MBO(目標管理制度)とは?概要、メリット、注意点を解説

人材・組織 人事

MBO(=目標管理制度)とは、社員自らが目標到達までを管理することで、業務効率やモチベーションの向上につなげるマネジメントの概念です。「経営学の父」と呼ばれるアメリカの経営学者、ピーター・ドラッカーが提唱しました。

本記事では、MBOの概要から活用するメリット・デメリット、具体的な実践方法を解説します。 

【2022最新調査】組織マネジメントの実態レポートをご覧いただけます

人材やはたらき方が多様化し、「組織マネジメント」の重要性が高まっています。

パーソルグループでは、管理職および一般職1,000名を対象に調査を行い、 【組織マネジメントの実態調査レポート】を作成いたしました。

採用・離職、上司・部下の認識ギャップ、キャリアなどに焦点を当て、 組織マネジメントにおける課題や取り組みについてまとめたものです。

組織作りやマネジメントに課題を抱える経営・人事の方、管理職の方のご参考になれば幸いです。

資料をダウンロードする(無料)

目次

MBO(目標管理制度)とは

MBO(Management by Objectives)とは、日本語に直訳すると「目標管理制度」です。会社の方針と社員自身が目指したい方向性を擦り合わせ、一人ひとりに目標を設定し、成果までの道のりを管理することを指します。

MBOは、経営学における名著『マネジメント』を手掛けたアメリカの経営学者、ピーター・ドラッカーが提唱したマネジメントの概念です。

社員自らが目標到達までを管理することで、道筋が具体的に見え、業務効率の向上が期待できます。また、やりがいやモチベーション向上にもつながり、会社の業績やプロジェクトの成功などに結びつく、という考え方です。 

MBOと人事評価制度の関係 

日本でMBOが導入され始めたのは、1990年代後半です。バブル経済崩壊後、仕事の成果を評価基準とする成果主義が取り入れられたことで、MBOも同時に注目されました。成果主義導入の文脈でMBOが採用されたことから、日本では「MBO=人事評価」という誤った認識が定着してしまいました。

ドラッカーが提唱したMBOは、人事評価の手法ではなく、正しくはマネジメント手法です。

会社が設定する目標を上手に使って自己管理を促すことで、社員一人ひとりのやりがいやモチベーションを引き出します。目標を達成するために、スキルを磨いたり、パフォーマンスを高めたりといった 自発的な思いや行動が生まれます。  

関連記事「人事評価制度とは?テレワーク下で見直すべきポイントを解説」を見る

MBOとOKRの違い

MBOと似た「OKR」という考え方もあります。OKRとは「Objectives and Key Result」で、直訳すると「目標と主要な成果」です。アメリカではGoogleやIntelが採用したことで、大きな話題を集めました。

OKRは目標管理という意味でMBOと似ていますが、以下3つの観点で明確に異なります。

MBOとOKRの違い

 

目的

MBOは組織や個人の目標が最終的に組織の利益にリンクしますが、OKRはプロセスのマネジメントや、チーム力と生産性の向上を明確な目的としています。

共有対象範囲

MBOは基本的に部下と上司で共有しますが、OKRは全社員で共有します。

目標達成率の設定

MBOは100%の目標達成を目指しますが、OKRは60〜70%程度の達成を目指します。

MBOとOKRはどちらか一方を選択するものではなく、併用することでMBOの目標設定や手段がさらに具体的になるといった相乗効果が期待できます。

MBOのメリット

MBOを効果的に活用することで、以下のメリットが期待できます。 

部下の能力向上やモチベーションアップ

MBOは社員自らが目標設定を行います。そして、上司とコミュニケーションを図りながら、自律的に行動を起こし、最終的に自ら目標を達成できたかを評価していきます。

そのため、 MBOは自主性と創意工夫が求められます。自ら設定した目標を達成するために努力や工夫を重ね、スキルを磨くことで、モチベーションアップにつながります。 

指導するマネジメントのスキルアップ

MBOは部下とマネジメントが面談をし、部下が設定した目標が適切かを判断します。部下とのコミュニケーションや指導の機会が増えることで、マネジメント自身のスキルアップにつながるとも考えられます。

