マネジメントとは?業務内容から必要なスキルまで徹底解説

業務で一定の成果を出せるようになった従業員は、マネージャーのポジションが見えてきます。しかし、マネジメント業務はこれまでの業務とは求められる責任や役割が異なります。組織として成果を出すためには、マネジメントの専門的な知識や能力を理解し、身につけることが必要です。

本記事では、マネジメントの定義や業務内容とともに、マネジメントの種類や必要な能力、能力を高める方法について解説します。

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目次

マネジメントとは?

マネジメントとは、企業が組織として機能するために必要不可欠な業務です。ここでは、マネジメントの定義や背景、重要性とともに、混同されがちなリーダーシップとの違いについて解説します。

マネジメントの定義

マネジメントとは管理や経営を指す言葉で、ビジネスにおいては、会社が求める成果や目標に沿って、組織として業務を遂行することです。業務管理や人材育成もマネジメントに含まれます。

経済学者ピーター・ドラッカーは、マネジメントを「組織に成果を上げさせるための機能」と定義しました。マネジメントはあくまでも手段であり、その目的は「設定した目標に向かって組織を機能させること」としています。

ドラッカーは、マネジメントの役割は以下の3つであると述べています。

    • 組織の使命を果たすこと
    • はたらく人たちを生かすこと
    • 社会問題の解決に貢献すること

マネジメントをするには、業務内容だけを理解するのではなく、組織としての使命や人的資源、組織が社会に与える影響について理解することが必要なのです。

マネジメントが求められる背景

マネジメントが認識されたきっかけは、20世紀初頭に経営学者フレデリック・テイラーが、肉体労働の生産性を高める方法を研究したことです。肉体労働の作業を分類し、所要時間を測定したうえで、効率的に成果を出す方法を考えました。

しかし、この科学的管理の対象は肉体労働に限定されていました。そこで経済学者ピーター・ドラッカーは、多様な知的労働者が存在する組織を運営する手段として、現代の「マネジメント」の定義を提唱したのです。

マネジメントの目的と重要性

マネジメントの目的は、組織の目標達成とその成果を最大化させることです。日本能率協会の調査結果によると、組織・人事領域の課題として「管理職層(ミドル)のマネジメント能力向上」が1位となっており、マネジメント能力向上のニーズが高まっていることが分かります。

【出典】日本能率協会「『日本企業の経営課題 2021』 調査結果速報 【第1弾】」

組織にマネジメントが必要な理由は、「コミュニケーションの煩雑さ」です。組織が共通認識を持つためにはコミュニケーションを取る必要があります。しかし組織の人数が増えると、コミュニケーションが複雑化し難易度が上がります。

例えば、3人の組織であれば、複雑なコミュニケーションは要りません。一方、100人の組織となった場合、多様な考えを持つ人材の集まりとなるため、それぞれの役割を確認することは簡単ではありません。

そのため組織の巨大化や多様性が浸透しつつある企業にとっては「組織の全員が役割を判断できる機能」が必要です。この機能がマネジメントであり、現代で重要となるのです。

リーダーシップとの違い

マネジメントとリーダーシップの違いは、組織内で果たす責任と役割です。リーダーシップとは、集団が持っている能力を引き出し、組織の目標達成に向けてメンバーを導いていく能力です。

一方、マネジメントとは権限や規則といった役割が判断できる機能を考え、目標達成や生産性向上のために業務を遂行する能力を指します。このように、従来はマネジメントとリーダーシップは明確に区別されていました。

しかし、VUCA時代と言われる近年では、マネジメントにリーダーシップも求められる傾向にあります。

今までは知識や経験をもとにした指示や命令を主体としたマネジメントで十分でした。しかし、近年はこれまでの知識や経験だけではマネジメントできません。

そのため、従来のマネジメントに加え、メンバーの力を引き出すリーダーシップ能力がこれからのマネジメントに求められています

関連記事「組織マネジメントとは?管理職に求められる能力と実現するポイント」を見る

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マネジメントの種類

マネジメントには大きく分けて3つの階層が存在します。それぞれのマネジメントによって、求められる役割や責任が異なります。ここでは、マネジメントの種類について解説します。

