2022年11月28日
2025年03月04日
マネジメント研修とは、管理職が部署やチームで成果を出すために必要な考え方やスキルを習得する研修を指します。すでに管理職としてキャリアを築いている方はもちろん、新たに着任した方や管理職候補の方を対象とした研修プログラムもあります。
本記事では、マネジメント研修の目的や期待される効果を紹介するとともに、プログラム例や選定ポイント、研修の効果を高めるためのポイントを解説します。これから実施を検討される方も、現在の研修を見直したい方もぜひ参考にしてみてください。
【お役立ち資料】管理職層のマネジメント強化に課題を感じている方、必見!
マネジメントやリーダーシップを強化するには、単に研修プログラムによる知識・スキルのインプットだけでは不十分です。アセスメントによる自己理解や課題認識、研修前後の上司によるフォロー、コーチングなど、多面的なアプローチが行動変容を促すカギとなります。
本資料では、21,000社以上の実績をもつパーソル総合研究所が、マネジメント強化を実現するためのソリューションをまとめています。マネジメント強化に課題をお持ちの方やご興味のある方はぜひダウンロードしてご覧ください。
目次
マネジメント研修とは、管理職として組織をまとめ、高いパフォーマンスを出すために必要なスキルや考え方、行動を身につけるため研修です。
マネジメント研修には、「新任管理職」「中間管理職」「上級管理職」など階層に合わせたプログラムがあり、実施形式も社内で行うだけではなく、外部講師を招いたセミナーやe-ラーニングなどさまざまです。
マネジメント研修の目的は、組織を円滑に運営し、成果を生み出せる人材を育成することです。
マネジメントは、組織の目標達成に不可欠な要素です。しかし、日本能率協会の調査によると、「管理職層(ミドル)のマネジメント能力向上」が組織・人事の課題として最も多く挙げられています。
マネジメント研修は、このような組織課題の解決を目的として、管理職のスキルアップ、つまり優秀な管理職の育成を目指します。管理職の言動は部下のパフォーマンスやエンゲージメントに大きく影響するため、研修を通じて能力を向上させることが組織全体の成長につながります。
【お役立ち資料】課題別に研修テーマを探せる!階層別 育成課題解決ガイド
「優秀な管理職を育成したいが、どのような研修が良いのかわからない」「体系立てられた研修プログラムを実施したい」といった課題をお持ちの方に、パーソルグループでは、研修のポイントや具体的なプログラムをまとめた資料を公開しています。人材育成担当の方はぜひご活用ください。
マネジメント研修は、新任から上級といった階層によって、適切なプログラムが異なります。
例えば新任マネージャーの場合、基礎固めとしてマネジメントに必要な思考プロセスやコミュニケーションスキルなどを学ぶ研修が求められます。
ここでは、パーソルグループが提供するマネジメント研修を例にプログラムをご紹介します。これらはあくまで一例であり、実際に導入する際は自社の現状や課題に合わせて、プログラムをカスタマイズすることをおすすめします。
対象者 | 初めて組織をマネジメントする新任マネージャー |
---|---|
課題感 | マネージャーになったばかりで、自身に求められる役割がわからない |
プレイヤーからマネージャーになる移行期間に求められる考え方やスキルを学び、部下を動かして成果を出す立場への転換を支援するプログラムです。
これまでプレイヤーとして活躍してきた新任マネージャーが特につまずきやすいとされているのが、「目標の咀嚼(そしゃく)」「部下の育成」「プレイヤーとマネージャーのバランス」です。会社の掲げる目標や戦略を部下が納得するようにかみ砕いて説明することができず、部下の育成が進まないことによって、マネージャー自らがプレイヤー業務を担う結果に陥ってしまう状態は、多くの組織で見られる課題といえます。
本プログラムでは、これらの課題解決に役立つ知識やスキル、思考法を習得して基本的なマネジメント力を養うとともに、組織に貢献できる管理職として自立するためのサポートを行います。
具体的には、以下のようなプログラムです。
テーマ | 内容 |
---|---|
オリエンテーション | ・自己紹介 ・研修の目的、研修の進め方を説明 |
リアリティ・プレビュー | ・マネージャーの課題について解説 |
仕事の任せ方 | ・部下に仕事を任せる際に必要な「観察」「目標契約」「振り返り」「フィードバック」の4ステップを実施 |
リアリティ・アクセプト | ・マネージャー就任後の注意点を解説 |
まとめ | ・研修のまとめ ・質疑応答 |
対象者 | 新任マネージャー、学び直したい既任マネージャー |
