効率的な採用活動を実現するためのターゲット設計のステップとは
「応募は集まるものの、自社にマッチする人材が採用できない…」
「採用後の離職率の高さに歯止めをかけたい…」
このような課題は、自社が採用したい人物像をはっきりとさせ、ターゲット設計を見直すことで解消できます。ターゲット設計は、効率的な採用活動にもつながります。
【ターゲット設計で踏むべき5つのステップについて】まとめた資料を公開しておりますので、ぜひお役立てください。
採用計画とは
採用計画とは、採用活動の指標となる計画のことを指します。採用活動は、以下図のように「母集団形成」「応募受付・書類選考」「面接選考」「内定対応」といった大まかに4つのフェーズで進行します。
採用計画は、
・いつまでに
・どのような人材が
・何人ほど
・どのような理由で
必要になるのかを具体的にイメージして、計画を立てていくことが大切です。採用計画によって採用や配置を適切に行うことができれば、事業の成功にも直結します。
採用計画はなぜ必要か
採用計画の必要性が高まっているのは、2018年に経団連によって「採用選考に関する方針」が廃止となったことが一つの理由と考えられます。
就職活動に関するルールの取り決めが経団連主導から政府主導へと変わり、それによって広報・採用活動の要請が出るタイミングが以前と比べて数カ月後ろ倒しとなりました。結果として各企業が選考にかけられる時間が短くなったため、より計画的な採用を行う必要性が生じています。
<2019年度卒までのプロセス>
経団連(日本経済団体連合会)が採用指針および日程を作成。その後、大学側が申合せを行い、関係省庁が連名で経済団体等に対して遵守等を要請。
<2020年度卒からのプロセス>
関係省庁が就職・採用活動の日程を「連絡会議(下図)」にて検討し、関連団体等に対して要請。
【参照】関係省庁連絡会議「就職・採用活動日程に関する考え方」
また、新型コロナウイルスの影響もあり、企業説明会等が延期や中止となっている企業も少なくありません。既に採用計画を策定している企業も、計画を見直したほうが良いといえるでしょう。
採用計画はどう立てる?適切な立案をするための4ステップ

それでは、採用計画を実際に立案する際のプロセスを見ていきましょう。大きく分けて4つのステップで進行します。
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- 採用目的を明確にする
- 採用ターゲット・要件を決定する
- 採用スケジュールを立てる
- 採用チャネルを決定する
1.採用目的を明確にする
採用計画を立てるにあたり、まずは採用活動を行う目的を明確にしましょう。採用によって何を実現したいのかを考えると、採用すべき人物像やスケジュールが見えてくるためです。
目的の明確化には、事業戦略と現場の状況理解が必須です。
まずは経営部門が描いている目的を達成するための事業戦略を整理しましょう。戦略を実現するためにどのようなスキルや経歴をもつ人材が必要か、いつまでに採用すべきかが変わってきます。
また、現場へのヒアリングを行いましょう。採用した人材が活躍するのは現場部門となるため、採用の目的をすり合わせておくことで入社後のミスマッチを防ぐことができます。
2.採用ターゲット・要件を決定する
目的を明確にできたら、次は以下の項目を決めていきます。
・求める人物像
・採用予算・採用緊急度
・採算が合う採用単価
・選考ステップと評価基準
・求める人物像
求める人物像が漠然としていると、採用したものの、組織戦略とのミスマッチが起こったり、選考がスムーズに進まなかったりする可能性があります。求める人物像についてはどのようなポジション・役割で入社後に活躍してもらうのか、定性的・定量的に具体化し、求人情報に示しましょう。
・選考ステップ
効果的な選考ステップは、置かれている状況によって異なってきます。例えば、緊急度が高く、急いで採用したい場合は、求人広告の掲載に並行してスカウトメールを積極的に送るなど、短期集中で施策を組み合わせると効果的です。
一方、対象者が明確に絞れており、予算も限られている場合には、対象者を抽出したあと個別にメールを送ったほうがマッチングの度合いも高くなり、採用後の定着にも繋がります。
もし、自社でターゲット像を描くことが難しい場合は、採用市場を知り尽くしたプロへのアウトソーシングも一手です 。アウトソーシングをご検討の際は、ぜひこちらからお問い合わせください。
3.採用スケジュールを立てる
採用スケジュールは、主に以下の要素で構成されています。
・採用カレンダー
・求人掲載期間
・選考期間
・研修期間
