2023年06月19日
2025年02月04日
IT・デジタル技術の発展によって、これまでにない新たな価値が次々と生まれている中で、企業が競争力を強化するためには、DX推進が不可欠となっています。しかし、DXは本質を正しく理解していないと、単なるデジタルツールの導入で終わってしまうこともあります。
そこで本記事では、DXを推進するうえで企業が抱える課題、必要なスキルやマインドを解説します。
【お役立ち資料】DX推進を成功に導く人材採用・育成・組織設計とは?
企業価値の向上・競争力強化を実現するために「DX」は不可欠となっています。
・DX推進のためのエンジニアが確保できない
・社内にデジタルスキルを持った人材がいない
人材・組織に関する課題を抱えている方に向けて、パーソルグループでは「DX推進を成功に導く人材採用・人材育成・組織設計と成功事例」を公開しています。あらゆる企業に共通して重要な【DX推進を成功に導くステップ】や【DX人材の採用・育成のポイント】について解説しています。
DX推進の参考としてご活用ください。
目次
DX推進とは、企業がデジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の実現に向けて、あらゆる取り組みを加速させることを指します。
経済産業省が企業のDXの自主的な取り組みを促すために経営者に求める対応をまとめた「デジタルガバナンス・コード3.0」において、DX推進のメリットは以下のように書かれています。
・データとデジタル技術を活用して、既存ビジネスモデルの深化や業務変革・新規ビジネスモデルの創出を行うことで、顧客提供価値や収益等が向上する。
・DXを推進していく中で、企業は、生産性や従業員エンゲージメントの向上、創造性人材の育成等の恩恵を享受し、結果的に優秀な人材を獲得でき、人的資本経営の実現にもつながる。
・DXを推進していく上での前提となるサイバーセキュリティ対策を必要不可欠な投資であると捉え、サイバーセキュリティリスクを把握・評価し、対策を実施することで、企業活動におけるコストや損失を最小 化できる。
・また、個社のDXを超えて、国境・産業・組織等をまたぐデータ連携を行うことで、さらに付加価値を高めることができる。その際、法令等に従い適切なデータの保護措置等を実施し、データを管理・活用すること(データガバナンス)で、取引先等からの信頼性が向上する。
このように、DX推進は企業における業務効率や生産性の向上にとどまらず、顧客提供価値の拡大や優秀な人材の獲得など、多方面にわたる、さまざまなメリットを享受できる取り組みです。
現代の日本は、労働力人口の減少や、「2025年の崖」と呼ばれるレガシーシステムの老朽化による経済損失などの大きな課題を抱えており、これらの解決にはDX推進による社会の変革が不可欠と言えるでしょう。
前述した経済産業省による「デジタルガバナンス・コード3.0」では、DXは以下の通り定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
つまり、DXは「最新のツールやテクノロジーを活用することによって、組織全体や業務フロー、はたらき方を再構築し、市場での競合優位性や生産効率の向上を目指すこと」を指しています。
紙で行っていた作業にデジタルを活用することで業務効率化を図るだけではなく、ビジネスそのものを変革するためにデジタルを活用することを意味しています。
【関連記事】DXとは?意味や取り組み内容・メリットをわかりやすく
DXと混同されやすい用語として、IT化、デジタイゼーション、デジタライゼーションが挙げられます。
まずIT化とは、特定の業務に関してデジタルツールなどを導入して効率化を図ることです。DXは組織全体の業務変革によって新たな価値の創出を目指すものであるため、そもそもの目的が異なると言えるでしょう。
また、デジタイゼーションとデジタライゼーションについては、DXの前段階となるステップを指します。業務をデジタル化するデジタイゼーションから、ビジネスにおける社内外のフローやプロセスをデジタル化するデジタライゼーションを経て、DXへと到達します。
あらゆる企業にとって不可欠なDXですが、具体的に何に取り組めばよいかイメージができない方も多いのではないでしょうか。ここでは、企業が取り組むべきDXを大きく分けて3つの領域にまとめました。
DX推進のはじめの一歩となるのが「仕事のやり方を変える」プロセスDXです。従来の業務プロセスにデジタル技術を活用することで、業務効率化や業務改善を実現するために行います。
取り組み例
プロセスDXで仕事のやり方を改善した後に着手するのが「はたらき方を変える」ワークスタイルDXです。はたらく環境にデジタル技術を活用することで、時間や場所の制約を減らし、多様なはたらき手を受容し活躍機会を増やします。
取り組み例
