女性活躍を推進したい企業が取り組むべき6つの施策│事例を交えて解説

女性が意欲を持ってはたらき続けるには、制度面やマインド面など企業の多角的なサポートが必要です。

本記事では、女性活躍を推進する際に押さえておくべきポイントと女性活躍に取り組む企業の事例を解説します。

女性活躍はなぜ進まない?背景から施策まで一気にわかる実践ガイド

女性活躍推進は、人的資本経営・ダイバーシティ経営における重要課題の一つです。しかし「制度は整えたが定着しない」「管理職比率が上がらない」など、実行段階で壁に直面する企業は少なくありません。

そこで、パーソルグループでは、女性活躍推進が求められる社会的背景から、施策設計、運用のポイントまでを体系的に整理した資料を公開しています。

現場の理解を得ながら、組織全体で成果につなげるためのヒントをまとめていますので、ぜひご活用ください。

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目次

なぜ女性活躍推進が必要なのか

なぜ今、女性活躍推進がこれほど注目されているのでしょうか。まずは、必要とされる背景から解説します。

人材不足の深刻化

日本が抱える少子高齢化や人口減少がさらに進むことで、さまざまな影響が予想される「2030年問題」。15歳以上65歳未満の生産年齢人口の減少により、深刻な不足が懸念されます。

パーソル総合研究所によると、2030年には労働需要7,073万人に対し供給される労働人口は6,429万人、つまり644万人の人材不足が発生すると予測しました。あと数年で人材獲得競争の激化が見込まれると同時に、国民のニーズの多様化やグローバル化も進んでいます。企業にとって多様な人材の確保は喫緊の課題であり、女性活躍の推進が重要です。

【関連記事】人手不足の現状と原因|業界別データと6つの解決策・事例も解説

女性活躍推進法の施行

1985年5月に「男女雇用機会均等法」が成立し、募集、採用、配置、昇進など雇用管理の各ステージにおいて、性別を理由とする差別が禁止されました。厚生労働省の「雇用の分野における女性活躍推進等に係る現状及び課題」によると、令和5年の女性の労働人口は3,124万人、労働力人口総数に占める割合は45.1%。女性の労働人口は年々上昇しており、社会進出が着実に進んでいることが分かります。

一方で、妊娠や出産などのライフステージの変化に伴う離職や女性管理職の比率の低さ、所得水準など男女間の格差はなくなっていません。

「女性活躍推進法」は、女性が仕事で個性や能力を十分に発揮できる社会の実現を目的として、2016年4月に施行され、その後複数回改正されています。

2022年7月の改正で、国、地方公共団体、一定規模以上の企業に対して下記が義務付けられ、企業における女性の活躍状況が可視化されました。

    • 自社の女性の活躍状況の把握、課題分析
    • 一般事業主行動計画の策定・社内周知・外部公表
    • 一般事業主行動計画表の策定の届出
    • 取り組みの実施、効果測定
    • 女性の活躍に関する情報の公表

上記によって、各企業の女性活躍の状況や取り組みについて求職者や投資家が情報を得られやすくなりました。市場から継続的に観察されることで、各企業が自律的に女性活躍に取り組む流れをつくることが目的です。

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女性活躍推進法施行の背景

女性活躍推進法が施行された背景の一つに、日本の女性の社会的・経済的な地位向上が遅れていることが挙げられます。世界経済フォーラム(WEF)の「ジェンダー・ギャップ指数2024」では、日本は156カ国中118位と低く、G7の中では最下位です。特に「経済」分野における男女格差が大きいことが明らかになっています。

指導的地位にある女性の割合

日本の女性役員比率は、2013年から少しずつ上昇しています。内閣府・男女共同参画局の広報誌「共同参画 令和6年2月号」では、2023年のプライム市場上場企業における女性役員の割合は13.4%で、2022年の11.4%からわずかに増加しています。しかし、日本を除くG7諸国の平均は38.8%であり、世界とのギャップがいまだ大きいことが分かります。

非正規雇用労働者の割合

総務省の「労働力調査」によると、令和4年の非正規雇用者の割合は男性が22.2%に対し、女性は53.4%と男女間に差があることが分かります。女性活躍推進法は、このような日本の現状を変えることを目指して制定されました。

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【関連記事】女性活躍推進法とは? 改正ポイントと企業がすべき対策をわかりやすく解説

