2024年12月13日
ロールモデルとは、「仕事への考え方やはたらき方が他の社員の見本になる人物」です。企業がロールモデルを設定すると、社員一人ひとりの成長を促せ、組織全体にさまざまなメリットをもたらします。では、具体的にどのような人物をロールモデルとして設定すれば良いのでしょうか。
本記事では、ロールモデルの概要や設定すべき対象者、設定までの流れなどを解説します。ロールモデルの設定により、人材不足や女性活躍推進といった企業が抱える課題の解決を目指すことも可能です。組織の成長や活性化のための取り組みを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
ロールモデルを設定し、キャリア形成を後押し!
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ロールモデルとは「考え方や行動が他者の手本となる人物」のことです。ロール(Role)は「役割」、モデル(Model)は「見本」「規範」という意味があります。
近年ビジネスにおいて、ロールモデルの重要性が指摘されています。ビジネス上でのロールモデルとは「この人のようなキャリアを形成したい」「この人のように仕事とプライベートを両立させたい」などと思えるような、「他の社員の手本となる人物」を指すことが一般的です。
近年ははたらき方が多様化し、キャリアの選択肢が増えてきました。さまざまなはたらき方が選択できるようになったことは社員にとって大きなメリットですが、選択肢が多い分、キャリア形成に悩んでしまう社員も少なくありません。
そこで注目されるようになったのが、ロールモデルです。ロールモデルを設定すると、社員は自身がどのようなキャリアを歩みたいのか、そのためにはどのようなスキルや能力を身に付ければ良いのかをイメージできるようになります。手本となる存在がいれば、進むべき方向性が見えやすくなるため、スムーズにキャリア設計を行えるでしょう。

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どのようなロールモデルを設定するべきかは企業によって異なりますが、ここからはロールモデルを設定すべき代表的な対象者を解説します。
ロールモデルを設定すべき対象者の例として、女性社員が挙げられます。
近年世界的にジェンダー平等の実現が推進されていることもあり、女性の活躍推進を課題としている企業は少なくありません。在籍している女性社員の中にも、「結婚や出産でキャリアを諦めたくない」「仕事と家庭を両立できる方法を模索している」という人がいるはずです。しかし、キャリアと家庭を両立したいと考えても、具体的にどのようなはたらき方ができるのか、イメージできずにいる女性社員もいるでしょう。
キャリアと家庭を両立している女性社員をロールモデルにすれば、キャリア設計に悩む女性社員に対して、キャリア形成のヒントを提示できます。社内の女性活躍推進や人材不足の課題解決につながるでしょう。
管理職候補も、ロールモデルを設定すべき対象者の例です。
部や課をまとめる存在である管理職は、企業にとって必要不可欠な存在です。しかし、パーソル総合研究所が全国男女15〜69歳の有職者10,000人を対象に行った調査によると、「現在の会社で管理職になりたい」と回答した人は全体の17.2%にとどまりました。前年の同調査と比較すると3.6%減少しており、管理職になりたいと考える人の数は年々減少傾向にあります。
管理職を目指す人材が減っている原因にはさまざまな理由が考えられますが、管理職として活躍するイメージが描けないこともその理由の一つでしょう。管理職のロールモデルを設定すると、管理職のキャリアを具体的にイメージできるようになるため、管理職候補を増やせる可能性が高くなります。

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【関連記事】管理職になりたくない社員がなぜ増えるのか|原因と対策を解説
ロールモデルを設定すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここからはロールモデルを設定する5つのメリットを紹介します。

ロールモデルを設定するメリットの一つは、社員が自身のキャリアをイメージしやすくなることです。
ロールモデルがいれば、ロールモデルがキャリアを形成する上でどのような取り組みを行ったのか、どの段階でどのようなスキルを身に付けたのかなどを参考にでき、それに基づいたキャリアプランを描けます。ロールモデルが行動指針となるため、いつ何をすべきかが明確になり、スムーズにキャリア形成を行えるようになるでしょう。
