2023年06月13日
2025年02月07日
デジタル技術の急速な進歩によって企業間競争は激しくなっており、市場での優位性を保つためにDX推進を図る企業も増えてきています。DXを推進するためには、最先端のデジタル技術を使って「企業に価値をもたらす」ことができるデジタル人材の活用は欠かせませんが、一方でデジタル人材の採用ハードルは高くなっているのが実情です。そのため、企業がデジタル人材を確保するには外部からの採用だけに頼るのではなく、自社でデジタル人材を育成していくことも重要です。
本記事では、デジタル人材の概要と類型、デジタル人材の育成・採用方法を中心に解説します。また、デジタル人材の育成には時間がかかるため、効率良く育成する手順やポイントも併せて紹介しています。
将来的にはデジタル人材の更なる不足が予想されており、即戦力の採用、外部人材の活用とともに、中長期視点でデジタル人材を育成していきましょう。
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目次
デジタル人材とは、IoTやAIなど最先端のデジタル技術を活用して企業に「新しい価値」を提供できる、企業のDX推進を担う人材のことです。
デジタル人材と言うと、データ分析をするデータサイエンティスト、ソフトウェアを開発するソフトウェアエンジニアなどが思い浮かぶかもしれません。しかし、それ以外の役割としてDX推進の実施責任者となるビジネスアーキテクト、顧客に応じて製品やサービスを設計するデザイナーなどの人材も必要です。デジタル人材には、デジタル技術に精通した人材だけでなく、デジタル技術に関する知見やスキルを持ちながらプロジェクトをまとめ、製品やサービスを設計できる人材も欠かせません。
経済産業省は「デジタルスキル標準」でデジタル人材に求められるスキルを大きく5つのカテゴリーに区分しています。具体的には以下のスキルが当てはまります。
DXの推進は単なるデジタルツールの導入などにとどまらず、ビジネスや業務の変革をもたらすものです。デジタル人材には、ビジネスや業務の変革によって創出される顧客提供価値や従業員満足度などに向けて、プロジェクトチームを立ち上げ、関係者間の合意形成を図りながら、けん引していくスキルが求められます。
DXと言えば、データ活用を想起する方も多いでしょう。実際にDXにおいてデータは最も重要であり、データを収集し、解析するスキルはもちろん、その仕組みの設計や運用を行うスキルもデジタル人材には欠かせません。
デジタル技術を駆使した製品やサービスの開発には、基盤となるシステムやソフトウェアが必要です。デジタル人材には、最新のテクノロジーを習得し、システムやソフトウェアの設計や実装を担えるスキルが求められます。
近年は内部統制の観点から、顧客情報などへの不正アクセスや流出を厳しく取り締まる必要があります。デジタル人材には、サイバーセキュリティリスクを適切に管理するスキルが不可欠です。
多くの企業がDX推進に苦戦する中で、専門的な知識や技術力はもちろん、リーダーシップや協調的なコミュニケーションなどのパーソナルスキルもデジタル人材に求められています。
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デジタル人材は、DX推進に必要不可欠なデジタル技術や、AIやIoTなどの最先端技術に関するスキル・知識を持ち、その技術を使って企業に新たな価値を生み出します。一方、IT人材はITの導入や活用に特化した、ITを実行または、運用する人材です。
IT人材がITスキルやITの専門知識を持ち、IT活用やコンピュータシステムの導入・運用などを担う一方で、デジタル人材は、新たな価値を生み出すために、デジタル技術を活用して組織や事業の成長を推進します。
【関連記事】IT人材とは?不足の背景や育成・採用方法、必要なスキルを解説
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多くの企業ではデジタルスキルを持つ人材の不足や、現場での定着が課題となっています。このような背景のもと、全社的なDX推進や職種特化型のスキル習得が求められています。本資料では、PERSOLグループが提供するデジタル人材育成支援プログラムの概要やカリキュラム、導入事例などについて詳しくご紹介します。
現在、多くの企業では「市場競争の激化」や「社内既存システムの複雑化」という課題に直面しており、これを打破するためにデジタル技術を活用したDXが求められています。そして、企業がDXを推進していくためには、デジタル技術を活用して新たな価値を作り出せるデジタル人材が不可欠です。
ここでは、2つの側面から、デジタル人材の必要性について解説します。
