社員研修とは?目的や種類・プログラム例、実施ステップを解説

「毎年研修の内容が変わらないため、形骸化している気がする」
「受講する社員が主体的でなく、研修が業務に生きていない」

など、社員研修の悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

多くの時間や費用を割いて研修を行っても、受講者が学んだことを業務で活かせなければ意味がありません。このような状況を解決するには、研修の意義や目的を明確化し、実施すべき社員研修を定義することが必要です。

質の高い社員研修を実施するには、外部の研修サービスを活用する方法も効果的です。研修の実施には、企画の立案、会場の手配、資料作成、実施後のフォローなど、さまざまな工程が必要です。そのため、リソースや専門的なノウハウが不足している場合は、外部に委託する企業も多く見られます。

本記事では、社員研修の実施にあたり、具体的にどのような研修が行われているのか、受講者に主体的に参加してもらうためにはどうすればよいのかを解説します。

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人口不足が深刻化する今、社員研修は戦略的な投資となっています。新入社員・中堅・管理職など、それぞれの階層に必要なスキルや役割を明確にし、的確な研修プログラムを選ぶことで、人と組織の成長を加速できます。

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目次

社員研修とは?

社員研修とは、企業が従業員のスキルや知識を向上させるために行う教育のことです。新人社員向け、中堅社員向けといったように階層別に実施することが多く、以下が研修の具体例です。

    • 新人社員・若手社内向け・・・ビジネスマナー研修・コンプライアンス研修など
    • 中堅社員向け・・・マネジメント研修・リーダーシップ研修など
    • 管理者向け・・・プロジェクトマネジメント研修・メンタルヘルス研修など

研修の実施方法は、参加者が会場に集まる集合型の形式や、オンラインで受講する形式などさまざまです。

研修を通じて従業員が新しい知識やスキルを学ぶことで、日々の業務が効率化・高度化するだけでなく、企業全体の競争力強化にもつながります。

【階層別】社員研修の種類とプログラム例

社員研修はどのような種類があるのでしょうか。ここでは、多くの企業が導入している階層別研修の種類とプログラムを紹介します。

    1. 新入社員・若手社員向け
    2. 中堅社員向け
    3. 管理職向け

1.新入社員・若手社員向け

新入社員の多くは学校を卒業して間もない若者です。そのため、社会人としての基礎であるコンプライアンスやビジネスマナーを学び、企業の一員としての意識を培うことが重要です。

一方、入社2~3年目の若手社員は仕事にも慣れてきた反面、モチベーションの形成に課題を感じやすい時期です。そのため、このタイミングで自身の役割やキャリアについて考える機会を提供する研修を実施すると効果的です。

■ビジネスマナー研修

どのような職種でも、社会人1年目から社外の顧客と関わる機会があります。そのため、ビジネスマナーは相手との信頼関係を築くうえで重要です。身だしなみや振る舞いといった基本的なマナーは、社会人としての土台となるため、新入社員のうちにしっかり身につけておく必要があります。ビジネスマナー研修のプログラム例は以下のとおりです。

プログラム 内容
組織の一員としての意識づけ ビジネスをする上で、組織の一員としての自覚をもってもらい、以下のようなことを習得する
 ・学生と社会人の違い
 ・社会人に必要なビジネス意識
 ・会社のルール
 ・目標の立て方 など
身だしなみと挨拶・態度 ビジネスマナーの重要性や、基本を習得する
 ・身だしなみ
 ・表情
 ・態度
 ・基本動作 など
信頼される言葉遣い ビジネスにおける正しい言葉遣いや話し方を習得する
 ・敬語の重要性
 ・尊敬語、謙譲語、丁寧語
 ・ビジネス応対用語
 ・感じの良い話し方(クッション言葉) など
電話応対 正しい電話応対を習得する
 ・電話応対のポイント
 ・声の印象・発声トレーニング
 ・基本的な受け方、掛け方、取次ぎ
 ・さまざまな場面での取次ぎ など
ビジネス文書、ビジネスメール 正しい文章の書き方を習得する
 ・社外文書と社内文書の違い
 ・正しくわかりやすく伝わる・文書の作成
 ・電話、メール、FAX、ハガキ、手紙の使い分け など
名刺交換 正しい名刺交換方法と取り扱い方を習得する
職場でのコミュニケーション 周囲と円滑に業務を進めるための、基本的なコミュニケーションの取り方を習得する