組織の活性化につながることも、ロールモデルを設定するメリットです。
例えば社内でロールモデルを設定すると、その社員はロールモデルとしてふさわしい存在であろうと行動するようになります。また目指す社員も「自分も誰かの手本になろう」と意識するようになるでしょう。相乗効果が生まれ、組織力が高まる効果が期待できます。
加えて、ロールモデルの社員と目指す社員との間でのコミュニケーションが活発になることによって新たな交流が生まれ、組織がさらに活性化する効果も得られるでしょう。
【関連記事】組織活性化とは?実現するための5つのステップや施策、事例を解説
ロールモデルを設定すると、ダイバーシティの推進の一助となるメリットもあります。
設定するロールモデルは一人ではなく、異なる価値観やキャリア、ライフスタイルの複数人を設定するのが望ましいでしょう。多彩な人材をロールモデルとして設定することで、一人ひとりが自身に合ったキャリアを選択して活躍できるようになり、ダイバーシティの推進につながります。
例えば前述した女性社員や管理職候補に加え、病気と闘いながらはたらく社員、ハンディキャップを抱えながらも活躍している社員などをロールモデルにすることで、多様なはたらき方の具体例を提示できるでしょう。
【関連記事】ダイバーシティとは?概要や推進例をわかりやすく解説
定着率の向上につながることも、ロールモデルを設定するメリットの一つです。
社内に自身が理想とするロールモデルが存在し、同じようなキャリアを実現しやすい職場であれば、社員一人ひとりがモチベーションを維持しやすくなります。社員が「この会社なら理想のキャリアを実現できる」と思える環境を作れば、社員の離職を防ぐことができ、定着率が向上するでしょう。
少子高齢化の今、社員の定着率向上を課題としている企業は多いはずです。多くの社員が理想のキャリアを実現し、生き生きとはたらいている環境になれば、自社を志望する人も増え、有能な人材の確保にもつながります。
【関連記事】定着率を上げる7つの方法|計算方法や平均値と併せて解説
スキルアップの計画を立てられることも、ロールモデルを設定するメリットです。
ロールモデルは、どのようなスキルや能力をどの段階で身に付けるべきかの指標になります。具体的な目標を立てやすくなるので、モチベーションアップにもつながるでしょう。会社としても、スキルアップのための支援をプランニングしやすくなります。
また社員一人ひとりがロールモデルと比較して客観的な自己分析を行えるようになるため、何を伸ばし、何を補うべきなのかを把握しやすくなります。より高い目標を自主的に目指せるようになり、社員同士でも良い影響を与え合えるので、企業全体の成長にも結び付きやすくなるでしょう。
ロールモデルになり得る存在としては、どのような候補が考えられるのでしょうか。4つの候補を見ていきましょう。
ロールモデルとして代表的な候補は、身近な上司や先輩です。
社内ではたらく身近な上司や先輩をロールモデルにすれば、実際にはたらく姿を見ながら学んだり、直接アドバイスや指導を受けたりできるので、そのまま自身の仕事に生かせます。自社の社員としてキャリアを形成するために必要な姿勢やスキルをイメージしやすくなるため、成長を促進できるでしょう。
身近なところにロールモデルになりそうな候補がいなければ、他部署の上司や先輩をロールモデルとしても構いません。
社外の人物をロールモデルにするのも一つの方法です。
同業他社で接点を持つ人物をロールモデルとすれば、その業界でどのようにキャリアを形成できるのかの参考にできます。日常的に業務で接点がある人物なら、直接キャリアのアドバイスを受けることもできるでしょう。また他業種の人物であっても、仕事への取り組み方や考え方を見習いつつ自身に置き換えることで、キャリア形成の参考にできます。
社内にいる上司や先輩をロールモデルにするのとは異なり、より客観的にロールモデルを参考にできるため、見習うべき部分が見つけやすくなる可能性も高くなります。
有名人や歴史上の人物も、ロールモデルの候補になります。
誰もが知るような大企業の経営者や、歴史に名を残す偉大な人物をロールモデルとすることで、自身の理想のキャリアや生き方の参考にできます。ただし、身近な存在ではないため「憧れ」にとどまってしまいやすく、目標が曖昧になったり現実的ではなくなったりしてしまう可能性がある点には注意が必要です。