現在、日本を含めた世界の市場では、急激なスピードで変化が起こっています。その要因として、以下の4つが挙げられます。
スマートフォンの普及、SNSの利用などによって、消費者の行動や価値観は変化しており、次々に新しい製品やサービスも生まれています。
また、AI、IoT、ICT、クラウドといったデジタル技術の発展により、新規参入へのハードルが下がっていることに加え、日本市場への海外企業の参入も増加していることも注目すべきポイントです。
今もなお市場は急激なスピードで変化しており、競争もさらに激化していることから、市場環境に素早く適応し、市場での優位性を保つために、デジタル技術を活用して製品やサービスを生み出したり、ビジネスモデルを変革したりすることが求められます。
そのため、デジタル技術を用いて新しい価値が生み出せるデジタル人材は、既存参入・新規参入にかかわらず「市場での優位性」を確保するためにも必要不可欠と言えるでしょう。
2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」にて、企業の既存システムの複雑化・ブラックボックス化といった問題を解決し、業務全体の見直しができない場合、2025年以降に最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘が鳴らされました。これがいわゆる「2025年の崖」です。
経済産業省では、企業のDXが進まない理由として、以下の問題を挙げています。
各事業部で独自にシステムが構築されている場合、社内全体で横断的にデータを活用することが難しくなります。また、長年にわたって過剰にシステムをカスタマイズし続けた結果、複雑化やブラックボックス化といった現象も起きています。さらに、今まで使っていたシステムを変えることへの「現場の人たちの抵抗」も、DXを進められない問題点です。
2025年の崖を乗り越えるためにも、デジタル人材への期待は高まっています。
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DXの重要性が高まるにつれて、デジタル人材の採用ニーズも高まり、採用難易度が上昇しています。
独立行政法人情報処理推進機構の「DX動向2024」によれば、従業員規模300人以上1,000人以下の企業において、「DX の戦略立案や統括を行う人材が不足している」「DXを現場で推進、実行する人材が不足している」という課題を60%以上が挙げています。こうした統計結果から、デジタル人材が不足している現状がうかがえます。
デジタル人材の求人倍率は高止まりの状態が続き、求人募集をかけても思うように応募者が集まらなくなっています。厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2024年9月の有効求人倍率は1.24倍でしたが、情報処理・通信技術者は1.67倍でした。求人倍率のデータからも、デジタル人材の採用難易度の高さがわかります。
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自社に必要なデジタル人材を洗い出せても、肝心のデジタル人材を採用できなければDXは推進できません。
IPAの「DX動向」によると、デジタル人材をはじめ、DXを推進する人材の採用・確保方法として、「社内人材の育成」「外部採用」「既存人材の活用」の3つが多いことがわかります。
デジタル人材の獲得競争が激しくなってきているため、ひとつの方法だけに頼るのではなく、さまざまな方法で人材を採用・確保していくことが大切です。社外の人材を部分的に活用したり、外部パートナーと協業したりすることでもDXを推進できます。
また、自社内でデジタル人材を育成することも、デジタル人材の確保という点で重要な取り組みになります。
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新しいデジタル人材をなかなか獲得できない場合に有効なのが、社員をデジタル人材として育成する方法です。教育プログラムやOJT、リスキリングなどで社員にデジタルスキルを身につけさせた上で、適切な部署に配置します。
メリットは、求人募集に失敗した場合のリスクを気にせずに済み、採用関連のコストを抑えて必要なデジタル人材を確保できることです。
一方で、社員のデジタルリテラシーが高くないケースも多く、デジタル人材に育て上げるためのコストと時間がかかってしまうというデメリットがあります。育成に時間がかかればかかるほど、DXプロジェクトの導入が遅れてしまいかねません。
デジタル技術の素養がある社員を育成対象として選ぶことが、育成を成功させるポイントと言えるでしょう。