【関連記事】ビジネスマナー研修とは?プログラム例や目的、内容を解説

■コンプライアンス研修

コンプライアンス研修は、法律や企業のルールを守るために必要な行動を学ぶ研修です。基本的な知識を身につけるだけでなく、組織の一員としてどう行動すべきか、といった感覚を養うことを目的としています。特にSNSが身近な若い世代にとっては、新入社員や若手社員の段階で、炎上リスクや個人情報の取り扱いについて学ぶ機会を設けることが大切です。コンプライアンス研修のプログラム例は以下のとおりです。

プログラム 内容
法律、一般常識 法令や企業規則など、基本的な知識・感覚を身につける
 ・企業規則
 ・個人情報保護法
 ・知的財産法
 ・労働基準法
 ・著作権法
 ・雇用対策法 など
ハラスメント対策 ハラスメントの発生や潜在化を防止する
 ・ハラスメントの種類、内容
 ・価値観や受け取り方の違い
 ・ハラスメント予防の方法
 ・ハラスメントが起こった際の対処法
 ・自身の行動チェック など
情報セキュリティ対策 業務時に起こりうるリスクを理解し、自身で取り組んでいるセキュリティ対策を見直す
 ・個人情報の取り扱い方
 ・流出時のリスク
 ・在宅勤務、テレワーク時のセキュリティ対策 など
不適切投稿や炎上防止 SNSでの不適切投稿によって起こりうるリスクを理解し、一人ひとりのモラルや情報リテラシーを高め、炎上を防止する
 ・どのような投稿がコンプライアンス違反なのか、SNSのリスクを知る(情報漏洩、不適切発言)
 ・炎上時の対処方法について学ぶ/社内ガイドラインに盛り込むべきポイントを理解する など

【関連記事】コンプライアンス研修とは?テーマ例や目的、内容と実施のポイント

■モチベーション研修

モチベーション研修は、社員の自律的・主体的なキャリア形成を促すための研修です。近年、若手社員の早期離職が多くの企業で課題となっています。組織における自身の役割やモチベーションのコントロール方法を研修で学ぶことで、社員が自身のキャリアをより深く考えられるようになります。モチベーション研修のプログラム例は以下のとおりです。

プログラム 内容
キャリアデザイン 激しい変化を伴う時代のビジネスパーソンに必要なキャリアデザインの基本的な知識やスタンスを学ぶ
 ・キャリアに対する考え方
 ・自分自身に関する理解
 ・これまでのキャリアの振り返り など
具体的なキャリア形成 若手社員のキャリアに関する潜在的な不安を引き出し、キャリアプランを具体化する
 ・自律的にキャリアを描くことの必要性
 ・客観的に測ったデータを活用した、自身のキャリア意識への理解
 ・上司とのキャリア面談 など

【関連記事】効果的なモチベーション研修とは?研修内容や進め方を解説
【関連記事】キャリア研修とは|取り組むべき理由やプログラム例を解説

2.中堅社員向け

中堅社員になると、チームを率いる役割を担うことが増えます。これまでとは異なるスキルが求められるため、研修でそれらを学ぶことが大切です。

■マネジメント研修

マネジメント研修は、現代のビジネス環境で求められるマネジメントスキルを学ぶための研修です。具体的には、マネジメントの原理原則や部下の行動変容を促す方法などを学びます。また、単に部下を管理するだけではマネジメント力があるとは言えません。現状分析をもとに、各メンバーの強みを活かした目標設定を行うスキルを養います。マネジメント研修のプログラム例は以下のとおりです。

プログラム 内容
マネージャー移行 マネージャーとしての早期活躍を目標に、新任マネージャーが特につまずきやすいポイントを学習する
 ・仕事の任せ方
 ・部下育成
 ・プレイヤーとマネージャーのバランス感覚 など
マネジメントの原則 マネジメントの基本を学ぶ
 ・チームづくり
 ・部下育成
 ・部門間連携
 ・オンラインも加味した会議の進行
 ・目標咀嚼(目標や戦略をチームに浸透させ、適切にプロジェクトを推進する能力) など
組織マネジメント 現場のマネージャーに求められる「人と組織を動かす基本」について学習する
 ・部下への動機付け
 ・部下の教育
 ・部下への割り振りや進行管理 など

