2021年01月27日
2024年12月05日
パワハラ(パワーハラスメント)とは、職場内での優位性や立場を利用して、労働者に対して業務上不必要な叱責や嫌がらせなどで、精神的または身体的に苦痛を与える行為のことです。日本では2020年6月に労働施策総合推進法、通称「パワハラ防止法」が施行され、パワハラの定義が法的に明確化されました。
また、パワハラ防止法の施行により、大企業においてパワーハラスメント対策が義務付けられ、2022年4月には中小企業にも対策が義務化されています。
本記事では、改めてパワハラの定義やパワハラ防止のために企業に求められる対応などを解説していきます。
【お役立ち資料】ハラスメント・コンプライアンス問題対策ガイド
組織を強化し、企業が持続的な発展を遂げていくために欠かせないのが 「リスクマネジメント」であり、さまざまなペナルティを負った企業の事例がニュースなどで報じられており 、いま一度意識し直したい重要なテーマです 。
パーソルグループでは、企業が抱えるリスクの中でも特に重要視すべき「ハラスメント」と「コンプライアンス違反」に焦点を当て、課題点と予防法をまとめた資料を公開しています。
ハラスメント対策に取り組む方は、ぜひご活用ください。
目次
パワハラとは、「パワーハラスメント」の略で、相手に身体的・精神的な苦痛を与える行為・言動の総称です。主に職場内での優位性を利用し、労働者に対して業務の適正範囲を超えた叱責や嫌がらせを行う行為がパワハラに該当します。
「パワハラ防止法」施行後は、大企業から中小企業までパワハラへの対策が義務付けられています。
企業におけるパワハラの定義は、厚生労働省が以下のように定義しています。
パワハラとは、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えている
③労働者の就業環境が害される
上記①から③までの3要素をすべて満たすもの
また、この定義における「職場」と「労働者」については、以下の通り定められています。
「職場」とは
事業主が雇う「労働者」が業務を遂行する場所のことです。通常の就業場所だけでなく、出張先や業務で使用する車中、取引先との打ち合わせの場所、社員寮、通勤で使う乗り物内なども「職場」と見なす場合があるとしています。
つまり、社屋の内外を問わず、労働者が業務を遂行する場はすべて「職場」と見なされます。そうなると、事案ごとに「それは職場なのか」という判断を行う必要が生じます。判断の際には、「職務との関連性」「その場の参加者の内訳」「参加や対応が義務なのか任意なのか」などの要素を検討することになります。
「労働者」とは
正規雇用労働者はもちろん、パートタイム労働者、契約社員などのいわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全労働者を指します。なお、派遣労働者については、派遣元事業主、派遣先事業主の両方に、自ら雇用する労働者と同様の措置を講ずることが求められています。
では、上記を踏まえて、パワハラ定義の3要素を確認しましょう。
優越的な関係とは、明確な職位の上下が存在する職場において、抵抗や拒絶することが難しい関係のことを指します。具体的には、上司と部下の関係を想像すると良いでしょう。このほか、ある業務を進める上で不可欠な知識や経験を持つ人物がいた場合、その人は職位を問わず、周囲に対し優越的な立場になると言えます。
また、職位が下でも、勤務歴の差がある場合や、部下が結託して集団となった場合などには、上司の方が弱い立場になることもあるでしょう。集団対個人の関係も、この意味で優越的な関係に当てはまります。
「優越的な関係を背景とした言動」の例
事例1)上司Aは、指導という名目で、部下Bに業務時間外・休日にも連絡を強要。また、そのやりとりで得たBの個人情報や私的な画像を、本人に断りなく周囲に開示した。
事例2)英語圏との取引がある部署に異動してきた、英語のわからない上司C。英語が堪能な部下たちは連帯し、英語で行う必要のない社内打ち合わせなどもすべて英語で行い、業務から排除した。
事例3)同期のD、Eがささいなことから険悪に。Dは社内の連絡時に、別部署のEにはわからない専門用語を必要以上に多用し、円滑な業務進行ができない状況にEを追い込んだ。
このように、パワハラは、部下から上司、同僚から同僚へ行われることもあるので、立場だけで加害者、被害者を決めるのではなく、状況で判断することが重要です。