MBOの注意点

MBOはモチベーションやスキルのアップを促進することが期待されますが、取り組み方によっては逆効果を招いてしまう場合もあります。注意すべき2つのケースを紹介します。

モチベーションを低下させてしまうことがある

MBOは「目標が達成できたか」が明確になるため、結果にばかり注目してしまう傾向があります。

    • 個人目標と行動計画がともにマネジメントから決められた場合
    • 自分の実力以上に高い目標や、達成できるイメージが湧かない目標を強制された場合
    • 簡単に達成可能な目標を設定された場合 など

上記のように社員の自主性やアプローチを無視してしまうとモチベーションが低下し、スキル・能力向上も望めません。

また、経験の浅い新入社員や、MBOを導入して間もない企業の社員は、適切な目標の立て方がわからないことや、マネジメントから適切なフィードバックが受けられないことも、モチベーションの低下につながるため注意が必要です。

関連記事「フィードバックとは?ビジネスシーンで効果を高める技法も解説!」を見る

手段が目的化し、かえって業務効率を下げてしまうことがある

MBOの実施自体が重視されるがあまり、手段が目的化してしまうと上手く機能しないことがあります。

MBOは本来、社員自らが目標到達までを管理することで、成果を上げる手段です。ただ面談や目標管理だけが目的化し、面談の実施や成果の達成状況を共有するための作業負担が大きくなってしまった場合、かえって業務効率を下げてしまう可能性もあります。


【参考】パーソルプロセス&テクノロジー株式会社「目標管理の考え方とは?~導入の方法とメリット&デメリット

MBOの具体的な実践方法 

MBOの導入による失敗を防ぐには、下記のような手順でマネジメントに落とし込んで行くと良いでしょう。 

MBOの実践手順

    1. 目標を設定する
    2. 目標達成のための手段を決める
    3. 手段を行動に移す
    4. 評価・振り返り

 

1.目標を設定する

MBOで最も大切なのは、社員一人ひとりが自ら目標を設定することです。

会社の利益やビジョン実現に向けた個人目標なので、もちろん会社や部署の組織目標をしっかり理解した上で設定する必要があります。会社や部署の理想を押しつけると単なるノルマの設定になってしまうので、自主的な取り組みやモチベーションアップにはつながりません。

    • 組織目標の達成のために個人がどのような役割をこなすべきか
    • どのような能力を伸ばしていくべきか
    • 何が具体的にできるのか

という個人目標を設定していきます。なるべく具体的な数値目標、スキルアップなどの定性目標、期日などを明記して解像度を上げておくと良いでしょう。 

明確化した目標の例

「新規案件の獲得率を増やす」→「新規案件を50件獲得する」
「計算のスキルをアップする」→「簿記の資格を取得する」

設定した目標は、上司はもちろん同じ部署のメンバーと共有し、適切な内容であるかどうか、達成可能な目標であるかを検討します。

部下のモチベーションややりがい、動機づけのためには難易度の設定が重要です。難易度を下げればいいわけではなく、努力することで達成可能な目標であると考えられるものにします。 

2.目標達成のための手段を決める

目標が設定できたら、目標達成のための計画を決めていきます。期日から逆算して計画を設定し、Excelやスプレッドシート、あるいは専用ツールで目標管理シートを作成しましょう。

3.手段を行動に移す

目標と計画が設定できたら、行動に移します。

目標管理シートで期日までの時間や達成度を確認しながら行動し、不足や難度が上がり過ぎている部分があれば修正していきます。変更点や気づいた点は、随時目標管理シートに記入しましょう。

4.評価・振り返り

MBOは振り返りをしてはじめて効果を発揮します。上司と部下が目標達成に至るまでのプロセスや結果を共有しながら、部下自身の自己評価と上司による客観的評価、フィードバックを行います。

このとき、結果だけではなく、プロセスも含めて見るということが大切です。目標の内容や期限をいかに具体的に設定できたかによって、振り返りの粒度は細かくなるので、目標と計画はできるだけ具体的に設定する のが良いでしょう。

