2023年01月16日
2023年11月27日
精神疾患を理由に休職や退職をする社員は年々増加傾向にあり、多くの企業が対策に迫られています。メンタルヘルスに関する問題が深刻化する背景には「不調に気づかない」「気づいてもどう接すれば良いか分からない」といった課題があります。
ストレスを抱えている社員を早期に発見し、休職や退職を未然に防ぐためには、メンタルヘルス研修の実施が有効です。
本記事では、メンタルヘルスへの対応が求められる背景や実際の研修プログラム、メンタルヘルス研修の効果的な進め方について解説します。
メンタルヘルス研修についてご相談いただけます
・メンタルヘルス不調の防止を推進したい
・どのようなテーマで研修をすればいいか分からない
・従業員の離職対策を行いたい
管理職や新入社員向けなど、階層別の研修がメンタルヘルス対策に有効です。パーソルグループでは、組織の状況に応じて階層別のメンタルヘルス研修を提供します。研修の実施や進め方でお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。
目次
メンタルヘルスとは、心の健康状態を指します。精神的な疲労やストレスの蓄積など、気分が落ち込んでいる時はメンタルヘルスが不調であると言えるでしょう。逆に、元気に満ち溢れている、穏やかな状態はメンタルヘルスが良好と言えます。
近年、業務での心理的負荷が原因となり、精神障害を発症したとして労災認定が行われた件数が、年々増加傾向にあります。どの企業も積極的にメンタルヘルス対策を講じていく必要性が高まっていると言えるでしょう。
本章では、職場におけるメンタルヘルスの不調と、メンタルヘルス研修の目的について解説します。
「メンタルヘルスの不調」とは、厚生労働省の指針によると以下のように定義されています。
また、精神障害の例としては以下のものが挙げられます。
うつ病 | 気分の波が主な症状として表れる、気分障害の1つ。 一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じてしまう。 |
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適応障害 | 日常生活の中で、何かのストレスが原因となって心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じたもの。原因が明確でそれに対して過剰な反応が起こった状態。 |
パニック障害、不安障害 | 突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こし、そのために生活に支障が出てしまう。 |
依存症 | 日々の生活や健康、大切な人間関係や仕事などに悪影響をおよぼしているにも関わらず、特定の物質や行動をやめたくてもやめられない(コントロールできない)状態。 |
メンタルヘルス不調につながる要因の一例として職場のハラスメントが挙げられます。ハラスメントによるストレスとメンタルヘルス不調の関係性は厚生労働省にも認められており、2020年には「心理的負荷による精神障害の認定基準」にパワーハラスメントが追加されました。
実際に、ハラスメントを理由とした退職者は年間約86万5千人と年間総離職者の10%以上を占めています。貴重な人材を確保するためにも、ハラスメント対策と同時にメンタルヘルス対策を行うことが急務だと言えるでしょう。
メンタルヘルス研修は、メンタルヘルスとは何かを知り、ケアの方法を全社員が理解するために行います。
メンタルの不調は、誰もが経験する可能性があります。それでも「うつ」を患う者に対して「頑張れ」などと心ない言葉をかけたり、「気合いでなんとかなる」と思い込むような事実誤認があったりと、いまだに職場の中で正しい知識が広く行き渡っているとは言えないのも事実です。
しかし、こころの病気も他の病気と同じく、早期の発見・治療開始が早期回復につながることがわかっています。メンタルヘルス研修を通して正しい知識を提供し、職場全体に周知することでいち早く疾病の芽を摘めれば、快適な職場づくりができ、社員の退職につながってしまうような事態も減らせるでしょう。
メンタルヘルス研修を実施することで、メンタルヘルス不調の未然防止、早期発見・対処、復職支援という3つの分野で効果が見込めます。
ストレスを感じる度合いは人によって異なります。例えば力のあるメンバーに対して、期待の高さから仕事を多く割り振るとします。期待をばねに力を発揮していける人もいますが、期待が負担となりストレスを感じてしまう人もいます。