---|---|
課題感 | マネジメントのスキル・知識を習得したい |
社会情勢の変化にも柔軟に対応できる、マネジメントの基本原則5つを習得するプログラムです。新任の管理職はもちろん、すでにマネージャーとしてキャリアを築いている人材の学び直しにも適しています。マネジメントの基本原則5つは以下の通りです。
※会議や面談において、対面やオンラインなどが混在する環境下で有効な場を作ること
本プログラムでは、計3回の1日研修とともに、3〜4ヶ月の経験学習期間と並行することで実践を積み上げるため、受講者は学習と実践、振り返りを反復しながら理解を深めていくことができます。
具体的には以下のようなプログラムです。
Day-1 | ・オリエンテーション ・マネジメントとは ・原則1:目標咀嚼 ・原則2:ハイブリッド会議のファシリテーション ・行動計画の策定・まとめ |
---|---|
Day-2 | ・オリエンテーション ・Day-1の復習 ・180度サーベイ ・原則3:部下育成 ・行動計画の策定・まとめ |
Day-3 | ・オリエンテーション ・Day-1~2の復習 ・原則4:チームづくり ・原則2:ハイブリッド会議のファシリテーション ・原則5:部門間連携 ・行動計画の策定・まとめ |
対象者 | 新任マネージャー、既任マネージャー、プロジェクトマネージャー |
---|---|
課題感 | チームに主体性がなく、モチベーションが低下してしまっている |
メンバーの動機や主体性に働きかけるマネジメントを学ぶプログラムです。
組織で業務を行う中では、社員は自身の仕事の重要性や意義、組織の中での役割などについて十分な認識を持てておらず、主体性が損なわれたり、モチベーションの低下を招いてしまったりすることも多くあります。
本プログラムでは、そうした課題を解決するために、マネージャーがどのように働きかけるべきかを学びます。多様な個性や、様々な勤務形態ではたらくチームのマネジメント力を育てることも可能です。
具体的には、以下のようなプログラムです。
テーマ | 内容 |
---|---|
オリエンテーション | ・自己紹介 ・研修の目的、研修の進め方を説明 |
人を動かすコミュニケーション | ・良い上司/悪い上司とは ・マネージャーゲーム |
組織の中のマネジメント | ・マネージャーの最も大切な仕事とは ・動機づけ ・働きかけと手応え ・循環構造で部下に認識させたいこと |
何を「配る」のか | ・リソースを「配る」 ・部下に「配る」5つの大切な情報と配り方 ・情報の入手 ・ヨコに「配る」 ・「差し手」と「コマ」 |
実戦演習 | ・ロールプレイング(上司役・部下役・オブザーバの3人1組で実際のケースに基づく) |
行動計画 | ・明日からの行動計画を立てる |
まとめ | ・研修のまとめ ・質疑応答 |
貴社の課題にあわせた研修プログラム選びを支援します
パーソルグループでは、研修プログラム策定や研修後のフォローアップなど、企業のマネジメント人材育成に関する課題解決を包括的にサポートしています。
マネジメント研修の企画・実施にまつわるお困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。
マネジメントにおいて必要とされるスキルは以下の4つです。マネジメント研修では、主にこれらのスキル習得を目指します。
マネジメント力とは、部下を率いて部署やチーム全体を目標達成に導く能力です。部署やチームの目標達成に責任をもつ管理職にとって、マネジメント力は欠かせません。
管理職は、部署やチームに求められている成果や価値を部下にわかりやすく伝達し、目標達成までのプロセスを管理する必要があります。
マネジメント研修では、目標設定や進捗管理の方法、部下とのコミュニケーション、指導・評価のやり方など、マネジメントにおける実践的なスキル全般を学びます。
管理職には、組織を円滑に運営する力が求められます。自身が責任をもつ部署や課、チームなど大小さまざまな単位の組織を、正常に機能させなければなりません。例えば、成果を上げやすい組織体制の構築や強化、社内外との連携や情報共有といった多角的なアプローチが必要です。
マネジメント研修では、理想的な組織運営のあり方を理解し、それらを実現する手法を学びます。
管理職には現場のマネジメントだけではなく、経営的視点で物事を判断する力も必要です。なぜなら、組織の目標達成には、会社の方向性を理解し、戦略的に判断する力が不可欠だからです。
経営的視点には、企業の社会的責任やコンプライアンス、事業を取り巻く環境の理解・分析といった要素が含まれます。これらを踏まえた意思決定ができることで、組織の成長につながります。