トップマネジメント

トップマネジメントとは、経営層のマネジメントを指し、自社の基本方針や運営方針を決定し、経営に関する意思決定と責任を担います。企業の先頭を走るリーダーとも言える立場で、会長や社長、常務、専務といった取締役会のメンバーや執行役員が該当します。

トップマネジメントに必要なスキルとして、業界に対する専門知識や折衝能力が挙げられますが、近年重要視されているのは、複雑な状況の中から本質を理解するスキルです。

不確実かつ見通しがきかない現代では、市場やトレンドから自社の状況を把握し、適切な選択をする必要があります。

ミドルマネジメント

ミドルマネジメントとは、中間管理職を指し、経営陣と現場をつなぐ役割を担います。部長や課長、支店長、工場長といった組織を管理する立場の人が該当し、一般的にはマネジメントといえばミドルマネジメントのイメージが強いでしょう。

ミドルマネジメントは、経営陣のビジョンや考えを理解したうえで組織戦略や方針を部下に伝えるとともに、現場の意見を経営陣に伝えるといった、組織の意思疎通に欠かせないポジションです。

また、人材育成もミドルマネジメントの役割です。企業の業務における根幹を担う存在であり、組織の規模が大きいほど、重要なポジションといえるでしょう。

ローアーマネジメント

ローアーマネジメントとは、業務レベルのマネジメントを指し、現場のメンバーを指揮・監督する役割を担います。係長や主任、チーフといった現場の管理者層が該当します。

ミドルマネジメントが策定した組織戦略や施策を現場に反映し、企業のビジョン実現や目標達成を目指します。一般的に、ローアーマネジメントに対してマネジメント業務を求めることは多くありません。マネジメント業務よりもチームリーダーとしての割合がほとんどです。

マネジメントの業務内容

マネジメントは、業務管理以外にもさまざまな業務があります。どれも、組織としての目標達成と生産性向上のために必要な業務です。ここでは、マネジメントの業務内容について解説します。

目標設定と管理

自社の経営戦略を把握し、組織や部門の目標を設定します。自社のビジョンや方向性を理解したうえで、目標をメンバー一人ひとりに浸透させることも業務の1つです。

ビジョンや目的が明確でない場合、個々人がバラバラの方向で走ってしまい、組織としての力を発揮できません。数値や具体的な行動といった定量的な目標を設定することにより、メンバーは自分のやるべきことを理解し、実践します。

多くの企業で採用されている目標管理手法としては、MBOやOKRといった手法が存在します。組織風土やメンバーの特性に合わせて、適した手法を選択しましょう。

手法 概要
MBO 自社の方針とメンバーが目指したい方向性を擦り合わせ、一人ひとりに目標を設定し、成果達成までのプロセスを管理する手法
OKR 設定された自社の目標(Objective)と、目標達成に必要な成果指標(Key Result)を連動させ、成果達成までのプロセスを管理する手法

また、目標管理シートや売上管理シートを作成すると良いでしょう。組織とメンバー個人の管理シートを作成し、目標と方向性を合わせることにより、個人と組織の取り組みが連動します。

組織の方向性を統一させ、組織と個人の行動を連動させることにより、組織の目標達成に近づけます。

関連記事「MBO(目標管理制度)とは?概要、メリット、注意点を解説」を見る

業務管理

業務管理は、大きく分けて3つの業務に分かれます。

1.業務や目標に対する進捗確認

業務内容の確認や目標に対する進捗確認もマネジメントの業務内容です。業務管理ができていない場合、タスク重複や無駄なリソースの配分が生じ、組織全体のパフォーマンスが低下します。

業務管理をするには、業務を棚卸しし必要な業務を明確にすることが大切です。業務フローやWBSを策定し業務を明確にしましょう。

2.業務の振り分けと人材配置

業務が明確になれば、メンバーの特性や能力に合わせて担当を振り分けます。

メンバーの力を最大限に引き出し、組織として機能させるためには、メンバーの性格的な相性や考え方の違いを考慮して人員配置する必要があります。

例えば、同じような考え方をする人材ばかりでは、革新的なアイデアは出てきません。多様な考え方を持つメンバーが集まり、意見を出し合うことで、革新的なアイデアが出てきます。