最後に取り組むのが「あたらしい事業を生み出す」ビジネスDXです。新たな事業創造や既存ビジネスモデルの変革を目的として、デジタル技術を活用します。
取り組み例
なぜDXが多くの企業にとって急務となっているのでしょうか。背景として以下の3点があげられます。
先に触れたように、経済産業省は2018年に発表した「DXレポート」の中で、DXが実現できない場合、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある、いわゆる「2025年の崖」が訪れる危険性を示しました。
多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するDXの必要性について理解している。しかし、
・ 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化
・ 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっているこの課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある
【参考】経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開」
企業が大きな損失を生まず、かつ、新たなビジネスモデルを創出するなど競争力を強化していくためには、DX推進に向けた具体的な取り組みが急務となっているのです。
【関連記事】2025年の崖とは?定義や問題点・必要な対策をわかりやすく解説
近年、世界中のあらゆる市場で、デジタル技術による破壊的なイノベーション(デジタルディスラプション)が起きています。これまで市場を牽引してきた企業であっても、突然シェアを奪われてしまうケースも少なくありません。
・Amazonに代表されるインターネット通販サービスの台頭により、大手の小売事業者が経営破綻
・Netflixなどのインターネット動画配信サービスが登場したことで、大手レンタルビデオ・DVDチェーンが倒産
日本企業がグローバル市場で競争力を強化するためには、デジタル技術を活用し、既存事業の変革を起こすことが必須と言えます。
パーソル総合研究所によると、2030年には7,073万人の労働需要に対し、6,429万人の労働供給しか見込めず、644万人の人手不足となることが明らかになっています。
そのため、既存業務のフローの見直しやテクノロジーの活用によって、業務効率化を実現し、一人ひとりの生産性を向上させることは不可欠です。
また、コロナ禍を機に、従来のはたらき方や業務プロセスについて課題が浮き彫りになった企業も多いのではないでしょうか。テレワークをはじめ、はたらき方や価値観の多様化が急激に進んだことも、DXを後押しする大きな要素の一つとなっています。
【関連記事】人手不足の現状と原因|業界別データと6つの解決策・事例も解説
DXに取り組む際は、以下の5つのステップにしたがってプロジェクトを進行すると良いでしょう。
まずはDX推進の目的を明確にすることから始めましょう。DX推進はすべての企業が早急に対応すべきことではありますが、目的がはっきりしないままプロジェクトを進めていても関係者に当事者意識が醸成されず、十分な効果が得られなくなってしまいます。自社のビジネスをどのように変革するためにDX推進を行うのかを明らかにして、関係者全員が共通認識を持つことが大切です。
DX推進の目的を定めたら、次は自社の現状と課題を整理しましょう。たとえば、現在運用しているシステムをリストアップし、その保守や管理に関わっている従業員の負担がどれくらいか、業務のボトルネックになっているのは何かなどを調査します。
解決すべき課題を抽出したら、DX推進の取り組みに必要な人員を揃えて、社内体制を整備します。DX推進は全社に影響するため、さまざまな部門やスペシャリストとの連携が欠かせません。プロジェクトマネージャーをはじめ、エンジニアやプログラマー、デザイナー、データアナリストなど、DX推進にあたって必要なDX人材を確保することが大切です。
プロジェクトの規模によっては、新たにDX人材を採用することも検討しましょう。
【関連記事】DX人材とは?役割や求められるスキル・獲得方法【事例あり】
DX推進は自社のビジネスへの影響範囲が大きく、一気にすべてを変えるのは難しいと言えます。そのため、着手するタスクの重要度や緊急性などにしたがって優先順位をつけてスケジュールを策定し、計画的に進めていきましょう。
DX推進は中長期的に取り組む必要があるため、新たな仕組みを運用しながら、都度改善点がないかを点検し、PDCAサイクルを回しましょう。外部環境の変化とともにビジネスのあり方も変容しなければなりません。刷新したシステムが再びレガシー化する可能性もあるため、常にアップデートを図ることが重要です。
