プロジェクトマネジメント研修とは|おすすめのカリキュラム例を紹介

多くの企業でプロジェクト型の仕事が増えており、役職を問わずにプロジェクトマネジメントの機会が増えています。

プロジェクトマネジメントスキルが求められている一方で、十分なスキルを身につけている社員は多くありません。マネジメントスキルを身につけるため、プロジェクトマネジメント研修の重要性が増しています。

では、企業はどのようなプロジェクトマネジメント研修を導入するのがよいのでしょうか。

【プロジェクトマネジメントの研修例】

テクニカル
(例:プロジェクトマネジメント入門研修)
プロジェクトマネジメントを実施する上での全体観を理解し、計画立案と実行、完了の基本を身につける

1. プロジェクトマネジメントとは
2. プロジェクト立ち上げ
3. プロジェクト計画
4. プロジェクトの実行とコントロール
5. プロジェクトの完了
リーダーシップ
(例:ネゴシエーションスキル研修)
プロジェクトマネジメントに適用される交渉の重要性や基本的な知識・スキルを身につける。

1. 交渉の全体像
2. 状況の把握
3. 交渉の準備
4. 交渉の実施
5. 対立型交渉
6.リスクマネジメントとしての交渉
7.協調型交渉
ストラテジー
(例:ビジネス思考研修)
ビジネス全体を捉える視点を身につけ、視座を高める

・ ビジネス全体を捉える視点
・ ビジネスゴール(戦略)
・ ビジネス遂行(戦術)
・ コミュニケーション(組織力)
・ 自己成長(育成)

本記事では、プロジェクトマネジメントの種類や実際の研修プログラム例、プロジェクトマネジメント研修の効果を高めるポイントや、研修の選定ポイントを分かりやすく解説します。

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・プロジェクトを成功に導く人材を育成したい
・チームでのトラブル発生時、適切かつ迅速に判断できる、問題解決力をもつ人材を育成したい

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目次

プロジェクトマネジメント研修とは?

プロジェクトマネジメントとはプロジェクトを成功に導くためにチームや時間などのリソースを適切に配分・活用し、推進するための管理手法を指します。

プロジェクトの責任を担うマネージャーは、計画作成や人員配置、意思命令系統の構築を行い、作業の進捗やリスクなどをコントロールしながら、プロジェクト成功までのプロセスを推進します。

プロジェクトマネジメント研修で実施されるプログラムやセミナーは、主に以下3つの種類です。

    • テクニカル・・・プロジェクトの基本的な流れを学べる
    • リーダーシップ・・・チームメンバーを活かす方法を学べる
    • ストラテジー・・・施策の立案から実行までの流れを学べる

対象者や研修で達成させたい内容によって種類が分けられています。

なお、そもそもプロジェクトマネジメントの定義や概要、必要なスキルについて改めて確認したい方は、「プロジェクトマネジメントとは?必須スキルやフレームワークを紹介」をご覧ください。

テクニカル中心の研修

プロジェクトの基本的な流れである立ち上げ、計画、実行、管理、完了について学びます。今回紹介するテクニカル中心の研修は主に以下の4つです。

    1. プロジェクトマネジメント入門研修
    2. リスクマネジメント研修
    3. ITプロジェクトマネジメント研修
    4. ケーススタディ研修

テクニカル中心の研修は、特定のテーマに特化した研修やセミナーに適しています。

1.プロジェクトマネジメント入門研修

体系的にプロジェクトマネジメントを学ぶ機会がなかった企業や自社のプロジェクトマネジメントを標準化したい場合におすすめです。プロジェクトマネジメント入門ではプロジェクトマネジメントの基本的な流れを体系的に学びます。WBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)とリスクマネジメントを中心に、講義と演習を繰り返します。

目的 プロジェクトマネジメントを実施する上での全体観を理解し、計画立案と実行、完了の基本を身につける
プログラム例 1.プロジェクトマネジメントとは
2.プロジェクト立ち上げ
3.プロジェクト計画
4.プロジェクトの実行とコントロール
5.プロジェクトの完了
【参考】パーソル総合研究所「プロジェクトマネジメント入門