研修を通じ、受講者は自分自身がストレスを感じる傾向を学ぶことで、自身のメンタル不調にいち早く気づき、対処できるようになります。
メンタルヘルスの不調は、早期の発見・治療が早期回復につながることが分かっています。一方で、社員がストレス過多となり、休職や退職に陥ってしまうと職場としても貴重な人員を失うことにもなりかねません。
ストレスを過剰に抱えている人間は、行動や態度が変化します。研修ではこうした不調者のサインから、「いつもと様子が違うな」と周囲が気づいた時に取るべき対処法まで学ぶことができます。
メンタル不調者が発生し休職してしまった際の対応方法について、研修で事前に学んでおくことも大切です。メンタル不調者が職場に復帰できるようになったとしても「病気が再発しないか」「職場でどう思われるか」など、復帰者はさまざまな心配を抱えています。
どのように声を掛けるのか、どんな業務を与えるのかなど、復職支援の手立てを研修を通して学びます。時には少しずつ体を慣らしていく「試し出勤制度」の導入なども検討します。
ケースに応じた適切な対応方法を知っておくことで、不調者がスムーズに復帰できる環境を作るためにも、研修は有効と言えます。
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ストレスが原因となりメンタルに不調をきたし、休職や退職に追い込まれている社員は後を絶ちません。企業全体でメンタルヘルス研修を実践していくことが大切です。
職場でのメンタルヘルスケアにおいては、はたらきやすさ向上につながるケアが必要です。社員が自らストレスに気づくセルフケア、職場の管理職が実施するラインケアなど、役職によって研修内容を変えることをおすすめします。
本章では、一般的なメンタルヘルス研修のプログラム例を紹介していますので、自社のプログラム構成時の目安にしてください。
研修の目的 | ・自分のストレス要因や発散方法を知り、不調時に自身でケアできるようになるため ・メンタルヘルスが身近な問題であることを知り、周囲に不調が起きた際にいち早く気づくため |
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対象 | 一般社員 |
目標 | ・メンタルヘルスの不調に関する知識をつけ、自分自身のストレス対処法を取得する ・同僚など周囲の人の不調に正しく対処できるようになる |
研修の流れ | 1.メンタルヘルスの現状、早期発見のポイントを知る 2.チェックリストを用いて、自身のストレス耐性を知る 3.身近な人が病んでいるときの対処法を知る 4.自分の傾向をもとに、不調時の対処方法を考える |
研修を通じて一人ひとりがメンタルヘルスについて理解を深め、職場全体でより良い環境を作っていこうとする意識の醸成を図ります。自分自身がストレスに気づけるようになることや、ストレスを感じた時の対処法を前もって認識しておくことで、万一の不調時にも悪化を防ぐことができるでしょう。
なお、この研修は管理職も含めた全社員が対象となります。
【参考】パーソル総合研究所「メンタルヘルス研修」
研修の目的 | 管理者が、部下のメンタル不調にいちはやく気づき、適切に対応できるスキルを身につける |
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対象 | 管理職 |
目標 | ・不調を感じている部下を早期発見し、必要な支援ができるようになる ・管理職自身がストレスの原因にならないための注意点を理解する |
研修の流れ | 1.メンタルヘルスの現状と企業にとってのリスクを知る 2.早期発見のポイントを知る 3.病んでいる人への望ましい対処法(話の聴き方)について、自己チェックやロールプレイングを通して学ぶ 4.管理職としての対処法を学ぶ ・社内外との連携 ・プライバシーへの配慮 ・復職者への支援 5.ストレスの少ない職場環境について考える |
管理職は、自身のメンタルヘルス管理に加え、部下の不調のサインを見逃さないことや職場環境を改善していくこと、時には外部機関とも連携を取っていくこと、などのケアが求められます。
研修を通じて不調者への望ましい対処法を学ぶことで、「部下の不調に気づかなかった」「どう対応すれば良いか分からず何もできなかった」という状態を解消します。
【参考】パーソル総合研究所「メンタルヘルス研修」
メンタルヘルス研修にお悩みはありませんか?