DX推進を阻む企業課題としては、主に以下の3つが挙げられます。落とし穴になりやすいポイントを踏まえて、自社のDXへの取り組み方を検討しましょう。
2022年7月に経済産業省が発表した「DXレポート2.2」によると、DX推進の重要性は浸透しつつある一方で、企業におけるデジタル投資の内訳は、既存ビジネスの維持・運営に約8割が占められている状況が続いています。なぜDX推進が活発化していないのでしょうか。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」によると、DXの前提となる「将来への危機感」が企業全体になかなか浸透しないこと、変革に対する社内の抵抗が強いことが課題として挙げられています。
DXは一部門や一部署が単独で行う部分最適の施策ではなく、企業全体に関わります。「経営部門はDX推進を重視しているが、現場は忙しくてそれどころではない」といったケースも多く、企業全体で同じ目線を持つことに課題を感じている企業は少なくないでしょう。
また、パーソルホールディングスの調査によると、大手企業の6割、中小企業の4割が、DX推進に課題感をもっていることが明らかになりました。取り組みの障壁となっている課題として、最も回答数が多かったのは「推進のためのスキルを持った人材を社内で育成できない」でした。
DXを推進していくためにはデジタル技術に精通した人材だけではなく、業務プロセスを理解し改善できる人材や、抜本的な改革を推進できる人材など、さまざまなスキルをコラボレーションさせる必要があります。しかし、DX人材は獲得競争が激化しており、「予算を確保しているものの採用ができない」「社内でどう育成すればよいのかわからない」といった課題を抱える企業が増えているのが現実です。
【お役立ち資料】DXをリードする人材を育成するポイントとは
多くの企業においてDXが推進されていますが、DX人材の採用市場は競争が激しいため、推進スキルを持った人材を社内で育成する企業が増えています。本資料では、DX人材を社内で育成する際のポイントや準備すべきことについてまとめました。 DX人材の不足にお悩みの方はぜひご覧ください。
長年、社内で使われてきた既存システムから刷新する場合の負担が大きく、DX推進が阻まれているケースもよく見られます。これまでの運用で蓄積されてきたデータが多いなどの理由で既存システムに依存していると、新たなシステムにリプレイスすることができず、古いシステムを使い続けざるを得ない状況になりかねません。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が掲げている「デジタルスキル標準ver.1.2」をもとに、DXを推進する人材に求められる5つのスキルについて解説します。
前述の通り、DX推進は単なるデジタルツールなどの導入にとどまらず、ビジネスの変革を目的に行われます。従来のビジネスモデルから転換し、新たな販売チャネルを立ち上げるなどの取り組みが考えられるでしょう。そのためDXの推進に関わる人材には、ビジネス戦略の策定・実行をはじめ、ビジネスモデルや業務プロセスの設計、マーケティングやブランディングの理解といった多様なスキルが求められます。
また、顧客提供価値を向上させる上で欠かせない顧客・ユーザー理解も、ビジネス変革のスキルに含まれます。
データ活用のスキルは、DXを推進する人材には不可欠と言えるでしょう。データを正しく理解し、ビジネスにおける意思決定や業務改善に活用できるスキルはもちろん、データ・AIの活用戦略を設計するスキルも必要です。
さらに、データサイエンティストとしての数理統計・多変量解析・データ可視化や、データエンジニアとしてのデータ活用基盤設計など、幅広い専門性が求められます。
DX推進におけるテクノロジーのスキルは、主にエンジニアが担うソフトウェア開発を指します。基本的なプログラミングスキルはもちろん、ソフトウェアの設計や開発プロセスの策定、フロントエンドシステムやバックエンドシステムの開発などが当てはまります。
デジタル技術を駆使しながら自社の課題を解決する能力を持った人材は、DX推進の要となる存在と言えるでしょう。
DXにおいて非常に重要なのがセキュリティのマネジメントです。社内の膨大なデータを扱うにあたって、データの流出や不正アクセスなどを防ぐ必要があり、万が一トラブルが起こった場合には企業の社会的信用にも関わるためDX人材に必須のスキルと言えます。企業の財産とも言えるデータを適切に管理することが、DX推進の基盤となります。
ここまでに挙げたビジネススキルや専門的な技術力はもちろん大切ですが、中長期にわたるDX推進のプロジェクトを進める上ではリーダーシップや適応力といったパーソナルスキルも欠かせません。困難な状況に直面しても柔軟に対処しながら確実にプロジェクトを遂行できるように、プロジェクトメンバー間で連携を図り、問題解決に導くスキルが求められます。
【お役立ち資料】DXを成功に導く人材採用・人材育成・組織設計とは