属人化している知識や経験を、共通言語を用いて組織の財産にすることで、単なるタスク管理ではなく組織の戦略や変革を効率的に遂行できるようになります。

2.リスクマネジメント研修

プロジェクトにおけるリスクの理解や、重要なリスクの影響度合いを評価する手法、リスクコントロールの手法などを学習します。参画型の演習やケーススタディを通じて、リスクマネジメント上の理論や考え方を習得し、実際の業務への応用を目指します。

目的 リスクを特定して影響度合いを評価したり、効果的なリスク対応戦略を立案する手法を身につける
プログラム例 1.プロジェクト・リスクとは
2.リスクマネジメント計画とリスク特定
3.リスク分析とリスク優先順位
4.リスク定量分析
5.リスク対応計画策定
6.リスクへの対応:実行、監視・コントロール
【参考】パーソル総合研究所「プロジェクト・リスクマネジメント

プロジェクトにおけるリスクの持つ意味を理解でき、プロジェクト運営の際にリスクコントロールを用いる手法を習得できます。

3.ITプロジェクトマネジメント研修

ITプロジェクトマネジメント研修では、ウォーターフォール型のプロジェクトマネジメントに関して体系的に学習します。研修のゴールは、プロジェクトの進行や品質、コストの管理を適切に実行できるようになることです。

研修では、そもそもプロジェクトのマネジメントでは何が求められるのか、全体像がどのようになっているかについて理解を深めていきます。また、プロジェクトと関わりのあるステークホルダーの特定・分類方法や、円滑に進行させるための計画設計方法について学びます。

目的 ウォーターフォール型プロジェクトの進行や品質、コストの管理を適切に実行できるようにすること。
プログラム例 <1日目>
・はじめに
・プロジェクトマネジメントの基礎
・プロジェクトの立ち上げ
・プロジェクト計画の策定
 ※スケジュールは1日目・2日目で前後する場合があります
<2日目>
・見積り
・プロジェクトチームの設立育成
・プロジェクトの実行とコントロール
・プロジェクトやフェーズの終結
・まとめ
 ※演習は、ITに関わるプロジェクト事例を用います
【参考】パーソル総合研究所「ITプロジェクトマネジメント

4.ケーススタディ研修

ケーススタディ研修では、複雑なケーススタディを題材に各種トラブルの対処法について理解を深めます。基本的なプロジェクト管理をこなせるようになってきた、中級プロジェクトマネージャー向けの研修です。

難しい前提や制約がある条件下で生じる問題を、円滑に解決していくために必要な思考の習得を目指します。また、他受講者との交流を通じて、新たな視点からの解決方法や異なる価値観を理解し、視野を広げるのにも役立ちます。

目的 複雑なトラブルに対応する力を身につける。
プログラム例 <ケーススタディ例>
・プロジェクト内のQCDのコンフリクト
・お客様およびメンバー間のコンフリクト
・問題プロジェクトにおける対応等

<学習内容>
1.RBSとは
2.実践W/S①
3.実践W/S②
4.実践W/S③
5.実践W/S④
6.実践W/S⑤
7.まとめ
【参考】パーソル総合研究所「プロジェクトマネジメント応用(ケーススタディ)

リーダーシップ中心の研修

プロジェクトを推進するマネージャーには、業務遂行能力以外にチームを牽引するリーダーシップ力が求められます。リーダーシップ中心の研修は主に以下の2つです。

    1. ネゴシエーションスキル研修
    2. リーダーシップ研修

研修では、チームメンバーの能力を最大限引き出すコミュニケーション力やリーダーシップ力を身につけていきます。

1.ネゴシエーションスキル研修(交渉、折衝に必要な能力)

コミュニケーション能力はすべてのプロジェクトの成功に不可欠で、特に重要なコンフリクトの解消や合意形成するネゴシエーション力の知識とスキルを学習できます。ケーススタディや演習を多く取り入れ、学んだ知識の確認と実践力の強化を目指します。

目的 プロジェクトマネジメントに適用される交渉の重要性や基本的な知識・スキルを身につける。交渉のタイプ(競合的・協調的)に対しての対処できるようになる
プログラム例 1.交渉の全体像
2.状況の把握
3.交渉の準備
4.交渉の実施
5.対立型交渉
6.リスクマネジメントとしての交渉
7.協調型交渉
【参考】パーソル総合研究所「プロジェクトを動かす交渉スキル