「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」とは、社会通念に照らし、業務上必要がなく、明らかに不適当な言動や態度を示すことを指します。客観的に見て適正と言える指示や指導は、業務上当然必要な行為であり、職場におけるパワハラには該当しません。
「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」の例
事例1)新入社員Aは報告や連絡を忘れがちで、業務に悪影響が出ていた。上司Bは改善を図るため、Aに再三注意をしていたが、改善が見られないために、営業車の車中で「親の育て方が悪い」「何か病気でも抱えているのか」と、業務遂行とは関係のない、人格否定につながる発言をした。
事例2)先輩社員Cは、優秀な後輩社員Dに自分の業務を押し付け、さらに自らの昼食の買い出しなどもさせていた。Dがそれを拒絶すると、膨大な量の仕事を翌日までに行うように命じ、できなかったDを無能だと嘲った。
注意しておきたいのは、労働者に問題行動があり、業務上必要な指導であったとしても、人格を否定するような言動がなされればパワハラになりえるということです。「もともと本人に問題があったから、このような結果になって当然」という考えは通用しないということを押さえておきましょう。
また、そのケースがパワハラに該当するかは、以下のような複数の要素を総合的に考慮して判断する必要があります。
「就業環境が害される」とは、相手の人格や尊厳を毀損する言動により、労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものになることを指します。当該労働者が就業する上でパフォーマンスに重大な悪影響が及ぶなど、看過できない支障が生じる場合に当てはまります。
判断基準は、「同様の状況で当該言動を受けた場合、社会一般の労働者が、就業上看過できないほどの支障が生じたと、感じるような言動であるかどうか」です。言動の頻度や継続性は考慮しつつ、強い身体的または精神的苦痛を与える態様の言動の場合は、1回であっても就業環境を害すると判断すべき場合もあることを覚えておきましょう。
不快かどうかの基準は人によって異なるため、判断は容易ではありませんが、「一般的な基準で労働者がどう感じるか」が判断の指針になります。
「就業環境が害される」の例
事例1)上司Aはミスを犯した部下Bを、同僚など他の社員もいる場所で叱責。大声で怒鳴り、机を激しく叩いて本人に物を投げつけるなどの行動を行い、Bは恐怖で翌日から出社できなくなった。
事例2)プロジェクトリーダーである社員Cは、メンバーDの言動がチームの和を乱すとして、Dのみ別室に隔離。電話番などプロジェクト遂行とは無関係の業務のみを与えたり、業務上の情報も与えなかったりした。他メンバーにはDとの関わりを禁止し、懇親会にも誘わないなど仲間外れにした。Dは心身に不調をきたした。
パワハラを定義するには、3要素それぞれについて「その事案が該当するのか」を検討・検証していく必要があります。ケースバイケースの判断が求められることが、パワハラへの対策の難しさと言えるでしょう。
判例上は、「社会通念」と「業務上の指導」がポイントとなる傾向にあります。「うちの会社ではこうだから」ではなく、「他者や他業種に置き換えたときにも通用するのか」を検討すべきでしょう。
厚生労働省は、パワハラの代表的な言動とその該当例を6類型に分けて提示しています。これらの6類型は、いずれも職場での健全な人間関係を損ね、被害者の心身に重大な影響を与える可能性があります。
パワハラは企業や組織全体のパフォーマンスにも悪影響を与えるため、適切な対応が求められます。また、パワハラに該当しないと思われる例も記載されているので、参考にしてください。
なお、事例については「優越的な関係」を背景として行われたものであることが前提となっています。あくまでも一例であり、似たような事案でも状況により判断は変わりえます。そのことに十分留意し、個別の事案ごとに適切な対応を取りましょう。
相手を殴打する、蹴る、物を投げつけるといった、身体的に危害を加える暴力行為が「身体的な攻撃」に当てはまります。「誤ってぶつかった」などのケースでない限り、職場内における上司から部下への「身体的攻撃」はパワハラに該当することが一般的です。また、相手がけがを負ったり心身に不調をきたした際は、傷害罪に該当する可能性もあります。
精神的な攻撃は、言葉や態度によって相手の精神的な健康に悪影響を与える行為です。厚生労働省は、「精神的な攻撃」を以下のような言動だと定めています。