【関連記事】マネジメント研修とは|プログラム例や得られるスキル【事例あり】

■リーダーシップ研修

リーダーシップ研修とは、リーダーシップが求められる人材に、リーダーとしての知識やスキルを身につけてもらうための研修です。組織が一丸となって目標を達成するためには、優秀なリーダーの存在は欠かせません。 しかし、パーソル総合研究所の調査によると、リーダー志向を持つ社員は35歳を過ぎると急速に減少する傾向が見られます。

リーダーを志す人の割合
【出典】パーソル総合研究所(旧富士ゼロックス総合研究所)「『人材開発白書2017 リーダーシップの発芽』

将来の経営を担う人材を確保するためにも、早い段階で研修を行い、リーダー志向を維持させる必要があります。リーダーシップ研修のプログラム例は以下のとおりです。

プログラム 内容
管理職向けのリーダーシップ リーダーとして直面する課題に対し、解決に必要なコミュニケーションスキルや対人スキルを身につける
 ・目標達成に向け、チームを牽引していくスキル
 ・情報を見極め、組織の課題と戦略について説得力をもってメンバーに伝える能力 など
中堅社員向けのリーダーシップ 自身の担当業務以外にも意識をひろげ、新たな視点を獲得する
 ・全体像を俯瞰したうえでの仕事の割り振り方
 ・テレワーク時代のリーダーシップ など
次世代リーダー向けのリーダーシップ 将来的に組織の経営者や幹部として活躍するために必要になるスキルを獲得する
 ・人を動かす話し方
 ・メンバーとの信頼関係の構築
 ・着想や発想力、アイデアのビジネス化力 など

【関連記事】リーダーシップ研修とは?目的やカリキュラム例・得られるスキルを解説

■ハラスメント研修

ハラスメント研修とは、ハラスメントへの意識を高め、ハラスメントが起こらない環境を作るための研修です。職場で起こりうるハラスメントは、セクハラ、パワハラ、モラハラなど多岐にわたります。研修では、どのような言動がハラスメントにつながるのかを学び、社員同士が快適にコミュニケーションできる環境を作ることを目指します。ハラスメント研修のプログラム例は以下のとおりです。

プログラム 内容
ハラスメントの基礎 ハラスメントに対する基礎知識を学ぶ
 ・ハラスメントとは何か
 ・何がハラスメントに該当するのか
 ・ハラスメントが組織どのような影響を与えるのか など
ハラスメント防止 ハラスメントを予防法や起こってしまった際の対処法などを学ぶ
 ・ハラスメントが起きやすい状況
 ・ハラスメントの防止策
 ・ハラスメントが起こった際の対処法(社内相談窓口の活用や社内規定) など
行動改善 指導とハラスメントの違いを学び、正しいマネジメントを行えるようにする
 ・自身の行動傾向を知る
 ・指導とパワハラの違いを理解する
 ・チェックシートをもとに、自身の行動で改善すべきポイントを探る など

【関連記事】ハラスメント研修とは?必要性やテーマ・カリキュラム例

3.管理職向け

管理職にはチームを目標達成へと導くためのマネジメントスキルや、事業を牽引する力が求められます。また、メンバーの健康管理やモチベーションを高めるスキルも学ぶ必要があります。

■プロジェクトマネジメント研修

多くの企業でプロジェクト型の仕事が増えており、プロジェクトマネジメントスキルが重要になっています。研修では、プロジェクトの計画から実行、管理、完了までの学ぶ基本的なマネジメントスキルに加え、組織の事業戦略を考えたり、ビジネスプロセスを改善したりといった高度なスキルも学びます。プロジェクトマネジメント研修のプログラム例は以下のとおりです。

プログラム 内容
プロジェクトマネジメント入門 プロジェクトマネジメントの基本的な流れを体系的に習得する
 ・プロジェクトマネジメントとは
 ・プロジェクト立ち上げ
 ・プロジェクト計画
 ・プロジェクトの実行とコントロール
 ・プロジェクトの完了 など
リスクマネジメント プロジェクトにおけるリスクの理解や、重要なリスクの影響度合いを評価する手法を身につける
 ・プロジェクトのリスクとは
 ・リスクマネジメント計画とリスク特定
 ・リスク分析とリスク優先順位
 ・リスク対応計画策定
 ・リスクへの対応(実行・監視・コントロール) など
ネゴシエーションスキル プロジェクトマネジメントに適用される交渉の重要性や基本的な知識・スキルを身につける
 ・交渉の全体像
 ・状況の把握
 ・交渉の準備
 ・交渉の実施
 ・対立型交渉
 ・リスクマネジメントとしての交渉
 ・協調型交渉 など
ビジネス思考 自身の携わるプロジェクトが組織の上位戦略とどのように繋がっているのか、ビジネス全体を俯瞰してプロジェクトマネジメントができる力を養う
 ・ビジネスの全体像を捉える
 ・ビジネスゴール(戦略)を理解する
 ・ビジネス遂行力(戦術)を高める
 ・コミュニケーション力(組織力)を高める など