3.業務改善・効率化

問題を早期発見し、打ち手を考えることも業務管理の1つです。目標管理シートや売上管理シートを見ながら、チームメンバーと進捗を共有する定例会を実施すると良いでしょう。問題があればその場で対応策を考えることで、早期に対処できます。

また、生産性向上には業務改善が必要です。「効率化できる業務はないか」「新しいやり方を取り入れられないか」「無駄な作業はないか」を検討し、効果を検証することで、業務改善が進みます。PDCAサイクルを回しながら業務管理することを意識しましょう。

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モチベーションの管理

組織が目標を達成するためには、モチベーションの維持が必要不可欠です。高いモチベーションを持って取り組むことにより、パフォーマンスが上がり、生産性向上につながります。

モチベーションを上げるには、動機づけとなるような職場の環境整備が必要です。動機づけとは、行動を起こす要因となる目的や目標のことを指します。

動機づけをするには、メンバーに「目標達成後の効果」や「業務の必要性」を理解してもらう必要があります。パーソル総合研究所の調査によると、成長を目指す志向性「熟達目標」や、相対的に良い評価を得ようとする志向性「遂行接近目標」が高ければ、個人パフォーマンスにも好影響を与えることが明らかになっています。

【出典】パーソル総合研究所「目標管理を従業員の成長につなげるには?

評価制度やインセンティブ、福利厚生といった制度を整備するほか、上司や同僚との関係性や雰囲気といった、目に見えにくい部分を改善することも有効です。例えば、以下の例が挙げられます。

    • 今取り組んでいる業務の意味や意義について話し合う
    • 部下のキャリアビジョンを引き出し、実現に向けてかかわる
    • 情報・知識・知恵などを共有する場を設け、称賛し合う

モチベーションを上げるには、評価や福利厚生といった目に見える施策だけでは限界があります。その制度が実際に利用されるように、組織の雰囲気を変えるようなアプローチをすることが大切です。

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人材育成と評価

人材を育成することもマネジメントの業務内容の1つです。業務範囲や役割が増え、組織としての力が向上します。人材育成方法には、ストレッチアサインメントやジョブローテーション、メンター制度といった育成方法が存在します。

種類 概要 適した人材
ストレッチアサインメント 本人の能力以上の業務を与えて成長を促す 管理職層
中堅層
ジョブローテーション さまざまな業務を経験させる 管理職層
中堅層
メンター制度 先輩が若手社員をサポートする 新人や若手

ただし、人材によって適した育成方法は異なります。高い目標や役割を与えた方が伸びる人材もいれば、少しずつ段階を踏んだ方が伸びる人材もいるでしょう。一人ひとりの適性や価値観、強み、弱みを把握し、メンバーに適した方法で育成することが大切です。

通常の業務では身につきにくい能力については、研修や勉強会といった、通常業務とは別に教育できる場を設けると良いでしょう。

また、人材育成には評価やフィードバックが欠かせません。パーソル総合研究所の調査によると、自社の評価制度に不満を感じている人の割合は38.3%でした。しかし、マネージャーが傾聴や理解をしてくれて、キャリアに関する相談ができる環境では、評価の公平感にプラスの影響がありました。

具体的な評価やフィードバックにより「正しく評価されている」と感じれば、モチベーションが高まります。

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リスク管理

どのような組織でも、コンプライアンス違反や情報漏えい、人間関係のトラブルなどのリスクを抱えています。現に、インサイダー取引や個人情報の流出が原因で、企業全体に多大な損失が発生するケースは少なくありません。

近年はSNSの普及により個人が情報を発信できる時代のため、SNSの投稿が発端で世間から信頼を失うケースもあります。マネジメント側は、組織が抱えるさまざまなリスクに敏感になる必要があるのです。

メンバーや周囲の人間がコンプライアンスに違反していないか常に目を配るだけではなく、定期的なテストや研修を行い、コンプライアンスへの理解を深める取り組みを実施します。想定できるリスクを洗い出し、対処法や予防策を浸透させることも必要です。

マネジメント人材に必要な能力

マネジメント人材には、組織の目標達成や生産性向上という責務があります。その責務を果たすためには、遭遇する場面を把握し、必要な知識と能力を身につけることが大切です。