パーソルグループでは、メンタルヘルスの不調を未然に防止するプログラムや、部下がメンタルヘルス不調になった際の気づき方・支援の仕方を学ぶプログラムなど、目的や対象者によって選べるメンタルヘルス研修を提供しています。
研修の実施や見直しにあたってお困りごとがあれば、お気軽にパーソルグループまでご相談ください。
メンタルヘルス研修を進める際には、効果を高めるには以下の2点のポイントを抑えることが重要です。「受講して終わり」とならないように、あわせてチェックしましょう。
研修内ではグループワーク、ロールプレイングなど実践型研修を取り入れることが重要です。
社内でメンタルヘルス対策がうまくいかない原因の1つに、社内の理解不足があります。「メンタル不調による休職や退職は心が弱い人がなるものだ」という考え方そのものを変える必要があります。
研修では「部下が突然仕事を休んだら、自分はどんな行動を起こすか?」「身近な人が病んでいるとき、どんな言葉をかけるか?」といったように、メンタルヘルスの問題について身近なケースに置き換えて考えてもらうことが重要です。社員が当事者意識を持てるよう、実践型の研修を取り入れていきましょう。
指示や命令ベースで行われる研修は、やらされ感へとつながり、研修へのモチベーションだけでなく、効果も低下してしまいます。メンタルヘルス研修を実施することの意義や理由を明確に伝え、社員が主体的に取り組めるようにしましょう。
例えば、経営理念や経営方針にメンタルヘルス対策に取り組むことを明記し、社員に理解・協力を促すなど、全社的に取り組んでいくことが大切です。
研修を効果的なものにするためには、継続的な実施が大切です。長時間労働により疲労が溜まっている、人間関係に問題があり職場内でネガティブな言葉が飛び交うなど、職場環境やメンタルヘルス研修の実施時期によって、抱えている課題は異なります。定期的に社員のメンタルヘルスに関する実態調査を行い、必要な対策に合わせた研修を計画しましょう。【出典】厚生労働省 独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」
その際は過去に受講した社員の意見を参考にすることで、今後どのような点に気を配りながら研修を実施すればいいか、改良点を見いだせるようになります。
労働者数50名以下の企業では産業医の選任が義務付けられていないため、メンタルヘルス不調者への専門的な対応が難しいケースもあります。そのような場合は、外部機関などを有効に活用することが大切です。
活用できる外部機関の例としては、以下が挙げられます。
労働者数にかかわらず、どの企業でもこうした外部の窓口を設置することができます。ノウハウが豊富な外部の専門家に相談することで、メンタルヘルス研修をはじめとするメンタルヘルス対策の体制を効率良く構築できるでしょう。
メンタルヘルス研修の効果を最大限に発揮するためには、自社に合った研修内容を選定する必要があります。ここでは、メンタルヘルス研修の選定ポイントや研修の実施形式を紹介します。
企業が抱える課題によって適したメンタルヘルス研修は異なります。メンタルヘルス研修の内容を選定するためには、まず自社が抱える課題を明らかにし、対策として行うべき研修内容や研修の対象者を決めることが大切です。
例えば、これまで自社でメンタルヘルスについて学ぶ機会が少なく、正しい知識を持っていない従業員が多い場合は、メンタル不調とは何かという基礎知識をはじめ、メンタル不調にいち早く気がつき自分でケアできるようになるための方法を伝える必要があるでしょう。
メンタルヘルス研修はカリキュラム内容だけで導入を判断するのではなく、学習期間や参加しやすさ、実施形式などの観点も含めて検討する必要があります。
研修の学習期間は1日だけで終わるものから、数日かけて習得するものもあります。また、以下のようにさまざまな研修の実施形式があるため、自社に適した方法を検討しましょう。
社内研修 | 自社特有の研修を自由に行える。自社で浸透している仕事の進め方や考え方などがある場合におすすめ |
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社外研修 (オフライン) |
