人事評価制度の制定・導入フロー
人事評価制度を制定・導入する際は、次の手順で行います。
STEP1.現状分析
まずは、現状の人事評価制度を分析し、解決するべき課題を明確にすることから始めます。自社の企業理念・経営戦略と連動しているか、従業員がはたらくにあたって課題となっている部分は何か、どうすればその課題が解決できるのかを整理します。こうした部分を整理していくと、基準となる項目、重視すべき項目がおのずと見えてくるでしょう。
組織内の立場でも悩みや不満は変わるため、さまざまな役職や部署から課題を集約することが大切です。「成果が評価に反映されない」「テレワークの影響で適切に評価しづらい」といった従業員の悩みも特定できるかもしれません。
STEP2.評価基準・項目の策定
次に、洗い出された課題を解決するため、どのような社員が求められるのかを検討し、人事評価制度の骨格となる評価基準と項目を策定します。
自社の今後を考えたときに、重視すべき成果や能力、行動など、考えられる項目を洗い出し、優先順位をつけることで、評価の軸が見えやすくなります。
このとき、期待する成果、能力、行動、勤務態度などをそれぞれの項目で具体的に表現することを心がけましょう。一度設定した評価基準を見て、「求める社員像」を想像できるかを考えながら決めていきます。
なお、企画・開発など、短期的な数値化が難しい業務では、評価基準や項目を変える必要性が出てくることも考えられます。実情に合わせて柔軟に制度を検討しましょう。評価基準は、人事や経営層だけで検討するのではなく、現場とともに考えるという進め方もあります。その際は、「会社をどのようにしていきたいのか」というビジョンや戦略を経営者・人事が共有し、さらに現場へしっかり伝えて、経営目線と現場の乖離を埋めていくことが重要です。
ともに制度設定をしていくことには苦労もありますが、事前に入念な擦り合わせをすることで制度そのものが自分事になり、新制度の運用開始、継続がスムーズに進むでしょう。
STEP3.評価方法、ルールの設定
策定した評価基準と項目をもとに、何段階でどのように評価するのかを具体的なフォーマットなどに落とし込みます。評価する人によってズレが起きないか、継続的に無理なく運用できるかという観点も合わせて検証しましょう。
評価を等級制度や報酬制度へ反映させる場合は、どのように従業員の処遇に関連するのか規定を明確にする必要があります。評価項目を体系化するとともに、項目のウェイトまで設定します。
労働組合のある企業の場合は、処遇の不利益が起こらないようにシミュレーションを行いながら意見を聞きましょう。
STEP4.(運用開始前)従業員への説明
運用開始前には、社内に評価制度の変更と制度の概要を周知します。変更や改訂の目的、誰が評価者となるのか、どういうステップや流れで行うのか、基準は何かなど、全体像をつかめるように説明しましょう。
STEP5.(評価後)結果は本人にフィードバックする
評価結果は、本人のその後の成長の糧になるものです。評価結果は本人にフィードバックすることで価値を発揮します。
書面で通知するのではなく、評価者と社員の1対1の面談で伝えるようにし、疑問点が出てきた場合はできるだけ早めに解消しましょう。
評価を伝えるなかで、制度の不備に気づくこともあります。それを加味して制度を整備していくと、より自社に適した制度へとブラッシュアップされていくことでしょう。