2023年01月19日
2023年11月27日
各種ハラスメント研修を行いたいと考えても、具体的にどのような研修で、何を学ぶのかがイメージできない方も多いのではないでしょうか。
ハラスメント研修には、
などがあり、カリキュラムが多岐に渡ります。
本記事では、よく行われるハラスメント研修の種類を解説し、どのような内容を学べるのか、何を目的として実施されるのかなどを解説します。
研修を外部に委託したい企業・自社で実施したい企業のどちらにも参考になる内容になっているので、ぜひご覧ください。
ハラスメント研修についてご相談いただけます
・職場全体のリテラシーを強化したい
・ハラスメントを未然に防止したい
・どのようなプログラムで研修をすればいいか分からない
このような課題感をお持ちの方に向けて、パーソルグループでは、ハラスメントの未然防止や行動改善を促す研修を提供しています。ハラスメント研修の開催・実施にあたってお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。
目次
ハラスメント研修とは、一人ひとりのハラスメント防止への意識を高め、組織内でハラスメントを起こさない環境を整えるために実施される研修です。
職場で起こり得る代表的なハラスメントの種類として、以下の4つが挙げられます。
それぞれで実施すべき研修の内容が異なります。
なお、これらの各種ハラスメントをまとめて学習できるプログラムもあります。詳しくは、本記事の「ハラスメント研修の内容や具体例」を参考にしてください。
厚生労働省では、職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)を以下のように定義しています。
職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる
① 優越的な関係を背景とした言動であって、
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されるもの
であり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。【出典】厚生労働省「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」
パワーハラスメントに該当する代表的な言動として「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つがあります。
パワーハラスメント研修では、どのような言動や行動がパワーハラスメントに該当するのかを正しく理解した上で、日頃のコミュニケーションや部下への指導が、パワーハラスメントに該当していないかを組織全体で確認します。
セクシャルハラスメントとは、職場内での性的な嫌がらせのことを指します。男女雇用機会均等法の第11条において、事業主はセクシャルハラスメントを防止するために必要な措置を講じなければならない旨が記載されています。
事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対処するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
【出典】男女雇用機会均等法 第11条
職場におけるセクシャルハラスメントには、権力(役職・立場)や利益によって、性的な嫌がらせを強要する「対価型セクシャルハラスメント」や、性的な言動によって職場環境を害する「環境型セクシャルハラスメント」があります。
自覚がないままセクシャルハラスメントをしてしまう人もいるため、研修によって男女の価値観の違いや、どのような言動がセクシャルハラスメントに該当するのか、理解を深める必要があります。
モラルハラスメントとは、倫理や道理に反したいじめや嫌がらせのことを指します。
言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることをいいます。パワハラと同様に、うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。
【出典】厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
モラルハラスメントは、パワーハラスメントとは異なり職場内の立場に関係なく起きるという特徴があります。つまり、同僚や部下が加害者となるケースもあるのです。
精神的な暴力が中心となるため発覚しにくく、組織として意識的に注意喚起を行う必要があります。
モラルハラスメント研修では、モラルハラスメントの全体像を学び、どのような言動や行動が該当するのかを理解した上で、防止策や対処方法を学習します。
マタニティハラスメントとは、日本労働組合総連合会で以下のように定義がされています。
マタハラ(マタニティハラスメント)とは、働く女性が妊娠・出産を理由に解雇・雇止めをされることや、妊娠・出産にあたって職場で受ける精神的・肉体的なハラスメントのこと。働く女性にとって悩みとなる「セクハラ」「パワハラ」に並ぶ3大ハラスメントの1つです。
【出典】日本労働組合総連合会 「ジェンダー平等・多様性推進」
マタニティハラスメント研修では、妊娠・出産・育児にかかわる法律や、それらの女性への影響などを学び、何がハラスメントに該当するのか、男女共に働きやすい職場環境を作るにはどうすれば良いのかなどを学習します。
「ハラスメント研修」を導入してみませんか?
