ピープルアナリティクスとは?具体的なデータ活用フローを解説

人材・組織 人事

「従業員満足度を高めたいが、有効な施策がわからない」「施策を講じているが、離職率が改善されない」といった人事課題に対して、データを活用して解決に導く考え方に注目が集まっています。

ピープルアナリティクスは、従業員にまつわるさまざまな情報をデータ化し、分析することによって、直面している課題の解決を試みるものです。

本記事では、ピープルアナリティクスの基礎知識から、活用する場面、具体的な活用フローについて解説します。

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目次

ピープルアナリティクスとは

ピープルアナリティクスとは、従業員の属性データ(年齢や性別など)や行動データ等を収集・分析し、採用活動や従業員満足度の向上など、人事領域におけるさまざまな施策の実行や意思決定、課題解決に活かす手法のことです。

企業経営やマーケティングにおいては、「データドリブンマーケティング」「データドリブン経営」という言葉に代表されるように、データを活用し、担当者の経験や勘だけに依存しない意思決定をしようという流れが加速しています。人事領域においても、ピープルアナリティクスを導入することで社員一人ひとりの適性に基づいた精度の高い人材マネジメントを実現する動きが高まっています

ピープルアナリティクスでは、従業員に関するデータが分析の対象となります。分析の目的に応じて従業員に関するあらゆるデータを収集します。

▼分析対象となるデータの例

・従業員の属性(年齢、性別、所属する部署や部門、保有するスキルなど)
・適性検査や人事評価の結果
・勤怠情報
・メール/電話/PCなどの使用状況 など

人事領域におけるデータ活用の現状

人事領域におけるデータ活用が注目を集めているとはいえ、実態はどのようになっているのでしょうか。

パーソル総合研究所が2020年に実施した「人材マネジメントにおけるデジタル活用に関する調査」によると、全体の75.5%が人材マネジメントにおけるデジタル活用を進めた方がいいと考えていることが明らかになっています。

データ活用の現状


【参考】株式会社パーソル総合研究所「人材マネジメントにおけるデジタル活用に関する調査 2020

一方で、人材に関するデータの分析実施状況をみると、「データ分析をしたいと考えているもののできていない企業」は、全体の35.5%にのぼります。

また、データ分析を実施している企業は全体の41.0%ですが、実際に「分析結果を意思決定に利用している」と回答した企業は16.9%に留まります。

データ活用の現状


【参考】株式会社パーソル総合研究所「人材マネジメントにおけるデジタル活用に関する調査 2020

このように人事領域では、データを活用したいができていない企業、データ分析はしているが実際の意思決定に利用できていない企業が多いことが分かります。

ピープルアナリティクスを活用する場面

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では、ピープルアナリティクスを導入することで、具体的にどのような活用方法があるのか、メリットと共に見ていきます。

人材採用時の意思決定の指標として活用

入社後に高いパフォーマンスを発揮している従業員のデータを分析し、採用時の意思決定の指標として活用することができます。

たとえば、活躍している従業員の属性や志望動機・保有スキル・面接時の質疑応答の内容といった情報から共通項を見つけ出すことで、自社で活躍できる可能性の高い人物像が明らかになります同じ要素を持つ候補者へ戦略的にアプローチすることで、採用後の定着や活躍にも繋がることが期待できます。

異動配置や人材育成への活用

従業員の持つスキルや能力、志向などをデータ化することで、一人ひとりの適性に合わせた異動配置が可能になります。

例えば、部署ごとに高いパフォーマンスを発揮している従業員を分析することで、その部署で求められるスキルや能力が明らかになり、配属先を決定する判断基準になり得ます。

また、どのような専門性やスキル、パーソナリティ、資格を所有しているのかといったデータをもとに育成プログラムを検討することで、より効果的な人材育成が実現できるでしょう。

人事評価への活用

従業員のパフォーマンスを人事担当者や上司の主観だけでなく、データに基づいて客観的に判断することで評価の公平性を保つことができます。従業員としても、自身の成果に対して客観的な判断が下されるので、納得感にもつながります。

従業員の定着や退職抑制に活用

過去に退職した従業員のデータを分析することで従業員の退職抑制にもつながります。

たとえば、「特定の部署や部門に配属された従業員の離職率が高い」「離職する直前の数カ月は周囲とのコミュニケーションが減る」といった傾向を把握することで、異動した従業員に対して定期的なフォローアップを行う、コミュニケーション頻度を増やすように直属の上司に伝えるなど具体的な対策を講じることが可能になります。