【関連記事】プロジェクトマネジメント研修とは|おすすめのカリキュラム例を紹介

■メンタルヘルス研修

精神的な問題で休職や退職をする社員が年々増加しており、「不調に気づかなかった」「気づいていたが、どう接すればよいかわからなかった」という課題も見受けられます。管理職には、ストレスを抱えている社員を早期に発見し、必要に応じて外部機関とも連携するなど、適切な対応が求められます。メンタルヘルス研修のプログラム例は以下のとおりです。

プログラム 内容
セルフケア メンタルヘルスに関する知識をつけ、自分自身のストレス対処法を取得する
 ・メンタルヘルスの現状、早期発見のポイントを知る
 ・チェックリストを用いて、自身のストレス耐性を知る
 ・身近な人が病んでいるときの対処法を知る
 ・自分の傾向をもとに、不調時の対処方法を考える など
ラインケア 管理者が、部下のメンタル不調にいちはやく気づき、適切に対応できるスキルを身につける
 ・メンタルヘルスの現状と企業にとってのリスクを知る
 ・早期発見のポイントを知る
 ・病んでいる人への望ましい対処法(話の聴き方)について、自己チェックやロールプレイングを通して学ぶ
 ・管理職としての対処法を学ぶ
 ・ストレスの少ない職場環境について考える など

【関連記事】メンタルヘルス研修とは?必要性やプログラム例・得られるスキル

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階層やキャリア課題にあわせ、体系立てられた研修プログラムを実施することで、計画的・戦略的に人と組織の成長を促すことが可能です。数々の企業で導入実績をもつパーソルグループでご提供する、課題ごとに最適な研修プログラムをご案内します。

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社員研修の6つの手法

社員研修の学習方式には大きく6つの種類に分けられます。それぞれメリット・デメリットがあるため、自社に適した形式を選択しましょう。

OJT

OJT(On-the-Job Training)は、職場での実務をベースに知識やスキルを習得させる研修手法です。 職場の技術をまだ習得していない人に対して教えていく手法のため、新人や未経験者に対して行われることが多いとされています。

日常の業務の中で育成が行われることにより、理論だけではなく実践的なスキルの習得や個人の特性に合わせた指導が可能な点がメリットです。一方で、指導者の能力によって研修の質が左右される点や現場での教育コストがかかる点などがデメリットとして挙げられます。

OJTを導入する際には、実務経験が必要な業務を学ばせたり、インプットした内容を定着させたりしたい場合におすすめです。

【関連記事】OJTとは?OFF-JTとの違いや運用ポイントを簡単に解説

オンライン研修

オンライン研修は、主にWeb会議ツールを用いてオンラインで行われる研修手法です。

場所や時間、人数を問わずに開催できるため、研修に参加するハードルが低いことがメリットです。また、チャットを活用することで、気軽に質問できる環境を整えられます。一方、参加者の表情や仕草がわかりにくく、研修内容を理解しているかが不透明な点がデメリットです。また、通信環境に影響を受けるため、参加者によっては研修をきちんと受講できない場合も考えられます。

オンライン研修は遠隔地に社員がいる場合や社員の都合に合わせて好きな時間に学習してほしい場合などにおすすめです。

【関連記事】オンライン研修とは?種類やメリット・実施方法【具体例あり】

e-ラーニング

e-ラーニングは、スマートフォンやパソコンでの動画学習を行う研修手法です。

オンライン研修と同様、場所・時間・人数問わず開催でき、わからなかった部分を繰り返し学習できる点がメリットです。しかし、すべての学習をオンラインで行うため、実践的な教育が難しいこと、学習の進捗管理が煩雑になりやすいことがデメリットです。

e-ラーニングは特定のスキルや知識を短期間で習得したい場合や、継続的な学習が必要な場合におすすめです。

グループワーク

グループワークは、与えられたテーマに対して複数の参加者が協力してワークに取り組む研修手法です。

交流の機会を作りやすく、他の参加者の考えに触れることで、解決力や思考力が鍛えられるでしょう。一方、参加者が多い場合、日程調整や場所の確保などが難しく、理解度やアウトプット量が参加者によって異なる点がデメリットです。