女性活躍を推進する6つの施策

制度の見直し

女性の活躍を推進するためには、仕事と育児を両立できる環境を整えることが重要です。

産前産後休業や育児休業はもちろん、さらに女性活躍を目指すようであれば復帰した後でも第一線で活躍できるような復職支援制度を作る必要があります。

また、保育費用の保証制度を作るなど、女性の仕事以外の負担を取り除くことで仕事に復帰しやすくなり、パフォーマンス向上にもつながります。

はたらき方を柔軟に選択できる制度の導入も必要です。リモートワークやコアタイムのないスーパーフレックス制度など、子育てをしながらはたらく従業員を後押しできます。

採用基準の変更

女性社員の採用を拡大し、母集団を増やすことが重要です。さらに、自社の採用ページに女性の写真を使用したり、女性社員のインタビューを掲載したりするなど、女性が活躍できる職場であることをアピールできるようなイメージ施策もセットで推進することが重要です。

女性を採用した際には、企業側が女性社員に対し、自社で活躍してほしいという意向をはっきりと伝えると良いでしょう。組織が期待する役割を伝えることで、女性のモチベーションを高められ、昇進への意欲につながります。また、長期継続してはたらく意向を持つ女性の採用や定着率の向上も期待できます。

さらに、女性に向けた配慮も必要です。建設業界のように男性の割合が多い職場の場合、女性用の更衣室やトイレを設置するなど就業環境の整備も必要です。

女性社員の教育への投資

女性の昇進意欲には、自分で目標を設定し可能性を広げていくキャリア自律意識が関わっています。キャリア自律意識には、新規プロジェクトの経験や異動経験などの環境要因が大きく関わっており、その一つに教育があります。職場を離れ、異なる環境に身を置いて学ぶ越境体験をすることで刺激を得られ、今後のキャリアに対して前向きになれると考えられます。

とはいえ、時間的制約の中ではたらく女性は、学ぶ機会が得られにくい現状があります。社内の選抜研修に意識的に女性を選出するほか、企業が費用を負担して外部講座を受けてもらうなど、積極的にスキル開発の機会を設けると良いでしょう。

女性にさまざまな経験を積んでもらい、スキルアップを図ることで、時間的制約を抱えていても高い生産性ではたらくことができ、組織の活性化にもつながります。

管理職の評価基準に「女性の育成計画」の策定を盛り込む

女性の昇進意欲に良い影響を与えるのが、育成マインドを持つ上司の存在です。部下を管理職に引き上げ、サポートしてくれる上司がいると、「うまくいかなくても自分らしくがんばろう」と女性がチャレンジしやすくなります。

管理職の評価項目に女性の育成計画作成を盛り込むことで、研修のアウトプットにつながる側面もあります。

ただし、人事評価に関わる施策のため、闇雲に取り入れると社内の理解を得られなくなってしまいます。自社にとっての必要性や女性社員と管理職それぞれのメリットも考えた上で判断すると良いでしょう。

キャリア研修を行う

キャリア研修は、ライフイベントが訪れて時間的な制約ができたときも自身のキャリアをイメージでき、活躍するビジョンを持てることを目的に行います。なるべく早期に研修を実施することが望ましいです。

研修では、時間的制約があってもはたらき続けることの意義を伝え、キャリアを諦めない選択肢があることを理解してもらいます。また、リーダーになることで身につけられる経験やスキル、得られるメリットを説明し、負担が大きいと思われがちな管理職のイメージの刷新も図ります。

【関連記事】キャリア研修とは?年代・役職別のプログラム例や成功事例まで

リーダーシップ研修を行う

リーダーシップ研修は、自信の醸成やスキルアップなどを目的として複数回行います。「自分にはリーダーは向いていない」などの先入観を持ち、リーダーになることに消極的な女性を選出します。

具体的には、これまでのキャリアや経験の棚卸しを通じて、自身の強みや適性の掘り起こしをします。同時に、男性の画一的なリーダーシップだけでなく多様なリーダーシップ像があることを理解してもらい、自分らしいリーダーシップについて考えます。

また、プレゼンテーションスキルやロジカルシンキングを学び、組織課題について考え提言するなどの経験を通じ、新たな刺激を得られます。

【関連記事】リーダーシップ研修とは?目的やカリキュラム例・得られるスキルを解説

女性活躍推進施策に取り組む際のポイント

女性活躍を進める際に、企業が押さえておくべきポイントを紹介します。

目標設定をする

女性活躍推進に取り組む際、まずは組織としての方向性と「自社にとってなぜ女性活躍推進が必要なのか」を明確化することが重要です。

女性活躍推進を自社の課題に落とし込むには、その必要性やメリットを自社の事業領域に当てはめて考えると良いでしょう。ニーズを明らかにすることで目標を設定しやすくなり、自社に必要な施策を見極めることができます。