・ハラスメント研修を行いたいが、どう進めれば良いのかが分からない
・各種ハラスメント研修のプログラムを自社で作れない
・どのような研修が自社に最適なのかが分からない
このような企業に向けて、パーソルグループではさまざまな目的や対象者にあわせたハラスメント研修を提供しています。
ハラスメント研修の開催・実施にあたってお困りごとがあれば、お気軽にパーソルグループまでご相談ください。
⇒ハラスメント研修に関するご相談はこちら
ハラスメント研修の目的は、職場全体のリテラシー強化です。ハラスメントの種類を知っているだけでは、十分とは言えません。研修を通じて一人ひとりの意識や価値観、温度差の違いに気づくことで、相互理解が深まり、風通しの良い職場環境へとなるでしょう。
また、ハラスメントの発生や潜在化を防止するのも、研修の目的の一つです。万一ハラスメントが発生してしまうと、仕事へのモチベーションやパフォーマンスが低下するだけでなく、場合によっては企業イメージの信用失墜にもつながってしまいます。研修を通じ組織全体が正しくハラスメントを理解していきましょう。
ハラスメント研修の対象者は、基本的に全従業員です。非正規雇用労働者やパート・アルバイトの人も含まれます。しかし、内容によっては一般社員向け、管理監督者向けなど対象者ごとに異なるプログラムを実施します。
ハラスメント研修は、外部講師を招いての社内研修や社外研修、オンライン研修で実施されます。それぞれメリット・デメリットがあるため、組み合わせて活用すると効果的です。
メリット | デメリット | |
講師を招く社内研修 | 自社の課題にマッチしたプログラムを組むことができる | 費用(場所代、講師代)と時間がかかる |
外部研修 | 外部に出向いての研修となるため、自社内で準備を進める手間を省ける | 費用(受講費、交通費)がかかる 自社課題に必ずしもマッチしない |
オンライン研修 | 時間や場所を選ばずに学習できる | 実践型のプログラムは実施が難しい |
研修形式や実施内容によって細かな差はありますが、基本的には以下の3ステップで進めます。
ハラスメントの定義や現状、ハラスメントが起こってしまう背景やその影響について学びます。
自分の日々の言動や価値観、職場環境について振り返ります。
グループディスカッションなどを取り入れ意見交流を図ることで、それぞれの価値観、感じ方の違いを体感していきます。
ハラスメントは、自身が加害者や第三者といった立ち位置になるケースも考えられます。被害者や加害者、第三者、それぞれの立場に立った時の対処法について考えていきます。
パーソル総合研究所「職場のハラスメントについての定量調査」によれば、全就業者の34.6%が、過去に職場にてハラスメントを受けたことがあると回答しています。3人に1人が経験していることから、ハラスメントはとても身近な問題であることが分かります。
企業イメージの失墜や賠償問題など大きな問題に発展する前に、どの企業も前もって手立てを講じることが必要です。ハラスメント防止にはさまざまな手立てがありますが、本章では、職場のハラスメント防止になぜ研修が必要とされるのかを解説します。
2020年6月に、「労働施策総合推進法」「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」が改正されました。この改正により、職場における各種ハラスメント防止のため、事業主に必要な措置を講じることが義務付けられました。
労働施策総合推進法のパワーハラスメント防止措置は、2022年4月1日から中小企業においても義務化されたため、日本国内全ての企業でハラスメント防止措置を講じる必要があります。
1.職場におけるハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるハラスメントに起因する問題に対する自社の労働者の関心と理解を深めること
2.自社の労働者が他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修その他の必要な配慮をすること
3.事業主自身(法人の場合はその役員)が、ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うこと
1.ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと
2.事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること
※ 取引先等の他の事業主が雇用する労働者や、求職者も含まれます。
職場でのハラスメントは、無意識のうちに加害者となっている可能性もあります。一人ひとりがハラスメントについて理解と関心を深め、自身の言動を見直すためにも、適切な研修の実施が求められます。
万が一組織でハラスメントが起きてしまった場合、離職の誘因や企業イメージの低下といったさまざまなリスクが想定されます。
例えば、パーソル総合研究所「職場のハラスメントについての定量調査」によると、ハラスメントを原因とする離職者は年間86.5万人と判明しています。さらにそのうちの半数以上が、退職理由を会社に伝えられないまま離職している現状も明らかになりました。
さらに同調査では、ハラスメント目撃者の4割が特に対応せず、会社の8割がハラスメントに対し何も対応していないことが判明しています。
離職理由がハラスメントであることを言い出せないことで、会社側がハラスメントの実情を把握できておらず問題が表面化していない現状が考えられます。
研修を通して、社内相談窓口や社内規定を学び、ハラスメントを受けた際の対処方法について理解しておくことで、ハラスメントの早期発見や適切な対応へとつなげていくことが必要です。
これによって、企業が直面するハラスメントによる諸問題の防止へとつながります。
先述したように、ハラスメント研修は対象者や目的によってプログラムが異なります。本章では、一般的に行われている管理職向けのハラスメント研修の内容について紹介します。
ハラスメント対策にお悩みはありませんか?