社内と異なる価値観に触れることができる。研修担当者側も一から研修内容を考える必要がないため、業務の負荷を削減できる |
オンライン研修 | スマートフォンやパソコンなどを通して場所を問わず開催できる。内容によっては繰り返し学習できる |
e-ラーニング | 静止画や動画などを受講者が視聴しながら学ぶ。事前に収録した講義動画を繰り返し見ながら学習でき、目的に応じて受講する研修を選択できる |
メンタルヘルス研修を実施すると同時に、メンタルヘルス不調を未然に防ぐための取り組みを進めることが大切です。企業ができる具体的な対策として、以下の2つを紹介します。
職場でストレスとなっている事柄として最も多く挙げられているのが「仕事の量」です。
厚生労働省が調査した「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)個人調査」では、職場でストレスとなっていると感じる事柄がある労働者のうち、その内容は「仕事の量」が43.2%と最も多い結果となりました。
メンタルヘルス不調につながる職場でのストレスを減らすためには、仕事量を減らすための工夫が必要だと言えるでしょう。企業には、業務を見直し効率化を図ることが求められています。
業務効率化とは、業務プロセスから「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省き、非効率な業務を改善することを指します。業務効率化を行うとストレスの原因となる業務量を減らせるだけでなく、従業員が重要度の高い業務に集中できたり、効率化により創出された時間で自己研鑽ができるようになったりすることで、スキルやモチベーションの向上にもつながります。
業務効率化を行うことで従業員の業務負担を減らし、メンタルヘルスの不調を防ぎましょう。
メンタルヘルス不調につながりそうな状況を発見し早期に対処していくためには、組織の現状を把握するための仕組みづくりが必要です。組織の現状を的確に把握するために有効なのが、定期的な組織サーベイの実施です。
組織サーベイとは、目に見えづらい組織の現状を可視化するために、企業が従業員に対して実施する調査のことです。従業員の声を収集し、結果を分析することにより、組織課題を明確にしていきます。
定期的な組織サーベイの実施により、なかなか見えづらい組織の現状が明確になり、メンタルヘルス不調の芽を早期に発見し対策を講じることができるでしょう。
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メンタルの不調は、社員個人の問題ではなくどんな職場でも起こり得るものです。職場のストレスで精神疾患が生じたり、過労死を招いたりといったことが起これば、その損害賠償や社会的制裁を受けるリスクは計り知れないものとなります。
しかしながら、いまだに職場の中で正しい知識が広く行き渡っているとは言えないのも事実です。研修を通じて、職場全体でメンタルヘルスへの理解を深めることで、安心してはたらくことのできる職場環境を作っていきましょう。
A.おすすめのメンタルヘルス研修は、セルフケア研修です。社員自身がメンタルヘルス不調に関する知識を身につけ、自身のストレス対処法を取得するものです。これにより、メンタルヘルス不調の未然防止ができます。
パーソルグループではメンタルヘルス研修をはじめ、ハラスメント対策やマネジメント研修など、様々な研修プログラムを用意しています。研修プログラムの詳細をまとめたガイドブックは、以下リンクよりどなたでも無料でダウンロードいただけます。
【無料DL】人材育成課題を解決する“社員研修”のススメ
A.代表的な精神疾患は、「うつ病」「適応障害」「パニック障害・不安障害」「依存症」などが挙げられます。
これらの不調は、誰もが経験する可能性があります。本人が気づかぬうちに悪化していることも多いですが、多くの場合は適切な治療をすれば回復します。
>>職場で起こりうるメンタルヘルスの不調例
A.職場におけるメンタルヘルスケアは4つあり、管理職に求められるのはそのうちの「ラインケア」と呼ばれるものです。具体的には以下の役割が求められています。
・職場環境等の把握と改善
・労働者からの相談対応
・職場復帰における支援 など
>>メンタルヘルス研修のプログラム