2.リーダーシップ研修

リーダーシップとは、目標達成のために組織や集団、チームを導く力を指します。

パーソル総合研究所のリーダーシップ研修では、人材の対象年齢によって研修内容を変えています。次世代のリーダーである若手人材の場合は、成長・創造の可能性を開花させる「リードマイチャレンジ」というプログラムを、ミドル世代を対象にした場合は、ものの見方や考え方の枠組みを広げ進化させる「リードマイトランジション」を提供しています。

リーダーにはコミュニケーションスキルをはじめ、様々なスキルが求められます。対象者や自社の課題に合わせてリーダーシップ研修を選びましょう。

対象者 若手中堅人材(25~34歳が目安)
目的 小さな実践をスタートに、主体的な挑戦を通して成長・発達の基盤を作る
プログラム例 1.自己の経験、職場の現状の振り返りと言語化
2.成長や挑戦を妨げるストッパーの発見
3.コーチングゲームを通した創造性、発想の喚起
【参考】パーソル総合研究所「「リードマイチャレンジ」ストラテジー(戦略)中心の研修

組織の上位に位置するプロジェクトマネージャーには、組織全体の事業戦略策定やプロジェクト策定、戦略的なプロジェクトマネジメントを構築するスキルが求められます。研修では組織のゴールや目標を立てるための視点を学びます。

ストラテジー中心の研修

プロジェクトマネジメントでは、ビジネス全体を俯瞰する力や施策に適している戦略を立てる力が求められます。ここでは、ストラテジー中心の研修を2つ紹介します。

    1. ビジネス思考研修
    2. 戦略立案力強化研修

研修を受けることで、ビジネス全体がわかる視座の高い人材や施策立案から実行までできる人材に成長できるでしょう。

1.ビジネス思考研修

プロジェクトマネージャーの役割は、単なるコスト管理ではありません。自身の携わるプロジェクトが組織の上位戦略とどのように繋がっているのか、視点を1つ上げてビジネス全体を意識することが求められます。

目的 ビジネス全体を捉える視点を身につけ、視座を高める
プログラム例 ・ビジネス全体を捉える視点
 ―ビジネスゴール(戦略)、ビジネス遂行(戦術)、コミュニケーション(組織力)、自己成長(育成)
・ビジネスゴール(戦略)
 ―経営環境の理解
 ―ビジョン・ミッション・戦略の明確化
 ―ゴールの設定
・ビジネス遂行(戦術)
 ―組織機能の理解
 ―機能別KPIの設定・ビジネス遂行(戦術)-2  
 ―課題の明確化
・コミュニケーション(組織力)
 ―意思疎通における阻害要因の理解
 ―効果的な伝え方
 ―コーチングの必要性
 ―対立の対応
・自己成長(育成)
 ―個人を取り巻く環境の理解
 ―自己理解
 ―啓発点の明確化
【参考】パーソル総合研究所「PMに求められるビジネス思考

2.戦略立案力強化研修

組織の戦略立案の概要を学び、その施策として実施されるプロジェクトの立案方法を習得するプログラムです。SWOT分析や戦略マップ(BSC)、戦略策定書の考え方を学びながら、企業としてのアクションプランや戦略企画書の設計・作成を目指します。

目的 経営戦略を策定するための基礎知識とスキルを身につける
プログラム例 0. 経営戦略の目的
1. 事業ドメイン
2. SWOT分析
3. SWOTクロス分析
4. 重要成功要因
5-1. 戦略マップ(BSC)
5-2. 戦略展開書
6. アクションプラン
7. 戦略企画書
【参考】パーソル総合研究所「ITCフォローアップ研修:システム導入のための戦略立案力強化研修

自社の課題にあわせた研修プログラムの選び方

パーソルグループでは、実践力を培うプログラム策定や事後のフォローアップなど、企業の課題感に合わせたプログラムの考案・見直しを提供しています。

プロジェクトマネジメント研修の開催・実施にあたってのお困りごと、お悩みはぜひお気軽にご相談ください。

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プロジェクトマネジメント研修の目的と効果

プロジェクトマネジメント研修の目的は、プロジェクトを推進・運用するマネジメントスキルを身につけさせ、高いパフォーマンスを出せるチームを構築することです。

社員のスキルを高めることは、企業にとっても大きなメリットがあります。プロジェクトマネジメント研修が組織にもたらす効果は主に2つです。

1.上流人材の育成

上流工程とは、製品生産やシステムの開発における一連の工程を川の流れに例え、その初期工程にあたる部分を指します。ビジネスにおいては、顧客の業務を理解し、経営課題や業務課題を解決するための企画、要件定義の業務が上流工程にあたり、これら業務を行うのが上流人材です。

