「タレントマネジメント」で効果的な人材配置と育成を実現する

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人材不足が慢性化する中、限られた人員で企業の目的を達成するための人材マネジメントとして注目されているのが「タレントマネジメント」です。言葉の意味や背景、成功事例を紹介します。

コロナ以降の人事戦略2021最新動向レポート

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目次

時代の変化に対応するためのタレントマネジメント

日本ではタレントマネジメントを、「スキルや経験、潜在能力といった個人のタレントに応じた人材マネジメントを行うこと」「個々のタレントを把握し、育成し、適材適所に配置するという概念」などと表現します。

一方、米国では「優秀な人材の早期発掘、適正配置、育成支援に至る一連のプロセスを統合的に捉える人材マネジメント」として使われることが多いようです。

日本では対象が、社員に限らず、パート・アルバイトを含む、組織における全従業員が対象です。その背景には、超高齢社会に加え、慢性的な人材不足であること、そしてダイバーシティが進み、企業は社員一人ひとりと向き合うことが求められる時代になったことが挙げられます。こうした変化への対応策として、個々の従業員についてタレントを把握し、適材適所で配置、限られた人員でパフォーマンスを最大限に発揮するタレントマネジメントが関心を集めているのです。

タレントマネジメントは目的達成のための手段

新規事業の立ち上げなど目的の達成に向け、戦略的に人材配置や個々の能力の最大化を図っていくことがタレントマネジメントの要です。この「目的」は短期的なものではなく、中長期的なもの。経営戦略に基づく中長期的な目的に向け、人材を活かすという姿勢がタレントマネジメントの基本です。

統合的・総合的な視野を持つことも要点です。人材マネジメントには、採用、配置、目標設定・評価、業績賞与といったさまざまな機能があります。これまでは、そうした各機能がバラバラに実施されていたのではないでしょうか。

タレントマネジメントは、人材マネジメントにおける全機能の基準となる「目的」を設定します。目的があるからこそ、そこに向けて統合的・総合的に人材マネジメントを行えるのです。手段はICTなどテクノロジーを活用するのが効率的です。

タレントマネジメントの必須要件

1.経営や事業が求める成果の創出を目的とした「手段」であること
2.目的達成に向け、「統合的・総合的」に人材マネジメントをデザインすること

タレントマネジメントのメリット

タレントマネジメントを導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。大きくは次の4つです。

1.組織・人材の活性化

キャリアアップを望む人、優秀な実績を挙げている人、まだ活躍機会を得られていない人、成長スピードが緩やかな人まで、企業にはさまざまな人材がいます。そうした一人ひとりの特性やインサイトを踏まえたマネジメントがタレントマネジメントなので、一部の人材ではなく、組織全体の活性化が期待できます。

2.人材の適正配置の実現

従業員は一人ひとり豊富な「タレント」を備えています。それをきちんと把握できれば、最もパフォーマンスの上がるジョブを充てることができ、適正な人材配置も可能になります。例えば、営業部では力を発揮できなかった人材でも、人事部が求めているスキルを潜在的に持っている、ということがあるかもしれません。

また、将来的に経営を担えるようなタレントがある人材は、早くから経営の中枢に置いて経験を積ませる、という配置もできるでしょう。

3.中長期的な戦略づくりの実現

タレントマネジメントには育成という面もあるので、人材マネジメントは5年後、10年後を見据えた中長期的な視点で臨むことになります。これからの成長や存続を見据え、中長期的な戦略に迷う企業も多いと思います。しかし、発掘したタレントから中長期で成長させる戦略を描くこともできるようになるでしょう。

すでに成長戦略が固まっている場合は、タレントマネジメントと無理なくリンクさせることができます。

4.エンゲージメント向上

企業と従業員は、忠誠心ではなく「エンゲージメント」で結ばれるのが望ましいといわれています。エンゲージメントとは、お互いが対等な立場から信頼することで成り立つ結びつき、という意味合いです。

タレントマネジメントを導入すると、職務能力に限らない汎用性のある能力や、将来身につくスキルにも目を向けられます。一人ひとりの適性を見極めた人材配置が実現され、成長や企業への貢献を実感しやすくなります。その結果、相互の信頼関係は深まり、エンゲージメントが高い企業へと成長することができます。

タレントマネジメントの実施サイクル

ここからは、タレントマネジメントをどのように進めるかを解説します。ただし、タレントマネジメントには決まったシステムがあるわけではなく、企業によって進め方はさまざまです。参考として、基本的なサイクルをご紹介します。

タレントマネジメントの基本的なサイクル

 

【出典】株式会社パーソル総合研究所「タレントマネジメント」の図を改変

導入目的の設定

まず、企業のビジョンや経営戦略を基に、「なぜ自分たちが人材マネジメントを行うのか」を明確にすることから始めます。目的によって、タレントの開発や活用、人材配置において「どのようなタレントが必要か」といった判断の基準が大きく変わるからです。

目的に合わせてタレントの活用方法を考え、部署ごとに必要なタレントを設定し、人材マネジメント全体の設計をします。一度タレントを設定しても、目的を念頭に置いてメンテナンスを行い、精度を上げます。