ここでは、マネジメント人材に必要な能力やスキルについて解説します。

マネジメントに関する知識

マネジメント業務を遂行するには、マネジメントの目的や役割を理解している必要があります。

マネジメントには、状況に合わせた手法があることを知っているかどうかも重要です。例えば指示型のマネジメント手法しか知らない場合、指示型のマネジメントに適さない他のメンバーは反感を覚えたり、モチベーションが低下したりする可能性もあります。

マネジメントにはいくつかの手法があります。業務にあたり、こうした知識を身につけておくことが前提条件となります。

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論理的思考力

マネージャーには、組織のメンバーに業務の目的や業務内容を説明する役割があります。

「業務を行う必要性」「判断を下した理由」を論理的に説明することにより、メンバーは納得して業務に取り組めます。そのため、マネジメント業務には論理的思考力が求められます。

また、マネジメント業務には、経営に影響する問題やトラブル対応、適切な人員配置といった「判断が必要となる場面」が存在します。その際に、正しい判断をするためにも論理的思考を身につけておく必要があるのです。

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リーダーシップ力

これからのマネジメント人材には、リーダーシップ力も求められています。ただし、全員に対して同じようなリーダーシップを取ればいいわけではありません。メンバーの特性や場の状況によって、適切なリーダーシップは異なります。

状況を見極め、その場に適したリーダーシップをとる能力が求められます。そのためには、場に合わせたリーダーシップがあることを理解するとともに、メンバー一人ひとりの価値観や考え方を見極める必要があるのです。

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コミュニケーション能力

組織を管理するには、コミュニケーション能力も求められています。組織の目標達成や生産性向上のためには、メンバーの意見や思いを引き出し、組織として一体感を出す必要があります。

しかし、コミュニケーション能力が不足した場合、メンバーの意見や思いを引き出すことは困難です。一体感も出せず、メンバーがバラバラに動いてしまいます。そのような組織では、目標を達成できる確率は低いでしょう。

また、組織を管理する立場であれば、顧客や取引先といった関係者と接する機会があります。関係者と良好な関係を築くには、成果物だけではなく、人柄や対応を認めてもらうことが大切です。

接する人の中には、異なる価値観や意見を持っている人がいます。マネジメントをする以上、異なる価値観の人が相手であったとしても、良好な関係を構築しなければなりません。

マネジメントには、多様な人と良好な関係を構築できるコミュニケーション能力が求められています。

意思決定能力

組織を管理するうえでは日常的に「意思決定する場面」があります。マネジメント業務では、自社の方針に沿った目標設定や人員配置、メンバーへの指示など組織としての動きを統一する必要があります。

問題が発生した際に、対応を決めなければならない場面もあるでしょう。意思決定能力が不足した場合、対応の遅れから、目標未達や生産性低下につながる可能性が考えられます。

評価能力

メンバーの能力を引き出すためには、メンバーの能力や特徴、価値観を観察し、評価する能力も求められます。

メンバーの能力を見極め、評価することにより、適した業務を与えられます。メンバーの特徴や相性を考えた配置もできるでしょう。

ただし、マネージャーの評価は主観的になってはいけません。日頃からメンバーを観察し、自社で定めた評価基準に基づいたうえで、客観的に評価することが大切です。

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ファシリテーション能力

メンバーが発言しやすい環境をつくるためには、ファシリテーション能力が必要です。会議の場で組織としての意見をまとめるには、メンバーからの意見を抽出することが大切です。

しかし、いざ会議をはじめても誰も意見を言わなかったり、意見の違いにより摩擦が起きたりしては、チームとしての意見をまとめられません。

ファシリテーターが会議の場で声をかけたり発言を促したりといった行動を起こすことにより、メンバーが発言しやすい環境になります。

これは会議に限った話ではありません。ファシリテーション能力があれば、業務中に発生したやり取りもスムーズに進められます。

つまり、円滑なコミュニケーションをとるための能力でもあるのです。

マネジメントの手法例

マネジメントの手法はさまざまな種類があります。メンバーのスキルやモチベーションによって適したマネジメント手法は異なります。ここではマネジメント手法の一つである「SL理論」を基準に紹介します。あくまで一例ですが、マネジメントの参考にしてください。