経営トップなど、上位層が取り組みを発信する

女性活躍推進に消極的な組織の場合、ボトムアップで行っても順調に進まない可能性があります。

ホームページやメールマガジンなど、さまざま媒体を通じて組織が女性活躍推進に取り組むというメッセージをトップが発信すると良いでしょう。組織が女性活躍に本気で取り組もうとしている姿勢が伝わると、社内の意識改革につながります。

トップが発信した内容を取締役会や役員会議など、対面で徐々に伝えていくことで、より浸透しやすくなります。

過剰な配慮をしない

時間的な制約がある女性がはたらきやすい制度に変更することは重要です。しかし、周囲が一方的に「子育て中の女性社員への配慮」だと思い込み、出張や部署異動、新規プロジェクトへの挑戦のメンバーに加えないなど過剰に取りはからうと、女性が成長する機会をなくしてしまいます。

組織は難易度の高い仕事に挑戦をする機会を与えるなど、経験を積む場を用意しましょう。チャレンジすることで新たな刺激を得られ、仕事への意欲が高まり、将来的に管理職候補になる女性が増える可能性があります。

ロールモデルは時間的制約のある女性から輩出する

社内にロールモデルがいると、女性社員のモチベーションの向上や自身のキャリアを描きやすくなるなどのメリットがあります。

しかし、時間的な制約なく働くことができ、完璧に仕事ができる、いわゆるスーパーウーマンのような女性をロールモデルにすると管理職のハードルが上がってしまいます。一般的な女性社員が「自分はこの人のようにはたらくことができない」と自信をなくしてしまいかねません。ロールモデルは時間的制約のある女性から輩出するのが望ましいです。女性社員が自身のはたらき方に近いと感じる女性を輩出することで、尊敬と同時に共感を抱くことができます。

社内に適任が見つからない場合、他社の事例を紹介するのも一つの方法です。また、スーパーウーマンを輩出する場合は、成功体験ではなく、過去の失敗談や周囲にフォローしてもらった経験を話してもらうことが重要です。さらに、壇上から話してもらうのではなく、女性社員とテーブルを囲んでお菓子をつまみながら話してもらうなどの演出を加えることで、女性社員に親近感を抱いてもらいます。

【関連記事】ロールモデルとは?候補となる人物や設定の流れ、ポイントを解説

女性活躍推進に成功している事例

女性活躍推進に成功し、えるぼし認定を受けた企業の事例を紹介します。

【関連記事】女性活躍推進の成功事例10選│取り組み内容・共通点を解説

事例1.学校法人平成学園│職員のライフステージに合った活躍を支援

認定こども園や放課後児童クラブなどを運営する平成学園は、職員の約8割を女性が占めています。法人が大切にしているのが、「恩送り」という考え方です。出産や育児、介護などのライフイベントが生じたときは周囲のサポートを受けながらはたらき、それらが落ち着いたら、次は周りの職員を助ける「恩を返す」立場になります。このように、職員同士が助け合う風土が醸成されています。

女性の活躍をサポートするために、それぞれのライフステージに対応した取り組みを実施しています。

    • 多様なはたらき方に応じた部署の設置
    • 子育て中の職員の応援制度
    • 法人内の研修制度、資格取得支援制度の導入
    • 年2回の個人面談で職員のキャリア形成をサポート
    • 働き方改革に詳しい専門家による伴走支援
    • 活力調整の実施

2021年にプラチナえるぼしを取得したことを機に、法人内で各種制度の周知が進み、制度を利用したいと考える職員が増える結果になりました。

事例2.社会福祉法人あすなろ会│充実した休暇制度と研修制度の下、女性のキャリア継続やステップアップを支援

医療や福祉事業を展開するあすなろ会は、女性が多い職場であることからライフステージが変化しても女性がはたらき続けられる制度を取り入れていました。女性活躍推進法の施行に合わせてさらに制度を整えたり、職員の相談から制度を導入したりするなど、女性活躍に真摯に向き合っています。

    • 産前産後休業や育児休業、就学前までの育児短時間勤務など充実した休暇制度の導入
    • 不妊治療休暇(無給)の導入
    • 階層別研修の充実など研修制度を改革

研修制度を充実させ、はたらきやすい職場を構築したことで女性管理職が増加。20名の施設長・管理者のうち、8人が女性です。女性職員に管理職を目指す意識が生まれるなど、良い流れができています。

事例3.三井住友トラスト・ビジネスサービス株式会社│管理職育成や転換制度などにより女性のキャリアアップを支援

銀行のバックオフィス業務を受託する三井住友トラスト・ビジネスサービスは、従業員の9割が女性です。しかし、以前はグループから出向した男性が管理職を占めていました。

「管理職には事務業務に精通し、業務における問題点や部下の困りごとを理解できる人材が適している」と考えた同社は、2012年に会社が合併したことを機に、女性管理職を育成する取り組みを始めました。

