IFRS導入プロジェクト

自社主導でIFRSを導入!
役割を超えた助け合いで得られたものの価値

IFRS導入プロジェクト

パーソルホールディングスでは、2024年3月期第1四半期から国際財務報告基準「IFRS」を導入しました。IFRSにはさまざまなメリットがある反面、一般的に導入には3年前後かかるとされ、事務的な負担が大きいといったデメリットも存在します。

そんな中、パーソルでは監査法人などにプロジェクト支援を委託せず、経理部門を中心とした社内メンバーでIFRS導入プロジェクトを遂行。足かけ7年を経て、プロジェクトは大詰めを迎えています。膨大な関係者を取りまとめ、プロジェクトを牽引した上野安貴さんに話をお聞きしました。

グループ財務本部 連結経理部 連結経理室 室長

上野 安貴

グループ財務本部 連結経理部 連結経理室 室長

上野 安貴

Aki Ueno

2017年11月中途入社。大手監査法人で10年にわたり、国内企業の監査やIFRS導入などの会計アドバイザリー業務に従事。その後、日系メーカーに転職し、連結決算を行う部署でIFRS導入やマネジメントに関わる。2017年にパーソルホールディングス株式会社に入社後は、エキスパートとして連結決算に関連するトピックスや海外グループ会社連携に関わり、2022年10月に連結経理室の室長に着任。IFRS導入プロジェクトではPM(プロジェクトマネージャー)を担った。

プロフィール詳細

【IFRSとは】

International Financial Reporting Standards(国際財務報告基準)の略。経済のグローバル化で、国ごとに異なる会計基準で作られた財務諸表では比較が難しくなり、世界共通の基準が求められるようになった。それによって、国際会計基準審議会(IASB)によって設定されたのがIFRS。
世界130ヵ国以上で採用されており、日本では255社が適用している(2023年5月現在)。

膨大な人が関わる大規模プロジェクトだからこそ
自律的に課題解決できる仲間を信じ、頼る

―上野さんが入社した2017年には、IFRSを導入することや導入手法については大枠が決まっていたそうですね。

そうですね。2016年から導入に向けた初期調査を実施し、2017年には大枠が決まっていました。そのため、プロジェクトの体制や領域、スケジュールなどといった、具体化の部分から私が担当しました。IFRSの適用は任意ですが、会社が成長して株式市場での存在感を増していく中、海外投資家にもパーソルの魅力をわかっていただけるよう、海外展開している同業他社との比較や、海外投資家への説明がしやすいIFRSの導入を決めたと聞いています。

当初はIRや外部視点に重点を置いてのIFRS導入決定でしたが、グローバルで決算期が統一されることで海外の業績もリアルタイムで反映されることや、グループ会社すべてが同じ物差しで評価されることなど、会社経営の観点からも意義のある選択だったと、今は感じています。

―入社の段階で、IFRS導入プロジェクトへの参画は打診されていたのですか?

入社時のミッションは、エキスパートとして連結決算のプロジェクトを主導することで、IFRSの件は明示されていませんでした。ただ、「IFRSの経験があるんだね」と言われたことがあったので、「アサインされるかも」とは思っていました(笑)。
入社後、上司とすり合わせてアサインされた業務のひとつにIFRSがあったのですが、気づいたらIFRSが業務の重要な位置を占めていました。

―IFRS導入プロジェクトには、どれくらいの人がどのように関わっているのでしょう。

立ち上げの段階では、財務本部で経理を担当している方々に声をかけて、まずは希望者に参画してもらいました。その後、実際にプロジェクトが進行していく中で、事業部門の方々をはじめ、人事やIT、内部監査、経営管理、IRとさまざまな部門と連携をして進めました。私が直接接点を持っていないところでも、プロジェクトのコアメンバーから関係者が続々と増えていったため、関わってくださった方は数えきれません。
新しい会計方針を決めて実装するかなり大きなプロジェクトなので、経理部門だけでも30人から40人は関わっています。

―そんなにたくさんの方が関わっているのですね!

IFRS導入にあたっては数多くの会計論点に対して方針を策定し、それを運用するためのフローを構築する必要があります。そしてその一つ一つの論点について多くの部門、多くの人に協力してもらうことで課題が解決できます。例えばIFRSで義務づけられている「未払有給休暇」の計上にあたっては、人事から情報を、IT部門からはデータをもらい、それを経理が会計に反映し、連結決算として取りまとめます。事業部の皆さんに事業や取引の実態を伺いながら会計方針を選択したり、どのような業務設計をしたら誤りなく、そして可能な限り負荷をおかけせずに情報をいただけるかなど、個別の論点を調整したりすることもあります。
また、会計処理が決まればIFRSは終わり、ではありません。それに基づいて予算や事業計画を策定し、運営していく業績管理は経営管理部門が、取りまとめた決算を投資家や外部の利害関係者にわかりやすく説明する役割をIR部門が担っていて、経理からのバトンを受け取ってくれます。PMはそれらの多くのプロジェクト参画者のハブになり、皆さんが円滑にプロジェクトを進めていただくためのサポート役です。

―カウンターパートが多い中で、どのように連携していったのですか?