SLとは、Situational Leadership(環境対応型リーダーシップ)で、メンバーの環境によりマネジメントの方法を使い分けるという考えです。マネージャーは「業務指示の必要性」と「コミュニケーションの必要性」の2軸から、最適なマネジメント手法を選択します。

説明型マネジメント

説明型マネジメントは、メンバーに対し「何を」「どのように」「いつまでに」といった具体的な説明と指示を出し、進捗を細かく管理する手法です。計画や問題解決、意思決定もすべてマネジメント側が行います。

信頼関係の構築よりも、業務に対する理解度を高めることを重視した手法と言えます。説明型マネジメントに適したメンバーは以下のようなタイプです。

メンバーの特徴 該当するメンバーの状態
モチベーション:高
能力:低
適応能力は低いが、情熱とやる気のある状態
例えば、新人や異動してきたメンバーなど

説得型マネジメント

説得型マネジメントは、メンバーに対し具体的な指示や進捗確認をするものの、メンバーにも意見を出させたうえで、意思決定の一端に参加させる手法です。一方的な指示ではなく、メンバーの声に耳を傾けることにより、成長をサポートします。

業務に対する理解度を高めることと同時に、信頼関係の構築にも努めます。説得型マネジメントに適したメンバーは以下のようなタイプです。

メンバーの特徴 該当するメンバーの状態
モチベーション:低
能力:低〜中程度
自分の判断で進められる業務が増えてきた状態
限界やマンネリを感じて、自信ややる気を失いかけている
例えば、入社3~5年目の若手

参加型マネジメント

参加型マネジメントは、メンバーに対し細かい指示は必要ないものの、問題解決の支援といった、目標を達成するまでのプロセスをサポートする手法です。意思決定の責任は、マネジメント側とメンバーとで分け合います。

業務に対する理解度を高めることよりも、信頼関係の構築を重視した手法です。参加型マネジメントに適したメンバーは以下のようなタイプです。

メンバーの特徴 該当するメンバーの状態
モチベーション:変化する
能力:中〜高程度
仕事の目的や意義を理解し、ある程度の業務は単独で可能
難しい業務においては、意思決定や単独遂行に不安がある

委託型マネジメント

委託型マネジメントは、進捗を確認するだけの手法です。意思決定と問題解決の責任は部下に任せます。信頼関係の構築もできているため、特にサポートすることなくメンバーに任せる手法です。委託型マネジメントに適したメンバーは以下のようなタイプです。

メンバーの特徴 該当するメンバーの状態
モチベーション:高
能力:高
仕事の目的や意義を理解し、単独で業務遂行できる状態
業務に対する自信があり、自発的に行動できる
難しい業務でも、意思決定の権限を委任できる

マネジメント能力を高める方法

マネジメント業務は専門職であり、その能力を高めるためには、知識の習得や役割の理解が欠かせません。日常的に学び続ける習慣を持つことにより、変化の激しい現代でも通用するマネジメント能力を身につけられます。

ここでは、マネジメント能力を高める方法について解説します。

マネジメントに必要な知識を学ぶ

技術の進歩や多様性の浸透により、これまでのマネジメント手法が通用しなくなっている現代では、必要な知識や理論を学び続ける習慣が不可欠です。問題や課題が発生するたびにゼロから知識や理論を学んでいては、対応が遅れ、目標未達や生産性低下につながる可能性があります。

マネジメントの考え方は、業種や職種に関わらず共通しているものです。そのため、外部で開催されている研修への参加や、マネジメントに関係する本を読むことでも、マネジメントに必要な知識を学べます。

知識のインプットには、マネジメント関係の資格取得も効果的です。ビジネスマネジャー検定であれば「人と組織のマネジメント」「業務のマネジメント」「リスクのマネジメント」といった、マネジメントに必要な知識を体系的に学べます。

日常的にインプットすることにより、実践で通用するマネジメント知識を習得できるでしょう。

役割や適性を理解する

自社が求めているマネージャーの役割や適性を理解することにより、マネジメント能力向上につながります。自社が求める役割を理解し、不足している能力を重点的に訓練すれば、自社が求めるマネージャーの姿に近づけるでしょう。

また、SL理論のようなマネジメント手法を理解することも、マネジメント能力向上につながります。マネジメントはメンバーの特性や場の状況によって、適した方法があります。

