードバック面談の準備
  2. 面談 -導入
  3. 面談 -事実の共有
  4. 面談 -気づき
  5. 面談 -コミットメント、クロ―ジング

1 フィードバック面談の準備

話す側の頭の中が整理されていなければ聞き手も混乱してしまいます。事前に、伝えたいことは紙などに書き出して整理してきましょう。それが漏れのない伝達、スムーズなコミュニケーションのカギです。

ここでのポイントは、以下の3つです。

・期待する人材像を明確化しておく
担ってほしい役割や立場、周りに与えてほしい影響など、できるだけ具体的に決めておくと、聞き手も同じイメージを持ちやすくなります。

・話す事項についての「事実」を積み重ねる
業績目標であれば成果およびプロセス、期待行動であればビジョンの実践状況、プロフェッショナリティの向上度に注目して、客観的な事実を集めましょう。

・振り返りを具体化しゴールを設定する
伝えるべきことを徹底的に具体化しましょう。数量や分量、時間軸など、「何をどう変えていけばいいのか」を容易に想像できる具体情報を入れると客観性が増します。

2 面談 -導入

たいていの場合、フィードバックをされる側は緊張しています。また、フィードバックの趣旨を誤解し、警戒している場合もあります。導入は、相手をリラックスさせ、話を受け入れる体勢をさせるための重要なフェーズです。

ここでのポイントを見ていきましょう。

・カウンセリング・ポジションをとる
真向かいではなく、隣り合うポジションに座ることは、相手の心理的負担を減らす効果があります。また、話すときは、必ず相手の目を見て話すようにしましょう。

カウンセリング・ポジション

カウンセリング・ポジション

・雑談から入る
いきなり本題から入るのではなく、雑談などをすることで緊張をほぐすことができます。「木戸に立ちかけせし衣食住」をヒントに話をしましょう。

雑談に使える「木戸に立てかけせし衣食住」
キ …… 気候、季節  ド ……道楽(趣味)  ニ ……ニュース
タ ……旅  チ ……知人、友人  カ ……家庭、家族
ケ ……健康  セ ……世間話  シ ……新聞記事  衣、食、住

・ 面談趣旨の再確認
フィードバックでは目標設定の課題や評価結果も伝えますが、それはすべて、さらなる成長を願うからこそであることをあらためて伝えましょう。フィードバックの場での情報はほかに漏らさないことも約束しましょう。それが、聞く側の安心感につながります。

3 面談 -事実の共有

事実を、フィードバックする側とされる側、双方が客観的に共有しましょう。目標と結果についてのフィードバックであれば、目標設定時からその後の取り組み、実際の成果、感じた反省点、見えている課題などを共有しましょう。

・主観を入れない
事実の共有に「主観」が入らないように注意しましょう。「~だったと思う」「~だったと感じた」ではなく、「~のように見えるが、どうか」「~と言われたが、どうか」というような投げかけで、鏡のような存在となることを意識しましょう。受け手によって解釈の変わる主観的・感情的、また批判的な言葉を入れるのはNGです。

例)
×「今のままじゃダメ。もっと顧客のことを考えて、相手が喜ぶような提案の工夫を」
〇「先日の提案は、先方のニーズには合っていたが、提案のタイミングが適切ではなかったように見える。繁忙期の3月以外の時期であれば結果は違っただろう。相手の状況を考え、タイミングを見て再提案していこう」

×「たびたび遅刻するけれど、みんな迷惑だと思っているので改善を」
〇「今月、あなたは6回の遅刻をしました。12月1日は、○○さんが急遽、担当案件に代理で対応しましたが、そのために彼は残業をすることになりました。このままではほかの人の仕事に影響が出ます。遅刻の原因を明確にし、対策をとりましょう」

・アクティブ・リスニングを取り入れる
相手の言葉を「解読して伝え返す」聞き方の技法です。具体的には、「発した言葉の繰り返し(オウム返し)」「重要部分やポイントの要約」「言葉の中に潜んでいた気持ちの言語化(感情のフィードバック)」を行います。アクティブ・リスニングには、聞き手が話し手への理解を深められる、また、話し手が自身の考えを客観視できるという効果があります。

・パッシブ・リスニングを取り入れる
ボディランゲージもコミュニケーションの重要な要素です。パッシブ・リスニングは「うなずく」「相槌を打つ」「じっくり聞く」などのアクションで、相手を受け止めているサインを発しながら聞く、聞き方の技法です。これにより話し手の安心感を高めます。

4 面談 -気づき

ベストなのは、フィードバックされる本人が、自分自身で改善策や最終的なゴールを見出すことです。それを促すのが気づきというフェーズです。

・オープン・クエスチョンを発する
相手の中にある「答え」を引き出し、自発的な行動を引き出す「コーチング」の技法の一つです。視点が変わるような質問は、相手が、無意識化にあった答えに気づくきっかけとなります。

「Yes/No」で回答できる「クローズド・クエスチョン」ではなく、具体的な回答を言わないと答えにならない「オープン・クエスチョン」で質問を投げかけます。オープン・クエスチョンは、5W2H(だれが、いつ、どこで、なにを、なぜ、どのように、いくらで)を意識すると、生み出しやすくなります。

オープン・クエスチョンは、相手が回答に時間を要するという特徴があります。沈黙が続いても、急かさず、ゆったりと待つことが大切。傾聴を心がけましょう。

なお、知識や経験が乏しい新人や若手の場合、自力での気づきが不可能だったり困難だったりすることも少なくありません。そうしたときは、こちらが持っている答えを伝えてあげる「ティーチング」の方が効果的な場合もあります。相手により、技法を使い分けましょう。

・ポジティブ・フィードバックとネガティブ・フィードバック両方を取り入れる
フィードバックには、今後の課題を明らかにし、改善策を共有する「ネガティブ・フィードバック」と、望ましかった行動とその結果を共有する「ポジティブ・フィードバック」の2種があります。

課題や問題だけでなく、褒めるべき行動や成果に焦点を当てたフィードバックも行うと、部下の意欲は増します。ネガティブ・フィードバックであったとしても、最後は「こうすればもっと良くなる」というポジティブな方向に持っていくことが重要です。

5 面談 -コミットメント、クロージング

今後の方向性が見えたら、こちらの期待とのすり合わせ、実現のために必要な指導や自己啓発の方法について話し合い、要点をまとめます。一方的に切り上げるのではなく、必ず質問を受け、それらに答えてから終わらせましょう。

「フィードバック=不快、苦痛」の公式から抜け出そう

フィードバックは、不快で苦痛なものではなく、より良い未来を生み出すための通過点です。大切なのは、上司が「どうすればもっと成長できるか」という視点を持つことにあります。部下の存在そのもの、また現状の努力を肯定し、良き聞き手、良きメンターとなることが、フィードバックの効果を最大化するカギといえます。

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