プロジェクトマネジメント研修ではビジネスプロセスの分析やリスク管理を学ぶことができるため、上流人材に必要なスキルを習得できることが期待されます。

2.組織戦略の効率的な遂行

プロジェクトマネジメント研修では、基礎的な概論だけでなく、実際にプロジェクトを管理・運営する上で、成果に結びつく目標設定や、計画の立案、実行、管理など一連の流れを体系的に学びます。

プロジェクトマネジメントのスキルを身につけると、プロジェクトマネージャーは組織の戦略や変革を効率的、効果的に遂行できるようになります。また、組織の共通言語にもなるので、個人スキルだけでなく組織力の向上にもつながります。

組織戦略とは、組織として理想を実現させるためにどのような目標を目指すのか、その方針を定めることです。激しい変化と共に不確実性が増すビジネス環境において、組織全体を見渡せる人材が求められています。

プロジェクトマネジメントを学ぶ3つのメリット

プロジェクトマネジメントを学ぶメリットは主に以下の3つです。

    • 問題を早期発見できる
    • 仕事の方向性を共有できる
    • 仕事の優先順位がはっきりする

プロジェクトマネジメントを学ぶことで、チームメンバーのリソースを最適化でき、効率的な作業ができるようになります。結果的に、プロジェクトの遅延が起こりにくく、目標達成しやすくなるでしょう。

問題を早期発見できる

計画の立案から実行、管理までの一連の流れを学ぶことで、リスクや課題を素早く特定できるようになります。例えば、プロジェクトで納期遅れが生じた際、事前にリスク分析を行っていれば、原因と対策を迅速に特定し、問題の拡大を防げます。

プロジェクトマネジメントの知識を深めることで、問題を早期発見できるだけではなく、効率的な解決策を導く力も養えるでしょう。問題発見できるスキルは、プロジェクトの成功に不可欠です。

仕事の方向性を共有できる

プロジェクトマネジメントによって、作業工程や納期などが明確になるため、目標を達成するために必要なことが理解できます。プロジェクトの目標を各メンバーが把握していると、それぞれが自身の役割を理解し、効率的に業務を進められます。

目的が明確になり、作業が効率化されることで、目標の達成につながります。プロジェクトマネジメントにおいて、単にタスクを割り当てるだけではなく、意義と目的をチーム全体で共有することが重要です。

仕事の優先順位がはっきりする

プロジェクトマネジメントを行うことで、プロジェクトの具体的な目標と期限設定ができるため、タスクの重要度を判断できます。期限が迫ったプロジェクトのタスクは、その他の業務よりも優先しなければなりません。仕事の優先順位をつけることで、効率的な作業が可能です。

プロジェクトマネジメントを理解することで、チームメンバーのリソースを効果的に配分でき、プロジェクトの遅延が起こりにくくなるでしょう。

プロジェクトマネジメント研修で身につく5つのスキル

プロジェクトマネジメントでは、業務遂行能力以外にも、事業戦略を立案する力やチームメンバーのモチベーションを高める力など、様々なスキルが求められます。研修では、主に5つのスキルを取得することを目指します。

スキル1.プロジェクト構築・推進能力

マネージャーはプロジェクトの品質やコスト、納期をバランス良く管理するスキルが求められます。これらのスキルはプロジェクト管理の基本とされ、QCDという3つの要素で表されます。

    • Quality(品質)
    • Cost(コスト)
    • Delivery(納期)

プロジェクトにおける利益や売上の観点から見ても、QCDを元に、バランスのよい活動・業務プロセス構築をしなければなりません。

プロジェクトマネジメント研修では、QCDを可視化しプロジェクトを構築・推進していくスキルを取得していきます。

スキル2.コミュニケーション力

プロジェクトでは社内外をはじめ様々なメンバーが参画します。チームメンバーや各ステークホルダーとコミュニケーションを取ることが重要になります。

スキル3.タスク・スケジュール管理能力

マネージャーはプロジェクト各工程のスケジュールや進捗を常に把握しておく必要があります。プロジェクトマネージャーは納期や予算などの条件のなかで最大の成果を出さなければいけないからです。また、プロジェクトメンバーの強みを把握して、人材を配置することも重要です。