グループワークはチームワーク、コミュニケーション、リーダーシップといったスキルを身につける研修での活用が有効です。

ロールプレイング

ロールプレイングは、実際の場面に近い状況を設定し、参加者が特定の役割を演じることでスキルや知識を身につける研修手法です。例えば、営業向けの研修では、顧客との交渉をシミュレーションします。

実際の状況を再現することで、座学で学んだ知識をアウトプットできます。特に、商談や交渉など、対面でのコミュニケーションが重要な場面で効果的です。しかし、研修の参加人数が多いと時間がかかることや、メンバーの組み合わせによっては緊張感に欠けることがデメリットです。

ロールプレイングはコミュニケーションスキルや交渉力、顧客対応スキルを向上させるための研修におすすめです。

集合研修

集合研修は、講義形式で行われる研修手法です。著名人や外部講師に依頼して行う社内セミナーや外部の研修施設でのワークショップなどがあげられます。

参加者とのコミュニケーションが取りやすく、グループワークも同時に行うとアウトプットもしやすい点がメリットです。しかし、参加者の人数によって、場所や時間の制約があり、時間の柔軟性に欠ける点がデメリットです。また、大人数の場合、参加者一人ひとりに合わせた学習が難しい場合があります。

集合研修は、新入社員研修やチームビルディングなどの研修におすすめです。

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社員研修の目的

社員研修の目的の一つは、社員が成長することで生産性を高め、企業の利益を最大化することです。社員一人ひとりが研修を通じて成長することで、結果的に企業のミッション達成につながります。

また、得た学びを現場で活かす「行動変容」も社員研修の目的です。そもそも研修は企業が抱える課題を解決できる人材を育てるために実施するものです。そのため、学びが業務で活用されることではじめて研修の効果が出ていると言えます。

また、社員研修は生産性向上や課題解決だけではなく、企業の損失を防ぐことを目的に行われるケースもあります。例えば、ビジネスマナーやコンプライアンス、リスクマネジメントを学び、社員が正しく理解していれば、ブランドの毀損や社会的問題を未然に防ぐことができます。

このように社員研修は、企業の成長やリスク管理に必要な教育を行う重要な手段です。研修を通じて身につけてほしいスキルや求める行動を明確にすることで、より効果的な社員研修が実施できます。

社員研修の導入ステップ

では、実際に社員研修を実施する場合、どのように進めれば良いのでしょうか。社員研修実施までの流れについて解説します。

1.求める人材像を定義する

まずは、自社にどのような人材が必要なのか、定義を明らかにしましょう。明確な人材像がなければ、研修の目的と内容を定めることができません。例えば、顧客満足度を高めるためには、コミュニケーション能力や問題解決力を備えた人材が必要です。

目指すべき具体的な人材像を設定することで、研修の方向性が明確になり、効果的なプログラムを構築できます。

2.研修内容・スケジュールを決める

自社の課題や目的に応じた研修を選びましょう。

研修内容とスケジュールの決定は、単に研修を実施するための手順ではなく、企業の戦略的な目標達成に必要なプロセスです。研修プログラムは企業の将来像に合致し、実践的なスケジュールで行うことで、社員のスキルアップと企業の成長を同時に実現できます。

3.振り返りを行う

社員研修の成果を最大化するには、研修終了後の振り返りが重要です。振り返りでは、研修の効果を評価し、今後の改善点を洗い出せます。例えば、参加者からのフィードバックを集めることで、研修内容の有効性や改善が必要な点を具体的に把握できます。

さらに、振り返りによって参加者自身が学んだことを再確認し、現場での活用を促進する機会にもなるでしょう。参加者からもらったフィードバックをもとに、社員が成長し、会社が求める人材を育成できる研修に改善し続けることが大切です。

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自社で社員研修を実施する際の3つのポイント

主体的な学びを促すためには、受講者の参加意欲や動機づけが重要です。本章では、既存の研修を「業務に生かせる」「もっと学びたい」と感じる研修へと見直すための3つのポイントについて解説します。

1.自分事として臨むことのできる研修を設計する

やらされ感がない研修を実施するためには、一人ひとりが当事者意識を持ち参加できる工夫を行うことが効果的です。「自分の業務には関係のない内容だ」「目の前の仕事が忙しいから研修どころではない」といった意識があると、主体的な学びは実現しません。

