人事管理とは?目的や労務管理との違い、具体的な業務を解説

人事管理とは企業の目標達成のため、従業員が最大限の成果をあげられるような体制やルールを整えることです。

企業が競争力を高めるためには、日々変化する外部環境に対応した適切な人事管理を行い、従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できるような仕組みづくりが必要です。

本記事では、人事管理に求められる役割や具体的な業務について解説します。自社の人事管理を見直したい担当者の方はぜひご覧ください。

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目次

人事管理とは

人事管理とは、企業の目標達成のために従業員が最大限の成果をあげられるような体制やルールを整えることです。具体的には、以下のような人事に関する業務全般を指します。

    1. 採用
    2. 育成
    3. 評価
    4. 配置
    5. モチベーション管理

1.採用

採用戦略から採用計画の立案、以下のような採用活動の企画・実行まで業務が多岐にわたっています。

    • 求人広告の作成
    • 求人票の作成
    • 応募者との面接
    • 内定者との連絡や各種調整

採用活動はあらゆるチャネルを活用して候補者にリーチし、日々候補者と接点を持つ必要があります。

関連記事「正しい採用計画の立て方とは?4つのステップと留意点を解説」を見る

2.育成

経営戦略から求める人材像を定義し、従業員の能力や適性に合わせた人材育成計画を立案、実行します。人材育成の手法は大きく以下の3つに分けられます。

    • OJT(On-the-Job Training):職場の上司や先輩社員がトレーナーとして指導
    • Off-JT(Off-the-Job Training):職場や通常の業務から離れて行う教育・学習
    • 自己啓発:社員が自主的に自らスキルの習得・向上を目指す

習得してもらいたいスキルや知識、段階に応じて、各教育手法を使い分けるのが重要です。

関連記事「人材育成とは?基礎から実践の手法、計画の立て方を解説」を見る

3.評価

評価制度の作成や運用も人事管理の重要な業務の一つです。評価制度の指標としてよく用いられるのは以下の5つです。

    • スキル
    • 実績
    • 勤務状況
    • 職務遂行能力
    • 会社に対する貢献度

上記の指標を評価に落とし込む手法の例としては、目標と測定可能な結果をリンクし、達成度を測るOKR(Objectives and Key Results)や、上司だけではなく同僚や部下などから多面的に対象者を評価する360度評価などがあげられます。

なお、評価制度は透明性があることが重要です。評価の基準が不透明な場合、「正当に評価されていない」「頑張っても評価されない」という意識になり、モチベーションが低下してしまう場合もあります。 

関連記事「人事評価制度とは?テレワーク下で見直すべきポイントを解説」を見る

4.配置

従業員のスキルや実績を踏まえ、適材適所に異動・配置することで、生産性向上や組織全体の活性化につなげます。適切な人員配置を実現するためには、

    • ミドルパフォーマーに目を配る
    • 人材データを人員配置に利用できる粒度にする
    • 社内公募の充実・多様化を図る

といった視点が必要になります。 

5.モチベーション管理

従業員のモチベーションを把握し、高めることも人事管理において重要です。モチベーションが下がる要因はさまざまで、それぞれの要因に合わせた対処が必要です。

モチベーション低下を引き起こしやすい要因としては下記が挙げられます。

    • 自己評価と会社の評価の乖離
    • 人間関係の悩み
    • やりがいを感じない(職務内容への不満)

具体的な解決策としては、1on1ミーティングメンター制度の導入などがあります。コミュニケーションの機会を制度として設けることで、従業員の悩みを拾いやすくなる効果が見込めます。

モチベーションが上がることで、生産性向上や離職防止にもつながるでしょう。

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人事管理と労務管理、人材管理、タレントマネジメントの違い

人事管理と似た言葉として「労務管理」「人材管理」「タレントマネジメント」があげられます。それぞれの言葉の意味、人事管理との違いについて整理します。

労務管理との違い

労務管理は人事業務のうち、労働条件や労使関係に関する部分を指します。具体的には、給与計算や勤怠管理、社会保険業務を担います。

これに対して、人事管理は人材の処遇全体をカバーし、労務管理も含んでいます。

人材管理・タレントマネジメントとの違い

人材管理とタレントマネジメントは、ほとんど同じ意味で使われる言葉で「自社のタレント(従業員)が持つスキルや経験、潜在能力を把握・育成し、適材適所に配置することで企業の成長につなげていく総合的な人材マネジメント」のことです。

人事管理は人事部の業務としての意味合いで使われることが多い一方、人材管理やタレントマネジメントは、従業員のモチベーション、パフォーマンス、ビジョンといったスキル・能力に重きを置いており、人事の業務領域に限らない考え方・取り組みを表しています。  

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人事管理に期待される役割

人材不足や働き方改革への対応、生産性向上の観点から、人事管理には大きく以下の2つの役割が期待されています。 

1.企業や従業員を取り巻く環境変化への対応

2019年4月から施行された「働き方改革関連法」により労働基準法が改正され、時間外労働の上限規制や有給休暇取得が義務化されました。

人事管理には、こういった法的な要請に柔軟に対応し、従業員がいきいきとはたらきやすい環境を作ることが期待されています。 

2.従業員が持つスキル・能力を最大限発揮できる体制づくり

パーソル総合研究所の調査によると、2030年には644万人の人手不足になる見込みです。

【出典】株式会社パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030

なかでも現在も人手不足の傾向にあるサービス業、医療・福祉業などはより深刻な問題になると考えられています。人手不足が進むと、優秀な人材の確保がより困難になるでしょう。

関連記事「人手不足の現状と原因|深刻な業界と6つの解決策【データあり】」を見る

そのため、成果を適切に評価する仕組みと一人ひとりがモチベーション高くはたらくことができる環境を整えることが重要です。 

厚生労働省の調査によると、はたらきがいの有無と労働生産性の向上は正の相関関係にあることがわかっています。


【出典】厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析

適切な人事制度の設計と運用により、はたらきがいと生産性の好循環を生み出し、従業員が持つスキル・能力を最大限発揮できる好循環を実現することが、人事管理に期待されています。

まとめ

人事管理とは企業の目標達成のため、従業員が最大限の成果をあげられるような体制やルールを整えることです。めまぐるしく外部環境が変化する中で、企業が競争力を強化していくためには、変化に対応した人事管理が求められています。

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よくあるご質問

Q1.人事管理とは?

A1.人事管理とは、企業の目標達成のため、従業員が最大限の成果をあげられるような体制やルールを整えることです。具体的には、採用や育成、評価、配置といった人事に関する業務全般を指します。

>>人事管理とは

Q2.なぜ人事管理が必要なのか?

A2.人手不足や働き方改革といった背景から、従業員の成果を適切に評価する仕組みを整え、一人ひとりがモチベーション高くはたらきやすくすることで企業全体の業績向上にも良い影響をもたらすことが人事管理に期待されています。

>>なぜ人事管理が必要なのか?期待されている役割

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