DXの具体的な施策は企業ごとにさまざまですが、どの場合にも共通して重要なポイントがあります。
本資料では、DX推進を成功に導くステップやDX人材の採用・育成についてまとめています。これからDXに取り組む方も、推進にお悩みの方もぜひご活用ください。
経済産業省によると、2030年には最大で79万人ものIT人材が不足すると言われており、DX人材の獲得競争は激化しています。
即戦力を求め、中途採用を検討する企業が多いと思いますが、人材獲得競争が激化しているため、採用だけでなく、社内に適任者を探すことも重要です。
ここでは、DX人材を獲得する2つの方法である「採用」と「育成」について紹介します。
人材市場におけるIT 通信業界出身者の需要はここ数年で急増し、獲得競争が激化しています。一般的な採用活動のほかに優秀なDX人材を競合他社からスカウトするケースも増えています。
前述のIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査によると、外部人材の活用として、先端技術のエンジニアといったシステムの実務を担う業務に、外部の人材を積極活用している企業が多くなっています。一方、プロダクトマネージャーやビジネスデザイナーといったDXを主導するリーダー層は社内の人材を登用する傾向にあります。
DX人材を採用するためには、次のポイントを押さえておきましょう。
採用活動を始める前に自社の課題を洗い出し、DX人材に求める役割や必要なスキル、ノウハウを明確にします。
求める人物像が漠然としているときに陥りがちな、採用後の組織戦略とのミスマッチや、選考がスムーズに進まないといった事態を防ぐことができます。
DX人材への需要の高まりから、求職者にとって魅力的な企業であることをアピールできないと、なかなか応募や内定受諾者が集まらない可能性があります。
以上のように、「この企業に入りたい」「自身の能力が発揮できそう」という動機付けにつながる要素を棚卸ししてみましょう。面接時に「自社のどこに魅力を感じたか(気になったか)」を聞いてみると、求職者目線での企業の選び方のヒントを得ることもできます。
DX人材の採用は競争力が激しいため、「待ち」ではなく「攻め」の姿勢でアプローチしていくことを心がけましょう。
【関連記事】DX人材を採用するには?必要な資質や採用時のポイントについて解説
社内の人材を育成すれば、テクノロジーだけでなく自社のビジネスにも精通した、DXを推進する上で心強い戦力となる人材が確保できるようになります。ここでは、DX人材を育成するための3つのステップを解説します。
まずは、DX人材にどのような「スキル」「マインド」「行動」を求めているかを整理しましょう。整理する方法は2つです。
既存事業の価値向上を目指す、または新規事業でのマネタイズを目指すなどの経営戦略から、組織戦略を描き、あるべき人材像を深堀していく方法があります。ITと一口に言っても、知識の幅は多岐に渡るため、今後自社で強化したい方向性に合わせて、どのような知識が、どのくらいの成熟度で必要なのかを整理しましょう。
また、すでに社内で走っているプロジェクトにおいて高い価値を発揮している従業員がいれば、その従業員が持つスキルやマインド、行動を抽出してみるのも有効です。
求める人物像を定めたら、育成対象者のスキルセットやマインドとのギャップを確認します。ギャップを埋めるためにどのような研修が適しているか検討しましょう。
多くの場合、数回または短期間の研修で育成ゴールを達成できるわけではありません。段階的な育成施策を検討し、現状のスキルセットやマインドによってスタートする研修を変えられるカリキュラムだとよいでしょう。
なお「スキル」「行動」「マインド」のうち、マインドは簡単に変わるものではないため、「マインドを変え、行動を変える」のではなく、「行動を変えることで、マインドを変えていく」と考えておくことが重要です。
DX人材の育成を進める際は、「DXとは?」といった知識だけのインプットで終わらせずに実務実践を交えて行いましょう。実務実践とは、実際の課題を設定した上で、テクノロジーを活用した解決を試みることです。
上記のように、インプットとアウトプットを含んだサイクルを回しましょう。重要なのは「現場を変えるために行う」といった視点を持ち続けることです。
DXは単なる業務効率化ではなく、競合優位性の確立や生産効率の向上が目的であるためです。実践(=アウトプット)を繰り返すなかで、徐々にデジタル・自動化をベースに業務プロセスを考える癖が身についていき、デジタル思考へと変わっていくことが期待できます。
プロジェクト型のワークショップを多く行うなど、座学で終わらないカリキュラムを企画するとよいでしょう。
【関連記事】DX人材育成の6ステップ|ポイントやよくある課題、事例も解説
【お役立ち資料】DXをリードする人材を育成するポイントとは?