    • 階層別の研修の充実
    • 正社員転換制度の導入
    • 19パターンの柔軟な短時間勤務制度の導入
    • 復職予定者研修の実施などで育児休業からの復職者をサポート

同社の課長以上の女性管理職の割合は、2021年9月末で62%に増加。リーダー以上の22人は短時間勤務制度を利用しています。周囲が支える風土が醸成されることで女性が多様なはたらき方を選択でき、若手社員が今後のキャリアを描きやすくなっています。

パーソルグループが提供する女性管理職増加施策の支援

「女性管理職を増やしたいけど、どのようにアプローチすればよいのか分からない」という企業に向けて、パーソルグループは多様な社員研修サービスを提供しています。

女性管理職養成研修

女性が管理職になることの自信を醸成し、スキルアップを図ることが目的です。

これまでのキャリアや経験の棚卸しを踏まえて、自身が気付いていなかった適性の掘り起こしをします。同時に、多様なリーダーシップ像があることを理解し、自分らしいリーダー像について考えます。

研修では、職場におけるコミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキル、ロジカルシンキングなど、管理職に求められるスキルを磨きます。

女性社員キャリア開発研修

これまでのキャリアを振り返り、自身の強みを認識するなど自己理解を深めます。さらに、自身のキャリアビジョンを描き、実現のために自分が何をするのかを明らかにします。

女性社員モチベーション向上

女性の帰属意識を高めたり、主体性を育むことを目的として実施します。これまでのキャリアやはたらき方を振り返るほか、組織の課題解決を行うなどさまざまなアプローチがあります。

女性リーダー異業種交流

異なる業界や環境ではたらく女性たちとプロジェクトワークを行う越境体験の場を設けます。マッチング方法や参加企業の数、業種などは研修ごとに異なりますが、越境体験を通じて女性が新たな刺激を得られ、能力開発のきっかけになるでしょう。

メンター・メンティ研修

メンター・メンティの信頼関係の構築を目的として行います。研修を通じて、相手とのものの見方の違いや考え方の違いを認識し、多様性を認め合うことができます。さらに、双方のコミュニケーションの姿勢やスキルの向上も見込めるでしょう。

育休復帰前後研修

育休復帰前の女性社員は、仕事と家庭の両立や復帰後の配属先配属先、ブランクを経てはたらけるのかなど、さまざまな不安を抱えています。1年間を振り返り、自身にできることや育休復帰前の不安感を整理することで具体的な備えを明確にします。参加者の情報交換の機会も設けるなど、複数のアプローチから女性の不安解消を図ります。

女性管理職養成研修と女性社員キャリア開発研修を組み合わせて複数回行うなど、企業の女性活躍方針や風土に合わせてカスタマイズしています。

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まとめ

女性が活躍している企業の事例に共通しているのは、目標や理由を明確化していることです。「自社にとって女性の活躍がいかに重要か」という切実さが実態のある施策につながっています。

他社の女性活躍への考え方を参考に、自社にとっての最適解を見つけていきましょう。

女性活躍はなぜ進まない?背景から施策まで一気にわかる実践ガイド

女性活躍推進は、人的資本経営・ダイバーシティ経営における重要課題の一つです。しかし「制度は整えたが定着しない」「管理職比率が上がらない」など、実行段階で壁に直面する企業は少なくありません。

そこで、パーソルグループでは、女性活躍推進が求められる社会的背景から、施策設計、運用のポイントまでを体系的に整理した資料を公開しています。

現場の理解を得ながら、組織全体で成果につなげるためのヒントをまとめていますので、ぜひご活用ください。

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監修・インタビュー

株式会社パーソル総合研究所
トレーニングパフォーマンスコンサルタント

射水 和香子(いみず わかこ)

大学卒業後、化粧品メーカーの美容部員を経て、大手人材サービス会社にて人材派遣、総合受付業務委託、海外人事HRテック導入等の法人営業およびプロジェクトマネジメントを経験。約3年間営業チーム長として15名のマネジメントも行う。
主に女性、若手社員のキャリアを支援すべく、社内研修や個別面談を多数実施。キャリアカウンセリング学習者の育成にも携わっている。

保有資格

  • 国家資格1級キャリアコンサルティング技能士
  • CCA(キャリアカウンセリング協会)認定スーパーバイザー
  • 認定ワークショップデザイナー
  • メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種