パーソルグループでは、学んだ知識をもとに一人ひとりが正しく行動できるようになるハラスメント研修を提供しています。ハラスメント研修の開催・実施にあたってお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。
目的 | ハラスメントに対する基礎知識を学ぶことで、正しい理解や男女・個人の価値観の違いを認識する |
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流れ | 1.ハラスメントとは何か、種類や具体的な内容、組織に与える影響について知る 2.チェックシートを活用し、「ハラスメントに該当するかどうか」自身の理解度を確認する 3.グループ討議を行い、一人ひとりの価値観の違いや受け取り方の違いを理解する 4.自身の今後の行動目標を立てる |
自身の言動がハラスメントに該当するのか、客観的に判断できる社員は多くありません。ハラスメントに対する認識が甘い管理職に対しては、基礎的な知識から正しく理解を深める研修がおすすめです。
目的 | 職場でのハラスメントを予防するためにどのように行動すべきか理解する ハラスメントが起こってしまった際どのように対処すべきか理解する |
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流れ | 1.ハラスメントが起きやすい状況について整理する 2.ハラスメントの防止策を考える 3.部下から相談を受けた時の対処法を理解する 4.ハラスメントが起こった際の対処法(社内相談窓口の活用や社内規定)を確認する 5. ハラスメント防止に向け自身が取り組むことを決める |
未然防止はもちろん、万が一に備えた対処法を確認しておくことも大切です。特に、相談を受けた時の社内連携の方法や被害者のメンタルケアなど、管理職として対応すべき場面をあらかじめ想定して研修に盛り込んでおきましょう。
目的 | 指導とハラスメントの違いを学ぶことで、自信をもって部下の指導にあたることができるようになる |
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流れ | 1.チェックシートを用いて自身の行動傾向を知る 2.指導とパワハラの違い、正しいコミュニケーションについて理解する 3.チェックシートと照らし合わせ、自身の行動で改善すべきポイントを探る 4.「部下から話を聞く時」「部下のミスを指摘する時」など具体場面を想定し、自分ならどう対処するか考える 5.自身の今後の行動目標を立てる |
管理職によっては、「自分もこのように指導されてきたから」と自身の指導を正当化していることがあります。
一方、指導を超えてハラスメントとみなされる境界線が分からず、指導に消極的になりコミュニケーションエラーが発生することも少なくありません。
パーソル総合研究所「職場のハラスメントについての定量調査」によると、上司が回避型マネジメントを行っている場合、「フィードバックが少ない」など部下が距離感を感じていることが分かっています。
指導とハラスメントの違いを正しく理解し実践できるようになると、部下が安心して業務を行う環境が整っていきます。
研修を闇雲に実施するだけでは、適切な効果が得られません。重要なのは知識をつけることではなく、知識をもとに一人ひとりが正しい行動をとることです。そのために、研修実施にあたり意識すべきポイントは2点あります。
冒頭にも述べた通り、ハラスメントに対する理解度や価値観は一人ひとり異なります。「自分は大丈夫だから、相手も大丈夫だろう」という思い込みが、ハラスメントを引き起こすことは意外と多いものです。
各研修内においては、グループ討議やロールプレイなど実践的な内容を盛り込み、それぞれの捉え方の違いに気づける手立てを講じましょう。
社会の変化に伴って、ハラスメントの概念も年々変化しています。
例えば「セクシャルハラスメント」の認知が広まったのは、平成元年の職場でのセクハラを問う裁判がきっかけでした。また「パワーハラスメント」は、職場にて辛い思いをしている社員を見かねた企業によって、平成13年に提唱された言葉です。どちらもここ20~30年ほどの間に職場での問題として広まってきたものです。
また、「飲み会ではビールから」「女性は寿退社」など、昔は問題視されていなかった発言が、今は許されないというように人々の価値観も変わってきています。