マネジメント研修では、所属部署やチームを客観的に捉え、経営的視点から評価して改善につなげる方法を学びます。次世代のリーダー候補や今後企業の成長・発展を担う社員には、若いうちから経営的視点を学ぶ機会を与えるとよいでしょう。
組織の成果は個々のメンバーの成長によって大きく左右されるため、優秀な人材を育成する力は重要です。メンバー一人ひとりの強みを引き出し、主体的に動けるようサポートすることで、チーム全体の生産性やエンゲージメントが向上します。
マネジメント研修では、部下との信頼関係の構築や部下のモチベーションを高めるコミュニケーションスキルなどを学びます。
【関連記事】人材育成とは?基本の考え方や育成方法・具体例を解説
マネジメント研修の対象者は、基本的には部下をもつ管理職です。管理職は、大きく以下の3階層に分類できます。
階層によって、実施すべきマネジメント研修の内容も異なるため、それぞれの違いについて解説します。
新任管理職は、一般社員から昇格したばかりの人が該当します。例えば、新人のチームマネージャーや係長、チームリーダーがここに分類されます。
新任管理職は、マネジメントの基礎を身につけることが求められます。プレイヤーとしての経験や実績が豊富でも、マネジメントの知見はないケースが多いため、研修を通じて求められる役割とその役割を果たすために必要なスキルを習得します。
【新任管理者、必見!】管理職が身につけるべきマネジメントスキル&学び方
近年の管理職を取り巻く環境は非常に厳しく、どの企業も優秀な管理職を育てることが必務となっています。そこで本資料では、管理職にとって必要なスキルと習得法、マネジメントのコツをお伝えします。特に、「新任管理職」の方にお役立ていただける情報をまとめています。ぜひご活用ください。
中間管理職は、課長や次長クラスが該当します。中間管理職は、すでにある程度のマネジメント経験を積んでおり、基本的な役割はこなせる状態です。そのため研修では、イレギュラーなケースに対処できる応用的なスキルを身につけたり、指導の質を改善したりすることを目指します。
中間管理職は上級管理職の候補となる人材であるため、場合によっては上級管理職に求められる能力について理解を深める研修を行うこともあります。
上級管理職は、最高位の管理職であり、主に事業部長や部長が該当します。上級管理職は経営層に近い立場であるため、研修では経営や組織開発など、より広い視点で事業を管理する力を身につけます。また、中間管理職や新任管理職を育成する立場でもあるため、どのように指導をして成果を伸ばすかを学ぶことも重要です。
また、CxO(Chief x Officer:組織の責任者)など、さらに上位の役割を担うために必要なスキルや知識を習得するケースもあります。
マネジメント研修の費用は、規模や内容、形式によって異なります。
例えば、宿泊型のマネジメント研修は15〜30万円ほどかかることもあれば、2〜3時間の公開講座は数万円で受講できることもあります。研修の目的やプログラムを考慮し、費用に見合った研修を選択することが大切です。
なかには無料の研修もありますが、無料の場合はウェビナー形式でオンライン上の動画を視聴するだけのものが多く、実践的なスキルを習得しづらいため、管理職の育成を目的に研修を行う場合は、専門の講師による有料の研修を受講することをおすすめします。
マネジメント研修を受講すると、どのような成果が得られるのでしょうか。実際に研修を受講し、成果につながった事例をご紹介します。
「なの花薬局」を全国に展開するメディカルシステムネットワークグループでは、ミドル層(ブロック長・薬局長)がマネジメントのセオリーを学ぶ場がなく、個々の能力任せになっていました。そのため、マネジメントのレベルが平準化されておらず、組織としてのパフォーマンスを最大化できていないという課題がありました。
それまでも研修は実施していたものの、薬剤師としての技術やスキル、接遇の研修が中心で、マネジメントスキルを体系的に学べる内容ではありませんでした。
そこでパーソルラーニング(現パーソル総合研究所)が同社のマネジメント研修を支援することとなりました。まずは全国の薬局でヒアリングを実施し、マネジメントの骨格となる考え方を一緒に整理することから始めました。その内容を独自の「マネジメントプロセス」に落とし込み、薬局長の上の階層に当たる役職であるブロック長に向けた研修を開催しました。
研修を通じてブロックごとにビジョンを作成し、各薬局長にも薬局ごとの目標を整理してもらうことができました。あわせて、研修で学んだ会議手法を参考にすることで、会議の活性化につながったそうです。