デジタル人材を育成するには中長期的な視点に立ち、基本的なデジタル知識から特定のスキル習得まで体系的に学べるような育成計画を立てたうえで、スキル向上を支援する環境を整えることが重要です。
育成の具体的な方法として、研修やトレーニングプログラムを組み、外部の専門家を招いて専門知識やスキルを習得する方法があります。また、eラーニングなどのオンラインツールを活用して、柔軟な学習環境下で体系的に学んでもらうこともできます。
経済産業省が所管するマナビDXやマナビDXクエストといったサイトでは、社内研修プログラムとして活用できるコンテンツを扱っているので、参考にしてみましょう。
また、デジタル技術に関連する資格を取得することでも、スキル習得につながります。資格取得に必要な費用を支援する制度を導入すれば、資格取得に挑戦しやすくなります。
研修プログラムなどによって社員が一定の知識を身につけたら、実際にそれを職場で実践し、経験を積むことが必要です。最初は先輩などに教えてもらいながら、メールを自動化してみるといった小さなことからはじめて、少しずつ大きなプロジェクトへと広げていきましょう。
このようなOJTは、単に説明して実際にやってもらうだけでなく、振り返りや改善点を確認できる場の提供や、社員から質問しやすい環境作りが大事です。
【関連記事】OJTとは?OFF-JTとの違いや運用ポイントを簡単に解説
将来の需要や現在の職業で必要とされるスキルを獲得する/させるリスキリングの実施も効果的です。デジタル領域における最新のスキルや専門知識を学んでもらうことで、目まぐるしく変化する環境への適応力が増し、生産性向上も期待できます。
またミドル・シニア人材にリスキリングを実施することで、新たなスキルの習得と同時に問題解決能力や効率的な業務処理能力向上にも役立てられます。今後自社を支えるDXプロジェクト要員として、活躍の場を広げてもらうことも可能です。
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【関連記事】リスキリングとは?DXとの関連性、企業が推進すべき理由を解説
デジタル人材を社内で育成する場合、育成の目的を決めたり、振り返りとアクションプランの設定を実施したりといったポイントを押さえる必要があります。ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
デジタル人材の育成で重要なのは、企業のビジネス戦略と照らし合わせ、IT人材を育成する目的を明確にすることです。目的が明確となることにより、業務効率化や生産性の向上といった結果につながりやすくなります。
また、目的を決めたら自社が必要としているスキルや特性、考え方の洗い出しを行い、自社が求める人物像の定義づけを行いましょう。決めた目的や求める人物像は、育成対象者と共有することにより、育成効果の向上が見込めます。
選抜基準がない場合、育成対象者を絞り込めません。自社が求める人物像やスキルをもとに、育成対象者を選ぶ基準を定めましょう。「受講生に育成内容を生かす機会を提供できるか?」という観点を選抜基準に入れることや、スキルマップを作成し、スキルの内容や評価基準を具体的にすることも大切です。
育成の効果を最大化するためには、育成対象となった従業員に目的やビジョンを理解してもらうことも欠かせません。
デジタル人材の育成には、OJTや社内研修、外部研修、eラーニングなどの方法があり、自社の状況や育成対象者のスキルレベルなどに合わせて決めましょう。
デジタル人材に求める技術的なスキルは、座学のみでは取得できません。座学で知識を習得させつつ、実践も繰り返して技術を身につけさせることが大切です。
効果的にデジタル人材を育てるためには、育成後の振り返りと、次のアクションプランの設定を行うことが重要です。振り返りの内容としては、研修で良かった点と改善が必要な点を確認しましょう。
また、アクションプランを作成する場合は、研修後3ヶ月後になっておきたい状況目標を設定し、目標達成のための具体的な活動内容を設定します。
目標達成度を確認する方法の1つとして「スキルマップ」の作成も効果があります。スキルマップとは、必要なスキルと獲得したスキルを数値で示した一覧表です。
独立行政法人情報処理推進機構「デジタルスキル標準ver.1.1」には、デジタル人材に必要なスキルが紹介されています。この内容を参考にして、自社でスキルマップを作成しても良いでしょう。
状況目標の設定は、能力をストレッチする難易度設定が効果的です。現状より105~110%程度の努力が必要な目標にすると良いでしょう。活動内容は、具体的な数値を踏まえるとより効果が出やすくなります。