・現在のITシステムを正しく活用できる人材がいない
・採用コストを抑えるため、社内でDX人材を育成したい
・そもそもDX人材にはどのようなスキルが必要なのかも分からない
このような方に向けて「DX人材育成の育成」にフォーカスした資料を公開しています。ぜひご活用ください。
最後に、DX推進のポイントを2つ解説します。
DXは既存の業務にツールを導入してデジタル化することと捉えがちですが、DXの本質は企業を変革していくための一つの手段であり、ツールの導入が目的ではありません。
例えば、従来Excelで管理していた勤怠管理にクラウド型ツールを導入したり、給与計算ツールと結び付けたりすることは、業務の効率化を叶えるための「IT化」といえます。一方、DXではその先の競合優位性や生産効率の向上を目指していきます。
したがって、ツールを入れた後も、期待した効果に対し、どれだけの成果が得られているかを検証しなくてはいけません。例えば、もともと月20時間程度かかっていた業務を5時間に削減して、営業活動により多くの時間を割く体制を作り、生産性の向上を目指していたとします。
新たに営業活動にかけるようになった15時間で「どれだけの売上や顧客満足度などの向上に貢献しているか」の検証が必要です。「ツールを入れて便利になった」で終わってしまわないよう、目的意識を持って導入しましょう。
繰り返しにはなりますが、DXは部署やチームのような小さな枠組みの中での改革ではなく、組織全体の改革です。経営者はもちろん、現場の従業員まで全員が同じ方向を向いて課題を解決していこうとする意識が大切です。
そのために、経営部門とマネジメント層だけがプロジェクトを把握するのではなく、現場の従業員にも十分な情報共有を行いましょう。
実際の企業が行ったDX推進の事例を3つ紹介します。自社の取り組みの参考にしてください。
ビルや商業施設・病院などにおいては、部屋や設備などの使用状況に応じた空調コントロールが必要です。しかし、設備管理者の人手不足が課題になっているケースも多く、できるだけ効率的で手間のかからない運用や管理が求められていました。
ダイキン工業株式会社が2021年から展開している「DK-Connect」は、空調機をクラウドに接続し、パソコンやスマートフォン・タブレット端末からの監視や制御を可能にします。これによって、顧客ごとに空調管理を効率化し、快適性の向上やエネルギー消費量の削減、管理工数の削減などにつながっています。
従来、建物内に新しいシステムを導入するには、システムや設備を個別に連携する必要があり、時間やコストがかかりがちでした。
こうした課題に対して、清水建設の「DX-Core」は建物のシステムや設備の一元管理を実現し、入居者・建物管理者・オーナーの利便性や業務効率性の向上に役立っています。
交通事故リスクの防止・軽減には、危険箇所の洗い出しや詳しい分析が欠かせません。ms&adインシュアランスグループホールディングスの「交通安全EBPM支援サービス」は、自社の保険サービスの提供によって蓄積されたデータを、事故リスク軽減のために活用するものです。自動車の走行データをもとに、危険箇所候補の選定、要因分析、対策の提案、効果の検証をワンストップで行うことができます。
「交通安全EBPM支援サービス」は自治体の安心・安全なまちづくりに貢献する取り組みとして、2023年の内閣官房主催「冬のDigi田甲子園」で、最高位の内閣総理大臣賞を受賞しています。
パーソルイノベーションが提供する「リスキリングキャンプ」は、実現したいゴールや対象者のスキルに応じた最適なカリキュラム設計と、アウトプット前提の実践向け学習設計によって企業のリスキリングを支援する研修サービスです。
プロのキャリアコーチが受講者一人ひとりの理解度に合わせてフォローアップを行うため、着実に実践向けスキルを習得しながら継続して学習することができます。
スキル・マインドの両面を効果的にサポートすることで企業のリスキリングを成功へと導きます。リスキリングや自社のDXにお悩みの方はぜひお気軽にお問合せください。
グローバルでDXが加速し、外部環境がめまぐるしく変化していく中、企業が競争力を強化するためにDX推進は不可欠です。会社全体で取り組んでいく意識が必要であり、中長期的な取り組みになります。推進にあたっては、DX人材の不足が多くの企業にとって課題となっています。
本記事を参考にDX人材の採用・育成に一歩ずつ取り組んでいきましょう。
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DX推進やIT人材不足の深刻化の対策として、2025年も引き続きリスキリングに注目が集まっています。
パーソルグループでは、国内企業のリスキリング実施の成果や方針、実施している施策をレポートした「リスキリングレポート ~リスキリングの最新トレンドから見る2025 年への未来展望~」を無料で公開しています。
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A.DX推進の障壁として多くの企業が「推進のためのスキルを持った人材を社内で育成できない」「社内のITリテラシーが不十分」といった人材・組織における課題をあげています。
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>>【データから読み解くDX推進のための組織づくり】エンジニア・DX人材の採用・育成・外部活用の実態と戦略
A.DX推進とは、企業がデジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の実現に向けて、あらゆる取り組みを加速させることを指します。経済産業省の定義を用いると、DXとは「最新のツールやテクノロジーを活用することによって、組織全体や業務フロー、はたらき方を再構築し、市場での競合優位性や生産効率の向上を目指すこと」です。
紙で行っていた作業にデジタルを活用することで業務効率化を図るだけではなく、ビジネスそのものを変革するためにデジタルを活用することを意味しています。
DXを推進するにあたり、企業はさまざまな課題に直面しています。
>>DX推進とは?