LINEヤフー株式会社では、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進しています。DE&Iとは多様性や公平性を受容・促進して、組織の活発化を目指す概念を指します。
同社は、DE&Iを推進するなかで「どこから手をつけていいのかわからない」「意図せずハラスメントに該当しないか」といった課題を抱えていました。
そこで、DE&Iの全体像を把握し、具体的に何に取り組めばよいか把握できるよう、約1,800名の管理職を対象に、オンラインでDE&Iマネジメント研修を開催しました。
具体的な研修内容は、以下の通りです。
パーソル総合研究所は研修構築の段階からご支援。多忙な管理者に手厚い研修を実施するのは時間の都合上困難であると判断し、90分という時間制約の中で実施しました。また、DE&Iに関するインプットについては、理論やデータを盛り込んだ資料を配付し、受講者が自身で学べる形式にしました。
コンパクトでありながらもサポートが充実した研修は成功し、受講後には「どう考えて行動すべきかヒントがわかった」「1on1がDE&Iマネジメントに活かせることがわかった」といったポジティブな意見が多く寄せられました。また、半期に一度実施している多面評価においても、「上司は異なる考えや価値観を受け止め、理解・尊重しているか」の数値項目が向上するなどの効果が徐々に現れています。
マネジメント研修を実施するうえでもっとも注意したいのが、「研修の形骸化」です。せっかく実施した研修を無駄にしないように以下の3点を抑えておきましょう。
研修効果を高めるために、まずはマネジメント研修を行う目的を明確にしましょう。
研修を計画する段階で、「研修のゴール」「対象者」「習得させたいスキル」を明確にします。受講者にもあらかじめ共有しておくことで、受講者も当事者意識を持って研修に臨めるため、効果の高まりも期待できます。
研修の終盤または終了後に、研修で得たスキル、現場での実践法などを受講者自身が振り返る機会を設けましょう。研修を受けることが目的ではなく、あくまで実務に活かすことが本質です。
振り返る機会を設けることで、「受講しただけで満足してしまい、研修の成果が実務に活かされない」といった形骸化を防止できます。
研修後は、受講者本人はもちろん、その上司や同僚、部下を含めた認知と行動の変化を見ることで、研修の効果を高められます。
マネジメントは、管理職本人が周囲との関係において取り組んでいくべきものです。本人の振り返りに加えて、現場でマネジメントを実践していく過程で、上司や同僚、部下など組織内の異なるポジションの社員からも研修の成果を確認するフローを設けましょう。
管理職本人の行動変容が組織全体に波及し、組織の成長が可視化されている状態であれば、研修の効果があったと判断できます。
周囲からのフィードバックを得ることで、新たな課題の洗い出しや目標の設定にもつながり、PDCAをまわせるようになるでしょう。
パーソルグループでは、30年にわたり、21,000社のお客さまへ人材育成・組織開発などのサービスをご提供してきた実績に基づき、常に新しい要素を盛り込んだ独自のコンテンツを提供しています。グループ内のシンクタンクが保有する研究調査データをもとに、確かなエビデンスによる論理的で納得感のあるコンテンツが強みです。
企業ごとの目的や課題に合わせたカスタマイズも可能で、経験豊富なコンサルタントが伴走しながら最適な研修プログラムを提供しています。また、さまざまな業界での経験・実績がある講師陣が研修を担当するため、実践的な学びを通じて受講者の成長をサポートします。
管理職の育成に課題をお持ちの方や、マネジメント研修の見直しを検討している方はお気軽にパーソルグループにご相談ください。
社会の変容とともにビジネスが複雑化し、組織のマネジメントにおいて求められるスキルも多岐にわたっています。自社のマネジメント課題を抽出し、適切なマネジメント研修を実施することは、管理職個人のスキルアップだけでなく、組織の成長・発展にとっても重要な取り組みです。
マネジメント研修を効果的に活用し、次世代の経営を担うことのできる優秀な管理職の育成を図っていきましょう。
【お役立ち資料】管理職層のマネジメント強化に課題を感じている方、必見!
マネジメントやリーダーシップを強化するには、単に研修プログラムによる知識・スキルのインプットだけでは不十分です。アセスメントによる自己理解や課題認識、研修前後の上司によるフォロー、コーチングなど、多面的なアプローチが行動変容を促すカギとなります。
本資料では、21,000社以上の実績をもつパーソル総合研究所が、マネジメント強化を実現するためのソリューションをまとめています。マネジメント強化に課題をお持ちの方やご興味のある方はぜひダウンロードしてご覧ください。