【関連記事】DX人材育成の6ステップ|ポイントやよくある課題、事例も解説
人材不足のなか、獲得競争が激化していることを承知の上で、優秀なデジタル人材を社外から採用することにチャレンジするのも悪手ではありません。採用コストや人件費が高くなる可能性はありますが、採用に成功すれば自社の要件に合った即戦力をDXプロジェクトに投入できます。
採用には、正社員や派遣社員のほかにも、業務委託やフリーランス雇用など多様な契約形態があります。正社員採用にこだわるのではなく、さまざまな雇用形態で人材を確保すると良いでしょう。
中途採用では、自社のDXプロジェクトを力強く長期に渡ってけん引してくれる人材を正社員として雇用します。採用後のミスマッチが起きないように、採用した人材に任せたい仕事を明確に決めた上で、必要なスキルや適性を絞り込み、どのような人材を採用するかターゲットを明らかにしておくことが重要です。
また、自社がいかに魅力的な会社であるかを求職者に伝えて共感してもらわなければなりません。そのためにはターゲットとなる人材を理解してその心に刺さる攻めのアプローチが必要であり、採用戦略を練り上げる必要があります。
また、定期的に転職市場を確認し、採用基準を見直すことも重要です。自社の求める人物像と同等のスキルや経歴を有する人材が、どの程度の待遇で募集されているのか、採用基準が現況に合致しているのかを確認し、見直しましょう。
DXプロジェクトの期間のみ、はたらいてもらえる人材を確保したい場合には、フリーランス雇用のほかにも、契約社員や派遣社員を活用する方法があります。契約社員や派遣社員を雇用するメリットは、必要な期間だけ雇用できて人件費を節約できる点です。
なお、派遣社員を雇用する場合、直接雇用ではないので福利厚生費を負担しなくて済みます。しかし契約外の仕事は任せられないというデメリットがあるので注意が必要です。
【関連記事】DX人材を採用するには?必要な資質や採用時のポイントについて解説
デジタル人材を採用する際は、採用ターゲットを明確にするとともに、複数の採用方法を取り入れることがポイントです。また、採用方法だけではなく、職場環境にも目を配る必要があります。ここでは、デジタル人材を採用する際のポイントについて解説します。
まずは、自社が求める人物像の条件を明確にしておく必要があります。自社が達成したい目的や、解決を目指している課題などから、求めるスキルや価値観、考え方を逆算しましょう。
ただし、求める人物像の理想が高すぎる場合、応募条件にマッチする候補者が見つからない可能性があるため、条件の優先順位を決めることが大切です。
また、採用ターゲットを適切に設定するには、採用側もデジタル分野に対する理解を深める必要があります。採用側でも知識をインプットするとともに、デジタル分野に詳しい人材へヒアリングを行い、採用の人材要件を策定していきましょう。
採用方法には、従来の求人情報を公開して応募を待つ方法だけでなく、リファラル採用やダイレクトリクルーティングといった能動的な採用方法もあります。ひとつの採用方法に縛られていては、獲得競争が激化している状況において自社が求める人材の採用は困難です。
複数の方法を併用したり、組み合わせたりすることにより、自社が求める人材を採用できる確率が上がります。例えば、SNSで自社の魅力や企業風土を発信し、興味を持ってもらえた人材の中から、自社が求める条件に近い人に直接アプローチをかければ、人材獲得の可能性が高まるでしょう。
現状の職場環境を見直し、整えることも大切です。「はたらきたい」と思えるような職場でなければ、自社が求める人材からの応募は見込めません。
特にデジタル人材は、柔軟なはたらき方や公正で客観的な評価を求めるケースが多く見受けられます。残業が多いだけでも、応募者に敬遠されるおそれがあります。そのため、リモートワークやフレックスタイム制の導入や、公正な評価制度を取り入れるといった施策を実施し、はたらきやすい環境を準備することが大切です。
近年、デジタル人材の採用は売り手市場になっているため、企業は求職者側に選ばれる努力をしなければなりません。そのため、デジタル人材が企業を選ぶ際の判断材料となり得る情報は、積極的に発信する必要があります。ただし、自社の実態を包み隠すような内容では、仮にデジタル人材を採用できたとしても、入社後のギャップから人材が定着しない可能性もあるでしょう。
特にデジタル人材の要となるITエンジニアに対するアンケート調査では、入社理由が多様化していることがわかります。給与や福利厚生などの待遇や職場環境だけでなく、会社として技術面への尊重がある風土かといった点も重要視されているようです。