「いつまでに、どんな人物が、何人欲しいか」と具体的なゴールを考えたうえで逆算していくとよいでしょう。また、過去の採用スピードや現在の人的リソースを考慮したうえで、無理のないスケジュールを作成しましょう。
4.採用チャネルを決定する
最後に、採用チャネルを決定しましょう。採用チャネルとは、採用活動に際し候補者にアプローチする手段のことで、主に以下の3つに分けられます。
求人広告など、不特定多数の候補者に向けてアプローチする手法で、母集団形成に有効
専門的な知識や技術をもつ人材を探す際に有効
企業から求職者に直接アプローチするので、求める人材をピンポイントで発掘が可能
従来は求人広告や人材紹介など企業が希望者を待つ、いわば「受け身の採用」が主流でしたが、デジタル化や労働人口減少の影響によって採用チャネルは多様化しています。
求める人材にピンポイントでアプローチすることで、ミスマッチを防ぐ効果が見込めるダイレクトリクルーティングにも注目が集まっています。どの手法を活用するか、自社に合う方法を検討しましょう。
新卒採用と中途採用の採用計画の違い
採用計画を立てる流れは同じですが、新卒採用と中途採用では、採用対象や採用基準などさまざまな違いがあります。採用計画を立てるときにもそれぞれの特徴を踏まえることが大切です。
新卒採用と中途採用の違い
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新卒採用 |
中途採用 |
採用対象 |
社会人未経験 |
社会人経験者 |
採用時期 |
一括採用(定期) |
不定期採用(通年) |
採用基準 |
・●●年度に大学を卒業する者 ・大学卒業後3年以内の者 など |
・募集時に即戦力となるスキルを保有していること |
新卒採用のポイント
新卒採用は、社会人経験のない学生が主な対象になります。職歴や専門的な資格を持っていないことが多いため、どのような業務が適しているかは企業側で判断する必要があります。
中途採用に比べ、面談回数を多くとったり、複数の部署の社員と話す機会を作ったり、密なコミュニケーションも求められます。また、社会人となることに不安を感じる内定者に対するフォローも必要です。
新卒採用ならではの工数を把握して採用計画を立てることがポイントです。
中途採用のポイント
中途採用はスキルや経験が明確であるため、即戦力人材となることが期待できます。
新卒採用は毎年同じような時期・スケジュールで行われる一方で、中途採用は欠員が出たり補充が必要になったりしたタイミングで募集が行われるのが特徴です。そのため、いつまでに・どんなスキルをもった人材を採用する必要があるかを逆算して採用計画を立てることが求められます。
また、コロナ禍で採用活動を控えていた企業が採用活動を再開しており、今後中途採用市場が活性化すると予想され、優秀な人材の獲得競争が激しくなります。中途採用を成功させるためにも、下記3つの要素を考慮し採用計画を立てましょう。
- 採用ターゲットからの応募を集めること
- 選考スピードを上げること
- より多くの情報を提供して応募者を惹きつけておくこと
【参照】パーソルキャリア株式会社「中途採用とは?新卒採用との違い、採用計画から選考・入社まで完全解説|doda(デューダ)」
より効果的な採用をするために考えるべきポイント
採用計画立案のプロセスについて理解いただけたでしょうか。次に、より効果的な採用を行うためのポイントをご紹介します。
競合他社と自社の違いを明確にする
注意したいのは、競合他社=同業種の企業とは限らないことです。
例えば、同業種だとしても、求める人材が「人事」「営業」と異なれば、競合にはなりません。また、異業種だとしても、「同じ地域だから」「採用条件や待遇が似ているから」などの理由で競合になることもあり得ます。
つまり、採用ターゲットが何を希望するかによって、競合は変わってくるのです。自社との差別化を図るためにも、採用条件や福利厚生、企業のアピールポイントなど、採用市場や競合他社の動向をチェックしましょう。
また、株式会社ディスコの「2023年卒 9月後半時点就職意識調査」によると、就活生が就職活動に関する情報を入手する先は、就職情報サイトに次いで各企業のホームページ(採用サイト)が全体の7割ほどとなっており、多くの就活生がホームページをチェックしていることがうかがえます。

【参考】株式会社ディスコ「9月後半時点の就職意識調査」
自社の魅力を伝えるために、自社採用サイトを充実させるのも効果的でしょう 。
採用成果が出ない場合は、ターゲットや手法から見直す