有名人や歴史上の人物をロールモデルにする場合は、その人物のどの過程やどのような行動を参考にできそうか、より細分化して落とし込む必要があります。
人物ではなくブランドやサービスをロールモデルに設定することもできます。
ロールモデルといえば特定の人物をイメージする方が多いかもしれませんが、既存の会社や商材などの考え方や姿勢、具体的な取り組みなどを、ロールモデルとして参考にすることも可能です。
例えば、新たなブランドを立ち上げたい場合、成功したブランドがどのような過程で現在に至っているのかを参考にすれば、取り組むべき具体的な行動が見えてきます。
ここからは、ロールモデルを設定する際の一般的な流れを紹介します。
まずはロールモデルを定義しましょう。
どのような存在をロールモデルとするのかを定義するには、自社が現在抱える課題を洗い出し、そのためにはどのような人材が必要なのかを考えます。ここで具体的な人物像を定義しておけば、その後の人材の選定や育成を行いやすくなります。以下を例にして、ロールモデルを定義しましょう。
社内でロールモデルとなり得る人物を設定する場合は、その人物を育成していきます。
具体的な育成方法は、集合研修や個別研修です。集合研修の場合は、ロールモデルに求められるスキルや能力を学べるセミナーや勉強会を開催したり、外部研修を行ったりすると良いでしょう。個別研修の場合は、個人がe-ラーニングを受けられる環境を用意したり、OJTやジョブローテーションによって経験を積ませたりする方法があります。
ロールモデルとなる人物を育成して、キャリア実現に向けた具体的な方向性を明確にしましょう。
ロールモデルとなる人物を定めたら、その人物が何をどのように考え、どういった行動を行ってきたのかを詳細に分析します。
可能であれば本人にヒアリングを行い、仕事への価値観やキャリアを実現するために日頃意識していること、取得した資格やスキルなどを把握し、なぜそのような考え・行動に至ったのかも分析しましょう。
ロールモデルの行動分析を行ったら、その結果をまとめ、誰もが参考にしやすいようにマニュアル化しましょう。マニュアルを用意しておけば、ロールモデルを人材育成に活用しやすくなります。
最後にロールモデルを必要とする人物に、ロールモデルの存在を周知します。
研修時や採用活動時に紹介したり、広報誌や社内SNSに掲載したりするのが一般的です。単にロールモデルとして紹介するだけではなく、経験談なども交えて紹介すると、キャリアに対するイメージが湧きやすくなります。
ロールモデルを設定する際は、これから紹介する2つのポイントを押さえておきましょう。
ロールモデルは、一般社員と近しい人物を設定することが大切です。
並外れた成果を出しているハイパフォーマーや、ロールモデルを必要とする人物とはかけ離れているハイレイヤーの役職者を選定してしまうと、「自分とはもともとの能力や立場が違い過ぎる」と考えてしまって、参考にならないケースがあります。
一般社員と近しい人物を設定すれば共通点が多く、参考にしてキャリアを描きやすくなります。「努力すれば自分も目指せる」と感じられるため、モチベーションアップにもつなげやすいでしょう。
複数人選定することも、ロールモデルを設定する際のポイントです。
ロールモデルを一人に限定する必要はありません。ロールモデルとして複数人を提示すれば、社員は自身の段階や理想のキャリアに合わせて、ロールモデルとすべき人物を選択できます。また複数人のロールモデルの見習いたい点をそれぞれ参考にすることもできるので、よりスキルや能力の高い人材へと成長していく可能性も高まります。
ロールモデルを設定し、キャリア形成を後押し!
女性活躍推進を成功させる組織づくりのヒントとは?
女性管理職がなかなか増えない――その背景には、社内にロールモデルが不在で、 女性社員が自身のキャリアを描けないという課題が潜んでいるケースがあります。
パーソルグループでは、女性活躍推進の社会的背景から具体的な施策、進め方に関するノウハウをまとめた資料を公開しています。
女性活躍推進に取り組む、人事・ダイバーシティ推進ご担当の方はぜひご活用ください。
ロールモデルを設定すると、社員一人ひとりがキャリアを具体的に描きやすくなり、組織力や社員の定着率の向上につながります。ロールモデルを設定するには、まず自社がどのような課題を抱えているのか、課題解決にはどのような人材が必要なのかを検討することが大切です。また一般社員と近しい人物をなるべく複数人選定することで、社員は自身に合うロールモデルを選びやすくなります。
本記事を基に、多くの社員の参考になるロールモデルを設定しましょう。