精神的な攻撃を受けた被害者は自己評価が低くなり、社会生活がままならなくなるケースも考えられます。精神的な攻撃は肉体的には触れないものの、最終的には心身いずれの健康にも著しく深刻な影響を与える可能性があるのです。
人間関係からの切り離しは、自身の意に沿わない労働者に対して、意図的に職場内でのコミュニケーションを遮断したり、孤立させたりする行為です。具体的には、会話に参加させない、業務上の情報を伝えない、集まりに呼ばないなどが該当します。また、同僚や上司が結託し、一人の労働者を集団で無視し、職場から孤立させることも人間関係からの切り離しに含まれます。このような行為により、被害者は孤立し、メンタルヘルスなどに悪影響を与えることがあります。
過大な要求は、業務上明らかに遂行不可能な目標や過剰な仕事量を強制する行為です。具体的には、現実的に不可能な期限の設定や、過剰な業務負担の強制、業務とは関係の無い私的な雑用を強いることなどが該当します。これにより、被害者は過労やストレスを感じ、健康や職場でのパフォーマンスが悪化します。
一方、労働者を育成する目的で、現状よりも少し高いレベルの業務を任せることは過大な欲求にあたりません。また、繁忙期や一時的な欠員などにより、通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せることも適性範囲内の要求とみなされます。
過小な要求は、業務上の合理性がなく、能力やスキルに見合わない、または意図的に低い業務を与えることです。例えば、能力のある社員に対して、わざと退屈で無意味な作業をさせたり、過度に単調で簡単な業務ばかりを与えたりするケースが該当します。また、気に入らない労働者に対して、明らかに仕事を与えないことも、同様に「過小な要求」と認められます。労働者は過小な要求により、仕事へのモチベーションが低下し、職場での評価が損なわれることが考えられます。
「個の侵害」とは、個人の尊厳やプライバシーに過度に立ち入り、侵害する行為です。具体的には、労働者の私生活・人格・自由を侵害する行為や、機微な個人情報を本人の了承を得ずに他の労働者に暴露するなどの行為が含まれます。
「個の侵害」によるパワハラは、受けた人の心身に大きな負担を残す可能性があります。プライバシーや人格を攻撃されたり、過度に個人の領域に干渉されたりすることで、精神的なストレスや社会的な疎外感を与えることもあるでしょう。「個の侵害」を防ぐために、労働者にプライバシー保護の周知・啓発するなど一定の措置を講じておくことが大切です。
「パワハラ防止法」が施行され、様々な対策が取られているにもかかわらず、いまだ大きな労働問題として知られています。では、なぜパワハラが起こるのでしょうか。ここでは、パワハラの主な原因3つについて説明します。
パワハラは、殴る・蹴るといった身体的攻撃だけではありません。これらの行為が違法であることは明確ですが、パワハラの多くはコミュニケーション不足が原因となっています。
コロナ禍を機に日本でもリモートワークが浸透し、はたらき方が多様化しました。リモートワークはワークライフバランスの向上などのメリットもある一方、職場におけるコミュニケーション不足の要因にもなりえます。
対面で関わる機会が減ることによって上司と部下の信頼関係構築(パワーバランス)が上手くいかず、すれ違いや認識のズレが発生しやすくなります。この些細な行き違いがパワハラの原因となり、問題の深刻化につながるのです。
パワハラが発生する理由のひとつに、会社の労務管理不足が挙げられます。
会社には、労働者の生命・身体・健康が害されることがないよう、安全な環境の中ではたらかせる「安全配慮義務」があります。パワハラを防止するのも安全配慮義務であり、日常的にパワハラが起きないように教育や啓発を行わなければなりません。
しかし、会社内でのパワハラへの教育が行き届いておらず対策が十分でないと、大きなトラブルの原因となります。また、こうした労務管理不足によりトラブルが常態化していると、パワハラに限らず別のトラブル発生にもつながってしまうでしょう。
通常達成不可能な目標設定や長時間労働の恒常化、失敗を責める風習などがある職場では、労働者がストレスを感じやすくなります。
また、ストレスが原因で労働者が精神的に不調をきたし、職場の人手不足が起きれば、さらなる悪循環につながりかねません。こうした職場環境では、労働者の心的余裕や他者への配慮の欠如を引き起こし、深刻なハラスメントが発生するリスクが高いと言えるでしょう。
【調査レポート】ハラスメント・危機管理対策の取り組み実態