ハラスメントに対する一人ひとりの固定概念を修正し、組織全体の認識を高めるためにも、時代の潮流に合わせた研修内容の見直しが必要です。
ハラスメント研修は、実施することが目的ではなく、組織内でのハラスメントの予防や職場環境の改善につなげることが重要です。
そのため、研修の実施後はアンケート調査を用いて、上司から部下へのコミュニケーションや指導方法にどのような変化が生じたのか・組織内でのハラスメント被害の報告数や研修後の社員の心理的な変化などを測定するようにしましょう。
先述の通り、ハラスメントを理由とした離職者は年間86.5万人いるにもかかわらず、会社に事実を伝えず退職する人は半分以上います。ハラスメントが発生していてもその事実を把握できず、問題が潜在化しやすいといった懸念があります。
そこで、あらかじめ原因と対策について考えておくことで、ハラスメントを未然に防ぐことができる可能性が高まるでしょう。本章では、研修でのハラスメント対策と並行して取り組むべき施策について解説します。
ハラスメントが発生する組織の共通点として、属人思考の高さが関係していることがわかっています。また、属人思考が高い組織は、「相談しても無駄だ」と感じてしまう相談無力感も高い傾向にあります。
会議やミーティングで、提案者によって通りやすさに違いがあったり、トラブル発生時に原因究明よりも責任追及を優先したりといった風土がある場合、社内の風土改善に優先して着手すべきです。
部署や立場にとらわれすぎず、どの社員の意見も平等に扱われるよう、たとえば年功的な人材マネジメントからの脱却や成果偏重主義を見直すことで、そもそもハラスメントが発生しない風土を培っていきましょう。
ハラスメントへの厳格さの高まりによって、新たな課題も生まれています。それは、上司から部下に対するコミュニケーション不足です。
ハラスメントを恐れて、部下を飲み会にあまり誘わない、部下がミスをしても厳しく叱咤しない、といった過度な回避的マネジメントを行う上司が増えているのです。
しかし、部下からすると上司に対してフィードバックが少ないと感じたり、関心を持たれていないと感じたり、部下の成長阻害につながっているとも考えられます。
ハラスメントに留意しつつ、正しくマネジメントできるよう、上司のコミュニケーション力を強化することも、ハラスメント予防につながっていくでしょう。
本章では、ハラスメント防止措置に沿って研修以外の企業がとるべき行動と事後対応のポイントについて解説します。
先述の労働施策総合推進法によると、防止措置は以下の4つに大別されています。
つまり、組織としてハラスメントを許さないという意思を明確にし社員へ発信することや、相談窓口を設けて適切に運用するといったことが求められています。
適切な対応とは、ハラスメントの相談事例が発生した際、当事者の聞き取りに加えて、周囲にも必ず聴取するといった手順などを指します。
また、外部の相談窓口を利用している企業も珍しくありません。社外に相談窓口を置くことで、相談へのハードルが下がったり、組織運営の負担が軽減されたりするメリットがあります。
これらのポイントをおさえることで、ハラスメントを未然に防ぐだけでなく、有事の際も早急かつ適切な対応が可能です。
パーソルグループでは、価値観や受け取り方の違いについて理解を深めたり、万が一に備えた対処法を確認したりといった適切なプログラムを対象者ごとに策定しご提案いたします。
外部のハラスメント研修を探している方、研修の見直しを検討している方はパーソルグループにご相談ください。
ハラスメント研修のご相談はパーソルグループまで
・職場全体のリテラシーを強化したい
・ハラスメントを未然に防止したい
・どのようなプログラムで研修をすればいいか分からない
このような課題感をお持ちの方に向けて、パーソルグループでは、ハラスメントの未然防止や行動改善を促す研修を提供しています。ハラスメント研修の開催・実施にあたってお困りごとがある方はパーソルグループにご相談ください。
本記事では、ハラスメントを未然に防ぐための研修のプログラムやポイントについて解説しました。
「自分は関係ない」「これくらいは大丈夫だろう」といった一人ひとりの認識の甘さが、深刻なハラスメントへ発展してしまいかねません。具体的な場面を想定した実践的なプログラムを取り入れることで、自分ごととしてハラスメントを意識できる素地を養うことが大切です。
さらに、研修実施においては対象者や適切なプログラムを策定し、ハラスメントを未然に防ぎ、風通しの良い職場環境を作っていきましょう。