適材の発掘

設定した目的をもとに行うべき次のステップは、目的に適した人材の発掘です。目的設定の段階で「この部署にはこんな人材がほしい」という具体的なタレントが判明しています。そのタレントを探すためには、全スタッフの情報をデータ化・セグメント化し、整理することが有効です。個人のプロフィールや経験、保有資格、キャリアプランなどを網羅的に把握するには、ICTを活用するとスムーズです。

現在、データ化を実現するタレントマネジメントシステムがさまざまな企業から開発されているので、自社に合ったものを選ぶことができます。

適正な活用

タレントを発掘した後、目的にかなうようにタレントを活用します。個人のプロフィールや保有資格など整理されたデータを使い、最適な人材を配置します。このとき、従業員個人のキャリアプランを踏まえ、会社として中長期の視点を持ち、人材を活用することがポイントです。

部署連携による育成・評価

配置後は、現場のマネジャーが重要な役割を担います。従業員個々のタレントはずっと同じ状態ではなく、伸びたり衰退したり変化をするので、マネジャーはその状況を把握する必要があります。把握した最新情報は人事部門と共有し、データ化された情報を更新することが望まれます。

現場のタレントマネジャーは重要なので、企業はタレントマネジャーに特別な教育をする必要があるでしょう。また、目的に沿って、従業員のタレントを育成・評価できるような仕組みを整えることも必須です。

加えて、新しいタレントの開発機会を積極的につくりましょう。開発機会になり得るのは実務や役割、研修、異動などです。新しいタレントが見つかれば、集積している個人データを更新し、活用方法や育成方法について考え直すメンテナンスを行います。このように、現場と経営陣が連携してタレントの育成・評価に取り組む状態が理想的です。

リテンション

人事におけるリテンションとは、一般に従業員を企業内に留める施策のことですが、ここでは各従業員と企業との結びつきを維持することを指します。

リテンションにはさまざまな方法があります。例えば、スタッフの体調やモチベーションといった感覚的な情報、いわゆる「定性データ」を集積することで、適切なサポートをタイムリーに提供できるようにする方法があります。そのほか、従業員が相談を書き込めるシステムを導入し、従業員数の多い企業でも個別の相談に対応しやすくする方法もあります。リテンションを行うことで、従業員の定性データを集めやすくなるとともに、正確な把握ができ、タレントマネジメントの成功につなげることができます。

タレントマネジメントの成功事例

実際にタレントマネジメントを導入した企業の成功事例を紹介します。

全国展開するフランチャイズ型チェーンの例

業種:メディア事業、アミューズメント事業
従業員数:5,000名以上(グループ全体)
資本金:50~100億円

店長のパフォーマンスによって店舗売り上げが大きく左右されるので、店長候補となる人材をいかに確保するかを重要視していました。そこで、以前よりパート・アルバイトから店長候補者の社員登用を積極的に実施。タレントマネジメントを実践できるICTを導入し、次のような施策を行いました。

・パフォーマンスの高い店長の要件をデータ解析
・社員候補のパート・アルバイトについても一人ひとりの事業適性、意欲、スキル情報、商品知識などの情報を月次でデータ収集・更新

これにより、店長候補をすぐ検索できる仕組みを構築しました。またデータ化・セグメント化ができたことで、リテンション向上にもつなげています。各地のスタッフからの相談をデータで集める仕組みを整え、対応の緊急度が高いスタッフを定期的に検索し、相談内容に応じてサポートするというリテンションの仕組みを生み出しました。自社の目的に合った人材の発掘・確保と、多拠点型事業でありながらきめ細かなリテンション対応を行うことに成功した事例です。

若手社員の早期育成を目指した事例

業種:総合商社
従業員数:2,000名以上(単体)
資本金:1,500億円以上

持続的成長のため、グループ内に多数ある事業会社の経営領域に若手社員をアサインする方針を取り、若手社員の早期成長が重要テーマとなっていました。しかし、商社特有の縦割りの組織運営がベースにあるなど、既存の人材マネジメントでは解決できない問題を抱えていましたが、タレントマネジメントを次のように導入しました。

・データベースを構築し、全社横断的に人と組織を「見える化」
・人事評価にメリハリを付けることで、人材の積極的な登用をスタート
・複数のシステムに分散して蓄積していた人事、評価、目標設定、アセスメントなどさまざまな社員情報を一元化
・本人が希望するキャリアプランを上司と共有する場の設定
・スキルなどのハードデータだけでなく、性格や行動特性、上司や仲間との相性などソフトデータも蓄積
・事務職を含む全社員が活躍できる環境整備

これにより、若手社員の活躍機会が広がるとともに、社員の成長に対する会社のサポートをより手厚くすることに成功しました。また、人事に関わる業務効率も格段にアップしました。

【出典】株式会社パーソル総合研究所「タレントマネジメントシステム「HITO-Talent」 事例」

タレントマネジメントは目的の明確化から

タレントマネジメントは会社の成長を助け、個人のはたらき方をフォローすることもできますが、短期的に結果を求められるものではありません。

まずは、ファーストステップとして導入目的を明確にすることが大事です。目的がなければ、社員の納得感も得られず、得た情報の活用法を間違えてしまいます。会社の中長期的な経営戦略のもと、どのような目的で人材マネジメントを行うか整理をすることから、タレントマネジメントを始めてはいかがでしょうか。

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