そこで、研修内容が自身の業務にどのように生きるのか、事前に受講者に周知しましょう。研修に対して当事者意識を持たせ主体的な行動を促すためには、人事部門が働きかけるだけではなく、企業として社内研修の必要性や目的を明確にし、周囲から協力してもらう必要があります。

そのためには、経営陣の発信なども有効です。人材育成と経営戦略との関連性や、スキルアップによる効果を社内報や方針発表の場で表明することも検討してみましょう。

また、事前ワークの実施も一般的ですが、ワークの内容も自身の言葉で参加の目的や参加後の理想像を書き出すなど、自身に置き換えて考える場面を創出することが大切です。

例えばMBOなど、目標管理制度を取り入れることも効果的でしょう。上司とのコミュニケーションを通じて自らの目標に向かって行動できているか確認することで、成長速度の向上も見込めます。

【関連記事】MBO(目標管理制度)とは?手法や目標設定の例・メリット

2.優先順位をつける

予算や人的リソースを加味して、優先順位をつけて研修を進めることが重要です。企業における組織・人材の重要課題は、以下の通り階層別・機能別に分けられます。

企業における知識・人材の階層別・機能別重要課題

すべての課題には着手できないため、「影響範囲」と「即効性」の二つの観点から優先度を検討しましょう。「影響範囲」の観点から考えると、上の層から着手することが鉄則です。

基本的に組織の人的課題は、上位階層が下の階層に影響を及ぼしています。しかし、役員クラスから対応するのはなかなか難しいでしょう。一方、「即効性」の観点で考えると、新しい施策の浸透が早いのは若手・新人層ですが、その影響範囲は限定的です。

このことから、管理職・中堅層をターゲットとした「次世代リーダーの育成のためのサクセッションプランニング」や、「伸び悩み防止のためのストレッチアサインメント」から着手するのがおすすめです。企業における中間管理職の役割は多岐にわたるため、この層の意識が変われば会社全体に与える影響範囲も広く、結果として投資対効果が高まる可能性があります。

3.実践で活用する機会を提供する

研修の効果を高めるには、研修と実践を繰り返すことが大切です。

人材開発の領域で有名なロミンガーの法則は、「70:20:10」の法則とも言われ、それによると社員の成長に影響を与えるものは「仕事上の経験」が70%であるとされています。

ロミンガーの法則

つまり、学習した内容を定着させるには、アウトプットの機会を設けることが重要です。また、実践では研修では想定しなかったことが多々発生します。研修の内容を実践で試し、足りない知識やスキルを認識することにより、さらに能力を高めていくことも可能です。

パーソルグループが提供する社員研修

パーソルグループでは、各企業や組織の課題に合わせて、さまざまなプログラムを実施しています。

パーソルグループの社員研修の特長

  • 30年21,000社以上に提供してきた豊富な実績と、調査・研究を基盤とした体系的な研修プログラム
  • 研修目的や課題の整理といったコンサルティングから、課題解決に向けた研修の実施などオールインワンでのソリューション提供
  • 新入社員から若手、中堅、管理職など階層ごとに最適化し、組織課題にあわせたカスタマイズ研修をご提案

パーソルグループの研修プログラム例

この他にもさまざまなセミナーや公開研修・アーカイブ動画の配信を行っています。研修によっては、講師との事前面談や課題のヒアリング・それらをもとにしたカスタマイズが可能です。目的に沿った社員研修の実施や見直しでお困りの場合は、ぜひパーソルグループへご相談ください。

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まとめ|社員研修を通じて主体的な社員の育成を

ミッションの実現に向け、企業が行うべき社員研修のプログラム例や目的、受講者が主体的に参加できる研修のポイントについて解説しました。

社員研修は階層別にわかれており、新人社員・若手社内向けにはビジネスマナー研修があり、中堅社員向けにはマネジメント研修があります。管理者向けには、プロジェクトマネジメント研修・メンタルヘルス研修などが有効です。

受講者にとって、なぜ受講するのか、研修を通じてどのような姿を目指すのかを明確にすることで、主体性を持った研修につながります。また、複数の研修形式を組み合わせたり、実施後の振り返りや実践を充実させることで、業務改善が期待できます。

社員研修を通じた人材育成は、一朝一夕で結果が出るものではありません。企業の3年後、5年後を見据え、長期的な視点で研修計画全体を見直していきましょう。