パーソルグループでは経営・人事1,300名を対象に、危機管理対策やハラスメント対策について、企業が抱える課題や具体的な取り組みについて調査しました。自社のハラスメント対策の検討時や他社の情報収集でぜひご活用ください。
企業でのパワハラ対策が義務化されているパワハラ防止法。正式には「労働施策総合推進法」という名称で、2020年6月に施行されました。
従来のハラスメント防止対策の措置に加えて、相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止や、事業主および労働者の責務が明確化されるなど、防止対策の強化が図られた法律です。
2024年11月時点では罰則こそありませんが、必要がある場合には、行政は事業主に対して、助言、指導または勧告ができます。事業主が勧告に従わない場合、その旨が公表される可能性がある点には注意が必要です。
また、企業には民法における使用者責任や安全配慮義務、債務不履行責任があります。パワハラが発生した場合、義務違反として損害賠償責任が生じる可能性があります。
パワハラを防止するために、以下で法律により明確化された、事業主および労働者の責務と、義務化された措置の内容について見ていきましょう。
パワハラ防止法では、以下の事項に努めることが、事業主および労働者の責務として、法律上明確化されました。
【事業者の責務】
【労働者の責務】
※労働者には、取引先など他の事業主が雇用する労働者や求職者も含む
パワハラ防止法では、労働者にも責務が課せられていますが、労働者の意識改革についても企業が監督責任を問われます。
パワハラ防止法では、4つの防止措置に大別され、以下の通り具体的な行動が示されています。また、労働者への不利益取扱いも法律上禁止されました。
1 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
2 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
3 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
4 併せて講ずべき措置(プライバシー保護や不利益取り扱いの禁止等)
事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止
労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったことや雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由として、事業主が解雇その他不利益な取扱いをすることは法律上禁止されます。
2020年6月にパワハラ防止法が施行されてから約4年が経過しました。いまだパワハラが労働問題として叫ばれているなか、企業のハラスメントへの取り組みはどの程度まで普及しているのでしょうか。
厚生労働省が2023年に行った調査では、過去3年間のハラスメントの相談有無について、約6割の企業が「パワハラの相談があった」と回答しています。
また、過去3年間のパワハラ相談件数の推移を見てみると「相談件数は変わらない」が最も多い30.2%を占め、「減少傾向にある」と回答したのは、全体の21.8%でした。
企業においては、組織の大小にかかわらず、改めてパワハラへの認知を深め、より適切な予防策を講じることが重要です。
パワハラを未然に防ぐには、企業内で十分な予防策を講じる必要があります。以下で、具体的な取り組みについて説明します。
最初に企業としてやるべきことは、社内および従業員におけるパワハラへの認識を変えていくことです。そのため、まずは会社全体に向けてパワハラを許さないという事業者の意思を従業員へ伝えましょう。
また、「パワハラになったらと思うと、指導ができない」という管理者の悩みも増えています。この対策として有効なのが、上司・部下の関係にある者双方に「パワハラと指導の違い」の知識を持たせるための、研修などによる啓発です。これらは、取引先や、就職活動・実習などで企業を訪れる学生など、社外へのパワハラ防止にもつながります。
パワハラ防止のためには、就業規則など職場の服務規律等を定めた文書で、懲戒規定等に基づき厳正に対処する旨を定めましょう。さらに、企業と労働組合(労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者)との間でパワハラ防止に関する労使協定を締結するのも効果的です。就業規則に記載する際は、罰則規定の適用条件や処分内容、また、相談者の不利益な取扱いの禁止などを明確に定める必要があります。