採用計画通りに採用活動を進めていても、思うような成果が出ないことがあります。そのような時には、採用したい人物像が本当に存在しているのか、手法(施策)は適切か、一度見直してみましょう。
例えば、「新卒社員を募集したい」のであれば求人サイトや就職説明会が有効です。しかし「一刻も早く人材が必要」な場合は、求人サイトや就職説明会では採用までに時間がかかってしまいます。求める人材や職種にあわせた採用手法を選択するためにも、成果が出ない場合は大元から見直しを検討しましょう。
中長期的な目線で計画を立てる
採用計画を立案する際には、5年後、10年後といった中長期的な採用ニーズまで想定して計画を立てましょう。
「欠員があるから今すぐ人材がほしい」「新規プロジェクトを強化したいから人材が必要」など、目先の採用ニーズは顕在化しやすい部分です。しかし、中長期的な目線で採用計画を立てておかないと、「若手の人材を採用して組織拡大したい」と考えた時には、少子高齢化の影響もあり今よりも採用の難易度があがっているかもしれません。
事業計画や経営計画をもとに、自社の組織強化や拡大、技術の継承を視野に入れた計画立案を行いましょう 。
また、採用計画立案後も、日々の数字や実績を追って、適宜見直しや軌道修正を行いましょう。
採用業務の効率化を図る
採用業務は採用計画の策定だけでなく、計画に基づいて求人広告の作成や面談のセッティング、内定者のフォローまで多岐にわたります。
採用業務を効率化することで、内定者のフォローに注力できるため内定承諾率が向上したり、より多くの求職者にアプローチができたり、優秀な人材の採用につながります。以下のような手法を活用し、採用業務を効率化しましょう。
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- 採用プロセスの改善
- コミュニケーションの自動化
- 評価基準の統一
- 採用プロセスのオンライン化
採用計画を効率的に始めるツールやサービス
最後に、採用計画を効率的に始めるためにおすすめのツールやサービスを3つ紹介します。
採用管理ツール「HITO-Linkリクルーティング」
採用管理ツール「HITO-Linkリクルーティング」は、オペレーション業務をとことん自動化し、採用そのものに向き合う時間を生み出します。
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- 日々のオペレーション業務で忙殺されており、本来の採用活動に時間が割けない
- 自社の採用課題がわからない
といった企業の悩みを解決することができます。
例えば、dodaやIndeedといった応募者データの取り込み作業を自動で行ったり、エントリー後の推移や進捗を一目で確認できるので、業務効率化にもつながります。
採用コンサルティング
「適正な採用計画が立てられない」「自社の競合優位性がわからない」などの悩みを解決するには、採用コンサルティングの活用も一つの手です。
採用コンサルティングでは、「現状調査」「改善施策提案」「運用支援」「業務再設計」と、採用体制や選考プロセスを見直していくことができます。実際に採用コンサルティングを活用いただいたあるクライアント様は、新卒採用の採用目標を計画の3カ月前倒しで達成しています。

RPOサービス
RPOとは、企業の採用活動の一部もしくは全てを外部に委託することを指します。委託できる業務は、採用計画の立案から求人サイト選定、応募者との面接や内定者との連絡など多岐にわたっています。
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- 採用にかかる業務負担を軽減したい
- 採用力を強化したい
という課題をお持ちの場合は検討してみるとよいでしょう。
まとめ
採用計画に必要な項目や具体的なプロセスについて、ご理解いただけたでしょうか。
採用計画をしっかり立てることで、自社が求める人材を効果的に採用できるようになるため、優秀な人材確保と事業発展が期待できます。また、人材は採用して終わりではありません。入社後の定着や活躍まで見据えて、長期的な視点で採用計画を練っていきましょう。
効率的な採用活動を実現するためのターゲット設計のステップとは
「応募は集まるものの、自社にマッチする人材が採用できない…」
「採用後の離職率の高さに歯止めをかけたい…」
このような課題は、自社が採用したい人物像をはっきりとさせ、ターゲット設計を見直すことで解消できます。ターゲット設計は、効率的な採用活動にもつながります。
【ターゲット設計で踏むべき5つのステップについて】まとめた資料を公開しておりますので、ぜひお役立てください。