スキル4.判断・問題解決力

どのようなプロジェクトにもトラブルは起こります。プロジェクトマネージャーはプロジェクト内部で起こる様々なトラブルに対し、適切な判断を下して課題解決に向けた対応策を打つことが求められます。

スキル5.リーダーシップ力

リーダーシップ力とは、目標達成のために組織や集団、チームを導く力を指します。リーダーは対話を通して、プロジェクトに参画するメンバーの能力を引き出します。

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プロジェクトマネジメント研修の4つの選び方

プロジェクトマネジメントは、テーマに応じて様々な研修が用意されています。そのため、一度に全てを実施はできず、それどころかプロジェクトマネージャーの負担にもつながりかねません。事前に自社の社員に合ったカリキュラムを判断し、自社の課題に合わせた研修を選ぶ必要があります。

ここでは、プロジェクトマネジメント研修の進め方やテーマ選びについて紹介します。

選び方1.解決すべき課題を洗い出し、テーマを決める

企業の課題によって適したプロジェクト研修は異なります。プロジェクトマネジメント研修の内容を選定するためには、まず自社が抱える課題を明らかにし、対策として行うべき研修内容や研修の対象者を選定しましょう。

例えば自社でプロジェクトマネジメントの実務経験者が少なく、これからプロジェクトマネジメントを学ぶ社員が多い場合は、進捗管理やリスクマネジメント、品質管理などについて学ぶ研修内容が良いでしょう。

また、「PMBOK」(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)のプロジェクトマネジメント体系に沿って学ぶのもおすすめです。

なお、自社に最適な研修が分からない場合は、プロジェクトマネジメント研修を提供している会社に相談してみるのもおすすめです。自社の課題に沿って、カスタマイズされた研修の提案を受けることができます。合わせて、受講人数やそれに伴う費用の目安などの詳細を確認することもできるので、研修のイメージをある形にしたうえで、まずは相談してみることも一つの手でしょう。

選び方2.研修の実施形式を決める

受講するテーマが決まれば、テーマに沿った研修プログラムをピックアップし選定していきます。

プロジェクトマネジメント研修の受講者は、現場業務で多忙なケースが少なくありません。

研修の学習期間は1日だけで終わるものから、数日かけて習得するものもあります。また、実施形態も以下のようにさまざまです。

研修 メリット デメリット
社内研修 ・会社独自の研修を行える
・参加のハードルが低い
・新しい外部の視点に触れる機会が少ない
・専門的なスキルの習得が難しい
社外研修(オフライン) ・社外の新しい知識を取り入れられる
・異業種の参加者と交流できる
・時間や場所に縛られる
・交通費や宿泊費などのコストが発生する
オンライン研修 ・場所を問わずに研修できる
・自分のペースで学習できる
・実践的な学習が難しい
・自己管理能力が求められる
OJT ・実践的なスキルが身につく
・効率的に新しいスキルを身につけられる
・講師の質によってインプットの質が変わる
・実務に支障が出る可能性がある
e-ラーニング ・何度も繰り返し学習できる
・場所を選ばずに学習できる
・実践的な知識が身につきにくい
・自己管理能力が求められる

選定時は、カリキュラム内容だけで導入を判断するのではなく、学習期間や参加しやすさ、実施形態などの観点も合わせて考える必要があります。

社内研修

社内研修では、自社特有の研修を自由に行えるメリットがあります。自社で浸透している仕事の進め方や考え方などがある場合は、社内研修を取り入れるのが良いでしょう。

社外研修

社外研修は、社内と異なる価値観に触れることができます。研修担当者側も、一から研修内容を考える必要がないので、業務の負荷も削減できるのが特徴です。

オンライン研修

コロナ禍において、オンライン研修の導入も増えました。オンライン研修ではスマートフォンやパソコンなどを通して場所を問わず、内容によっては繰り返し学習できるのがメリットです。

OJT

OJTとは、職場の上司や先輩が、部下や後輩に対して実際の仕事を通じて指導し、知識や技術などを身に付けさせる教育方法です。OJTの強化で実際の業務を通じて人材の育成につなげられます。

e-ラーニング

e-ラーニングは、静止画や動画などを受講者が視聴しながら学ぶ研修スタイルです。事前に収録した講義動画を繰り返し見ながら学習でき、目的に応じて講義動画を受けられます。