また、入社後に上司や同僚となる人の実態や実情は企業とのマッチ度を測るために重要なため、求職者からの信用や好感を得るには大切な情報です。こうしたメッセージを効果的に活用しながら、自社の求めるデジタル人材へのアプローチを推進しましょう。
近年は持続可能なはたらき方の実現が求められる中で、職場の心理的安全性は不可欠と言ってよいでしょう。特にDX推進に課題を抱える企業が多い中で、「デジタル人材さえ採用すれば、すべてが解決する」といった企業側の希望的観測が強すぎると、必要以上にプレッシャーをかけてしまうリスクがあります。デジタル人材だけに負担がかかってしまわないように、社内環境の整備が必要です。
例えば、社内のデジタルリテラシーが低く、DXを推進するにあたってコミュニケーションコストが大きいと、デジタル人材への実務的・精神的な負担が生じやすくなります。こうした状況ではデジタル人材のモチベーション低下や離職を招いてしまいかねないため、全社的なデジタルリテラシーの向上は欠かせないでしょう。採用活動においてはDX推進への積極的な姿勢と環境整備を求職者にアピールすることで、採用の成功につながる可能性があります。
育成や採用以外にも、外部パートナーと協業する方法やアウトソーシングにより専門的知識を持つ人材を必要な期間だけ活用する方法があります。即戦力をプロジェクトに投入できるというメリットがある一方で、自社に知識が蓄積しづらいというデメリットがあります。
アウトソーシングとは業務委託のことです。社内人材やノウハウの不足などを理由に自社で実行できない業務を外部の専門業者に委託することで、自社の生産性を向上させ、競争力を強化できます。
DXプロジェクトでアウトソーシングするメリットは、人材の育成や採用にかかる時間、コストを抑えられる点です。自社にはハードルが高い技術的部分をアウトソーシングすることで自社の社員がコア業務に専念しながらDXを実現できます。
例えば、専門スキルやノウハウを持っている即戦力の人材やIT専門のアウトソーシング企業にサポートしてもらえば、よりスピーディーにプロジェクトを推進できます。
また、ソフトウェア開発やデータ分析などDX業務のほとんどはアウトソーシングが可能ですが、ロードマップの作成やプロジェクトマネジメントなどはDX戦略の軸となり、ノウハウを蓄積させる必要性も高いことから、自社で行うことをおすすめします。
【関連記事】アウトソーシングとは?意味や導入のメリットを簡単に解説
個人事業主などとして業務を請け負うフリーランスと契約を結び、任せたい業務を委託する方法もあります。
中途採用とフリーランスの活用の大きな違いは労働契約にあります。中途採用では雇用契約を結びますが、フリーランスとの契約は業務委託契約です。業務委託契約を結んだ場合は、基本的に労働基準法や労働契約法の適用を受けません。
雇用保険料や健康保険料といった福利厚生費用の負担義務がないため、社員を雇うよりも人件費を抑えられるというメリットがあります。また、契約期間は短期間でも構わないため、優秀なフリーランスの力を本当に必要なときにだけスポット的に借りることも可能です。
その一方でデメリットもあります。まず、業務を社内で完結させる場合よりも、機密情報の漏えいリスクが高まります。さらに、契約したフリーランスが事故や病気に見舞われて、急に仕事ができなくなることもあるので、代替策を確保しておくことも重要です。
フリーランスを探す方法には、自社サイトでの求人募集、求人広告や求人サイトの利用、フリーランスが在籍するクラウドソーシングサイトの利用、フリーランス専門エージェントの利用などがあります。
自社でデジタル人材を確保するのが難しく、ノウハウもない場合には、多数のデジタル人材を抱えるIT企業などを外部パートナーとして迎え入れ、業務提携するという方法もあります。提携する際は、幅広いスキルを持つ人材を抱えている大手企業やDXに特化したテクノロジー企業であれば、経験豊富な専門スキルを持った人材の確保が期待できます。
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デジタル人材が不足しているなかでDX推進に必要な人材を集めるには、この記事で紹介したさまざまな方法を検討して、自社に合った方法を見つける必要があります。
社員をデジタル人材として活用できるまでに育成することは、長期的な戦略として重要です。しかし、DXをスピーディーに推進したいのであれば、即戦力となる人材を採用することに加え、アウトソーシングの導入や外部パートナーとの協業で外部の人材を効果的に活用することも考えていかなければなりません。
短期的な戦略と長期的な戦略の両方を考慮しつつ、最適な人材確保の方法を選択しましょう。
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