人事異動を行う4つの意義とは?

定期的な人事異動を行っている企業は多くありますが、人事異動の目的は企業によって異なります。そもそも人事異動には、どのような目的があるのかを整理してみましょう。
1.人材構成の適正化
各業務の人員過不足の調整や新規部門の立ち上げといった事業ニーズへの対応は、人事異動の主目的です。このとき採用なども同時に行われることがあります。
事業推進上必要な人材・人員をタイムリーに確保することは、社員のワークライフバランスを改善し、離職率を低減させるためにも重要です。
2.組織の活性化
人事異動で組織の新陳代謝がよくなることで、組織の活性化につながります。
長期間、同じ業務に従事していると、従業員のモチベーションが低下し、生産性も低下する傾向があります。定期的に人事異動を行うことで、社員のマンネリが回避され、企業全体の活性化にもつながるでしょう。
実際に、パーソル総合研究所の「一般社員層(非管理職層)における異動配置に関する定量調査」によると、異動配置(社内人材の流動性)は、組織内の気軽な意見交換や協業を媒介し、事業・経営状況に正の影響を与えていることが示唆されています。

3.育成・キャリア開発
人材育成やキャリア開発を行うことも人事異動の重要な目的です。今いる環境とのミスマッチによって、なかなか能力を発揮できない人材のポテンシャル開花や、経営人材候補者の発掘・育成などを狙います。他部署への異動を通して新たなスキルや知見を得ることで、より一層の成長が期待できます。
パーソル総合研究所の「一般社員層(非管理職層)における異動配置に関する定量調査」によると、異動経験がある層は、異動経験がない層と比較して成長志向や学習意欲、キャリア自律度が有意に高いことがわかりました。

性別、年齢、勤続年数等を統制して行った重回帰分析でも同じ傾向が確認されており、異動経験によるポジティブな影響が見て取れます。
このような育成・キャリア開発目的の人事異動は、社員にとっても企業にとっても非常に重要なものです。しかし現実では、前述したような事業ニーズによる異動が優先され、ともすると、育成・キャリア開発目的の人事異動は優先順位が後回しになりがちです。
4.コンプライアンス
人事異動には、定期的に担当者を入れ替えることで長い間同じ業務に携わることによる癒着や不正行為を防止する役割もあります。特定の職務については、定期的にローテーションを内規で定めていることがあります。