メンバーの特性と状況に適したマネジメント手法を理解するとともに、普段からメンバーの様子や言動、表情を観察し、状況を見極める力を養うことが大切です。

経営陣の情報をキャッチアップする

目標達成や生産性向上のためには、組織としての取り組みが自社の方向性と連動していなければなりません。経営陣とコミュニケーションを取り、情報をキャッチアップすることにより、現場とのズレを修正できます。

マネージャーが経営陣の考えを理解し、その考えをメンバーに浸透できれば、組織としての取り組みが自社の方向性と連動します。

また、現場の声を届けることも重要です。経営陣が現場の声を理解すれば、組織として改善策を打てるでしょう。現場と経営陣との橋渡し役となることで、知識や経験値が上がり、マネジメント能力の向上につながるでしょう。

部下を育成するポイント

マネジメント業務の中で、部下育成に悩むマネージャーは少なくありません。マネジメントを成功させるには、メンバー一人ひとりに関心を持ち、相手の話を聴くことが大切です。ここでは、部下育成に役立つコミュニケーションのポイントを解説します。

メンバーに関心を持つ

マネジメントを成功させるには、メンバー一人ひとりに関心を持ち、理解しようとする姿勢を持つことが大切です。メンバーはマネージャーの姿勢を見ているものです。

メンバーにとって、自分を理解しようとする姿勢はマネージャーへの信頼感につながります。メンバーは、信頼しているマネージャーには心を開き、話したことにも責任を持って取り組んでくれます。

責任を持って業務に取り組むメンバーが増えれば、組織の目標達成にも近付くでしょう。

相手の話を聴く

部下と信頼関係を築くには、マネージャーが一方的に話すのではなく、メンバーの話を聴く傾聴の姿勢が大切です。

相手の話に耳を傾け、メンバーから「この人は話を聴いてくれる」と思ってもらうことにより、信頼関係が築けます。心理的安全性も担保されるため、仕事への意欲が高まるとともにパフォーマンスも向上するでしょう。

話を聴くのは、業務だけではなく雑談でも構いません。日常のコミュニケーションがマネジメントの成功にかかわります。

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まとめ|メンバーや状況に適したマネジメント手法がある

マネジメントとは、組織として機能させるための手段です。マネジメントの業務には、目標管理や業務管理、モチベーション管理のほかに、人材育成やリスク管理も含まれ、求められる能力も多岐にわたります。

またマネジメントの方法は1つではなく、状況や相手、内容によって適した手法が異なります。メンバーの特性や場の状況に適した手法でマネジメント業務を遂行することで、メンバーの力を引き出すことができます。

そのためにはマネジメントに関する知識の習得が必要不可欠です。体系的に学ぶ場に参加したり、自身が企業でどのような役割を求められているかを確認したりして、業務に臨みましょう。

よくあるご質問

Q. マネジメントスキルを高めるには?

A.マネジメントスキルを高める第一歩は、マネジメントの基本的な「型」を学習することです。マネージャーは専門職であり、業種や職種に関わらず共通の役割を持つため、外部研修や本を通した学習が有効です。

パーソルグループではマネージャー向けの研修をはじめ、キャリア・階層別に様々な研修プログラムを提供しています。課題別に研修プログラムをまとめたガイドブックは、以下リンクよりどなたでも無料でダウンロードいただけます。

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Q.マネジメントとは?

A.マネジメントとは管理や経営を指す言葉で、ビジネスにおいては、会社が求める成果や目標に沿って、組織として業務を遂行することです。組織管理だけでなく、業務管理や人材育成、指導もマネジメントに含まれます。

>>マネジメントの定義

Q.リーダーシップとの違いは?

A.マネジメントとリーダーシップの違いは、組織内で果たす責任と役割です。リーダーシップとは、集団が持っている能力を引き出し、組織の目標達成に向けてメンバーを導いていく能力です。一方、マネジメントとは権限や規則といった役割が判断できる機能を考え、目標達成や生産性向上のために業務を遂行する能力を指します。

しかし、近年では、従来のマネジメントに加え、メンバーの力を引き出すリーダーシップ能力が求められています。

>>リーダーシップとの違い

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