人材マネジメントの基本を解説|最適化の手順とポイントをわかりやすく

企業をとりまく環境が大きく変化している今、企業の競争力強化のために、限られた人材をいかに有効活用するかが重要な課題になっています。そのため、人材を有効活用していく仕組みである「人材マネジメント」への注目が高まっています。

本記事では、人材マネジメントとは何かといった基本的な知識や、人材マネジメントを構築するうえでのポイントについて解説します。

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目次

人材マネジメントとは

人材マネジメントとは、経営戦略の実現にむけて、戦略的に人材配置を行ったり、個々の能力の最大化を図ったりすることで、人材を有効活用していく仕組みのことを指します。

▼取り組み例

・評価や昇進のシステムを整える
・自社社員が自身のスキルを向上できる環境を整える

適切な人材マネジメントは社員のエンゲージメント向上につながるため、結果的に企業の成長にも寄与していきます。

「人事管理」や「労務管理」との関係

人材マネジメントと似た言葉に「人事管理」や「労務管理」といったものがあります。これらは人事といった点では深く関連していますが、人材マネジメントには、「管理」だけでなく「経営」「マネジメント」の視点も含まれています。企業成長に欠かせない一要素として、人材を捉えているのです。

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人材マネジメントを構成する6つの要素 

組織が人材マネジメントを取り入れようとするときに、仕組み化して管理・最適化すべき内容は、主に6つの要素に分けることができます。

採用 自社の経営戦略にあわせて、必要な人材像を明確にします。自社ニーズに合致した人材を採用することで、企業価値を高めることができます。
育成 自社社員の能力を高めるため、職種や役職にあわせて必要な育成を行います。入社時の研修やOJT、セミナー等の実施によって、社員一人ひとりのスキルを向上することができます。
評価 社員のはたらきにあわせて、適正な評価(昇給・昇格)を行います。客観的かつ、やる気を引き出す評価制度を構築することで、社員のモチベーション向上に繋げることができます。
処遇 業務内容や能力、はたらきに応じた、給与や福利厚生を報酬として与えます。成果が正しく評価され、適切な報酬を得ることができる仕組みであれば、社員はより意欲的に業務へ取り組むことができます。
配置 人材を適切な部署に配置します。定期的な配置の見直しを行うことで、より個々の能力を発揮できる場所を見つけることができます。
休職・復職 社員の体調不良やライフステージの変化の際に、適切な休暇を設けます。必要なタイミングで休める安心感を得ることでスムーズな復帰にもつながるため、自社に長く勤めてくれるでしょう。

適切な人材マネジメントを行っていく際には、上記6要素を定期的に振り返ってアップデートし続けることが大切です。人材マネジメントを構築する際のポイントは後ほど解説します。

人材マネジメントが注目されている背景

なぜ今、人材マネジメントが注目されているのでしょうか。背景には、2つの要素が関係していると考えられます。

    1. 少子高齢化による人材不足
    2. 働き方改革の浸透

1.少子高齢化による人材不足

一つは、少子高齢化による人材不足が挙げられます。

パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2030」によると、少子高齢化やサービス産業化の進展により、2030年には644万人の人材が不足すると言われています。

労働市場の未来推計2030

【参照】株式会社パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030

こうしたなか、限られた人材リソースを有効活用するため、従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大限に伸ばし・引き出すことを目的として人材マネジメントに注目が集まっています。 

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働き方改革の浸透

はたらき方の多様化により、従来と異なる環境においてどのように生産性の向上を図るか、という観点でも人材マネジメントの在り方を見直す動きが活発化しています。 

政府による働き方改革の推進により、2019年4月に労働基準法が改正されました。時間外労働の上限規制や年次有給休暇の確実な取得、フレックスタイム制の拡充などが定められたことで、国としても多様なはたらき方を選択できる社会を目指していることがわかります。

また、2020年2月にリクルートマネジメントソリューションズが行った『働き方改革』と組織マネジメントに関する実態調査によると、

長時間労働者や総労働時間の減少といった成果を実感している割合が62.3%
・業務効率や労働生産性の向上に関しては、36.5%

といった実態が明らかになりました。つまり、働き方改革の成果を実感している割合は増えているものの、生産性向上については半数ほどしか実感できていないのです。働き方改革を通じた成果実感


【参照】株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「『働き方改革』と組織マネジメントに関する実態調査