当然ながら、私一人ではすべてを見ることはできませんから、皆さんを頼り、信じることを徹底しました。
パーソルにはそれぞれの領域に専門性の高いメンバーが充実していて、私の専門外の領域であっても各領域の方々が自律的に課題を発見・解決し、進捗を管理してくれたおかげで、私はPMとしてプロジェクトのあるべき姿を守ることに集中できたと思います。

といっても私は、本当は人に助けを求めるのが苦手で、一人で悶々とするタイプなのです。もっと若い頃は、人に任せた仕事でも逐一チェックして、目くじらを立てていました。
今回のプロジェクトで、良い意味で仕事を手放すことができたのは、責任感と思いやりがある人が多いパーソルだからこそかもしれません。大きなプロジェクトのため、やはり不測の事態やトラブルがさまざまな場面で起きますが、「大丈夫、フォローするよ」「運用を変えてどうにかするよ」など、時に自分の担当領域を越えて手を差し伸べたり、物事を前向きに変えたりしてくれる皆さんがいたから、何とかやってこられたと思っています。そのため、皆さんが引き続き前向きにはたらけるような環境をつくることを、私自身は心がけました。

専門家が集まっている安心感もあって、焦ってパニックになりそうなときも、一呼吸置いてから「どうしようか」と周囲に相談できる雰囲気がありましたね。

プロジェクトの醍醐味は
一人では得られない、思わぬ解決策や何倍もの成果

―プロジェクトがどのように進んでいったのか、聞かせてください。

一般的にIFRS導入の際は、監査法人のアドバイザリーチームがプロジェクト支援に入り、論点のヒアリングやアドバイスをしながらプロジェクトを進めていきます。しかし、パーソルホールディングスは、社内メンバーで案を出し、それを監査法人に確認してもらう流れで進行しました。
IFRS導入にあたっては、選択すべき会計方針について正しい判断をするために、社内の会計や事業に精通した人が必要です。IFRSは原則主義で、企業ごとの経営実態を反映した運用になるため、外部の専門家がどんなに寄り添っても、外から見る景色と中から見る景色は違うからです。
また、経理を担当していても、IFRSに携わるチャンスはそう多くありません。せっかくの貴重な機会ですから、多くの経理人材に経験してもらうために、あえて外部専門家ではなく社内が主導をする、通常とは逆のスタイルをとりました。
「Boot camp」と銘打って監査法人に全体的なレクチャーをいただいてから、各担当者がそれぞれの会計論点について検討し、方針策定、社内承認を進め、実務に落とし込むための業務フロー作成や関連部署との調整も担当しました。

―とても貴重な経験ですね。

個人的には、IFRS導入の経験だけでなく、プロジェクトを通じて得られるものの大きさも実感してほしいと思っていました。普段は接しない部署の方と話すことや、担当領域の決定権を持つこと、決定した内容を上長や監査法人に説明して認めてもらうこと。どれも、定常業務ではなかなか経験できません。

一人で考えて出る答えには限界がありますが、プロジェクトではまったく違うバックボーンの人から思いがけないアイディアが出たり、「そんな切り口があったのか」と驚くような提案があったりします。一人で考えるよりも、数十倍、数百倍大きな成果物ができあがっていると感じたときに、プロジェクトのやりがいを感じますね。

―プロジェクトで顔を合わせて人となりがわかると、その後の仕事の仕方も変わってきそうです。

思わぬ方が、思わぬ力を発揮することも多いのです。例えば、日常の定常業務をコツコツやるタイプという印象の方に、急遽専門外の領域をお任せしたところ、基準書やインターネットを駆使してすばらしい成果を上げてくれたこともありました。プロジェクトを通じて、新たな一面の発見やスキルアップにつながり、その結果、仕事に対してさらに前向きになる。そのようなきっかけになっていたなら嬉しいです。

私が室長を務めている連結経理室は、多様な部署と連携する仕事が多いので、今回のプロジェクトでつながった方たちと、また一緒にはたらくことができることがとても楽しみですね。

タスクマネジメントよりも
ピープルマネジメントを重視しながら
「はたらいて、笑おう。」をサポートしたい

―プロジェクトには、仲間意識や連帯感を思い出させてくれる力もありますね。

そうですね。組織が大きくなって分業が進み、私が入社した当初にあったような縦割りを越えたつながりはやはり薄くなっていると感じています。

それでも、私がプロジェクトを通して感じた、役割を超えた助け合いや、ミスを責めずにできたことを称える文化は残っています。私は忙しいのが嫌で前職からの転職を考えたのですが、正直いまも忙しく、早くこの嵐が過ぎれば良いと思っています(笑)。そんな私がパーソルホールディングスではたらき続けるのは、プロジェクトを通して仲間のポジティブなエネルギーに触れ、苦手分野をカバーし合ってひとつのものを作り上げていく喜びがあるからにほかなりません。
失敗を恐れずにプロジェクトを楽しみ、一呼吸をおいて、また皆さんと次の企画を考える。年中文化祭をしているような、ワクワクできる会社になるとよいなと思っています。

―ありがとうございました。
最後に、グループ財務本部とご自身の展望をお聞かせください。

グループ財務本部は、パーソルグループの規模拡大に合わせて、さらなる変革を目指すと聞いています。多忙な中でも深呼吸することを忘れずに、多様なバックグラウンドを持つ仲間と良い化学反応を起こせるといいですね。

また、個人的には、IFRSのPMを担当しながら連結経理室をあずかることになり、プレイヤーから黒子へとシフトするタイミングだと感じています。 タスクを成し遂げることに重きを置くタスクマネジメントではなく、「人」にフォーカスしてマネジメントしていくのがパーソルホールディングスの特徴であり、良さでもあります。皆さんがどうすれば「はたらいて、笑おう。」を実現できるかを考えながら、新しいフィールドでひとつずつ、自分にできることを増やしていきたいです。

※社員の所属およびインタビューの内容などは2023年6月現在のものです。

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