選び方3.費用と研修内容のバランスを確認する

プロジェクトマネジメント研修の選定で失敗しないためには、費用の相場を理解しておくことも重要です。研修内容によって料金が変動するのが一般的ですが、必ずしも料金の高さと研修のクオリティが一致するわけではありません。大体の費用感を押えておくことで、失敗を防ぎやすくなります。

プロジェクトマネジメント研修の大まかな費用感は、以下の通りです。

例1 時間:8時間
金額:55,000円(税抜価格50,000円)
定員:20名
形式:オンラインセミナー
例2 時間:8時間
金額:33,000円(税抜価格30,000円)
定員:20名
形式:オンラインセミナー
例3 時間:8時間×2日
金額:110,000円(税抜価格100,000円)
定員:20名
形式:オンラインセミナー

※あくまで一例なので、中には大きく異なるケースもあります。

選定時には、安さだけに意識を向けないことが重要です。ロールプレイングやグループワークなどの実践的な研修や、専門性の高い内容、定評のある企業・講師に依頼する場合は、費用が高くなります。しかしその分、研修で得られる学びも深くなり、受講後の効果も大きくなります。

研修を選定する際には、価格だけでなく自社の課題に適した内容・形式かを意識するのがポイントです。

選び方4.評判・口コミを参考にする

プロジェクトマネジメント研修を選ぶには、セミナーを受けた受講者からの評判や口コミを参考にすることも大切です。

各研修会社のホームページ上の「お客様の声」や、研修会社の比較サイトに掲載されているレビューなどが参考になるでしょう。また、同じ業界の企業が利用し、成果に繋がった研修であれば、効果が期待できます。

評判を読む際には、評価の高低だけでなく、記載されている内容の具体性を意識することも重要です。「何が」「どのように」といった内容の具体性に意識を向けて参考にするとよいでしょう。「講師の教え方」「研修内容」「形式」「費用」などいくつかの項目に分けて比較することもおすすめです。

失敗しない研修プログラムの選び方とは?

プロジェクトマネジメント研修に限らず、研修プログラムはただ実施するだけでは意味がありません。受講者がビジネス現場で実践に移せるよう、研修を設計・実施することが大切です。

30年・21,000社以上の人材開発実績をもつパーソルグループでは、1社1社にあわせた最適な研修プログラムをご提供します。

プロジェクトマネジメント研修のお困りごとは、ぜひお気軽にご相談ください。

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プロジェクトマネジメント研修の効果を高める4つのポイント

プロジェクトマネージャーの育成は、短期間で終わるものではありません。短期間の研修で内容を詰め込むのではなく、研修による学習と現場への落とし込みを繰り返すような長期的な育成が必要です。

ここではプロジェクトマネジメント研修の効果を高めるポイントを紹介します。

1. 事前に目標設定を行う

プロジェクトマネジメント研修の効果を高めるためには、適切な目標設定と管理が必要です。

そもそも社員に向けて研修を実施することが目的ではなく、研修を通じて実務にかし、社員の成長を促すことが本質です。そのためには、社員にやらされ感が生まれないよう、自分ごととして臨むことのできるよう研修を通じて達成させるべき目標を設定しましょう。

研修内容が自身の業務にどのようにきるのか、参加する目的や参加後の理想像を社員自身に書き出してもらうなど、自分ごととして捕らえて考える場面を創出することが大切です。

また、目標設定は組織目標や部門目標、個人目標と規模別に設定し、その目標に沿った内容を研修に盛り込むと良いでしょう。細分化して考えさせることで組織目標と個人目標の乖離が少なくなり、一体感が生まれます。

2. 対象者や現場の体制を構築する

研修を実施する前に、必ず研修内容と対象者にずれがないかを考えましょう。せっかくプロジェクトマネジメント研修を学んでも、現場で研修内容がかせる体制が構築されていなければ意味がありません。

研修内容を生かすためには、担当プロジェクトにプロセス設計の思考方法を落とし込み、実行する体制が必要です。具体的には、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーにあたるポジションを設け、人員を配置するのが良いでしょう。

プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーのそれぞれの役割や管理範囲、責任は以下の通りです。

ポジション プロジェクトマネージャー プロジェクトリーダー
役割 プロジェクトの管理 プロジェクトの実行
管理範囲 全ステークホルダー プロジェクトメンバー
責任 達成責任 実行責任

役割を理解して適切な体制を築き、プロジェクトを成功に導きましょう。

3.フィードバックの機会を設ける

せっかく研修を実施しても、実践に活用できなければ意味がありません。目標を達成できたか、得た学びを実践に活用できているかを振り返ったり、上司や講師からのフィードバックを行ったりする機会を用意しましょう。

プロジェクトマネジメントは個人で良し悪しの判断をつけるのが難しく、研修でスキルを学んでも身についているのかが自分では分かりづらいものです。第三者が対象者に対してフィードバックを実施することで、客観的な評価やアドバイスを得られ、次のプロジェクトにつなげられます。

フィードバックはプロジェクトの終了時だけではなく、プロジェクトの途中や個人面談、人事面談時に実施するのも効果的です。

関連記事「フィードバックとは?意味や実施時のポイント、注意点を徹底解説」を見る

4.学習と実践を繰り返す

プロジェクトマネジメントのスキルを身につけるには、研修と現場を繰り返し経験することが大切です。

プロジェクトマネジメントは難易度の高いスキルのため、研修だけで身につくものではありません。研修で学んだことを現場で試し、うまくいかなかったことを研修で学びなおすことにより、研修と実践が結びつきます。また、研修の中にグループディスカッションやロールプレイングといった実践の場を組み込むこともできます。

ひとつの現場だけではなく、他部署への異動や出向など、環境が異なる場所での経験も有効です。さまざまな状況を経験することにより、プロジェクトマネジメントスキルの向上につながります。まずは小さなプロジェクトから、受講者に実践の機会を与えていきましょう。

プロジェクトの成功に必要な人材とは

プロジェクトを成功させるためには、事業を牽引するプロジェクトマネージャーに加え、リーダーの存在も重要です。リーダーとは、集団の力を引き出し、成果を出すために周囲に対し影響力を発揮する人材です。

リーダーの能力が事業の成功に与える影響力は大きく、リーダーの能力次第で、プロジェクト実行メンバーのモチベーションやパフォーマンスが変わります。プロジェクトを成功させるためには、マネージャーと並行してリーダーを育成することが大切です。

ただし、リーダーの育成は難易度が高く、短期間で育成できるものではありません。リーダー志向を持つ人材を早くから見出し、中長期的に育成計画を立てて実行していくことが求められます。

リーダー育成で陥りがちな失敗や育成のポイントは、「リーダー育成のポイントとは?よくある課題や育成方法を解説」で詳しく紹介しています。

関連記事「リーダー育成のポイントは?育成の課題や育て方のポイントを解説」を見る

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企業を取り巻く環境が大きく変化する中、プロジェクトマネジメントスキルを持つ人材の重要性が高まっています。

・戦略的かつ体系的な育成手法を導入したい
・多様な人材が活躍する組織づくりを目指したい

このような課題を持つ方に向けて、パーソルグループでは【人材育成課題を解決する”社員研修”のススメ】を作成いたしました。計画的に人材の成長を促す方法のほか、パーソルグループが提供する研修プログラムを公開しています。

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チームを目標達成に導くプロジェクトマネージャーに求められるスキルは、プロジェクトの構築・推進能力からリーダーシップ力と多岐にわたります。とはいえ一度に全てを習得することは難しく、短期的なスキル獲得はマネージャーの負担にもなりかねません。

パーソルグループでは、研修内容の設計から、アセスメントによる自己理解や課題認識、研修前後の上司によるフォロー・コーチングまで、企業の課題感に合わせて複数の施策を組み合わせ、プロジェクトマネジャー育成に向けた総合的な支援を実施しています。

プロジェクトマネージャーの育成に悩んでいる方、研修の見直しを検討している方はパーソルグループにご相談ください。

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まとめ|プロジェクトマネジメントスキルは、多種多様な業務に活かすことができる

プロジェクトマネージャーは、業務遂行能力以外にも、事業戦略を立案する力やチームメンバーのモチベーションを高める力など、様々なスキルが求められます。プロジェクトマネジメント研修の効果を高めるためには、適切な目標設定や現場の体制構築が必要です。一度自社の現状を見つめ直すことで、潜在的な課題がないか確認してみましょう。

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