今後も多様化するはたらき方にあわせた新しい仕組み(=人材マネジメント)が必要であるといえるでしょう。 

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今後の人材マネジメントの動向

厚生労働省の調査によると、今後の人材マネジメントの考え方として、内部人材を育成していくことを重視する企業の割合が高まっています

今後の企業の人材マネジメントの考え方


【参照】厚生労働省「労働経済の分析ー働き方の多様化に応じた人材育成の在り方についてー

人材マネジメントにより、社内人材のパフォーマンスを向上させることで他社に負けない特色や強みを発揮できるようになります。その結果、企業の競争力強化や、従業員のエンゲージメント向上につながっていくと考えられます。

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人材マネジメントを構築する際の手順とポイント 

では、企業が適切な人材マネジメントを行っていくには、どのようにすればよいのでしょうか。ここでは人材マネジメントを構築する際の手順と ポイントを紹介します。

  1. 経営戦略を明確化する
  2. 現状の人的資源を可視化する
  3. 経営戦略を達成するための人的資源の在り方を検討する

1.経営戦略を明確化する

自社の経営戦略と人材マネジメントは同じ方向性であることが、人材マネジメント構築では何より重要になります。

そもそも人材マネジメントとは、企業が掲げる目的(=経営戦略)の達成にむけて、人材を有効活用していくための手段にあたります。

まずは自社の経営戦略を明確化し、経営戦略を実現するための自社の人的課題を見つけ、どう解決すべきかを考えることで、目的達成へ近づくことができるのです。 

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2.現状の人的資源を可視化する

企業の経営戦略がはっきりしたら、課題解決を目的とした人材発掘にむけて、既存社員の情報を整理しましょう。

▼課題整理のポイント例

・既存社員がスキルを得ることで解決できるのであれば「育成」
・最適な人材がいない場合は「採用」
・適材が別部署にいる場合は「配置の見直し」

このように、どのような方法が自社にとってベストかは解決したい課題によって異なります。

3.  経営戦略を達成するための人的資源の在り方を検討する

最後に、経営戦略を達成するための人材配置や育成、評価等を検討し、実行に移しましょう。

人材配置

目標達成のためにはどのような配置が適切かを考えます。個人のプロフィールや保有資格、経験、キャリアプランなど多くの情報をもとに、最適な人材を配置します。個人のキャリア計画はもちろん、自社の経営戦略実現にむけて、中期的な視点を踏まえて行いましょう。また、新たに配属する人材だけを見るのではなく、会社全体のバランスを念頭に置いておくとよいです。

関連記事「戦略的な人員配置をどう行うか|ミスマッチの原因や最適化する方法を解説」を見る

人材育成・評価

従業員が自身の役割を明確化しパフォーマンスを最大限発揮できる環境にするために、従業員自身が主体となって目標を決めるようにしましょう。

人材マネジメントを行う際は、トップダウンのコミュニケーションに陥りがちです。しかし、他者が与えた目標よりも自身で立てた目標のほうが、達成へのモチベーションが上がりやすいでしょう。

目標を達成できた際のインセンティブや、従業員自身が部署異動の希望を出す「社内FA制度」などを効果的に取り入れるなど、より主体的にはたらくことができる仕組みに整える必要があります。

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まとめ

企業を取り巻く環境は、日々急速に変化しています。人材マネジメントも変化に対応し、アップデートしていくことで、企業の競争力強化につながります。いま一度、自社の人材マネジメントを見直すことで、他社に負けない特色や強みを発揮できるような仕組みを整えましょう。

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よくあるご質問

Q1.人材マネジメントとは?

A1.人材マネジメントとは、経営戦略の実現に向け、戦略的な人材配置や従業員一人ひとりの能力の最大化を図ることで、人材を有効活用していく仕組みのことを指します。

>>人材マネジメントとは

Q2.人材マネジメントはなぜ必要?

A2.少子高齢化による人材不足、はたらき方の多様化といった背景から、今後は一人ひとりの生産性を上げていくことが企業にとって重要になるためです。特に、人材獲得競争が激化していることから、社内人材の育成を重要視する動きが高まっています。

>>人材マネジメントが注目されている背景

Q3.人材マネジメントは何から始めれば良いですか?

A3.まずは自社の経営戦略を明確にし、経営戦略を実現するための人的課題を見つけます。洗い出した課題の解決策を考えることが人材マネジメントの方向性を決める第一歩です。

>>人材マネジメントを構築する際の手順とポイント

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