また、就業規則に記載する場合は、厚生労働省が発行している「ハラスメント防止に関する就業規則規定例」に則り、作成すると良いでしょう。
パワハラ防止法の施行により、ハラスメント相談窓口の設置が法律上義務付けられました。万が一パワハラが起こったときに重要となるのがこの相談窓口です。はたらく全ての人が相談しやすい相談窓口を設置し、初期の段階で気軽に相談できる仕組み作りを行いましょう。
しかし、実態としては相談窓口の設置を行うだけで終わりとする企業も多く、相談を受ける側の知識が浅いために、適切な対応ができないばかりか、窓口の人物自身が「あなたにも過失があったのでは」などのパワハラ発言をしてしまう、という事例もあります。このような事態に陥らないためには、運用面で窓口相談者の研修や配慮を行う必要がある点にも留意しましょう。
また、パワハラ防止法では、相談窓口へ寄せられた相談について、プライバシー保護のための「守秘義務の徹底」が定められています。もし従業員から相談があったときには、被害者と加害者はもちろん、周囲にも必ず聞き取りを行うのがポイントです。その際、相談者だけでなく、行為者や第三者のプライバシー保護も行い、相談者への不利益な取扱いが行われないよう措置を講じる必要があります。
なお、外部の相談窓口を利用している企業も多くあります。これは、相談へのハードルを下げ、組織運営の面でも負担軽減にもつなるため、検討する価値は十分にあるでしょう。
万が一、職場でパワハラが発生した場合は、被害者へのケアと同時に再発防止への取り組みを行うことが重要です。パワハラの事実が認められた際には、就業規則に基づく懲戒処分や加害者の異動、それが難しい場合は被害者の意向を汲んでの被害者の異動などを行うのが通例です。
懲戒処分が出た場合は本人が特定されないようにしながら、パワハラがあったこととその概要を社内にアナウンスしましょう。プライバシーを守ることが最優先されますが、これはパワハラの再発策としても効果的です。
また、再発防止の取り組みとして、行為者に対して再発防止研修を実施しましょう。そのほか、その後の職場が相談者にとって安全で快適な環境か、新たな行為者が発生する環境になっていないかに着目する必要があります。再び職場でパワハラが繰り返されないよう、パワハラ防止の取組内容の定期的検証や見直しなどを行い、より効果的な再発防止策の策定を行うことが大切です。
管理職や経営陣は、労働者の目標達成と成長を支援する重要な役割を担っています。しかし、時にはその指導がパワハラと誤解されることもあります。
そのため企業でハラスメントに関する研修を行う際は、定期的な研修や教育を行い、知識の定着とハラスメントへの認識改善を心掛けることが重要です。適切な指導とパワハラの境界を明確にし、信頼関係を築きながら労働者を育成することを目指しましょう。
【関連記事】ハラスメント研修とは?必要性やテーマ・カリキュラム例を解説
厚生労働省が発行している「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、パワハラが発生している職場に共通する特徴の第1位は、「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」です。
この結果は、良好なコミュニケーションが、パワハラの芽を摘むのに効果的であることを示唆しています。上下の別なく意見を言い合える風通しの良い人間関係が、パワハラ対策の素地になるのです。
ガイドラインも参考にして、自社の状況に合わせた防止策、対応策を決めていきましょう。
【お役立ち資料】ハラスメント・コンプライアンス問題対策ガイド
組織を強化し、企業が持続的な発展を遂げていくために欠かせないのが 「リスクマネジメント」であり、さまざまなペナルティを負った企業の事例がニュースなどで報じられており 、いま一度意識し直したい重要なテーマです 。
パーソルグループでは、企業が抱えるリスクの中でも特に重要視すべき「ハラスメント」と「コンプライアンス違反」に焦点を当て、課題点と予防法をまとめた資料を公開しています。
ハラスメント対策に取り組む方は、ぜひご活用ください。
きた社労士事務所
代表
北光太郎(きた・こうたろう)
中小企業から上場企業まで様々な企業で労務に従事し、計10年の労務経験を経て開業。開業後は企業の労務支援のほか、Webメディアを中心に人事労務に関する記事執筆や監修を積極的に行う。人事労務の実務経験と自身のメディア運営経験を活かし、各WEBメディアの専門性と信頼性向上を支援している。