データ活用のフロー

ここからはデータ活用の具体的なフローについて説明します。

STEP1.各種データの蓄積

まずは、従業員に関する各種データを収集・蓄積します。

これらのデータは一元管理されているケースは少なく、人事だけでなく部署や部門をまたいで全社的な協力を仰ぐ必要があります。また、「どこにデータを蓄積するのか」「データの更新は誰が・どの頻度で行うのか」も合わせて決めていきましょう。

以下の表は、収集するデータの一例です。全てのデータを集める必要はなく、目的に合わせて、人材データや勤務データのような比較的収集しやすいデータから蓄積していくことが大切です。

人材データ 従業員の氏名・年齢・性別・役職・給与など基本的な属性データ
デジタルデータ 社内PCやスマートフォンの利用状況・電子メールの送り先や時間帯・頻度、日常的に使用しているツールなど
勤務データ 従業員の勤務時間・有給取得率・休職率など
オフィスデータ 会議室や休憩所・カフェテリアなど会社設備の利用状況に関するデータ
行動データ 従業員の位置情報(営業先・プレゼン先)や、社内での行動に関するデータ

STEP2.明確な目的設定

次に、ピープルアナリティクスを活用する目的を設定します。ただデータを集め、分析をするだけでは具体的な施策の立案や意思決定にはつながりません。

ピープルアナリティクスを活用する目的は、企業によってさまざまです。自社が抱えている課題から、目的の設定を行います。

▼例

・従業員の離職率を下げるために、従業員満足度を向上させたい
・入社後のミスマッチを減らすために、新たに採用基準を設けたい
・従業員のパフォーマンスが向上するように、研修プログラムをアップデートしたい など

目的によって必要となるデータが異なります。たとえば従業員の定着が目的であれば、過去の従業員の離職率や退職の理由・転職先といったデータを収集する必要があるでしょう。

STEP3.データ分析

ここからは、データの分析を行います。あまり分析という言葉に捉われずに、まずは年齢層や役職・部署・性別ごとなど簡単な切り口でどんな傾向があるのかを、大まかに把握していくことが大切です。

なお分析の際に注意したいのは、データから読み取れる事象を全て鵜呑みにしないことです。たとえば、本人の志向や考え・ビジョン・モチベーションといった視点はうまくデータに反映されないことがあります。

データだけでなく、直接的に従業員とコミュニケーションを図ることも忘れずに、最終的にはデータを参考に人が判断をするようにしましょう。

STEP4.施策計画・実施

STEP3のデータ分析で見えてきた傾向に対して、具体的な対応施策を計画し、実行へと移します。なお、せっかく収集し分析したデータを1度きりの検証で終わらせてしまうと、データを運用する基盤が根付かずに終わってしまいます。

効果検証によって得られた結果も、新たなデータの一つです。データを継続的かつ効果的に活用することができれば、より高度な分析、活用が可能になります。そのため、効果検証後にSTEP1へ立ち返り分析を行う、といったPDCAサイクルを回す体制を構築しましょう。

データ活用の取り組み例

なお、従業員データは、個人情報にあたります。2020年6月には個人情報保護法(2022年4月施行)が改正され、罰則規定が強化されました。そのため、個人情報の取り扱い事業者は、従業員データをより慎重に取り扱うことが求められます。

ピープルアナリティクスを活用する際には、「誰が」「いつ」「どこで」「何を目的として」、従業員データにアクセス〜利用できるのか、といった社内ルールを明確に取り決めるようにしましょう。

まとめ

本記事では、ピープルアナリティクスの基礎知識から具体的な活用シーン、データ活用フローについて解説しました。

これまでデータ活用があまり進んでこなかった人事領域でも、データ分析をもとにした施策の立案や意思決定が行われるようになっています。ピープルアナリティクスを導入することで、社員一人一人の適性に基づいた精度の高い人材マネジメントが可能となります。

ピープルアナリティクスの活用においては、どんな課題を解決するために導入するのかといった目的の設定や、誰が運用を行うのか、また実行した施策を継続的に検証し改善へと繋げていく体制構築が求められます。

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