上司からのフィードバックでは、部下の昇進または降格や給与の増減といった話ではなく、今後期待する組織内での役割などについて話します。

部下からは、振り返りを題材にして今後のスキルアップやキャリアアップ、目標設定などについて相談すると良いでしょう。

関連記事「フィードバックとは?ビジネスシーンで効果を高める技法も解説!」を見る

MBOを正しく活用するためのチェックポイント 

MBOを正しく活用するためには、手順や準備が大切です。以下の1〜4の項目をチェックして、効果的にMBOを使いこなしましょう。

失敗しないMBOチェック項目

1.目標を設定する
□社員と上司がコミュニケーションを取って目標設定をしていますか?
□「新規案件の獲得率アップ」ではなく「新規案件を●件獲得」と具体的な目標を設定していますか?
□組織の目標や会社の利益と合致していますか?
□達成可能な目標を設定していますか?
□目標の期限を決めていますか?
□上司と部下の間で、目標や評価基準などの認識は一致しましたか?

2.目標達成のための手段を決める
□上司と部下がコミュニケーションを取って、目標に向かう手段を決めましたか?
□期日から逆算してスケジュールを組みましたか?
□目標管理シートを作成しましたか?
□目標管理シートには、数値の達成度以外にも項目を設けましたか?(スケジュール管理やトラブルへの対応、上司とのコミュニケーション頻度や精度など)

3.手段を行動に移す
□進捗確認の1on1ミーティングを実施していますか?
□適切な頻度で1on1ミーティングを実施していますか?

4.評価・振り返り
□評価は1on1ミーティングで会話をして決めていますか?
□結果だけではなく、行動・プロセスの評価をしましたか?
□MBOを人事評価に使っていませんか?
□次の目標設定をしましたか?

【出典】「正しい目標管理の進め方」(東洋経済新報社)、「目標管理の教科書」(ダイヤモンド社)を参考に作成

まとめ|これからのMBOに大切なこと

MBOは人事評価を目的としたものではありません。社員のはたらきがいに直結し、上司と部下の円滑なコミュニケーションにも大いに役立つ“手段”です。

個人の価値観が複雑で多様化する現代、社員一人ひとりのやりがいやモチベーションを引き出すことはとても難しいことです。しかし、正しい目的と知識を持って、MBOの運用に成功すれば、社員の幸せと会社の利益に直結させることができるはずです。

【2022最新調査】組織マネジメントの実態レポートをご覧いただけます

人材やはたらき方が多様化し、「組織マネジメント」の重要性が高まっています。

パーソルグループでは、管理職および一般職1,000名を対象に調査を行い、 【組織マネジメントの実態調査レポート】を作成いたしました。

採用・離職、上司・部下の認識ギャップ、キャリアなどに焦点を当て、 組織マネジメントにおける課題や取り組みについてまとめたものです。

組織作りやマネジメントに課題を抱える経営・人事の方、管理職の方のご参考になれば幸いです。

資料をダウンロードする(無料)

よくあるご質問

Q1.MBO(目標管理制度)とは?

A1.MBO(目標管理制度)とは、会社の方針と、社員自身が目指したい方向性を擦り合わせることで一人ひとりに目標を設定し、成果までの道のりを管理するマネジメントの概念です。アメリカの経営学者、ピーター・ドラッカーが提唱しました。

>>MBO(目標管理)とは

Q2.MBOとOKRは何が違う?

A2.MBOとOKRは「目標管理」という意味で似ていますが、違いは次の3点です。

・目的
・共有対象範囲
・目標達成率の設定

MBOとOKRはどちらか一方を選択するものではなく、併用することでMBOの目標設定や手段がさらに具体的になるといった相乗効果が期待できます。

>>MBOとOKRの違い

Q3.MBO(目標管理)を導入するにはどのような手順で行うべき?

A3.MBOの実践手順は以下の4ステップです。

1.目標を設定する
2.目標達成のための手段を決める
3.手段を行動に移す
4.評価・振り返り

MBOを適切に運用することで、社員一人ひとりのモチベーション向上につながるでしょう。

>>MBO(目標管理)の具体的な実践方法

ご相談・お見積り・資料請求等
お気軽にお問い合わせください

Webでのお問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

0120-959-648